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重い身体を起こして、僕は着替える。
とわさんは今日は授業がないらしく、もう少し寝てから大学へ行くらしい。
(……一緒に行きたかったなぁ、なんて)
「一緒に行きたいです」なんてワガママを言いたかったけど、
とわさんも疲れているだろうと思って、僕はひとりで家を出た。
それからの一ヶ月は、よく言えば平凡で、幸せな毎日だった。
週に一度はとわさんの家に泊まり、少しずつ愛情を深めていった。
もちろん、ピアノにも向き合う時間を増やして、
少しでもとわさんに追いつけるように頑張った。
ある日―――
ピコン、とスマホが鳴る。
だいきからだ。
【りさがモニター前のテーブル集合って言ってるから来てくんねー?今すぐ!!!】
唐突な召集に、僕は首を傾げながらも指定された場所へ向かった。
りさちゃんは僕の姿が見えると、すぐに大きく手を振り始める。
「ひなたくーん!!早く早く!!」
僕は駆け足でテーブルへ向かった。
「2人とも~今日は集まってくれてありがとう!
……重大な発表があってお呼びしました!」
そう言って、りさちゃんはスマホを操作し、画面を上にしてテーブルに置く。
そこには、
【チケットをご用意できました】
と表示されていた。
「えっ、これって……」
「そう!kai様のチケット当たったの!3人分!」
「うわー!俺の5000円が飛ぶの確定かよ!!」
だいきが頭を抱えて嘆く。
そんなだいきを置いて、りさちゃんは続けた。
「やっとkai様を生で見られるのね……!
あー楽しみ!何を演奏するんだろう~」
盛り上がっていると、後ろから肩をポンポンと叩かれる。
「……あれ?とわさん!?」
「ひなたの声がしたから来てみたよ。何してるの?」
「あっ、とわ先輩こんにちは」
「だいきくん、だっけ?こんにちは。いつもひなたをありがとうね」
「その子は……?」
とわさんがりさちゃんの方を見る。
「初めまして!
声楽科の富山(とみやま)りさと言います!
だいきくんとお付き合いさせていただいてます!」
「りささん、はじめまして。よろしくね。
……ところで、さっき“当たった”って言ってたけど、何が当たったの?」
「えっと、kaiさま……kaiさんのピアノコンサートのチケットが当たって、
今度3人で行くんです!!」
目をキラキラさせるりさちゃんとは対照的に、
とわさんはなぜか少し暗い表情をしていた。
(あれ……とわさん、どうしたんだろう……)
「とわさん、どうしたの?」
不安になって声をかける。
「……ん?あぁ、大丈夫だよ。ごめんね。
僕もそのコンサートに行く予定だから、奇遇だなって思って」
「えっ、とわ先輩も当たったんですか!?
良かったら一緒に行きましょうよ~!
ひなたくんもいるんだし!」
「そう、だな。
ひなたがいるなら、一緒に行こうかな」
「ぜひぜひ!!
とわ先輩もkaiさんに興味あるんですね!!」
「……まぁ、勉強のため、かな」
りさちゃんのマシンガントークに、とわさんはたじたじだった。
(でも……
なんであんな不安そうな顔してたんだろう……)
その表情が気になって、
僕の胸に小さな不安が残った。
とわさんは今日は授業がないらしく、もう少し寝てから大学へ行くらしい。
(……一緒に行きたかったなぁ、なんて)
「一緒に行きたいです」なんてワガママを言いたかったけど、
とわさんも疲れているだろうと思って、僕はひとりで家を出た。
それからの一ヶ月は、よく言えば平凡で、幸せな毎日だった。
週に一度はとわさんの家に泊まり、少しずつ愛情を深めていった。
もちろん、ピアノにも向き合う時間を増やして、
少しでもとわさんに追いつけるように頑張った。
ある日―――
ピコン、とスマホが鳴る。
だいきからだ。
【りさがモニター前のテーブル集合って言ってるから来てくんねー?今すぐ!!!】
唐突な召集に、僕は首を傾げながらも指定された場所へ向かった。
りさちゃんは僕の姿が見えると、すぐに大きく手を振り始める。
「ひなたくーん!!早く早く!!」
僕は駆け足でテーブルへ向かった。
「2人とも~今日は集まってくれてありがとう!
……重大な発表があってお呼びしました!」
そう言って、りさちゃんはスマホを操作し、画面を上にしてテーブルに置く。
そこには、
【チケットをご用意できました】
と表示されていた。
「えっ、これって……」
「そう!kai様のチケット当たったの!3人分!」
「うわー!俺の5000円が飛ぶの確定かよ!!」
だいきが頭を抱えて嘆く。
そんなだいきを置いて、りさちゃんは続けた。
「やっとkai様を生で見られるのね……!
あー楽しみ!何を演奏するんだろう~」
盛り上がっていると、後ろから肩をポンポンと叩かれる。
「……あれ?とわさん!?」
「ひなたの声がしたから来てみたよ。何してるの?」
「あっ、とわ先輩こんにちは」
「だいきくん、だっけ?こんにちは。いつもひなたをありがとうね」
「その子は……?」
とわさんがりさちゃんの方を見る。
「初めまして!
声楽科の富山(とみやま)りさと言います!
だいきくんとお付き合いさせていただいてます!」
「りささん、はじめまして。よろしくね。
……ところで、さっき“当たった”って言ってたけど、何が当たったの?」
「えっと、kaiさま……kaiさんのピアノコンサートのチケットが当たって、
今度3人で行くんです!!」
目をキラキラさせるりさちゃんとは対照的に、
とわさんはなぜか少し暗い表情をしていた。
(あれ……とわさん、どうしたんだろう……)
「とわさん、どうしたの?」
不安になって声をかける。
「……ん?あぁ、大丈夫だよ。ごめんね。
僕もそのコンサートに行く予定だから、奇遇だなって思って」
「えっ、とわ先輩も当たったんですか!?
良かったら一緒に行きましょうよ~!
ひなたくんもいるんだし!」
「そう、だな。
ひなたがいるなら、一緒に行こうかな」
「ぜひぜひ!!
とわ先輩もkaiさんに興味あるんですね!!」
「……まぁ、勉強のため、かな」
りさちゃんのマシンガントークに、とわさんはたじたじだった。
(でも……
なんであんな不安そうな顔してたんだろう……)
その表情が気になって、
僕の胸に小さな不安が残った。
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