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第02話 苛立ちは円形脱毛症に発展
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クラリッサを苛立たせるのはエミリオだけではない。
ジェネレーションギャップもあるかも知れないが、双方の親の考えもクラリッサを苛立たせた。
エミリオの親はうんうんと頷き、夫人はクラリッサを抱きしめて言った。
「まだ結婚はしてないんだから、つい目移りしてしまうの。大目に見てやって」
――は?大目に見るって何?――
クラリッサの親も訴えを正面から受け取ってくれるかと思いきや。
「若い時の麻疹みたいなものだから、浮ついていてもそのうち落ち着く」
――そのうちって何時よ!――
「他所に行ったところで戻って来るわ。男には帰巣本能ってあるから」
――そんなの戻ってきたら叩き出すわよ!――
自分の感覚がおかしいんだろうか。何度も考えた。
兄に相談しようにも長兄は隣国に留学中で次兄はエミリオとは別の所属だが騎士団にいる。エミリオと同性なので親たちの言葉を援護補足する答えしか返してくれない気がして相談するのをやめた。
「そうだ、御婆様に相談しよう」
優しい祖父母ならきっとこの気持ちを解ってくれる。そう思い郊外に住まう祖父母の家を訪れてみたが、クラリッサの期待はあっさりと裏切られた。
「どーんと構えていればいいの。関係は持っていないんでしょう?」
「関係を持っているとかそういう事じゃないの!」
「じゃぁ、その女より良いものをプレゼントして欲しいの?浅ましいわ」
――浅ましいって…そういう事じゃないって言ってるのに――
祖母の答えは本物の昔の考えで、「女には学問は不要」「夫を支えることが務め」なので家の家長となる夫の考えには寛容な心で接しなければならないと真顔で言う。
「クラリッサは独占欲が強いと友達から言われた事はないのかい?」
「は?独占欲?」
「彼はクラリッサの行動には制約をしてないんだろう?ならクラリッサも彼の自由を認めてあげないと」
「自由?!自由ってなによ!」
「男はね、束縛をされるのを嫌がるんだ。年頃になったのなら気持ちは判るが手綱をきつくしてばかりじゃ彼も息が詰まってしまうよ」
――なによそれ・・・意味判らないわ――
祖父母への相談も無意味だったとクラリッサは肩を落とした。
誰も彼もクラリッサが事を大袈裟に荒立てようとしていると思っているのか、必死の訴えも笑って流されてしまう。
自分よりも長く生きている親や祖父母だから経験からくる言葉だとしてもクラリッサには受け入れられなかった。
このままエミリオと結婚をしていいのかと悩んでいるうちに円形脱毛症となってしまい、隠すようにメイドが髪を結ってはくれるがクラリッサは綺麗に結い上げられた髪を見ても溜息しか出なくなった。
ジェネレーションギャップもあるかも知れないが、双方の親の考えもクラリッサを苛立たせた。
エミリオの親はうんうんと頷き、夫人はクラリッサを抱きしめて言った。
「まだ結婚はしてないんだから、つい目移りしてしまうの。大目に見てやって」
――は?大目に見るって何?――
クラリッサの親も訴えを正面から受け取ってくれるかと思いきや。
「若い時の麻疹みたいなものだから、浮ついていてもそのうち落ち着く」
――そのうちって何時よ!――
「他所に行ったところで戻って来るわ。男には帰巣本能ってあるから」
――そんなの戻ってきたら叩き出すわよ!――
自分の感覚がおかしいんだろうか。何度も考えた。
兄に相談しようにも長兄は隣国に留学中で次兄はエミリオとは別の所属だが騎士団にいる。エミリオと同性なので親たちの言葉を援護補足する答えしか返してくれない気がして相談するのをやめた。
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優しい祖父母ならきっとこの気持ちを解ってくれる。そう思い郊外に住まう祖父母の家を訪れてみたが、クラリッサの期待はあっさりと裏切られた。
「どーんと構えていればいいの。関係は持っていないんでしょう?」
「関係を持っているとかそういう事じゃないの!」
「じゃぁ、その女より良いものをプレゼントして欲しいの?浅ましいわ」
――浅ましいって…そういう事じゃないって言ってるのに――
祖母の答えは本物の昔の考えで、「女には学問は不要」「夫を支えることが務め」なので家の家長となる夫の考えには寛容な心で接しなければならないと真顔で言う。
「クラリッサは独占欲が強いと友達から言われた事はないのかい?」
「は?独占欲?」
「彼はクラリッサの行動には制約をしてないんだろう?ならクラリッサも彼の自由を認めてあげないと」
「自由?!自由ってなによ!」
「男はね、束縛をされるのを嫌がるんだ。年頃になったのなら気持ちは判るが手綱をきつくしてばかりじゃ彼も息が詰まってしまうよ」
――なによそれ・・・意味判らないわ――
祖父母への相談も無意味だったとクラリッサは肩を落とした。
誰も彼もクラリッサが事を大袈裟に荒立てようとしていると思っているのか、必死の訴えも笑って流されてしまう。
自分よりも長く生きている親や祖父母だから経験からくる言葉だとしてもクラリッサには受け入れられなかった。
このままエミリオと結婚をしていいのかと悩んでいるうちに円形脱毛症となってしまい、隠すようにメイドが髪を結ってはくれるがクラリッサは綺麗に結い上げられた髪を見ても溜息しか出なくなった。
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