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第07話 銀河系の果てまで引いてまうやろ~
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夜になり父と兄が帰宅をするとリサは早速朝の出来事を2人に語った。
当然頭から信じる事も出来ない旨すぎる話。
特に兄のケインは「嘘くさい。騙されてるだろ」と決めつけた。
「家紋をみたのか?馬車に家紋があっただろ」
「あ、見てない。でもね、でもね、すっごく大きくて立派な馬車だったのよ?」
「ここ一番なら詐欺師だってそれくらいの馬車を調達するさ」
「そんなものかなぁ」
騙しているようには思えなかったし、もし騙そうとしたのなら侯爵家を騙った事になるので捕まれば極刑もやむなし。そんな無謀な事をするかな?リサは考え込んだ。
「だいたいだ、月額で7千万ルカってな?年間で8億超えるってことだからな?」
「それは解かってるわよ」
「それで3年夫婦でいれば返済無し?どこの世界に25億近い金をタダでくれる奴がいるんだよ」
「ふむ。そう言われればそうね」
金額が大きすぎてうっかり話を信じ込んでしまうところだったとリサは反省し、その夜はそれ以上話をする事もなかった。
★~★
しかし、1週間後。
その日、兄のケインは非番、今朝は止んだが2日前からの雨で足元がぬかるんでいて荷馬車の車輪がぬかるみに嵌まると大変。
引き取りに向かう荷馬車は後日に延期としたため、一家は在宅していた。
ケインとリサは共に無駄な経費がないか、あればまだ削減できる!と帳簿を見ていて、イクル子爵が従業員の休憩所に行こうとした時だった。
「旦那さーん。お客さんっすよ」
従業員が玄関を開けて顔を覗かせ声を掛けてきた。
誰かと思えば先日のスティル。
出迎えねばと一家で玄関まで来てみれば開け放たれた扉の向こうにはドドーンとカモク侯爵家の家紋プレートのついた豪奢な馬車。その後ろには…
<< ナニコレ?! >>
足元が悪いのに沢山の荷を積んだ荷馬車が3、4、5台?!
いったい何の荷物。
――まさかスティルさん、ウチに住まわせてくれと?――
そんな話は聞いてないし、そもそもで荷馬車の荷台に5台分の荷物を入れておく場所がこの家にはない。
「先日は突然に失礼を致しました。先代様にお話をしましたところ気を悪くされたのではと前から3台目まではお詫びの品。後方の2台は気が急いてしまいまして結納の品を運んできた次第で御座います」
<< 結納?! >>
気が急いたなんてものではないが「帰りやがれ!」とも言えず、イクル子爵は話を聞かない事には進まないとスティルを家の中に招き入れた。
スティルの語った内容はリサに話した内容と同じ。
異なる点と言えば…。
「実は婚約期間は設けず、そのまま嫁いで頂きたいのです」
――逃がさないって感じがビンビン伝わって来るわね――
「こう言っては何ですが、主のレンダールは私から見ても非常に男ぶりがよく、女性が虎視眈々と狙っているのです。屋敷の中は万全の警備体勢ですが登城中の他、夜会での控室など襲われる事も多々ございまして」
――どんな状況?王宮ってそんな危険区域?――
知らなかった。王宮なんてはるか向こうのバルコニーなのか、何かの影なのかよく判らない色の違いのある部分で王族がお手振りしてるであろう姿に向かって、みんなと同じ方向を見て小旗を振った事があるだけなので、内部にそんな危険があるなんてリサは知らなかった。
「不届きな使用人が主の下着を持ち出したり、湯殿の残り湯を闇オークションの目玉商品にしていたりと気が抜けないのです。勿論そんな使用人は解雇し騎士団に突き出しましたし、現在衣類は全て使い捨てとして30分以内に焼却処分としておりますのでご安心を」
――マジか…使用済みパンツが目玉商品って――
イケメン過ぎるとそういう悩みもあるんだな。
兄のケインは…ダメだ。夜間の玄関すら施錠したことがないのに襲われた事がない。
全然安心できる要素がない気がするが、そんなところに「妻デース」なんて乗り込んだら、至る所からナイフを投擲されるんじゃないかと思ってしまう。
――額とか、つむじにダーツみたいに点数書いとこうかしら――
そう思いつつ額に書く文字が「肉」しか思いつかないリサはつむじに何と書くか。
別次元の悩みも抱えた。
スティルが持ってきたのはそれだけではない。
ドサッとテーブルに置いたトランクには数字でも見たことはない額の現金だった。
「こちらは支度金で御座います。リサ様には身一つ!身一つで嫁いで頂きますよう。社交辞令や妙な言い回し、言葉の裏を読む必要は御座いません。カモク侯爵家は全力でリサ様をお守り致しますし、必要なものは全て揃えます」
これにはイクル子爵家の3人の気持ちが銀河系の果てまで引いた。
当然頭から信じる事も出来ない旨すぎる話。
特に兄のケインは「嘘くさい。騙されてるだろ」と決めつけた。
「家紋をみたのか?馬車に家紋があっただろ」
「あ、見てない。でもね、でもね、すっごく大きくて立派な馬車だったのよ?」
「ここ一番なら詐欺師だってそれくらいの馬車を調達するさ」
「そんなものかなぁ」
騙しているようには思えなかったし、もし騙そうとしたのなら侯爵家を騙った事になるので捕まれば極刑もやむなし。そんな無謀な事をするかな?リサは考え込んだ。
「だいたいだ、月額で7千万ルカってな?年間で8億超えるってことだからな?」
「それは解かってるわよ」
「それで3年夫婦でいれば返済無し?どこの世界に25億近い金をタダでくれる奴がいるんだよ」
「ふむ。そう言われればそうね」
金額が大きすぎてうっかり話を信じ込んでしまうところだったとリサは反省し、その夜はそれ以上話をする事もなかった。
★~★
しかし、1週間後。
その日、兄のケインは非番、今朝は止んだが2日前からの雨で足元がぬかるんでいて荷馬車の車輪がぬかるみに嵌まると大変。
引き取りに向かう荷馬車は後日に延期としたため、一家は在宅していた。
ケインとリサは共に無駄な経費がないか、あればまだ削減できる!と帳簿を見ていて、イクル子爵が従業員の休憩所に行こうとした時だった。
「旦那さーん。お客さんっすよ」
従業員が玄関を開けて顔を覗かせ声を掛けてきた。
誰かと思えば先日のスティル。
出迎えねばと一家で玄関まで来てみれば開け放たれた扉の向こうにはドドーンとカモク侯爵家の家紋プレートのついた豪奢な馬車。その後ろには…
<< ナニコレ?! >>
足元が悪いのに沢山の荷を積んだ荷馬車が3、4、5台?!
いったい何の荷物。
――まさかスティルさん、ウチに住まわせてくれと?――
そんな話は聞いてないし、そもそもで荷馬車の荷台に5台分の荷物を入れておく場所がこの家にはない。
「先日は突然に失礼を致しました。先代様にお話をしましたところ気を悪くされたのではと前から3台目まではお詫びの品。後方の2台は気が急いてしまいまして結納の品を運んできた次第で御座います」
<< 結納?! >>
気が急いたなんてものではないが「帰りやがれ!」とも言えず、イクル子爵は話を聞かない事には進まないとスティルを家の中に招き入れた。
スティルの語った内容はリサに話した内容と同じ。
異なる点と言えば…。
「実は婚約期間は設けず、そのまま嫁いで頂きたいのです」
――逃がさないって感じがビンビン伝わって来るわね――
「こう言っては何ですが、主のレンダールは私から見ても非常に男ぶりがよく、女性が虎視眈々と狙っているのです。屋敷の中は万全の警備体勢ですが登城中の他、夜会での控室など襲われる事も多々ございまして」
――どんな状況?王宮ってそんな危険区域?――
知らなかった。王宮なんてはるか向こうのバルコニーなのか、何かの影なのかよく判らない色の違いのある部分で王族がお手振りしてるであろう姿に向かって、みんなと同じ方向を見て小旗を振った事があるだけなので、内部にそんな危険があるなんてリサは知らなかった。
「不届きな使用人が主の下着を持ち出したり、湯殿の残り湯を闇オークションの目玉商品にしていたりと気が抜けないのです。勿論そんな使用人は解雇し騎士団に突き出しましたし、現在衣類は全て使い捨てとして30分以内に焼却処分としておりますのでご安心を」
――マジか…使用済みパンツが目玉商品って――
イケメン過ぎるとそういう悩みもあるんだな。
兄のケインは…ダメだ。夜間の玄関すら施錠したことがないのに襲われた事がない。
全然安心できる要素がない気がするが、そんなところに「妻デース」なんて乗り込んだら、至る所からナイフを投擲されるんじゃないかと思ってしまう。
――額とか、つむじにダーツみたいに点数書いとこうかしら――
そう思いつつ額に書く文字が「肉」しか思いつかないリサはつむじに何と書くか。
別次元の悩みも抱えた。
スティルが持ってきたのはそれだけではない。
ドサッとテーブルに置いたトランクには数字でも見たことはない額の現金だった。
「こちらは支度金で御座います。リサ様には身一つ!身一つで嫁いで頂きますよう。社交辞令や妙な言い回し、言葉の裏を読む必要は御座いません。カモク侯爵家は全力でリサ様をお守り致しますし、必要なものは全て揃えます」
これにはイクル子爵家の3人の気持ちが銀河系の果てまで引いた。
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