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第46話 10点満点
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領民のすべきことは何も変わらないけれど、廃棄される魔石の今後を変えるのに時間はかかる。
「なんて面倒なお役所仕事なのかしらね」
大量の魔石は大きなビガー商会の倉庫を3つも埋め尽くしていた。
1つの木箱にはもう使われる事の無い魔石が200kg入っている。
アルベルティナは無理を承知でクラークに民間の伝手を使い、交戦中の国の商人に渡りをつけて貰った。
儲かる匂いには敏感な商人はフットワークが軽い。
国境線には領民たちが交易をするために安全地帯が設けられていて、アルベルティナはタイタンと一緒にクラークに案内をされて国土全土が砂地の国、すぐ向こうの地帯では剣を交えている国の商人に品の売り込みを行うためにクラークの倉庫にやってきた。
フン!腰に手を当てたアルベルティナはタイタンに下ろしてもらった木箱にドン!!片足を乗せた。
「彼らをアっと驚かせてやるわ」
意気込んだアルベルティナは先代辺境伯夫妻と話をつけてライラが領地に戻った翌日はタイタンに手伝って貰って彼らに手土産として手渡す魔石の粉を袋詰めした。
そのまま使用できるように濃度を変え、小分けした袋は5つ。
効果を薄めた粉には今回だけ魔力を流した。
いずれは魔石の粉にトロナ鉱石を粉砕し顆粒とするまで挽いたものを混ぜる予定だが、今はトロナ鉱石が届いていないので応急処置でもある。
「1つに入れて、好きなだけ使ってくれ、で良いんじゃないのか?」
「ダメよ。ドバーっと撒いてしまったら花咲か爺が狂喜乱舞になっちゃうじゃない」
「なんだそりゃ?」
「だからぁ。あの成長スピード見たでしょう?面白がって撒いてしまったら収穫する前に腐っちゃうでしょうに」
「それもそうか」
「全く…何のための肥料なのか解らないでしょ‥‥って。ん?んんん?」
「どうした?」
アルベルティナはフム、と考えタイタンの言葉にヒントを得て5つの濃度を変えた小袋の他にもう1つ超高濃度にした魔石の粉を詰めた。
これらは来てくれる商人に見本として渡すものだが、目の前で効果を見せる目的がある。
前日になって5つから6つになった小袋。
「これをどうするんだ?」
「最初に渡そうと思ったお試しの袋。3つ目までは直ぐに効果は見られないの。4つ目で ”あれ?” って感じでゆっくり見えて、5つ目の袋なら…10分ほどでつぼみに花が咲くわ。でもほら、世の中にはいるじゃない」
「何がいるというんだ?」
「せっかちさんよ。それから…面倒くさがり屋さん♡」
6つ目の袋を手にプラプラさせて小さなスプーンで1掻きとる。
それをすっかり枯れてしまった草に振りかけた。
「うぉ!!」
タイタンが驚くのも無理はない。
葉の色も茶色だったのに青々とした色になりシャキッとなった草はあっという間にクテってとなって茶色になるだけでなく、虫食いのような穴がどんどん広がって20秒もしないうちに土に還った。
「一番最初、魔石の粉を大量に巻いたでしょう?」
「あぁ、あの時な」
「高速で芽が出て膨らんで~花が咲いて実がなって~ポロっと落ちて腐ったでしょう?」
「そうだったな」
「あれは加減ってものを私がしなかったの。ドバーっと撒いたし。でもあの量が毎回となると大変だし、別に忘れていた学園の長期休暇の最終日に植物観察の自由研究をしなきゃいけないわけでもない。オォケイ?」
「あ、あぁ…オ。OKだ」
アルベルティナはタイタンを軸にして周囲をゆっくり1周。
「この量をギュッと凝縮したのがこの6つ目の袋。ちょっと撒くだけで驚く成長スピードを目の当たりにするわ。で、作物を育てるための肥料もだけど…枯らせたいってのもあると思わなぁい?」
「そうだな。草むしりとかしたくない時には便利だよな」
「ノンノンノーン!!草むしり用じゃないの。これはびっしりと生えてしまった俗にいう雑草地帯を畑にするのに使うのよ。撒くだけで枯れて土に還ってくれる。草を毟る手間も、毟った草を処分する手間も省ける!名付けて!」
「な、名付けて?」
アルベルティナは木箱の上に飛び乗った。
「草ってナンボ。どう?!」
「い、い、良いんじゃないかな」
正直言ってタイタンはネーミングセンスはどうかな?と思ったが、結果として植物を育てる肥料の中に、腐らせるを商品化するアルベルティナの閃きには素直に感心した。
「姫、お手を」
「え?お手?・・・・・ワン?」
「違うっ!木箱から飛び降りて足を挫いたらどうするんだ」
「あ、あぁ、そっちのお手」
タイタンの手にポンと手を乗せようとしたアルベルティナだったが、木箱の上で端に立ってしまい、木箱の片側が浮いてバランスを崩してしまった。
お約束のようにタイタンが抱きしめ・・・・・られれば良かったのだか…。
「とぅ!!」
クルッ。スタッ。
「どうかしら?10点満点?」
側転状態で無事に着地を決めたアルベルティナにタイタンは判定を求められたのだった。
「なんて面倒なお役所仕事なのかしらね」
大量の魔石は大きなビガー商会の倉庫を3つも埋め尽くしていた。
1つの木箱にはもう使われる事の無い魔石が200kg入っている。
アルベルティナは無理を承知でクラークに民間の伝手を使い、交戦中の国の商人に渡りをつけて貰った。
儲かる匂いには敏感な商人はフットワークが軽い。
国境線には領民たちが交易をするために安全地帯が設けられていて、アルベルティナはタイタンと一緒にクラークに案内をされて国土全土が砂地の国、すぐ向こうの地帯では剣を交えている国の商人に品の売り込みを行うためにクラークの倉庫にやってきた。
フン!腰に手を当てたアルベルティナはタイタンに下ろしてもらった木箱にドン!!片足を乗せた。
「彼らをアっと驚かせてやるわ」
意気込んだアルベルティナは先代辺境伯夫妻と話をつけてライラが領地に戻った翌日はタイタンに手伝って貰って彼らに手土産として手渡す魔石の粉を袋詰めした。
そのまま使用できるように濃度を変え、小分けした袋は5つ。
効果を薄めた粉には今回だけ魔力を流した。
いずれは魔石の粉にトロナ鉱石を粉砕し顆粒とするまで挽いたものを混ぜる予定だが、今はトロナ鉱石が届いていないので応急処置でもある。
「1つに入れて、好きなだけ使ってくれ、で良いんじゃないのか?」
「ダメよ。ドバーっと撒いてしまったら花咲か爺が狂喜乱舞になっちゃうじゃない」
「なんだそりゃ?」
「だからぁ。あの成長スピード見たでしょう?面白がって撒いてしまったら収穫する前に腐っちゃうでしょうに」
「それもそうか」
「全く…何のための肥料なのか解らないでしょ‥‥って。ん?んんん?」
「どうした?」
アルベルティナはフム、と考えタイタンの言葉にヒントを得て5つの濃度を変えた小袋の他にもう1つ超高濃度にした魔石の粉を詰めた。
これらは来てくれる商人に見本として渡すものだが、目の前で効果を見せる目的がある。
前日になって5つから6つになった小袋。
「これをどうするんだ?」
「最初に渡そうと思ったお試しの袋。3つ目までは直ぐに効果は見られないの。4つ目で ”あれ?” って感じでゆっくり見えて、5つ目の袋なら…10分ほどでつぼみに花が咲くわ。でもほら、世の中にはいるじゃない」
「何がいるというんだ?」
「せっかちさんよ。それから…面倒くさがり屋さん♡」
6つ目の袋を手にプラプラさせて小さなスプーンで1掻きとる。
それをすっかり枯れてしまった草に振りかけた。
「うぉ!!」
タイタンが驚くのも無理はない。
葉の色も茶色だったのに青々とした色になりシャキッとなった草はあっという間にクテってとなって茶色になるだけでなく、虫食いのような穴がどんどん広がって20秒もしないうちに土に還った。
「一番最初、魔石の粉を大量に巻いたでしょう?」
「あぁ、あの時な」
「高速で芽が出て膨らんで~花が咲いて実がなって~ポロっと落ちて腐ったでしょう?」
「そうだったな」
「あれは加減ってものを私がしなかったの。ドバーっと撒いたし。でもあの量が毎回となると大変だし、別に忘れていた学園の長期休暇の最終日に植物観察の自由研究をしなきゃいけないわけでもない。オォケイ?」
「あ、あぁ…オ。OKだ」
アルベルティナはタイタンを軸にして周囲をゆっくり1周。
「この量をギュッと凝縮したのがこの6つ目の袋。ちょっと撒くだけで驚く成長スピードを目の当たりにするわ。で、作物を育てるための肥料もだけど…枯らせたいってのもあると思わなぁい?」
「そうだな。草むしりとかしたくない時には便利だよな」
「ノンノンノーン!!草むしり用じゃないの。これはびっしりと生えてしまった俗にいう雑草地帯を畑にするのに使うのよ。撒くだけで枯れて土に還ってくれる。草を毟る手間も、毟った草を処分する手間も省ける!名付けて!」
「な、名付けて?」
アルベルティナは木箱の上に飛び乗った。
「草ってナンボ。どう?!」
「い、い、良いんじゃないかな」
正直言ってタイタンはネーミングセンスはどうかな?と思ったが、結果として植物を育てる肥料の中に、腐らせるを商品化するアルベルティナの閃きには素直に感心した。
「姫、お手を」
「え?お手?・・・・・ワン?」
「違うっ!木箱から飛び降りて足を挫いたらどうするんだ」
「あ、あぁ、そっちのお手」
タイタンの手にポンと手を乗せようとしたアルベルティナだったが、木箱の上で端に立ってしまい、木箱の片側が浮いてバランスを崩してしまった。
お約束のようにタイタンが抱きしめ・・・・・られれば良かったのだか…。
「とぅ!!」
クルッ。スタッ。
「どうかしら?10点満点?」
側転状態で無事に着地を決めたアルベルティナにタイタンは判定を求められたのだった。
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