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第三章 戦う意志と覚悟
1話 非日常が歩いて来た
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あの開拓から気付いたら2カ月程の月日が経過していた……。
その間何かが変わったのかというと、村が町に変わりフェ―レン領:辺境開拓町クイストに名称が変わり呼び辛くなった位なのと……ぼくが定期的にダートと一緒に町に出るようになった位だと思う。
「でなぁ?うちは言うたんよー、そしたらなー?」
「コーちゃん、またその話?何度も聞いてるから飽きたよー」
「そうねぇ……そういう同じ会話を続けるのは私みたいなおばちゃんでいいのよぉ?」
「ってそれだとうちがもうおばちゃんみたいやんっ!まだ25歳だしっ!若いんよ!?」
しかし何故、町に出たのは良いのだけれどコルクの家で女子会とやらに巻き込まれているのだろう。
そこに男が一人いるっていうのは正直気まずいのだけど……ダートから出来れば今日は皆の集まりに一参加して欲しいと言われた手前、この前の事もあるし傍にいた方が良いと判断してしまったぼくの判断ミスもある。
「ところでさレースってまた魔術の練習をしてるの?」
「してるけど……結構難しくてさ」
この二か月間練習をして来て、魔術という現象にはなったけれど、実戦で使えると言ったら無理だろう。
魔力の消費が激し過ぎて到底使えた物ではない。
「そうなのぉ?先生が魔術をねぇ……」
「そうなのマローネおばさま、戦えるようになって何かをしたいみたいで……」
「もしかしたら、ダーを守る為の力が欲しいって事かもしれんよ?……お前は俺が守るっ!って感じで力を付けようとしてるのかも?いやぁダーは愛されててえぇなぁっ!こんな所でそんな惚気を見せてくれるなんて恥ずかしいわぁっ!」
「えっ……あの、レースそうなの?」
コルクがぼくの眼を見ながらいい加減白状しろよと言いたげな雰囲気を出しながら悪乗りをしてくる。
確かにその通りだけど、それをダートの前でいうのは違うと思うからぼくは黙って何も言わない。
……ここ最近町に出る事が増えて以降色んな人と話す事が増えたのだけれど、時には黙って何も語らないというのもコミュニケーションの一部だという事を理解した。
「……黙ってたら認めるようなもんよ?まぁここは喋ってもレースだと墓穴を掘るだけだからどっちも同じやけどねー」
「あなたの事は私が守るけど……、誰かにそうやって守られた事が無いから嬉しいよ……?」
「あらぁ……青春ねぇ」
ダートが顔を赤くして俯いて何かを言っているけど、どうせコルクの口車に乗せられているだけだと思うから暫くしたら落ち着く筈だ
けど服屋のおばさん……確かマローネと言う名前だった気がするけど今迄名前で呼ぶ気が無かったから覚えていないけど、確かダートがマローネと言っていた気がするからそれで合っていると思う。
ただここの雰囲気は居心地が悪く感じる……外の空気を吸いに行きたい。
「……ごめん、用事を思い出したから少しだけ外に出るね」
「あっ、ダーっ!レースが逃げたっ!」
「多分、慣れない雰囲気に疲れちゃったのかも?暫く一人にさせてあげよ?」
そういうとぼくは立ち上がり、コルクの家を出て町を一人で出歩く事にした。
ダートが理解してくれたのは嬉しいけど逃げたと言われると何かに負けた気がする……。
けど既に町に出てしまった以上は直ぐに戻る訳には行かないだろう。
「けどどこに行けばいいかな……」
そう思い辺りを見渡すけど知り合いはいないし一人で行くような場所もないしどうしたものかと内心頭を抱える。
これは一人で出たのは失敗だったのかもしれない。
「…ん?」
取り合えず適当に外を歩いていると、普段着ている白いローブのポケットの中からアキから渡された端末から振動がする。
渡されてから、いつ連絡が来ても良いように常に持ち歩くようにしているけど反応があったのは初めてだ。
確か近くにいる栄花騎士団最高幹部と連絡が取れるらしいけど誰からだろう。
取り合えず使い方は以前コルクから教えて貰ってるから使って見よう。
『……貴様がアキが言っていたレースか?今どこにい……』
端末から氷のように冷え切った男性の声が聞こえてくる。
思わず通信を切ってしまったけど大丈夫だろうか……暫くして再び振動がしたから今度こそちゃんと返事をしようと応答ボタンを押してみる。
『貴様……』
「先程はすいません、声に驚いて落としたら通信が切れてしまって……」
『そうか、それならいい……再び聞くが何処に居る?貴様の家に行ったが誰もいないのだが……』
「あっ……」
ぼくとダートはこうやって町に出てきている以上あの家は無人だ。
その状態で来ても誰もいないのは当然だし、来るなら来るでこういう便利な物が栄花にはあるのだから予め連絡をくれても良いのではないかと思う。
「すいません……今町に出てまして……」
『……そうか、それならそこから動くな端末の識別信号を頼りに飛ぶ』
「え……?」
『アキから聞いていないのか?我々が使う端末は個別の信号を出しているから、幹部の私達はいつでもそこから相手の場所を見つける事が出来るという事を』
彼はそういうと通信を切ってしまったのか何も聞こえなくなる。
ここで待ってろと言われても……こんな路上の真ん中で立っているのは周りの邪魔になる気がして気を使ってしまう。
「……貴様がレースだな?」
「えっ!?」
数分もせずに後ろから名前を呼ばれて驚き勢いよく後ろを振り向くと、背中から氷の翼を生やした透き通るようなアイスブルーの髪を背中まで伸ばし、氷の結晶の髪飾りを付けた青い眼が冷たい雰囲気でぼくの事を見つめていた……。
声を聴かなければ女性と見間違えるようなその見た目に思わず声を失うが、それ以上に背中に生えていた翼を一瞬にして魔力に戻して分散させると何処から取り出したのかミルクの入った紅茶を取り出し、一瞬にして氷で作った椅子に座り優雅に飲みだす。
「……何してるんですか?」
「見て分かるだろう?私はミルクティーを今ここで楽しんでいる」
……周りの目線がぼく達に注がれる中で起きるこの異様な光景に逃げ出したくなる。
けどこの人はアキが紹介してくれた例の氷の魔術を使う人だと思うし、来てもらった以上は失礼な態度を取る訳にはいかない。
あぁ、ぼくの中では優しく教えてくれてぼくの落ち着いた日常を守ってくれる人が来ると思っていたのにこれはもう目に見えてトラブルの気配しかしなくて、また非日常が歩いてやって来たのだと嫌でも理解させられるのだった。
その間何かが変わったのかというと、村が町に変わりフェ―レン領:辺境開拓町クイストに名称が変わり呼び辛くなった位なのと……ぼくが定期的にダートと一緒に町に出るようになった位だと思う。
「でなぁ?うちは言うたんよー、そしたらなー?」
「コーちゃん、またその話?何度も聞いてるから飽きたよー」
「そうねぇ……そういう同じ会話を続けるのは私みたいなおばちゃんでいいのよぉ?」
「ってそれだとうちがもうおばちゃんみたいやんっ!まだ25歳だしっ!若いんよ!?」
しかし何故、町に出たのは良いのだけれどコルクの家で女子会とやらに巻き込まれているのだろう。
そこに男が一人いるっていうのは正直気まずいのだけど……ダートから出来れば今日は皆の集まりに一参加して欲しいと言われた手前、この前の事もあるし傍にいた方が良いと判断してしまったぼくの判断ミスもある。
「ところでさレースってまた魔術の練習をしてるの?」
「してるけど……結構難しくてさ」
この二か月間練習をして来て、魔術という現象にはなったけれど、実戦で使えると言ったら無理だろう。
魔力の消費が激し過ぎて到底使えた物ではない。
「そうなのぉ?先生が魔術をねぇ……」
「そうなのマローネおばさま、戦えるようになって何かをしたいみたいで……」
「もしかしたら、ダーを守る為の力が欲しいって事かもしれんよ?……お前は俺が守るっ!って感じで力を付けようとしてるのかも?いやぁダーは愛されててえぇなぁっ!こんな所でそんな惚気を見せてくれるなんて恥ずかしいわぁっ!」
「えっ……あの、レースそうなの?」
コルクがぼくの眼を見ながらいい加減白状しろよと言いたげな雰囲気を出しながら悪乗りをしてくる。
確かにその通りだけど、それをダートの前でいうのは違うと思うからぼくは黙って何も言わない。
……ここ最近町に出る事が増えて以降色んな人と話す事が増えたのだけれど、時には黙って何も語らないというのもコミュニケーションの一部だという事を理解した。
「……黙ってたら認めるようなもんよ?まぁここは喋ってもレースだと墓穴を掘るだけだからどっちも同じやけどねー」
「あなたの事は私が守るけど……、誰かにそうやって守られた事が無いから嬉しいよ……?」
「あらぁ……青春ねぇ」
ダートが顔を赤くして俯いて何かを言っているけど、どうせコルクの口車に乗せられているだけだと思うから暫くしたら落ち着く筈だ
けど服屋のおばさん……確かマローネと言う名前だった気がするけど今迄名前で呼ぶ気が無かったから覚えていないけど、確かダートがマローネと言っていた気がするからそれで合っていると思う。
ただここの雰囲気は居心地が悪く感じる……外の空気を吸いに行きたい。
「……ごめん、用事を思い出したから少しだけ外に出るね」
「あっ、ダーっ!レースが逃げたっ!」
「多分、慣れない雰囲気に疲れちゃったのかも?暫く一人にさせてあげよ?」
そういうとぼくは立ち上がり、コルクの家を出て町を一人で出歩く事にした。
ダートが理解してくれたのは嬉しいけど逃げたと言われると何かに負けた気がする……。
けど既に町に出てしまった以上は直ぐに戻る訳には行かないだろう。
「けどどこに行けばいいかな……」
そう思い辺りを見渡すけど知り合いはいないし一人で行くような場所もないしどうしたものかと内心頭を抱える。
これは一人で出たのは失敗だったのかもしれない。
「…ん?」
取り合えず適当に外を歩いていると、普段着ている白いローブのポケットの中からアキから渡された端末から振動がする。
渡されてから、いつ連絡が来ても良いように常に持ち歩くようにしているけど反応があったのは初めてだ。
確か近くにいる栄花騎士団最高幹部と連絡が取れるらしいけど誰からだろう。
取り合えず使い方は以前コルクから教えて貰ってるから使って見よう。
『……貴様がアキが言っていたレースか?今どこにい……』
端末から氷のように冷え切った男性の声が聞こえてくる。
思わず通信を切ってしまったけど大丈夫だろうか……暫くして再び振動がしたから今度こそちゃんと返事をしようと応答ボタンを押してみる。
『貴様……』
「先程はすいません、声に驚いて落としたら通信が切れてしまって……」
『そうか、それならいい……再び聞くが何処に居る?貴様の家に行ったが誰もいないのだが……』
「あっ……」
ぼくとダートはこうやって町に出てきている以上あの家は無人だ。
その状態で来ても誰もいないのは当然だし、来るなら来るでこういう便利な物が栄花にはあるのだから予め連絡をくれても良いのではないかと思う。
「すいません……今町に出てまして……」
『……そうか、それならそこから動くな端末の識別信号を頼りに飛ぶ』
「え……?」
『アキから聞いていないのか?我々が使う端末は個別の信号を出しているから、幹部の私達はいつでもそこから相手の場所を見つける事が出来るという事を』
彼はそういうと通信を切ってしまったのか何も聞こえなくなる。
ここで待ってろと言われても……こんな路上の真ん中で立っているのは周りの邪魔になる気がして気を使ってしまう。
「……貴様がレースだな?」
「えっ!?」
数分もせずに後ろから名前を呼ばれて驚き勢いよく後ろを振り向くと、背中から氷の翼を生やした透き通るようなアイスブルーの髪を背中まで伸ばし、氷の結晶の髪飾りを付けた青い眼が冷たい雰囲気でぼくの事を見つめていた……。
声を聴かなければ女性と見間違えるようなその見た目に思わず声を失うが、それ以上に背中に生えていた翼を一瞬にして魔力に戻して分散させると何処から取り出したのかミルクの入った紅茶を取り出し、一瞬にして氷で作った椅子に座り優雅に飲みだす。
「……何してるんですか?」
「見て分かるだろう?私はミルクティーを今ここで楽しんでいる」
……周りの目線がぼく達に注がれる中で起きるこの異様な光景に逃げ出したくなる。
けどこの人はアキが紹介してくれた例の氷の魔術を使う人だと思うし、来てもらった以上は失礼な態度を取る訳にはいかない。
あぁ、ぼくの中では優しく教えてくれてぼくの落ち着いた日常を守ってくれる人が来ると思っていたのにこれはもう目に見えてトラブルの気配しかしなくて、また非日常が歩いてやって来たのだと嫌でも理解させられるのだった。
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