28 / 29
第二十八話
しおりを挟む
ウィルフレッドの執務室。
いつでも自分の姿を確認できるように至る所に鏡が配置されてあり、机の上には数枚の書類のみが置かれている。
「思った通りクリスティーナは僕のために励んでいるようだね。マリーも僕と一緒に過ごせる時間が増えて幸せを感じているんだろう。聖女の力が遺憾無く発揮されているようだ」
国民たちの不平不満の陳情書が無くなった事により、聖女の力で国が豊かになってきたのだと一人で喜ぶウィルフレッド。
クリスティーナの髪が伸びるまであとどれくらいの時間が必要だろうか?
長いと思っていたが
マリーとゆっくり過ごせる時間が増えて更に国が良くなって行くのなら、こうして待つ時間も悪くない。
あの時のクリスティーナの笑顔を見ることができるのなら、待つ価値も大いにある。
「いや、それよりもマリーとの間に子を儲ける事が先か…。僕とマリーの子供なら可愛い姫が生まれるだろうな。クリスティーナとの間なら聡明で美しい王子かな?まぁ、どちらにしても僕の血を受け継ぐ子供なのだから美しいに違いない」
ウィルフレッドは書類に目を通すこともせず、次々に署名を書いていく。ほんの数回名前を書くだけで終わる簡単な仕事だ。
ひと仕事終えたウィルフレッドはいつものようにマリーの元へと向かった。
「待たせたね」
「ウィルフレッド様!お仕事はもう終わったの?」
「マリーのために早く終わらせたんだよ」
可愛らしい笑顔で自分を迎えるマリーに満足しながらウィルフレッドはソファに腰掛け、出されたお茶を優雅に飲む。
「僕たちの最初の子は可愛い姫が良いと思わないか?」
ウィルフレッドが尋ねると、マリーの目から涙が溢れる。
「まだ兆しは見えないの。私も大好きなウィルフレッド様の子供が欲しいと思っているんだけど…」
「マリー…」
ウィルフレッドはマリーを優しく抱きしめる。
「子は授かりものだからね。聖女の君でも人の命までは作り出せない事はわかっているさ。焦らなくても大丈夫だよ」
「ウィルフレッド様」
見つめ合っていた2人だったが、ウィルフレッドは鏡を見つめながら呟いた。
「この際クリスティーナの子が先に生まれても仕方がないか…」
「………」
その後はロザリア王妃の元へ行き、3人でドレスや美容品を買い漁り、新しい宝石を身に着けて自分の部屋に戻ったマリー。
1人になった瞬間に真新しい宝石をベッドに投げ捨てた。
「なんなのよ!子供は産みたくないけどウィルフレッド様があの女の所に通うだなんて絶対に嫌よ!側室なら黙って仕事だけしていれば良いじゃない!」
マリーは歳よりも若く見られる自分の容姿に自信を持っていた。妊娠して体型が崩れることも、出産の痛みも経験したくない。だからウィルフレッドには言わずに密かに避妊薬を処方していたのだ。
これでウィルフレッドといつまでも2人で過ごせる。自分は聖女なのだから誰よりも優先されるべきだ。
子供は養子をとるか王妃のロザリアがもう1人産めば良い。ウィルフレッドを産んでるのだから、歳はいっていてもあと1人くらい産めるだろう。
それが無理ならそれはもうマリーの知るところではない。
王族の掟も成り立ちも知らないマリーは自分の物差しでしか物事を測れなかった。
「それにしても本当に邪魔よね…」
ウィルフレッドはどうしたらクリスティーナに興味を無くすだろうか…?マリーは足りない頭で考える。
「そうだわ!」
いい事を閃いたと、マリーは侍女を呼び出して2つの頼み事をした。
翌日、マリー付きの侍女はクリスティーナのいる別棟に足を踏み入れていた。
ワゴンを押しながら人のいない廊下をゆっくりと進んでいくが、その足取りは重い。
扉を叩くと中から聞こえてくるクリスティーナの優しい声。
自分が今から成すべき行動に罪悪感を感じつつ、侍女は部屋の中へと入っていく。
「クリスティーナ様、こちらは聖女様からのお気持ちでございます」
差し出したのは甘い香りの漂うバスケット。上に被っている布を取ると、バターのたっぷり入ったマフィンやクリームのはみ出たケーキがたくさん入っている。
「ありがとう。後で頂くわね。聖女様にお礼のお手紙を書くから少し時間を貰えるかしら?」
そう言って手紙を書き始めたクリスティーナに、侍女は近付いていく。
「あの…」
「どうしたの?」
「聖女様の贈り物はまだあるのです…」
「まぁ、何かしら?」
純粋無垢な顔で尋ねられ、侍女は心が痛んだ。
「御髪を綺麗に整えて差し上げるように申し使っております…。綺麗に伸ばしてウィルフレッド様に喜んで頂けるようにと…」
「聖女様はお優しいのね。ずっと伸ばしっぱなしだったから嬉しいわ」
侍女は鏡のない場所にクリスティーナを連れていき、櫛で髪の毛を梳かしていく。艶のある綺麗な髪。鎖骨辺りまで伸びた髪の毛を整える振りをして、肩の上までバッサリとハサミで切っていった。
鏡を確認されないように話し続けながら落ちた髪を綺麗にして、そのまま足早に別棟から逃げ帰るように出ていく。
「そこまで怯えなくても怒ったりしないのに…」
軽くなった髪を触りながら1人になったクリスティーナは苦笑する。
伸びてきた髪の毛をどうしようか悩んでいたところ、今回の話を聞いていたクリスティーナはずっと待ち続けていたのだ。
夜になるとケーキの入った籠と手紙を机の上に起き、クリスティーナはベッドに入って朝になるのを待った。
朝になると籠の中の菓子は全て無くなっており、代わりに手紙が入っていた。菓子は孤児院の子どもたちに届けられたと書いてある。
(無駄にならなくて良かったわ)
クリスティーナは情報をくれた事と、それを有効活用してくれた手紙の主に感謝した。
それからというもの、定期的にマリーからクリスティーナ宛に甘い砂糖たっぷりの菓子が贈られてくるようになり、聖女からの有り難い物は捨てずに全部食べ切るようにという言伝てまで添えられるようになった。
全て貧しい子供たちの元へ届けられるのだが
クリスティーナが食べていると信じているマリーは、吹き出物だらけの脂ぎったクリスティーナの姿を想像してほくそ笑んでいる。
「醜くなったらウィルフレッド様に見向きもされないわよ」
王都に住む貧しい子供たちに菓子が行き渡り、国の状況が少し良くなったように見えたクリスティーナ。
しかし、見えていない場所で様々な事が起こっていることはまだ知らない…。
いつでも自分の姿を確認できるように至る所に鏡が配置されてあり、机の上には数枚の書類のみが置かれている。
「思った通りクリスティーナは僕のために励んでいるようだね。マリーも僕と一緒に過ごせる時間が増えて幸せを感じているんだろう。聖女の力が遺憾無く発揮されているようだ」
国民たちの不平不満の陳情書が無くなった事により、聖女の力で国が豊かになってきたのだと一人で喜ぶウィルフレッド。
クリスティーナの髪が伸びるまであとどれくらいの時間が必要だろうか?
長いと思っていたが
マリーとゆっくり過ごせる時間が増えて更に国が良くなって行くのなら、こうして待つ時間も悪くない。
あの時のクリスティーナの笑顔を見ることができるのなら、待つ価値も大いにある。
「いや、それよりもマリーとの間に子を儲ける事が先か…。僕とマリーの子供なら可愛い姫が生まれるだろうな。クリスティーナとの間なら聡明で美しい王子かな?まぁ、どちらにしても僕の血を受け継ぐ子供なのだから美しいに違いない」
ウィルフレッドは書類に目を通すこともせず、次々に署名を書いていく。ほんの数回名前を書くだけで終わる簡単な仕事だ。
ひと仕事終えたウィルフレッドはいつものようにマリーの元へと向かった。
「待たせたね」
「ウィルフレッド様!お仕事はもう終わったの?」
「マリーのために早く終わらせたんだよ」
可愛らしい笑顔で自分を迎えるマリーに満足しながらウィルフレッドはソファに腰掛け、出されたお茶を優雅に飲む。
「僕たちの最初の子は可愛い姫が良いと思わないか?」
ウィルフレッドが尋ねると、マリーの目から涙が溢れる。
「まだ兆しは見えないの。私も大好きなウィルフレッド様の子供が欲しいと思っているんだけど…」
「マリー…」
ウィルフレッドはマリーを優しく抱きしめる。
「子は授かりものだからね。聖女の君でも人の命までは作り出せない事はわかっているさ。焦らなくても大丈夫だよ」
「ウィルフレッド様」
見つめ合っていた2人だったが、ウィルフレッドは鏡を見つめながら呟いた。
「この際クリスティーナの子が先に生まれても仕方がないか…」
「………」
その後はロザリア王妃の元へ行き、3人でドレスや美容品を買い漁り、新しい宝石を身に着けて自分の部屋に戻ったマリー。
1人になった瞬間に真新しい宝石をベッドに投げ捨てた。
「なんなのよ!子供は産みたくないけどウィルフレッド様があの女の所に通うだなんて絶対に嫌よ!側室なら黙って仕事だけしていれば良いじゃない!」
マリーは歳よりも若く見られる自分の容姿に自信を持っていた。妊娠して体型が崩れることも、出産の痛みも経験したくない。だからウィルフレッドには言わずに密かに避妊薬を処方していたのだ。
これでウィルフレッドといつまでも2人で過ごせる。自分は聖女なのだから誰よりも優先されるべきだ。
子供は養子をとるか王妃のロザリアがもう1人産めば良い。ウィルフレッドを産んでるのだから、歳はいっていてもあと1人くらい産めるだろう。
それが無理ならそれはもうマリーの知るところではない。
王族の掟も成り立ちも知らないマリーは自分の物差しでしか物事を測れなかった。
「それにしても本当に邪魔よね…」
ウィルフレッドはどうしたらクリスティーナに興味を無くすだろうか…?マリーは足りない頭で考える。
「そうだわ!」
いい事を閃いたと、マリーは侍女を呼び出して2つの頼み事をした。
翌日、マリー付きの侍女はクリスティーナのいる別棟に足を踏み入れていた。
ワゴンを押しながら人のいない廊下をゆっくりと進んでいくが、その足取りは重い。
扉を叩くと中から聞こえてくるクリスティーナの優しい声。
自分が今から成すべき行動に罪悪感を感じつつ、侍女は部屋の中へと入っていく。
「クリスティーナ様、こちらは聖女様からのお気持ちでございます」
差し出したのは甘い香りの漂うバスケット。上に被っている布を取ると、バターのたっぷり入ったマフィンやクリームのはみ出たケーキがたくさん入っている。
「ありがとう。後で頂くわね。聖女様にお礼のお手紙を書くから少し時間を貰えるかしら?」
そう言って手紙を書き始めたクリスティーナに、侍女は近付いていく。
「あの…」
「どうしたの?」
「聖女様の贈り物はまだあるのです…」
「まぁ、何かしら?」
純粋無垢な顔で尋ねられ、侍女は心が痛んだ。
「御髪を綺麗に整えて差し上げるように申し使っております…。綺麗に伸ばしてウィルフレッド様に喜んで頂けるようにと…」
「聖女様はお優しいのね。ずっと伸ばしっぱなしだったから嬉しいわ」
侍女は鏡のない場所にクリスティーナを連れていき、櫛で髪の毛を梳かしていく。艶のある綺麗な髪。鎖骨辺りまで伸びた髪の毛を整える振りをして、肩の上までバッサリとハサミで切っていった。
鏡を確認されないように話し続けながら落ちた髪を綺麗にして、そのまま足早に別棟から逃げ帰るように出ていく。
「そこまで怯えなくても怒ったりしないのに…」
軽くなった髪を触りながら1人になったクリスティーナは苦笑する。
伸びてきた髪の毛をどうしようか悩んでいたところ、今回の話を聞いていたクリスティーナはずっと待ち続けていたのだ。
夜になるとケーキの入った籠と手紙を机の上に起き、クリスティーナはベッドに入って朝になるのを待った。
朝になると籠の中の菓子は全て無くなっており、代わりに手紙が入っていた。菓子は孤児院の子どもたちに届けられたと書いてある。
(無駄にならなくて良かったわ)
クリスティーナは情報をくれた事と、それを有効活用してくれた手紙の主に感謝した。
それからというもの、定期的にマリーからクリスティーナ宛に甘い砂糖たっぷりの菓子が贈られてくるようになり、聖女からの有り難い物は捨てずに全部食べ切るようにという言伝てまで添えられるようになった。
全て貧しい子供たちの元へ届けられるのだが
クリスティーナが食べていると信じているマリーは、吹き出物だらけの脂ぎったクリスティーナの姿を想像してほくそ笑んでいる。
「醜くなったらウィルフレッド様に見向きもされないわよ」
王都に住む貧しい子供たちに菓子が行き渡り、国の状況が少し良くなったように見えたクリスティーナ。
しかし、見えていない場所で様々な事が起こっていることはまだ知らない…。
62
あなたにおすすめの小説
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
逆行転生、一度目の人生で婚姻を誓い合った王子は私を陥れた双子の妹を選んだので、二度目は最初から妹へ王子を譲りたいと思います。
みゅー
恋愛
アリエルは幼い頃に婚姻の約束をした王太子殿下に舞踏会で会えることを誰よりも待ち望んでいた。
ところが久しぶりに会った王太子殿下はなぜかアリエルを邪険に扱った挙げ句、双子の妹であるアラベルを選んだのだった。
失意のうちに過ごしているアリエルをさらに災難が襲う。思いもよらぬ人物に陥れられ国宝である『ティアドロップ・オブ・ザ・ムーン』の窃盗の罪を着せられアリエルは疑いを晴らすことができずに処刑されてしまうのだった。
ところが、気がつけば自分の部屋のベッドの上にいた。
こうして逆行転生したアリエルは、自身の処刑回避のため王太子殿下との婚約を避けることに決めたのだが、なぜか王太子殿下はアリエルに関心をよせ……。
二人が一度は失った信頼を取り戻し、心を近づけてゆく恋愛ストーリー。
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
妻よりも幼馴染が大事? なら、家と慰謝料はいただきます
ぱんだ
恋愛
公爵令嬢セリーヌは、隣国の王子ブラッドと政略結婚を果たし、幼い娘クロエを授かる。結婚後は夫の王領の離宮で暮らし、義王家とも程よい関係を保ち、領民に親しまれながら穏やかな日々を送っていた。
しかし数ヶ月前、ブラッドの幼馴染である伯爵令嬢エミリーが離縁され、娘アリスを連れて実家に戻ってきた。元は豊かな家柄だが、母子は生活に困っていた。
ブラッドは「昔から家族同然だ」として、エミリー母子を城に招き、衣装や馬車を手配し、催しにも同席させ、クロエとアリスを遊ばせるように勧めた。
セリーヌは王太子妃として堪えようとしたが、だんだんと不満が高まる。
愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。
Hibah
恋愛
カリーナは夫フィリップを支え、名ばかり貴族から大貴族へ押し上げた。苦難を乗り越えてきた夫婦だったが、フィリップはある日愛人リーゼを連れてくる。リーゼは平民出身の性悪女で、カリーナのことを”おばさん”と呼んだ。一緒に住むのは無理だと感じたカリーナは、家を出ていく。フィリップはカリーナの支えを失い、再び没落への道を歩む。一方でカリーナには、王太子妃になる話が舞い降りるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる