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第11話 ゴミの処分場ですか?
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使者は「あれです」とケーニス家の使用人たちが急いで作り上げた荷物の数々を指さした。
「ブランシル辺境伯家をゴミの処分場と間違っているんだと思いますよ」
荷物を運んできた使用人たちは「なっ!!」何かを言いたそうにしていたが、急いで詰めた事もあってトランクの蓋の隙間から衣類がはみ出していた。
「試しに1つ。任意で開けてみては?事前に用意していた物かなんて一目で解ると思いますよ」
アルベルティナの言葉にケーニス伯爵家の使用人は俯くか顔を逸らせた。その様子を見て使者は「確認するまでもありませんね」と馬車の屋根に荷物を載せようと梯子を持ってきた従者を不要と手で制した。
「では家鴨様を乗せましょうかね」
「お手数をお掛けしますわ」
使者は2羽の家鴨を丁寧に抱えると馬車の中に入れた。
馬車に乗り込んだアルベルティナに使者は「扉を閉めても?」と問う。
アルベルティナは「参りましょう」と小窓を見もせずに前を向いて返事をした。
馬車が動き出すと、ケーニス伯爵夫人は伯爵が掴んだ腕を大きく振り払ってギッと伯爵を睨んだ。
「あの子のワンピース!あれは何なの!」
「聞きたいのはこっちだ!何故見える場所に傷が残るような殴り方をしたんだッ!」
「傷?傷ですって?何処にそんなものがあったのよ!」
「見える範囲全部だ!顔こそなかったが肩口なんか酷いものだっただろうが」
「そんなものなかったわ!」
食い違う2人、そしてエミリアとソフィアは摩訶不思議なものを見たと遅れてその場にやって来た着替えをさせた使用人の姿を見るや否や使用人に詰め寄った。
「どうしてあんな服にしたんだ!傷が丸見えじゃないか!」
「渡した服じゃないわ。何処にあんな服があったの!私に黙って買ってやったのね?卑しい生まれでも娘なのよ?若い女に貢いでばかりいるから区別もつかなくなったんじゃないの?恥ずかしくないの?」
魔力が僅かでもあるケーニス伯爵とエミリアには傷が丸見えの型遅れで、夫人がこれを着せろと命じた服であることは疑う余地もなかったが、魔力のない夫人やソフィア、使用人たちには豪奢な装いにしか見えていない。
使用人に殴りかかった夫人だが、執事の言葉に全員が動きを止めた。
「旦那様、奥様、あの女…もしかするととてつもない魔力持ちなのでは?」
<< は? >>
ケーニス伯爵は執事の言葉にハッとした。
自分が見えていた物と夫人たちが見えていた物がまるで違うのなら夫人の怒りは尤もだ。
王宮にも幻影を使う魔導師はいるが、水晶など小道具を使い長々と詠唱を唱えるものばかり。歩きながら、喋りながらと何かをしながら発現させた魔力を維持できる者は見たことが無かった。
――馬鹿な。そんな馬鹿な――
アルベルティナが摩訶不思議な力を持つオッドアイであることはケーニス伯爵がよく判っていたけれど、感情が大きく振れた時に発現するのであって、馬車に乗り込んだアルベルティナの瞳は昔玩具にした女性使用人の瞳の色だった。
力のある魔導師に師事させたことも無く、自分で制御法であったり、自由自在に魔力を使えるはずがない。「そうだ、使えるはずがないのだ」と自分自身に言い聞かせるが、同時に「だったらどうして妻やソフィアは…」沸き上がる疑問に自分自身が納得できる答えを導くことは出来なかった。
「ブランシル辺境伯家をゴミの処分場と間違っているんだと思いますよ」
荷物を運んできた使用人たちは「なっ!!」何かを言いたそうにしていたが、急いで詰めた事もあってトランクの蓋の隙間から衣類がはみ出していた。
「試しに1つ。任意で開けてみては?事前に用意していた物かなんて一目で解ると思いますよ」
アルベルティナの言葉にケーニス伯爵家の使用人は俯くか顔を逸らせた。その様子を見て使者は「確認するまでもありませんね」と馬車の屋根に荷物を載せようと梯子を持ってきた従者を不要と手で制した。
「では家鴨様を乗せましょうかね」
「お手数をお掛けしますわ」
使者は2羽の家鴨を丁寧に抱えると馬車の中に入れた。
馬車に乗り込んだアルベルティナに使者は「扉を閉めても?」と問う。
アルベルティナは「参りましょう」と小窓を見もせずに前を向いて返事をした。
馬車が動き出すと、ケーニス伯爵夫人は伯爵が掴んだ腕を大きく振り払ってギッと伯爵を睨んだ。
「あの子のワンピース!あれは何なの!」
「聞きたいのはこっちだ!何故見える場所に傷が残るような殴り方をしたんだッ!」
「傷?傷ですって?何処にそんなものがあったのよ!」
「見える範囲全部だ!顔こそなかったが肩口なんか酷いものだっただろうが」
「そんなものなかったわ!」
食い違う2人、そしてエミリアとソフィアは摩訶不思議なものを見たと遅れてその場にやって来た着替えをさせた使用人の姿を見るや否や使用人に詰め寄った。
「どうしてあんな服にしたんだ!傷が丸見えじゃないか!」
「渡した服じゃないわ。何処にあんな服があったの!私に黙って買ってやったのね?卑しい生まれでも娘なのよ?若い女に貢いでばかりいるから区別もつかなくなったんじゃないの?恥ずかしくないの?」
魔力が僅かでもあるケーニス伯爵とエミリアには傷が丸見えの型遅れで、夫人がこれを着せろと命じた服であることは疑う余地もなかったが、魔力のない夫人やソフィア、使用人たちには豪奢な装いにしか見えていない。
使用人に殴りかかった夫人だが、執事の言葉に全員が動きを止めた。
「旦那様、奥様、あの女…もしかするととてつもない魔力持ちなのでは?」
<< は? >>
ケーニス伯爵は執事の言葉にハッとした。
自分が見えていた物と夫人たちが見えていた物がまるで違うのなら夫人の怒りは尤もだ。
王宮にも幻影を使う魔導師はいるが、水晶など小道具を使い長々と詠唱を唱えるものばかり。歩きながら、喋りながらと何かをしながら発現させた魔力を維持できる者は見たことが無かった。
――馬鹿な。そんな馬鹿な――
アルベルティナが摩訶不思議な力を持つオッドアイであることはケーニス伯爵がよく判っていたけれど、感情が大きく振れた時に発現するのであって、馬車に乗り込んだアルベルティナの瞳は昔玩具にした女性使用人の瞳の色だった。
力のある魔導師に師事させたことも無く、自分で制御法であったり、自由自在に魔力を使えるはずがない。「そうだ、使えるはずがないのだ」と自分自身に言い聞かせるが、同時に「だったらどうして妻やソフィアは…」沸き上がる疑問に自分自身が納得できる答えを導くことは出来なかった。
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