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2回目の人生
2人の部屋
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後半、文字からは想像をしないでください。
読み飛ばしても問題ないです。マーク付けます→★~★~★
★~☆~☆
「開けて!この扉を開けてよ!どうして僕が閉じ込められるんだ!」
激しく扉を叩き、向こう側にいるであろう兵士に向かってなのか、それとも他の者なのかレオンは大きな声を出し、喚いている。
部屋の中は足の踏み場もない程に物が散乱しており、窓ガラスもまともに風を防げそうな状態のものは1枚もない。
レオンがこのように取り乱す事は今まで一度もなかった。
時間はかかるが執務も静かに行っていたし、私的な言動以外は【手がかからない王子】だった。
目が覚めると部屋にいた。覚えているのは鬼の形相で殴りつけた父、国王の顔が最後だ。
痛みを感じ、舌で歯をなぞるとグラグラになった歯がある。
不快感を感じるのは口の中から出血をしているのだろう。
ベッドわきの水差しをそのまま加えて口の中に水を流し込むとピキリと痛みが走る。
思わずシーツの上に吐き出すと歯が2本まじっていた。
そうだ、父上に殴られた!と鏡を見ると、頬と瞼が腫れあがり赤くなっていて、鼻血も出たのだろう。鼻の穴の出口には血が固まっている。
暫くすると見慣れない顔の侍女が食事を運んできた。
黙ってテーブルの上に置くと一礼をして部屋を出て行こうとする。
「待って!どういうこと?」
「殿下、申し訳ございません。わたくしは食事を運ぶように言われただけで何も存じません」
「嘘だ!どうして僕は殴られないといけないんだ」
「殿下、申し訳ございません。わたくしには判り兼ねます」
何を聞いても知らない、判らないと繰り返す侍女の手を放すと一礼をしてレオンを残し部屋を出て行く。
それは夕食時になっても同じだった。
翌朝もその昼も同じである。自分以外の人間がこの部屋に入ってくるのは食事を運んでくる侍女だけだ。
流石のレオンも【これは変だ】と思い至る。
夕食を運んできた侍女と入れ違いに部屋を出ようとすると、扉の前を護衛する騎士に腕を強く掴まれて「お部屋にお戻りください」と言われ、部屋に戻された。
トイレは部屋にあるし一人で出来るが、レオンは湯あみや着替えは一人ではできない。
下着でさえ一人で身に着ける事をした事がない。
着替えをしたいし、湯あみもしたくて翌朝の食事を運んでくる侍女にその旨を伝える。
しかし。
「殿下、申し訳ございません。わたくしは食事を運ぶように言われただけですので出来かねます」
昼に昼食を運んできた侍女も同じことを言った。
「ベッドのリネンもそのままなんだよ?おかしいだろう?これで2晩寝たんだ。あり得ないよ」
「殿下、わたくしは食事を運ぶよう…」
「それは聞き飽きた!食事もだが他の事をしろと頼んでるんだ!見てよ!リネン!着替え!掃除!湯あみもだし、水差しの水だって昨日は補充も交換もないんだよ?おかしいだろう!」
苛立ってくるレオンは侍女の腕を掴みあげる。小さく「きゃぁ」と言った声に扉が開き、1人の兵士が何も言わずにレオンの腕を掴む。あまりの痛さに侍女を掴んでいた手を放すと侍女は廊下に小走りになり出て行った。
レオンの腕を振り払うように離した兵士は何も言わず廊下に出て扉を閉めた。
「ガチャ」っと外鍵をかけられる音に、レオンは驚いた。
慌てて扉を拳で叩くが返事がない。「わぁぁ!」っと叫ぶとテーブルにあった食事を皿ごと投げつける。手当たり次第に物を投げ、カーテンを引きちぎり、引き出しの中もひっくり返すとその引き出しを投げつける。
割れた皿や花瓶で足の裏を切り、血が出た!御殿医を呼べと叫ぶが扉は開かない。
怒鳴るような声から、懇願するような声に変えても扉が開くことはなかった。
アンジェは目が覚めると離宮にある自分の部屋のベッドで寝ている事に気がついた。
「はぁ、怖い夢だった」
そう言って両手で顔を覆った時、昨日レオンに買ってもらって店から直接はめて帰った指輪に気がつく。首元に手をやると昨日買ってもらったネックレスが付いている。
恐る恐る耳たぶを触るとピアスが片耳だけ指に触れた。
そして不意に来ている服に視線を落とすと、昨日街に行く時に来ていったワンピースである事に気がつく。
髪に触れれば髪飾りはないが、編みこんで崩れかけたその結び目が指に触れる。
「夢なんかじゃない‥‥夢じゃない…」
一気に全身を震えが襲い、シーツを頭からかぶって体を丸くする。
「どうしよう、どうしよう」と呪文のように呟くがどうにもならない事はよく判っている。
半刻ほどで少し落ち着くと、物音がしない事に気がついた。
「逃げよう」
アンジェはそれしか思いつかなかった。レオンの父、国王の顔を思い出しここから遠くに逃げれば探す事も難しいだろうと考え、離宮に来た時に持ってきた小さめのトランクに宝石箱から宝飾品を逆さにして入れ、お気に入りのワンピースをクローゼットから引っ張り出す。
昨日と同じ服装では目立つかも知れないと思ったアンジェはピンク色のワンピースに着替えた。
自分一人で着替えるなど久しぶりの事であるがそれまでは自分で着ていたのである。
鏡を見て、櫛で髪を梳かしていると化粧品が目に入る。
トランクの隙間に化粧品を詰め込み、周りを見渡す。部屋の中は自分一人である。
そっと廊下に出る扉を開けようとドアノブに手をかける。しかし‥‥扉は開かなかった。
押すのでも引くのでもなく、それ以前にドアノブが動かないのである。
「閉じ込められた?」
全身の血の気がさぁっと引くような感覚に襲われる。
振り返り窓から出ようと窓を開ける。風が部屋に入ってアンジェの髪を揺らす。
「降りられないっ!」
アンジェの部屋は4階で、バルコニーなど付いておらず窓から出るにしてもその高さを飛び降りる事など出来なかった。窓を閉めて「大丈夫。落ち着こう」と声に出してみるがどうにもならない状況に叫びたくなった。
ハシゴの代わりになる物があればと部屋を見渡すがこの高さを降りられそうなほどの長さをもつものは見当たらない。その代わり先程まで寝ていたベッドが目に入った。
シーツならいけるかも知れないと花瓶を割ってその破片でシーツに切れ目を入れると裂いていく。
幾つかを結び合わせて力任せに結び目が解けないかを確認していく。
窓を開けてシーツを下ろしていると、扉が開く音がした。
「お目覚めのようね。アンジェ」
左の頬に殴られた痕が痛々しい側妃レクシーがゆっくりと部屋に入ってくる。
「ご、ごめんなさい…」
「遅いのよ」
「ごめんなさい…いや…こないで…」
恐怖で手にしていたシーツの先端を離してしまい、全てのシーツが地面に落ちていく。
人一人も間に入らない程の距離でレクシーが止まる。もう逃げられない。
★~★~★
「ンギャッ!!」
体験した事のない痛みが太ももに走った。
ゆっくりと目線を下ろすと、ワンピースを貫いて太ももに刺さるナイフの柄と少しだけ刃が見える。
「何度も言ったのに仕方のない子…最後だから一緒に遊んであげてね?」
ナイフを勢いよく引き抜くと、アンジェの太ももから血が噴き出す。
痛くて刺された部分を押えようとすると兵士のような男性に髪を思い切り引っ張られる。
「部屋で待ってると思うから、連れて行ってあげて頂戴」
「痛い、放して!」と叫ぶが髪を掴まれた手が緩む事はなく、一つの部屋の前に連れてこられた。
アンジェは痛みはあるが、ホッとした。
「なんだ。アレクセイの部屋じゃないの」
扉を開けるとアレクセイは幼い微笑でアンジェを歓迎する言葉で迎えた。
「アンジェ姉様。一緒に遊べるなんて嬉しいよ」
しかしアンジェはその歓迎の言葉に答える事が出来ない。
窓のない部屋はランプの灯りだけ。壁を埋め尽くす液体に入った悍ましい瓶詰された物体。
言いようのない鼻が捥げるかと思うような臭い。
「アンジェ姉様の体温から測ろうね。直腸温度って知ってる?」
アレクセイがコテンと首を傾げて可愛く問いかける。
後ろで扉が閉まる音がした。
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「開けて!この扉を開けてよ!どうして僕が閉じ込められるんだ!」
激しく扉を叩き、向こう側にいるであろう兵士に向かってなのか、それとも他の者なのかレオンは大きな声を出し、喚いている。
部屋の中は足の踏み場もない程に物が散乱しており、窓ガラスもまともに風を防げそうな状態のものは1枚もない。
レオンがこのように取り乱す事は今まで一度もなかった。
時間はかかるが執務も静かに行っていたし、私的な言動以外は【手がかからない王子】だった。
目が覚めると部屋にいた。覚えているのは鬼の形相で殴りつけた父、国王の顔が最後だ。
痛みを感じ、舌で歯をなぞるとグラグラになった歯がある。
不快感を感じるのは口の中から出血をしているのだろう。
ベッドわきの水差しをそのまま加えて口の中に水を流し込むとピキリと痛みが走る。
思わずシーツの上に吐き出すと歯が2本まじっていた。
そうだ、父上に殴られた!と鏡を見ると、頬と瞼が腫れあがり赤くなっていて、鼻血も出たのだろう。鼻の穴の出口には血が固まっている。
暫くすると見慣れない顔の侍女が食事を運んできた。
黙ってテーブルの上に置くと一礼をして部屋を出て行こうとする。
「待って!どういうこと?」
「殿下、申し訳ございません。わたくしは食事を運ぶように言われただけで何も存じません」
「嘘だ!どうして僕は殴られないといけないんだ」
「殿下、申し訳ございません。わたくしには判り兼ねます」
何を聞いても知らない、判らないと繰り返す侍女の手を放すと一礼をしてレオンを残し部屋を出て行く。
それは夕食時になっても同じだった。
翌朝もその昼も同じである。自分以外の人間がこの部屋に入ってくるのは食事を運んでくる侍女だけだ。
流石のレオンも【これは変だ】と思い至る。
夕食を運んできた侍女と入れ違いに部屋を出ようとすると、扉の前を護衛する騎士に腕を強く掴まれて「お部屋にお戻りください」と言われ、部屋に戻された。
トイレは部屋にあるし一人で出来るが、レオンは湯あみや着替えは一人ではできない。
下着でさえ一人で身に着ける事をした事がない。
着替えをしたいし、湯あみもしたくて翌朝の食事を運んでくる侍女にその旨を伝える。
しかし。
「殿下、申し訳ございません。わたくしは食事を運ぶように言われただけですので出来かねます」
昼に昼食を運んできた侍女も同じことを言った。
「ベッドのリネンもそのままなんだよ?おかしいだろう?これで2晩寝たんだ。あり得ないよ」
「殿下、わたくしは食事を運ぶよう…」
「それは聞き飽きた!食事もだが他の事をしろと頼んでるんだ!見てよ!リネン!着替え!掃除!湯あみもだし、水差しの水だって昨日は補充も交換もないんだよ?おかしいだろう!」
苛立ってくるレオンは侍女の腕を掴みあげる。小さく「きゃぁ」と言った声に扉が開き、1人の兵士が何も言わずにレオンの腕を掴む。あまりの痛さに侍女を掴んでいた手を放すと侍女は廊下に小走りになり出て行った。
レオンの腕を振り払うように離した兵士は何も言わず廊下に出て扉を閉めた。
「ガチャ」っと外鍵をかけられる音に、レオンは驚いた。
慌てて扉を拳で叩くが返事がない。「わぁぁ!」っと叫ぶとテーブルにあった食事を皿ごと投げつける。手当たり次第に物を投げ、カーテンを引きちぎり、引き出しの中もひっくり返すとその引き出しを投げつける。
割れた皿や花瓶で足の裏を切り、血が出た!御殿医を呼べと叫ぶが扉は開かない。
怒鳴るような声から、懇願するような声に変えても扉が開くことはなかった。
アンジェは目が覚めると離宮にある自分の部屋のベッドで寝ている事に気がついた。
「はぁ、怖い夢だった」
そう言って両手で顔を覆った時、昨日レオンに買ってもらって店から直接はめて帰った指輪に気がつく。首元に手をやると昨日買ってもらったネックレスが付いている。
恐る恐る耳たぶを触るとピアスが片耳だけ指に触れた。
そして不意に来ている服に視線を落とすと、昨日街に行く時に来ていったワンピースである事に気がつく。
髪に触れれば髪飾りはないが、編みこんで崩れかけたその結び目が指に触れる。
「夢なんかじゃない‥‥夢じゃない…」
一気に全身を震えが襲い、シーツを頭からかぶって体を丸くする。
「どうしよう、どうしよう」と呪文のように呟くがどうにもならない事はよく判っている。
半刻ほどで少し落ち着くと、物音がしない事に気がついた。
「逃げよう」
アンジェはそれしか思いつかなかった。レオンの父、国王の顔を思い出しここから遠くに逃げれば探す事も難しいだろうと考え、離宮に来た時に持ってきた小さめのトランクに宝石箱から宝飾品を逆さにして入れ、お気に入りのワンピースをクローゼットから引っ張り出す。
昨日と同じ服装では目立つかも知れないと思ったアンジェはピンク色のワンピースに着替えた。
自分一人で着替えるなど久しぶりの事であるがそれまでは自分で着ていたのである。
鏡を見て、櫛で髪を梳かしていると化粧品が目に入る。
トランクの隙間に化粧品を詰め込み、周りを見渡す。部屋の中は自分一人である。
そっと廊下に出る扉を開けようとドアノブに手をかける。しかし‥‥扉は開かなかった。
押すのでも引くのでもなく、それ以前にドアノブが動かないのである。
「閉じ込められた?」
全身の血の気がさぁっと引くような感覚に襲われる。
振り返り窓から出ようと窓を開ける。風が部屋に入ってアンジェの髪を揺らす。
「降りられないっ!」
アンジェの部屋は4階で、バルコニーなど付いておらず窓から出るにしてもその高さを飛び降りる事など出来なかった。窓を閉めて「大丈夫。落ち着こう」と声に出してみるがどうにもならない状況に叫びたくなった。
ハシゴの代わりになる物があればと部屋を見渡すがこの高さを降りられそうなほどの長さをもつものは見当たらない。その代わり先程まで寝ていたベッドが目に入った。
シーツならいけるかも知れないと花瓶を割ってその破片でシーツに切れ目を入れると裂いていく。
幾つかを結び合わせて力任せに結び目が解けないかを確認していく。
窓を開けてシーツを下ろしていると、扉が開く音がした。
「お目覚めのようね。アンジェ」
左の頬に殴られた痕が痛々しい側妃レクシーがゆっくりと部屋に入ってくる。
「ご、ごめんなさい…」
「遅いのよ」
「ごめんなさい…いや…こないで…」
恐怖で手にしていたシーツの先端を離してしまい、全てのシーツが地面に落ちていく。
人一人も間に入らない程の距離でレクシーが止まる。もう逃げられない。
★~★~★
「ンギャッ!!」
体験した事のない痛みが太ももに走った。
ゆっくりと目線を下ろすと、ワンピースを貫いて太ももに刺さるナイフの柄と少しだけ刃が見える。
「何度も言ったのに仕方のない子…最後だから一緒に遊んであげてね?」
ナイフを勢いよく引き抜くと、アンジェの太ももから血が噴き出す。
痛くて刺された部分を押えようとすると兵士のような男性に髪を思い切り引っ張られる。
「部屋で待ってると思うから、連れて行ってあげて頂戴」
「痛い、放して!」と叫ぶが髪を掴まれた手が緩む事はなく、一つの部屋の前に連れてこられた。
アンジェは痛みはあるが、ホッとした。
「なんだ。アレクセイの部屋じゃないの」
扉を開けるとアレクセイは幼い微笑でアンジェを歓迎する言葉で迎えた。
「アンジェ姉様。一緒に遊べるなんて嬉しいよ」
しかしアンジェはその歓迎の言葉に答える事が出来ない。
窓のない部屋はランプの灯りだけ。壁を埋め尽くす液体に入った悍ましい瓶詰された物体。
言いようのない鼻が捥げるかと思うような臭い。
「アンジェ姉様の体温から測ろうね。直腸温度って知ってる?」
アレクセイがコテンと首を傾げて可愛く問いかける。
後ろで扉が閉まる音がした。
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