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王様に会いに
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「王様に聞くだと?」
アロクは心配そうに聞く。
「今、ソール国が関わっているかもしれないと言ったのは君たちだ。その王に会いに行くなど危険すぎないか?だいたい会えるのか?」
「そこは心配ないぜなぜなら俺とソール国の今の王様は知り合いだからな。」
そのドンキホーテの言葉にアレン先生以外の一同が驚く。
「そ、そうなのドンキホーテ?!」
エイダもまさかソール国の王とドンキホーテが繋がりがあるとは思いもよらず、驚きの声を上げた。
「実はな、王子だった頃に友達に、たまたまなれたんだ。」
そういうドンキホーテにアロクは、不安そうな声を上げる。
「だがその友達とやらが、我々のメルジーナ先生を殺そうとしたかもしれないと、さっき言ったではないか。」
ドンキホーテは、首を横に振った。
「正確にはソール国がだぜ、あいつが5年前、王に就任した時言ってた。ソール国にはまだ自分でも制御しきれないなにかがあるってな。」
「つまり、例のメルジーナ先生を襲った者は、独断で動いていたと?」
アロクのその推理はドンキホーテの推理と全く一緒だった。ドンキホーテは頷くと「その通りだ」と言って話を続ける。
「ソール国は王の力が絶対じゃない。元老院の貴族たちなんかの力も結構強い国だ。国益を害すると判断して勝手にやったのかもな。」
しかしそれでもアロクには納得できないことがあった。
「なぜそこまで王を信頼する。」
「俺もそこが気になっていた。」
ジンも同調して訳を聞きたがる。ドンキホーテは、眉に角度をつけてウンウンと唸りがら、答えを捻り出した。
「俺の知る王は、メルジーナ先生の家を焼くようなやつじゃないからだ。」
単純な理由、主観的で、個人の思い入れにすぎないような理由だった。それはドンキホーテもわかっていることだ。しかしそうだとしても、ドンキホーテは心中にいる王が、このような非道を許す訳ないと確信していた。
王は優しく、民のことを思いやり、何より、思想の自由を愛していた。だからこそドンキホーテは王を信じた。いや信じたかった。状況を見れば、ソール国の関与の可能性は確かに高い。だがそれでも、王だけはこちらの味方であると、心の中に、思い出としている王を信じることにしたのだ。
「アロク、お前たちも犯人を血眼になって探しているんだろう?こりゃあチャンスかもしれねぇぜ、もしかしたら犯人の正体がわかるかもしれねぇんだ。」
ドンキホーテはそういうがアロクの気持ちとしては、メルジーナ先生のファンを危険な敵の根城に、送り込むというのはどうにも気が引けることだった。しかし、ドンキホーテの言う通り犯人の尻尾を掴みたいことは確かである。悩んだ挙句。アロクはドンキホーテに対して、遠慮がちに言葉を発する。
「ドンキホーテ、頼めるか…?私たちはトーンレンスに残らねばならない。未だに放火魔が居座っている可能性があるからな。」
ドンキホーテは、アレン先生とエイダが頷くのを確認すると2つ返事で「いいぜ」と答える。こうしてエイダ達は、ソール国、王都エポロを目指すこととなった。
「ではな、もしなにか問題があれば、俺たちにまた知らせてくれ。できる限りの援助はする。」
「ありがとうございます、アロクさん、ジンさん。」
エイダ達は、ドームの出口まで案内をしてくれたアロクとジンに礼を言った。
「例を言うのはこっちの方だ。」
ジンはそう言いながら、パイプをふかす。
「じゃあな2人とも、何かわかったらまた連絡するぜ。」
ドンキホーテは手を振る。
「では、行くかの。」
アレン先生は欠伸をしながらドームの出口である。扉に向かう。猫のアレン先生は、器用にドアノブへと飛ぶと前足でドアノブを回しトーンレンスへと戻るドアを開けた。
エイダ達が扉をくぐると、そこはジンとドンキホーテ達が戦った、あの路地裏に戻っていた。
「よしじゃあとりあえず進捗をボスに報告だな。」
ドンキホーテがそう言うと、彼の頭に紙切れが突き刺さる。その光景に、アレン先生は吹き出し、エイダも笑いをこらえる。
「なんだぁ!?」
ドンキホーテは若干の怒りと驚きを込めて髪の毛に絡まっていたその鋭利な紙切れを取る。よく見るとその紙切れは鳥の形を模していた。
「これはもしかして折り紙手紙か?」
強固な魔法が施されたそれは、おそらくではあるがドンキホーテにしか開けないように魔法で施錠されていたのだろう。ドンキホーテが手に取った瞬間本来あるべき形へと姿を変える。
「ドンキホーテそれって、もしかしてマリデさんからの?」
エイダの問いにドンキホーテは答えた。
「ああ多分な、この方法でメッセージを伝えてくるのは1人しかいない。ボスだぜ。」
ドンキホーテの手の上で完全な手紙へと変身した折り紙手紙をドンキホーテは目を通す。
ドンキホーテへ
至急、王都まで来てくれ、王から直々の依頼があった。
詳しくは王都で。
アロクは心配そうに聞く。
「今、ソール国が関わっているかもしれないと言ったのは君たちだ。その王に会いに行くなど危険すぎないか?だいたい会えるのか?」
「そこは心配ないぜなぜなら俺とソール国の今の王様は知り合いだからな。」
そのドンキホーテの言葉にアレン先生以外の一同が驚く。
「そ、そうなのドンキホーテ?!」
エイダもまさかソール国の王とドンキホーテが繋がりがあるとは思いもよらず、驚きの声を上げた。
「実はな、王子だった頃に友達に、たまたまなれたんだ。」
そういうドンキホーテにアロクは、不安そうな声を上げる。
「だがその友達とやらが、我々のメルジーナ先生を殺そうとしたかもしれないと、さっき言ったではないか。」
ドンキホーテは、首を横に振った。
「正確にはソール国がだぜ、あいつが5年前、王に就任した時言ってた。ソール国にはまだ自分でも制御しきれないなにかがあるってな。」
「つまり、例のメルジーナ先生を襲った者は、独断で動いていたと?」
アロクのその推理はドンキホーテの推理と全く一緒だった。ドンキホーテは頷くと「その通りだ」と言って話を続ける。
「ソール国は王の力が絶対じゃない。元老院の貴族たちなんかの力も結構強い国だ。国益を害すると判断して勝手にやったのかもな。」
しかしそれでもアロクには納得できないことがあった。
「なぜそこまで王を信頼する。」
「俺もそこが気になっていた。」
ジンも同調して訳を聞きたがる。ドンキホーテは、眉に角度をつけてウンウンと唸りがら、答えを捻り出した。
「俺の知る王は、メルジーナ先生の家を焼くようなやつじゃないからだ。」
単純な理由、主観的で、個人の思い入れにすぎないような理由だった。それはドンキホーテもわかっていることだ。しかしそうだとしても、ドンキホーテは心中にいる王が、このような非道を許す訳ないと確信していた。
王は優しく、民のことを思いやり、何より、思想の自由を愛していた。だからこそドンキホーテは王を信じた。いや信じたかった。状況を見れば、ソール国の関与の可能性は確かに高い。だがそれでも、王だけはこちらの味方であると、心の中に、思い出としている王を信じることにしたのだ。
「アロク、お前たちも犯人を血眼になって探しているんだろう?こりゃあチャンスかもしれねぇぜ、もしかしたら犯人の正体がわかるかもしれねぇんだ。」
ドンキホーテはそういうがアロクの気持ちとしては、メルジーナ先生のファンを危険な敵の根城に、送り込むというのはどうにも気が引けることだった。しかし、ドンキホーテの言う通り犯人の尻尾を掴みたいことは確かである。悩んだ挙句。アロクはドンキホーテに対して、遠慮がちに言葉を発する。
「ドンキホーテ、頼めるか…?私たちはトーンレンスに残らねばならない。未だに放火魔が居座っている可能性があるからな。」
ドンキホーテは、アレン先生とエイダが頷くのを確認すると2つ返事で「いいぜ」と答える。こうしてエイダ達は、ソール国、王都エポロを目指すこととなった。
「ではな、もしなにか問題があれば、俺たちにまた知らせてくれ。できる限りの援助はする。」
「ありがとうございます、アロクさん、ジンさん。」
エイダ達は、ドームの出口まで案内をしてくれたアロクとジンに礼を言った。
「例を言うのはこっちの方だ。」
ジンはそう言いながら、パイプをふかす。
「じゃあな2人とも、何かわかったらまた連絡するぜ。」
ドンキホーテは手を振る。
「では、行くかの。」
アレン先生は欠伸をしながらドームの出口である。扉に向かう。猫のアレン先生は、器用にドアノブへと飛ぶと前足でドアノブを回しトーンレンスへと戻るドアを開けた。
エイダ達が扉をくぐると、そこはジンとドンキホーテ達が戦った、あの路地裏に戻っていた。
「よしじゃあとりあえず進捗をボスに報告だな。」
ドンキホーテがそう言うと、彼の頭に紙切れが突き刺さる。その光景に、アレン先生は吹き出し、エイダも笑いをこらえる。
「なんだぁ!?」
ドンキホーテは若干の怒りと驚きを込めて髪の毛に絡まっていたその鋭利な紙切れを取る。よく見るとその紙切れは鳥の形を模していた。
「これはもしかして折り紙手紙か?」
強固な魔法が施されたそれは、おそらくではあるがドンキホーテにしか開けないように魔法で施錠されていたのだろう。ドンキホーテが手に取った瞬間本来あるべき形へと姿を変える。
「ドンキホーテそれって、もしかしてマリデさんからの?」
エイダの問いにドンキホーテは答えた。
「ああ多分な、この方法でメッセージを伝えてくるのは1人しかいない。ボスだぜ。」
ドンキホーテの手の上で完全な手紙へと変身した折り紙手紙をドンキホーテは目を通す。
ドンキホーテへ
至急、王都まで来てくれ、王から直々の依頼があった。
詳しくは王都で。
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