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神の使者の能力
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ドンキホーテの発言にメルジーナ先生は首を縦に降る。
「もしかしたらそうかもなーってだけよ。実際に私の家に火をつける理由としてはそれくらいしか考えられないもの。」
しかし、もしそのメルジーナ先生の推理が当たっているとしたら、1つの大きな問題ができる。
「敵に、この文章が読める奴がいるってことは、敵も転生者を抱えているのか…?」
ドンキホーテは確信を持ってそう予想した。その考えにアレン先生も同調する。
「そう見積もっても良さそうじゃな。敵は神の使者を従えてあるのじゃろう。」
「それは面倒なことになったな」と後ろでジンとアロクがため息をついている時。
(グレン卿以外に、神の使者を従えている人がいるなんて…)
エイダは、あのカルエの遺跡で出会った同じ光の翼を持つ男の事を思い出していた。あの、全てを静止させる能力を持ち、森羅万象の時間を止めることのできたと言うあの男、あのような能力を持つものがさらにいるのだ。エイダの不安は募るばかりだった。
エイダは思い直す、その不安を少しでも埋めるためにはやはり情報が必要なのだと。
「メルジーナ先生!先生は神の使者の能力にまつわる伝承をご存じないのですか?神の使者が敵対している以上能力を、知りたいんです。」
エイダは率直に聞く。メルジーナ先生はまた自分の鞄の中から、再び一冊の手記を取り出した。
「これは、私が妖精族やエルフ族に調査しに行った時に神の使者についてまとめたメモよ。まだ本にしてないから未発表のやつね。」
メルジーナ先生はそれを読み上げる。
神の使者。
彼は天を裂き、宙に舞う。
彼の耳は全てを聞きとり。
彼の目は未来を見据え。
彼の口はあらゆる詩が流れ出で。
彼の肌はあらゆる攻撃を通さず
彼の手はあらゆるものを作り出し。
彼の足は光さえ追いつけない。
そして、彼は尽きぬ命を持っていた。
その強大な力を持ってしても、彼の心は傲慢に染まらず。謙虚と慈悲に溢れていた。
「これが恐らく、神の使者の能力に関する伝説ね。私の小説には、全部の能力を出してしまうと強すぎて扱いづらくなっちゃうから、わざと弱体化させてるわ。」
ドンキホーテは思わず苦笑いをしてしまう。もしこれらの伝説が本当なら、敵は同じ能力を持っていると言うことになる。
「おいおい、戦闘向きじゃなさそうなのもあるが、いくつかめんどくさそうな記述もあるぜ。こんな奴らがたくさんいたら流石に骨が折れるぞ。」
アレン先生が、「そんなことはないかもしれんぞ」と言い、話を続けた。
「一度、ワシらは神の使者と戦ったことがあるじゃろ?」
その言葉にメルジーナ先生、ジン、アロクは驚く。
「それは、本当か…?」
ジンが聞く。
「確かじゃ、神の使者は戦闘中、光が収束したような翼が生えると言う特徴がある。ワシらが戦った男も同じく光の翼が生えてとった。その時その男はなぜか1つの能力しか使わなかったんじゃ。」
ドンキホーテも思い出す。思えばあの時の戦いでは、男は伝説に出てくるような能力は使わなかった、使ったのはそう1つだけだ。
「全てを静止させる能力。確かにそれしか、つかわかったな。」
それを聞きエイダは気がついた。
「もしかして私たちの使える能力って。1つずつってことかな?」
アレン先生は首を縦に振った。
「うむ、そう考えて良さそうじゃな。」
ドンキホーテはまだ納得いかない様子で、「だがよ」と言い話し始めた。
「全てを静止させる能力なんて伝説に書いてないぜ?」
アレン先生はドンキホーテの疑問に答える。
「恐らく、この光をも追いつけぬという記述じゃが、全てを静止する能力のことを思い出せ、ワシらの目には最初はとてつもない速度で動いておるように思えたじゃろ?それと同じで伝説を残した者も、ワシらと同じようにとてつもない速度で動いてると勘違いし、あのように伝説を残したんじゃろぅ。」
それを聞いてドンキホーテは完全に納得したのか頷いた。
「なるほどなそれなら、伝説と違いがあってもおかしくねぇ。ともかくだ俺たちはこの記述を元に神の使者の対策を考えねぇとな。」
「それならば」とアロクは1つ提案を出した。
「メルジーナ先生の家を燃やした犯人を共に探さないか?見たところ君たちは神の使者に対して因縁があるらしい。メルジーナ先生の家を燃やした犯人のこと君たちもきになるところだろう。なにせ関連があるのかもしれないのだからな」
「それなら俺に考えがあるぜ。」
ドンキホーテはそういった。言葉の端々に、自信が感じられる、そんな喋り方で。
「王様に直接聞くのさ、ソール国の王様にな。」
「もしかしたらそうかもなーってだけよ。実際に私の家に火をつける理由としてはそれくらいしか考えられないもの。」
しかし、もしそのメルジーナ先生の推理が当たっているとしたら、1つの大きな問題ができる。
「敵に、この文章が読める奴がいるってことは、敵も転生者を抱えているのか…?」
ドンキホーテは確信を持ってそう予想した。その考えにアレン先生も同調する。
「そう見積もっても良さそうじゃな。敵は神の使者を従えてあるのじゃろう。」
「それは面倒なことになったな」と後ろでジンとアロクがため息をついている時。
(グレン卿以外に、神の使者を従えている人がいるなんて…)
エイダは、あのカルエの遺跡で出会った同じ光の翼を持つ男の事を思い出していた。あの、全てを静止させる能力を持ち、森羅万象の時間を止めることのできたと言うあの男、あのような能力を持つものがさらにいるのだ。エイダの不安は募るばかりだった。
エイダは思い直す、その不安を少しでも埋めるためにはやはり情報が必要なのだと。
「メルジーナ先生!先生は神の使者の能力にまつわる伝承をご存じないのですか?神の使者が敵対している以上能力を、知りたいんです。」
エイダは率直に聞く。メルジーナ先生はまた自分の鞄の中から、再び一冊の手記を取り出した。
「これは、私が妖精族やエルフ族に調査しに行った時に神の使者についてまとめたメモよ。まだ本にしてないから未発表のやつね。」
メルジーナ先生はそれを読み上げる。
神の使者。
彼は天を裂き、宙に舞う。
彼の耳は全てを聞きとり。
彼の目は未来を見据え。
彼の口はあらゆる詩が流れ出で。
彼の肌はあらゆる攻撃を通さず
彼の手はあらゆるものを作り出し。
彼の足は光さえ追いつけない。
そして、彼は尽きぬ命を持っていた。
その強大な力を持ってしても、彼の心は傲慢に染まらず。謙虚と慈悲に溢れていた。
「これが恐らく、神の使者の能力に関する伝説ね。私の小説には、全部の能力を出してしまうと強すぎて扱いづらくなっちゃうから、わざと弱体化させてるわ。」
ドンキホーテは思わず苦笑いをしてしまう。もしこれらの伝説が本当なら、敵は同じ能力を持っていると言うことになる。
「おいおい、戦闘向きじゃなさそうなのもあるが、いくつかめんどくさそうな記述もあるぜ。こんな奴らがたくさんいたら流石に骨が折れるぞ。」
アレン先生が、「そんなことはないかもしれんぞ」と言い、話を続けた。
「一度、ワシらは神の使者と戦ったことがあるじゃろ?」
その言葉にメルジーナ先生、ジン、アロクは驚く。
「それは、本当か…?」
ジンが聞く。
「確かじゃ、神の使者は戦闘中、光が収束したような翼が生えると言う特徴がある。ワシらが戦った男も同じく光の翼が生えてとった。その時その男はなぜか1つの能力しか使わなかったんじゃ。」
ドンキホーテも思い出す。思えばあの時の戦いでは、男は伝説に出てくるような能力は使わなかった、使ったのはそう1つだけだ。
「全てを静止させる能力。確かにそれしか、つかわかったな。」
それを聞きエイダは気がついた。
「もしかして私たちの使える能力って。1つずつってことかな?」
アレン先生は首を縦に振った。
「うむ、そう考えて良さそうじゃな。」
ドンキホーテはまだ納得いかない様子で、「だがよ」と言い話し始めた。
「全てを静止させる能力なんて伝説に書いてないぜ?」
アレン先生はドンキホーテの疑問に答える。
「恐らく、この光をも追いつけぬという記述じゃが、全てを静止する能力のことを思い出せ、ワシらの目には最初はとてつもない速度で動いておるように思えたじゃろ?それと同じで伝説を残した者も、ワシらと同じようにとてつもない速度で動いてると勘違いし、あのように伝説を残したんじゃろぅ。」
それを聞いてドンキホーテは完全に納得したのか頷いた。
「なるほどなそれなら、伝説と違いがあってもおかしくねぇ。ともかくだ俺たちはこの記述を元に神の使者の対策を考えねぇとな。」
「それならば」とアロクは1つ提案を出した。
「メルジーナ先生の家を燃やした犯人を共に探さないか?見たところ君たちは神の使者に対して因縁があるらしい。メルジーナ先生の家を燃やした犯人のこと君たちもきになるところだろう。なにせ関連があるのかもしれないのだからな」
「それなら俺に考えがあるぜ。」
ドンキホーテはそういった。言葉の端々に、自信が感じられる、そんな喋り方で。
「王様に直接聞くのさ、ソール国の王様にな。」
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