アメイジングな恋をあなたと

cyaru

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二日酔いの朝

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★~★パルカス家★~★


翌日、パルカス侯爵家に私を迎えにカレドス家から従者がやって参りました。

昨夜は両家の当主夫妻は久しぶりにお酒に酔う事が出来たようで、カレドス家の従者が出発した時はまだ両親はとこでグッスリ。

パルカス侯爵夫妻もこれで無事に息子のブラウリオ様に家督が譲れると胸を撫でおろしたからか、70歳に手が届きそうな年齢にも関わらず、昨夜、お開きになる頃には酩酊状態だったとか。

だからこそ、慌てていたのはパルカス侯爵家の使用人さんのみ。
主が目覚めない事には話になりません。

私が客間に泊まっていない事に気が付いたメイドが執事に報告をしたそうですけども、執事も昨夜は来客を迎え入れた後は食事や飲み物の裏方手配で翻弄され、客間に宿泊していないのならカレドス夫妻と一緒に帰宅をしたのでは?と問題視をしていなかったのです。

しかし、出勤してきたメイドと従者の言葉で事態は一変しました。


「あの…若旦那様に呼んで来いと言われまして、その後はお姿を見ておりません」
「それなんですけど…お嬢様のお連れしていた侍女の方と廊下にいた時に…暴力…と言いますか…」
「暴力?!」
「い、いえっ!音は1度だったんですけども多分そうじゃないかなって。見た訳じゃないんです。そんな風な音が聞こえた気がしたと言いますか…」
「部屋の扉は…開けていたのか?」
「はい、全開ではないんですけど閉めてはいなかったので」
「その後はどうなったんだ!」
「直ぐにお嬢様が侍女の方を呼ばれて…私はハンザさんから会場を手伝ってくれと言われてその場を離れたので後のことは判らないんですけど」


慌てた執事がブラウリオ様の部屋に行ったそうですけども、ブラウリオ様はお留守。夜中の内にソフィーリア様の元に出掛けてしまわれたのでしょう。

その後、再度客間をみたものの全く使われた形跡がない。
これは大変だとパルカス侯爵夫妻を起こそうにも二日酔いで起きてはくれない。

そうこうしているうちにカレドス家から従者がやって来て、私が屋敷に帰っていない事も判明。

馬車番を呼び、当日の様子を聞くけれど馬車番は私の顔を知らないのですから「見た」とは言えない。しかし2人の女性を男性が2人、2頭の馬に乗せて屋敷から出て行った事も判明。

「まさか、招待客以外の人間が入り込んでいたのでは?」
「それが…第1王子殿下も参られましたのでそちらに人を配置してしまいまして」

従者の言葉は、第1王子レオンが来たのでそれどころではなかったとも取れるが、警備も御座なりになっていた事を示していたのです。

第1王子殿下に何事も無かったのが不幸中の幸いで御座いましょう。

流石に二日酔いだからと生易しい起こし方をする事も出来ず、パルカス侯爵夫妻を叩き起こした執事によって、最低で最悪な事態を全員が想像してしまったのです。


「ブラウリオがご令嬢に暴力を?」
「状況から見てほぼ間違いないかと。怖くなったご令嬢は侍女と共に身を隠されたのではないでしょうか」
「その身を隠す時に誘拐犯も客に紛れ込んでいたと?」
「忽然と消えたのです。そうとしか思えません」


パルカス侯爵夫妻とパルカス侯爵家の使用人は真っ青。
しかしカレドス家の従者は一緒になって絶望感を感じている訳には参りません。


「どうしてくれるんです?当家のお嬢様を!いない、どうしよう、それで済むと思っているのですか!」


事態を重く見たカレドス家の従者は両親の元にも知らせを走らせたのです。



★~★カレドス家★~★

「なんだって?いない?」
「どう言う事なの?!」

両親は酔いも眠気も吹き飛び、まさに着の身着のまま。馬車に飛び乗るとパルカス侯爵家に向かったのです。馬車の中で従者から判っている事を報告をされると、頭を抱える両親。

決して二日酔いの具合の悪さでない事を祈りたい気分です。

パルカス侯爵家に到着するなり「どう言う事だ!」と詰め寄る私の父。心配をしてくれるのは有難いのですが、出来れば暴力をふるう事を当たり前と思っている方だと事前に調査をして頂きたかったですわ。


警備が杜撰であった事や、当人が不在のため確認は取れないけれどブラウリオ様の暴行についても「あったのだろう」とパルカス侯爵夫妻は認めるしか御座いませんでした。

ブラウリオ様が不在であるのは両家ともに判っていた事。
しかしながら事が事ですので、市井に借りているアパートメントまで従者が走り、相当に機嫌の悪いブラウリオ様も到着をした頃、ロカ子爵家から知らせが届いたのでした。
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