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飛燕の間
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城に到着したロレンツィオは国王付きの従者を見つけるとお互いが頷きあって廊下を並んで歩く。
「陛下は飛燕の間にて」
「ハンザの2侯爵の件だろうか」
従者は静かに頷く。
国王の使う諜報部隊とロレンツィオの部下の諜報員は表立った関係性はないが2割ほどは同じ対象を監視する事がある。お互いもたらされた情報を精査し突き合わせてかの戦争を乗り切った。
国王の知る情報の大半をロレンツィオが知らぬはずがないのである。
国王フィオランツは弟の様にロレンツィオを可愛がっているが、実のところは敵に回せばこれほどに面倒な男はいないと主従関係はあるものの、権力と言う部分では一線を引いている。
どちらかと言えば、ロレンツィオの兄2人の方が懐柔しやすい。公爵家の子息であるから3人ともそれなりの教育は受けていて権力と言うものにはチャンスさえあれば狙うのは当然である。
しかしロレンツィオは国家転覆や覇権を握ろうという気持ちは全くない。むしろそんなものは何処かの誰かがやればいいし、それをフィオランツがやりたいのであれば手を尽くしたいと思っている。
武功を挙げてどんどん軍部での役職は上がっていくが、何度か褒賞で降格させてほしいと言った事もある。それほどに責任ある立場は面倒で堪らないのである。
だが、確かな腕と強い責任感と使命感を持ち合わせたロレンツィオは前代未聞の欠陥品だと言われた事があった。後継者となる子を作ろうとしないし、何より子を作る相手、妻を娶らない。
そんな女性に全く興味のなかった男が初めて欲しいと願い出た女性の父が刺客により命を落とした。
エイレル侯爵は旧ハンザ王国の大臣の一人だった。独裁的な国王は一切の苦言を認めず反論する者は見せしめに当事者ではなくその家族や親戚を処刑した。
そして何食わぬ顔で「君には期待をしているよ?あまり親族を減らすのはどうかと思うがね」と肩を叩くのである。家族が人質に取られている状態では反旗を上げようにも上げられなかった。
ようようと言う状態になってからではあるが、特にこれと言った権力もない国有林を管理する森林大臣のエイレル侯爵は全ての責は自分が負うと有志を募り、国王に戦争終結となる勧告の受け入れを認めさせた。
偶然が重なったのか、必然だったのか。エイレル侯爵の娘はギスティール王国へ献上された。
それをロレンツィオが一生のお願いだと望んだ。おそらくはロレンツィオの唯一である女性の父の死をどうやって伝え、後始末をどうするかフィオランツは頭を抱える。
飛燕の間の扉が開き、国王フィオランツの前にロレンツィオが立つ。本来ならあと数日後の休暇明けに袖を通すであろう中将の隊服に袖を通したその容姿は見事としか言えなかった。
そこにいるだけで騎士たちの戦意を大いに向上させ、実力以上の力を発揮させるだけの覇気がある。
(この男が臣下で本当に良かった)
国王フィオランツは心からそう思い、非情とも言える言葉を伝える。
「カルローディア侯爵家から送られた刺客によって旧ハンザのエイレル侯爵が昨夜、本日に明け方にシーガル侯爵が死亡した」
国王フィオランツとロレンツィオは伴に険しい表情になる。
ロレンツィオの情報ではセレティアの父、エイレル侯爵が死亡しシーガル侯爵はまだ生きているというものだったがおそらく時間差なのだろう。
最後に別れてまだ1か月も立っていない義父の死。そしてセレティアの愛したクラウドの父の死を受け止めなければならない。心が乱れそうだが、カルローディア侯爵家と聞いて思わずロレンツィオは国王の顔を見る。
カルローディア侯爵家は国王の愛妻エカチェリーナの実家である。今は王妃エカチェリーナの実兄が家督をついで侯爵となっている。
「前カルローディア侯爵はその妻と共にこの知らせを聞いたあと、伴に使者の前で毒杯を煽った。子息の行いを止めることが出来なかったと。おそらくは知らされてはいなかったのだろうが責任を感じたのだろう」
「ではカルローディア侯爵は」
「既に捕えている。共謀したと思われる伯爵家、男爵家の者も一緒にな」
「他国の関与はあったのでしょうか」
「今のところはない可能性が高い。ハンザの統治権が目当てだった節がある」
「王妃殿下はどうされておられます」
「沙汰を待つそうだ。代替わりをしていても実兄が主犯だ。知らなかったでは国民への説明がつかぬ」
苦悶の表情を浮かべる国王フィオランツは王妃エカチェリーナの処遇を議会に回した。
エカチェリーナは絞首刑もやむを得ないと笑ったそうだが、そこまではならないだろう。
しかし、ロレンツィオは首を傾げた。カルローディア侯爵は妹のエカチェリーナと違ってどちらかと言えば気弱な男だった。何をするにも気弱さから石橋を叩いて叩いてその上で更に丈夫な橋を架け直して渡るような男で、期限ぎりぎりまで資料を読み漁り検討して「合否」の判断をする男である。
その男がこんな刺客を送ってまで暗殺を企てるだろうかと。
流れ通りに行けばハンザは距離もある事から自治区とする予定だった。
ギスティール王国よりは小さいがそれでも一つの国で東西では隣国の影響もあり言語が違う。
なので自治区となっても数十年をかけて自治区である事を知らしめるための領主を置く予定だった。
領主は8人を予定していて、そのうちの2つを亡くなった侯爵が管理をしても枠はまだ6つある。
願い出れば妹が王妃なのだからコネだと言われようが1つは確保できたはずである。
それを何故こんな計画をしてまで事に及んだのか。真意が伺えなかった。
衛兵に先導されて王宮の地下にある牢に向かう。
暗く、湿度の高い空間を通ると鉄格子があり、槍を持った牢番が鍵を開ける。
さらに奥に進んでいくと何とも言えない魔力の残滓が漂っている事に気が付く。
幾つかに別れた牢の中の1つにカルローディア侯爵が壁に背を預け力なく座り込んでいた。
足を放り出すように伸ばし、靴を履いていない足は逃走中だったのか、それとも連行されるときに引きずられたのか傷痕に血が固まってこびりついている。
意識を集中させて感じた魔力の元をたどるとカルローディア侯爵の首元に行きついた。
だが侯爵は魔力を持っていない。あまりにも薄い魔力はおそらく長期間接触したものから流れ出たものだと思えた。
ロレンツィオは禁止されている禁呪の魔法を使用した者がいるのではないかと思った。
拘束されてこの牢に収監されてから約4時間だという。
牢番に頼み、カルローディア侯爵の牢に入れてもらい、瞼を引っ張ってみる。
視点は虚ろで、白目の部分に針で指したような魔力の痕跡があった。瞼もよく見れば薄緑に変色していて少なくとも1年ほどは強い禁呪にあてられたのだろうと思われた。
しかし今、漂っている魔力があまりにも薄すぎた。と、言う事は少なくとも事に及ぶ1か月ほど前には禁呪を施すものはカルローディア侯爵の元から離れたという事である。
だが、目の状態を見るに薬物中毒の末期患者のようになったカルローディア侯爵はその薬とも言える禁呪欲しさに動かされたのだろう。
立ち上がり、牢番に開けてくれと言ったその時、牢番が叫ぶ。
「閣下!危ないっ!」
獣のような唸り声をあげてカルローディア侯爵がロレンツィオを後ろから羽交い絞めにする。
「閣下っ!」
「開けるな!絶対に扉を開けるなよ!」
「はっはいっ!」
慌てて牢番は、最初の入り口にいた牢番に急いで騎士でも誰でも呼ぶように伝える。
咄嗟の判断でこの鉄格子は開けない方が良いと判断をしたのである。
直ぐに先にある入り口で人の声が聞こえる。騎士たちが血相を変えて入ってくる。
その間にもロレンツィオはカルローディア侯爵に羽交い絞めにされており、どうすべきかを考えていた。
明らかに人間離れした怪力なのである。伊達に中将まで成り上がったロレンツィオではない。
相手の腕をへし折れば抜け出す事は容易であるがもしかすると腕を折られても折られた腕で何かをしてくる可能性は否定できない。今のこの力が異常なのである。
ならば首をへし折るしかないが、そうなれば聞きたい事も聞けずに向こうの世界に送る事になる。
(拘束も必要だろうし…いいかな)
【高圧衝撃】
ヒュンと風を切るような音がした途端、バチっという音と共に肉が焼けるような匂いが充満する。
己の体を軸心にして雷のような高圧の静電気を纏わせ、カルローディア侯爵を感電させたのである。
3m級の熊でも一撃で失神する雷系の魔法でバタンと伸びてしまったカルローディア侯爵をやってきた騎士たちに第一詰問室へ連れて行けと言うと隊服についた汚れを手ではたき、飛燕の間に戻った。
「陛下は飛燕の間にて」
「ハンザの2侯爵の件だろうか」
従者は静かに頷く。
国王の使う諜報部隊とロレンツィオの部下の諜報員は表立った関係性はないが2割ほどは同じ対象を監視する事がある。お互いもたらされた情報を精査し突き合わせてかの戦争を乗り切った。
国王の知る情報の大半をロレンツィオが知らぬはずがないのである。
国王フィオランツは弟の様にロレンツィオを可愛がっているが、実のところは敵に回せばこれほどに面倒な男はいないと主従関係はあるものの、権力と言う部分では一線を引いている。
どちらかと言えば、ロレンツィオの兄2人の方が懐柔しやすい。公爵家の子息であるから3人ともそれなりの教育は受けていて権力と言うものにはチャンスさえあれば狙うのは当然である。
しかしロレンツィオは国家転覆や覇権を握ろうという気持ちは全くない。むしろそんなものは何処かの誰かがやればいいし、それをフィオランツがやりたいのであれば手を尽くしたいと思っている。
武功を挙げてどんどん軍部での役職は上がっていくが、何度か褒賞で降格させてほしいと言った事もある。それほどに責任ある立場は面倒で堪らないのである。
だが、確かな腕と強い責任感と使命感を持ち合わせたロレンツィオは前代未聞の欠陥品だと言われた事があった。後継者となる子を作ろうとしないし、何より子を作る相手、妻を娶らない。
そんな女性に全く興味のなかった男が初めて欲しいと願い出た女性の父が刺客により命を落とした。
エイレル侯爵は旧ハンザ王国の大臣の一人だった。独裁的な国王は一切の苦言を認めず反論する者は見せしめに当事者ではなくその家族や親戚を処刑した。
そして何食わぬ顔で「君には期待をしているよ?あまり親族を減らすのはどうかと思うがね」と肩を叩くのである。家族が人質に取られている状態では反旗を上げようにも上げられなかった。
ようようと言う状態になってからではあるが、特にこれと言った権力もない国有林を管理する森林大臣のエイレル侯爵は全ての責は自分が負うと有志を募り、国王に戦争終結となる勧告の受け入れを認めさせた。
偶然が重なったのか、必然だったのか。エイレル侯爵の娘はギスティール王国へ献上された。
それをロレンツィオが一生のお願いだと望んだ。おそらくはロレンツィオの唯一である女性の父の死をどうやって伝え、後始末をどうするかフィオランツは頭を抱える。
飛燕の間の扉が開き、国王フィオランツの前にロレンツィオが立つ。本来ならあと数日後の休暇明けに袖を通すであろう中将の隊服に袖を通したその容姿は見事としか言えなかった。
そこにいるだけで騎士たちの戦意を大いに向上させ、実力以上の力を発揮させるだけの覇気がある。
(この男が臣下で本当に良かった)
国王フィオランツは心からそう思い、非情とも言える言葉を伝える。
「カルローディア侯爵家から送られた刺客によって旧ハンザのエイレル侯爵が昨夜、本日に明け方にシーガル侯爵が死亡した」
国王フィオランツとロレンツィオは伴に険しい表情になる。
ロレンツィオの情報ではセレティアの父、エイレル侯爵が死亡しシーガル侯爵はまだ生きているというものだったがおそらく時間差なのだろう。
最後に別れてまだ1か月も立っていない義父の死。そしてセレティアの愛したクラウドの父の死を受け止めなければならない。心が乱れそうだが、カルローディア侯爵家と聞いて思わずロレンツィオは国王の顔を見る。
カルローディア侯爵家は国王の愛妻エカチェリーナの実家である。今は王妃エカチェリーナの実兄が家督をついで侯爵となっている。
「前カルローディア侯爵はその妻と共にこの知らせを聞いたあと、伴に使者の前で毒杯を煽った。子息の行いを止めることが出来なかったと。おそらくは知らされてはいなかったのだろうが責任を感じたのだろう」
「ではカルローディア侯爵は」
「既に捕えている。共謀したと思われる伯爵家、男爵家の者も一緒にな」
「他国の関与はあったのでしょうか」
「今のところはない可能性が高い。ハンザの統治権が目当てだった節がある」
「王妃殿下はどうされておられます」
「沙汰を待つそうだ。代替わりをしていても実兄が主犯だ。知らなかったでは国民への説明がつかぬ」
苦悶の表情を浮かべる国王フィオランツは王妃エカチェリーナの処遇を議会に回した。
エカチェリーナは絞首刑もやむを得ないと笑ったそうだが、そこまではならないだろう。
しかし、ロレンツィオは首を傾げた。カルローディア侯爵は妹のエカチェリーナと違ってどちらかと言えば気弱な男だった。何をするにも気弱さから石橋を叩いて叩いてその上で更に丈夫な橋を架け直して渡るような男で、期限ぎりぎりまで資料を読み漁り検討して「合否」の判断をする男である。
その男がこんな刺客を送ってまで暗殺を企てるだろうかと。
流れ通りに行けばハンザは距離もある事から自治区とする予定だった。
ギスティール王国よりは小さいがそれでも一つの国で東西では隣国の影響もあり言語が違う。
なので自治区となっても数十年をかけて自治区である事を知らしめるための領主を置く予定だった。
領主は8人を予定していて、そのうちの2つを亡くなった侯爵が管理をしても枠はまだ6つある。
願い出れば妹が王妃なのだからコネだと言われようが1つは確保できたはずである。
それを何故こんな計画をしてまで事に及んだのか。真意が伺えなかった。
衛兵に先導されて王宮の地下にある牢に向かう。
暗く、湿度の高い空間を通ると鉄格子があり、槍を持った牢番が鍵を開ける。
さらに奥に進んでいくと何とも言えない魔力の残滓が漂っている事に気が付く。
幾つかに別れた牢の中の1つにカルローディア侯爵が壁に背を預け力なく座り込んでいた。
足を放り出すように伸ばし、靴を履いていない足は逃走中だったのか、それとも連行されるときに引きずられたのか傷痕に血が固まってこびりついている。
意識を集中させて感じた魔力の元をたどるとカルローディア侯爵の首元に行きついた。
だが侯爵は魔力を持っていない。あまりにも薄い魔力はおそらく長期間接触したものから流れ出たものだと思えた。
ロレンツィオは禁止されている禁呪の魔法を使用した者がいるのではないかと思った。
拘束されてこの牢に収監されてから約4時間だという。
牢番に頼み、カルローディア侯爵の牢に入れてもらい、瞼を引っ張ってみる。
視点は虚ろで、白目の部分に針で指したような魔力の痕跡があった。瞼もよく見れば薄緑に変色していて少なくとも1年ほどは強い禁呪にあてられたのだろうと思われた。
しかし今、漂っている魔力があまりにも薄すぎた。と、言う事は少なくとも事に及ぶ1か月ほど前には禁呪を施すものはカルローディア侯爵の元から離れたという事である。
だが、目の状態を見るに薬物中毒の末期患者のようになったカルローディア侯爵はその薬とも言える禁呪欲しさに動かされたのだろう。
立ち上がり、牢番に開けてくれと言ったその時、牢番が叫ぶ。
「閣下!危ないっ!」
獣のような唸り声をあげてカルローディア侯爵がロレンツィオを後ろから羽交い絞めにする。
「閣下っ!」
「開けるな!絶対に扉を開けるなよ!」
「はっはいっ!」
慌てて牢番は、最初の入り口にいた牢番に急いで騎士でも誰でも呼ぶように伝える。
咄嗟の判断でこの鉄格子は開けない方が良いと判断をしたのである。
直ぐに先にある入り口で人の声が聞こえる。騎士たちが血相を変えて入ってくる。
その間にもロレンツィオはカルローディア侯爵に羽交い絞めにされており、どうすべきかを考えていた。
明らかに人間離れした怪力なのである。伊達に中将まで成り上がったロレンツィオではない。
相手の腕をへし折れば抜け出す事は容易であるがもしかすると腕を折られても折られた腕で何かをしてくる可能性は否定できない。今のこの力が異常なのである。
ならば首をへし折るしかないが、そうなれば聞きたい事も聞けずに向こうの世界に送る事になる。
(拘束も必要だろうし…いいかな)
【高圧衝撃】
ヒュンと風を切るような音がした途端、バチっという音と共に肉が焼けるような匂いが充満する。
己の体を軸心にして雷のような高圧の静電気を纏わせ、カルローディア侯爵を感電させたのである。
3m級の熊でも一撃で失神する雷系の魔法でバタンと伸びてしまったカルローディア侯爵をやってきた騎士たちに第一詰問室へ連れて行けと言うと隊服についた汚れを手ではたき、飛燕の間に戻った。
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