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11 脱奴隷
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リードさんは一晩経つとほぼ普通になっていた。厳密には例えば会話の途中で一瞬止まったり、一人でぼーっとしていたり、以前とは異なる行動ではあるけれど、特殊な彼の思春期と考えればそんな物だろうと納得できる程度だった。
新月が近づくとアルバートさんの体調は悪くなる。そういえば見る限りタブレットの量も一月の間に増減を繰り返している。ただ、自分が加入した時は新月ではなかったけど、あの時も体調が悪いと言っていたような記憶もある。一概には言えないみたいだけど、概ね月の満ち欠けとタブレット量に相関はあった。
アルバートさんはあれ以来料理の本以外にも、色々な本を貸してくれた。船については専門的すぎて私には向かない物ばかりだったけれど、常識の肥やしにと渡された子供向けの図鑑の様なものや、アルバートさんは教育課程と呼ぶ本は私に合っていた。
以前いた場所は帝都のある所から遠く、帝都での常識から比べるとかなり古い情報しか無かった。
人種総覧に載っていたいくつかの種族なんて、あの町では想像上の生き物扱いだったくらいに。
スープを煮込みながら、ペラペラ本をめくっているとにゅっとカードが差し出された。
「じゃじゃーん!ビロンギングカード!ねえさんが持ってきてくれたよ!」
顔を上げると満面の笑みのリードさん、その後ろからエウディさんがうふふと笑いながら部屋に入ってきた。
「今日はお茶会に来たんじゃないの。流石にクロノも叩き起こさなきゃ、ね?」
「そんなにいつも寝ているわけではありませんよ」
「おはよ、クロノ」
読書用のメガネをかけたままのクロノ様が現れると、エウディさんが自然に彼の首に手を回した。
そう言えば二人のやり取りを目の当たりにするのは初めてだ。エウディさんが抱きついて、首にキスしようとすると「エウディ、くすぐったいです」と言ってクロノ様が優しく押しのけた。
やり取りの自然さが二人の距離の近さを意識させる。
なんだろう。やはり胸のあたりにうっ血感がする。もしかして、心臓に何か問題があるのかも?
「このカードがあれば、サヤを奴隷から解放できます。遅くなってしまい申し訳ありませんでした」
スッとクロノ様がリードさんの持っていたカードを抜き取り微笑んだ。が、それが更に上から抜き取られる。
「なんや、えらい低いグレードのやつやな」
「急ぎって言うから急いだんじゃない。奴隷から解放できるならこれで充分でしょ」
アルバートさんにエウディさんが口を尖らせて抗議した。
「まぁ、せやな」
少し含みがある返事をしながら、アルバートさんはクロノ様にカードを返す。
「すみません、初めて見るものなので状況がよくわかりません」
分からない事は早めに言った方が吉。そう思って、クロノ様に聞くと、周りの皆がぽかんとした顔になった。
「サヤ、ビロンギングカード知らなの?」
「あー、まあ、記憶ないんやったら初めましてかも知れへんなぁ」
「これは所属を暴くカードなのよ」
エウディさんが楽しそうに脅す様に笑んだ。
「暴く……?」
「エウディ……、あまり彼女で遊ばないでください。サヤ、これはビロンギングカードです。自分がどの所属に属しているかを客観的に表し、そして、書き換えを行える物です。カードにはグレードがあり、一番低いものは、あなたの首についているものですよ」
クロノ様がそう言いながら私の首輪を外した。奴隷のタグは主人と本人にしか外せない。最も本人が外せるのは着替え程度の少しの間だけだ。
「奴隷タグは奴隷である事しか分かりませんし、奴隷の主人の変更程度しかできません。しかし、こちらのカードでは、あなたがどこに属しているかを表す事ができます。それに、あなたの所属を書き込む事も」
「更に上のグレードのやと細かい分類、婚姻なんか会社なんかっちゅう分類出るし、自分に所属してる奴も分かんねん」
続いてアルバートさんが説明をしてくれる。作り方が特殊で、作成後数日以内に使用しないとすぐにただの紙になるそうだ。ただし、一度誰かの物になると本人を離れない限り破損はしない物との事。
「外に向かって仕事したり、結婚したりする時には必要なのよ。それ以外にも身分証にもなるわ。あんまり良いグレードだと、見せたくない情報も載っちゃうから、このくらいが使い勝手いいわよ。あたしも何枚か持ってるわ」
私は見逃していない。リードさんはアルバートさんの説明に、へーと関心を持っていた。どうやらビロンギングカード自体は常識のようだけど、グレードやらについては初耳らしい。
説明をされながら、机に座らされ、奴隷のタグと新しいカードを重ねた上に手をのせさせられる。
「エラスノ万事屋に加入でよろしいですね?」
「はい」
ピリッと手のひらに何か感じた。が、それ以外特になんとも無い……
「私の、名前を呼んでくださいますか?」
「え?クロノさん?」
「はい、そうですね」
私が答えると、クロノさんが嬉しそうに笑った。
「ほーん、奴隷の制約ってほんまに無意識やねんな」
「サヤ、今までクロノさんの事様付けだっんだよ」
「え?あれ?そうでしたっけ?あ、そうかも」
「やったぁ!」
エウディさんが飛びついてきて、態勢を崩しかけた、彼女の甘い香りに、少しどきりとする。
「奴隷の期間が長いほど奴隷の制約は無意識に潜り込みます。……特にあなたは身分差の影響が強かったようだったのでしばらく感情に振られるかもしれません。困った時は頼ってください」
「ありがとう、ございます」
身分の影響?でも、卑屈感は無くなっても劣等感は無くなるとは思えないと皆を見て思った。
カードから手を離して、カードを見る。カードの三段目にエラスノの名前がある。1番上には『セクンダス番』と書かれているが文字はエラスノと違って灰色だった。二段目は空欄だけれど、黄色で塗りつぶされている。
「おま……これ、婚姻中やで」
「え!サヤ婚約者いるの?」
カードを覗いたアルバートさんとリードさんが驚く。私は驚きすぎて、クロノさんを見やった。
「これは重要な結びつきの強い順に記載されています。1番上は……種族や部族の名前ですね。二番目は書き込み保留状態です。三番目が私達との現在の繋がりなので、もし、過去の会社などの社会的な所属が切れていなければ、エラスノより下に現れるはず。ですから、切ることができない種族との繋がりより弱く、社会との繋がりより強い繋がりは婚姻や番という事です」
「でも、そんなの無効だよ!サヤが奴隷になっても迎えに来ないやつなんてか、俺認めない」
リードさんが膨れながら抗議しているけど、認めないも何も、こちらは覚えてもいない。
「それは……どうなるんでしょうか?その人と出会うと書き込まれてしまうとか……?」
「いえ、もう一度誓いを立てなければ書き込めませんよ。それに、他の方と誓うこともできます」
良かった。そんな互いに気まずそうなのは嫌だ。
ほっとすると、アルバートさんが大きな手が頭に触れた。
「これは、あれや。サヤの事大切にしとったやつがおったっちゅう事や。そんな悪ない過去かもしれへんな」
「今は私達が愛でてるんだからいいじゃない」
過去を引きずらないタイプのエウディさんが噛み付いたけど、二人とも気遣ってくれてるのが分かった。何となく察しながら、1番上についても聞いておく。スッキリさせておいた方がいい。
「1番上は……やはり?」
「ええ、残念ですが。灰色なのは、部族として滅びてしまっているという事です。それから、ご両親の名前もありませんので……、すみません」
「いえ、大丈夫です」
帰るところは無い。記憶がなくて、奴隷だったのだから何かに巻き込まれて命乞いしたのかもしれない。滅びた部族の弔い方も、私には分からない。
記憶が無いからか、悲しみはあまり感じなかった。
「さ、て。とりあえずカードできたんだから、カジノ行けるわよ?お仕事もちゃあんとあるわ」
エウディさんが空気を変えるよう手を叩いて、封筒を取り出した。
新月が近づくとアルバートさんの体調は悪くなる。そういえば見る限りタブレットの量も一月の間に増減を繰り返している。ただ、自分が加入した時は新月ではなかったけど、あの時も体調が悪いと言っていたような記憶もある。一概には言えないみたいだけど、概ね月の満ち欠けとタブレット量に相関はあった。
アルバートさんはあれ以来料理の本以外にも、色々な本を貸してくれた。船については専門的すぎて私には向かない物ばかりだったけれど、常識の肥やしにと渡された子供向けの図鑑の様なものや、アルバートさんは教育課程と呼ぶ本は私に合っていた。
以前いた場所は帝都のある所から遠く、帝都での常識から比べるとかなり古い情報しか無かった。
人種総覧に載っていたいくつかの種族なんて、あの町では想像上の生き物扱いだったくらいに。
スープを煮込みながら、ペラペラ本をめくっているとにゅっとカードが差し出された。
「じゃじゃーん!ビロンギングカード!ねえさんが持ってきてくれたよ!」
顔を上げると満面の笑みのリードさん、その後ろからエウディさんがうふふと笑いながら部屋に入ってきた。
「今日はお茶会に来たんじゃないの。流石にクロノも叩き起こさなきゃ、ね?」
「そんなにいつも寝ているわけではありませんよ」
「おはよ、クロノ」
読書用のメガネをかけたままのクロノ様が現れると、エウディさんが自然に彼の首に手を回した。
そう言えば二人のやり取りを目の当たりにするのは初めてだ。エウディさんが抱きついて、首にキスしようとすると「エウディ、くすぐったいです」と言ってクロノ様が優しく押しのけた。
やり取りの自然さが二人の距離の近さを意識させる。
なんだろう。やはり胸のあたりにうっ血感がする。もしかして、心臓に何か問題があるのかも?
「このカードがあれば、サヤを奴隷から解放できます。遅くなってしまい申し訳ありませんでした」
スッとクロノ様がリードさんの持っていたカードを抜き取り微笑んだ。が、それが更に上から抜き取られる。
「なんや、えらい低いグレードのやつやな」
「急ぎって言うから急いだんじゃない。奴隷から解放できるならこれで充分でしょ」
アルバートさんにエウディさんが口を尖らせて抗議した。
「まぁ、せやな」
少し含みがある返事をしながら、アルバートさんはクロノ様にカードを返す。
「すみません、初めて見るものなので状況がよくわかりません」
分からない事は早めに言った方が吉。そう思って、クロノ様に聞くと、周りの皆がぽかんとした顔になった。
「サヤ、ビロンギングカード知らなの?」
「あー、まあ、記憶ないんやったら初めましてかも知れへんなぁ」
「これは所属を暴くカードなのよ」
エウディさんが楽しそうに脅す様に笑んだ。
「暴く……?」
「エウディ……、あまり彼女で遊ばないでください。サヤ、これはビロンギングカードです。自分がどの所属に属しているかを客観的に表し、そして、書き換えを行える物です。カードにはグレードがあり、一番低いものは、あなたの首についているものですよ」
クロノ様がそう言いながら私の首輪を外した。奴隷のタグは主人と本人にしか外せない。最も本人が外せるのは着替え程度の少しの間だけだ。
「奴隷タグは奴隷である事しか分かりませんし、奴隷の主人の変更程度しかできません。しかし、こちらのカードでは、あなたがどこに属しているかを表す事ができます。それに、あなたの所属を書き込む事も」
「更に上のグレードのやと細かい分類、婚姻なんか会社なんかっちゅう分類出るし、自分に所属してる奴も分かんねん」
続いてアルバートさんが説明をしてくれる。作り方が特殊で、作成後数日以内に使用しないとすぐにただの紙になるそうだ。ただし、一度誰かの物になると本人を離れない限り破損はしない物との事。
「外に向かって仕事したり、結婚したりする時には必要なのよ。それ以外にも身分証にもなるわ。あんまり良いグレードだと、見せたくない情報も載っちゃうから、このくらいが使い勝手いいわよ。あたしも何枚か持ってるわ」
私は見逃していない。リードさんはアルバートさんの説明に、へーと関心を持っていた。どうやらビロンギングカード自体は常識のようだけど、グレードやらについては初耳らしい。
説明をされながら、机に座らされ、奴隷のタグと新しいカードを重ねた上に手をのせさせられる。
「エラスノ万事屋に加入でよろしいですね?」
「はい」
ピリッと手のひらに何か感じた。が、それ以外特になんとも無い……
「私の、名前を呼んでくださいますか?」
「え?クロノさん?」
「はい、そうですね」
私が答えると、クロノさんが嬉しそうに笑った。
「ほーん、奴隷の制約ってほんまに無意識やねんな」
「サヤ、今までクロノさんの事様付けだっんだよ」
「え?あれ?そうでしたっけ?あ、そうかも」
「やったぁ!」
エウディさんが飛びついてきて、態勢を崩しかけた、彼女の甘い香りに、少しどきりとする。
「奴隷の期間が長いほど奴隷の制約は無意識に潜り込みます。……特にあなたは身分差の影響が強かったようだったのでしばらく感情に振られるかもしれません。困った時は頼ってください」
「ありがとう、ございます」
身分の影響?でも、卑屈感は無くなっても劣等感は無くなるとは思えないと皆を見て思った。
カードから手を離して、カードを見る。カードの三段目にエラスノの名前がある。1番上には『セクンダス番』と書かれているが文字はエラスノと違って灰色だった。二段目は空欄だけれど、黄色で塗りつぶされている。
「おま……これ、婚姻中やで」
「え!サヤ婚約者いるの?」
カードを覗いたアルバートさんとリードさんが驚く。私は驚きすぎて、クロノさんを見やった。
「これは重要な結びつきの強い順に記載されています。1番上は……種族や部族の名前ですね。二番目は書き込み保留状態です。三番目が私達との現在の繋がりなので、もし、過去の会社などの社会的な所属が切れていなければ、エラスノより下に現れるはず。ですから、切ることができない種族との繋がりより弱く、社会との繋がりより強い繋がりは婚姻や番という事です」
「でも、そんなの無効だよ!サヤが奴隷になっても迎えに来ないやつなんてか、俺認めない」
リードさんが膨れながら抗議しているけど、認めないも何も、こちらは覚えてもいない。
「それは……どうなるんでしょうか?その人と出会うと書き込まれてしまうとか……?」
「いえ、もう一度誓いを立てなければ書き込めませんよ。それに、他の方と誓うこともできます」
良かった。そんな互いに気まずそうなのは嫌だ。
ほっとすると、アルバートさんが大きな手が頭に触れた。
「これは、あれや。サヤの事大切にしとったやつがおったっちゅう事や。そんな悪ない過去かもしれへんな」
「今は私達が愛でてるんだからいいじゃない」
過去を引きずらないタイプのエウディさんが噛み付いたけど、二人とも気遣ってくれてるのが分かった。何となく察しながら、1番上についても聞いておく。スッキリさせておいた方がいい。
「1番上は……やはり?」
「ええ、残念ですが。灰色なのは、部族として滅びてしまっているという事です。それから、ご両親の名前もありませんので……、すみません」
「いえ、大丈夫です」
帰るところは無い。記憶がなくて、奴隷だったのだから何かに巻き込まれて命乞いしたのかもしれない。滅びた部族の弔い方も、私には分からない。
記憶が無いからか、悲しみはあまり感じなかった。
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