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第06話 同情よりも金がイイ?
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「もしかしてなのですけれど、このお話、何か裏が御座います?」
「(にこにこ)」
――やっぱりあるんだ!――
裏なんかない方がいいけれど、上手い話には裏があると言うように侯爵家からの話に何もないはずがない。
もしかして父親か兄がなにかやらかしてしまったのか?
だとしてもおかしい。
それならば捕縛すればいいのだから騎士が縄を持って押しかけて来るだろう。
――なんなのぉ?なんかしたぁ?――
ビクビクとするリサにスティルは深く頭を下げた。
「実はレンダール様は王女殿下との話が無くなってからは塞ぎこんでしまわれまして、もう結婚はしないと言い出し、先代様はほとほと困り果てられてしまいました」
だから社交をしなくなったのか。それは解る気がする。
御気の毒様だ。
「その上、もう女性はこりごりだと言われまして。しかし侯爵家としましては、子は養子を取れば問題御座いませんが、当主が未婚のままとなればこの先も国主催の夜会に顔を出す事叶わず、そうなれば来賓として招かれている諸外国にも顔向けも出来ずで御座いまして」
「取り敢えず体裁だけでも整えようと相手を探したと?」
「仰る通りで御座います。しかしながらレンダール様は機嫌を悪くされまして」
――そりゃそうでしょうよ。もうちょっと様子見てあげなよ――
面と向かって挨拶をした事も無いし、相手もリサの存在すら知らない間柄だが当主であるがばかりに意に添わない妻を迎えねばならないとなればレンダールに同情すら覚えてしまう。
それが高位貴族にとって当たり前だとしてもリサの育った環境とは違い過ぎた。
「他家のご令嬢ですと家同士の確執が生まれるのもよしと出来ず…」
「え?もしかしてウチなら行ける!って事ですか?ほぅ、舐められたものですわね」
「失礼は重々承知!この話、お受けいただけるのであれば月額にして7千万ルカを融資させて頂きます」
「なっなっ7千万ルカッ?!しかも月額っ?!」
待て・まて・マテ。
年間7千万ルカでも子爵家は十分に立て直せるし、なんなら従業員に特別賞与だ!と1人に家を1軒、あ、それは無理か。でも!例えるのならそれくらいの賞与を渡す事も出来る。
リサの頭の中に「この先3年、売り上げがサッパリでも貯えまで出来ちゃう?」ビシバシと数字がはじき出される。
いや、イヤ。違う融資だ。これは融資。
それは借入金になるので利息を付けて返さねばならない。
――なんだ。全然貯えにならないじゃない――
ハンッ。ないない。やっぱり美味い話はないわーと思ったら。
「最低3年間夫婦としていてくだされば返金は不要。その後の融資は年度末に返済済みとさせていただきます」
リサは思わずスティルの手を握って「その話、乗った!」と言いそうになったが堪えた。
額が大きすぎると人は二の足を踏むものだ。
「ち、父が帰宅しましたら問うてみますわ。オホホホホホホゥ」
良い返事をお待ちしておりますと言葉を残し、スティルは今日一番に頭を下げて戻って行った。
馬車を見送ったリサは傍にいた従業員に頼んだ。
「悪いんだけど、頬を思いっきりギュギューっと抓ってくれない?」
「こうですか?(むぎゅっ!)」
「いぃッ痛ぁぁい!そんなに強く抓らなくても!!」
涙目になってしまったが従業員はシレっと答えた。
「思い切りって言いましたやん」
抓られた痕が翌日痣になっていたのは言うまでもない。
「(にこにこ)」
――やっぱりあるんだ!――
裏なんかない方がいいけれど、上手い話には裏があると言うように侯爵家からの話に何もないはずがない。
もしかして父親か兄がなにかやらかしてしまったのか?
だとしてもおかしい。
それならば捕縛すればいいのだから騎士が縄を持って押しかけて来るだろう。
――なんなのぉ?なんかしたぁ?――
ビクビクとするリサにスティルは深く頭を下げた。
「実はレンダール様は王女殿下との話が無くなってからは塞ぎこんでしまわれまして、もう結婚はしないと言い出し、先代様はほとほと困り果てられてしまいました」
だから社交をしなくなったのか。それは解る気がする。
御気の毒様だ。
「その上、もう女性はこりごりだと言われまして。しかし侯爵家としましては、子は養子を取れば問題御座いませんが、当主が未婚のままとなればこの先も国主催の夜会に顔を出す事叶わず、そうなれば来賓として招かれている諸外国にも顔向けも出来ずで御座いまして」
「取り敢えず体裁だけでも整えようと相手を探したと?」
「仰る通りで御座います。しかしながらレンダール様は機嫌を悪くされまして」
――そりゃそうでしょうよ。もうちょっと様子見てあげなよ――
面と向かって挨拶をした事も無いし、相手もリサの存在すら知らない間柄だが当主であるがばかりに意に添わない妻を迎えねばならないとなればレンダールに同情すら覚えてしまう。
それが高位貴族にとって当たり前だとしてもリサの育った環境とは違い過ぎた。
「他家のご令嬢ですと家同士の確執が生まれるのもよしと出来ず…」
「え?もしかしてウチなら行ける!って事ですか?ほぅ、舐められたものですわね」
「失礼は重々承知!この話、お受けいただけるのであれば月額にして7千万ルカを融資させて頂きます」
「なっなっ7千万ルカッ?!しかも月額っ?!」
待て・まて・マテ。
年間7千万ルカでも子爵家は十分に立て直せるし、なんなら従業員に特別賞与だ!と1人に家を1軒、あ、それは無理か。でも!例えるのならそれくらいの賞与を渡す事も出来る。
リサの頭の中に「この先3年、売り上げがサッパリでも貯えまで出来ちゃう?」ビシバシと数字がはじき出される。
いや、イヤ。違う融資だ。これは融資。
それは借入金になるので利息を付けて返さねばならない。
――なんだ。全然貯えにならないじゃない――
ハンッ。ないない。やっぱり美味い話はないわーと思ったら。
「最低3年間夫婦としていてくだされば返金は不要。その後の融資は年度末に返済済みとさせていただきます」
リサは思わずスティルの手を握って「その話、乗った!」と言いそうになったが堪えた。
額が大きすぎると人は二の足を踏むものだ。
「ち、父が帰宅しましたら問うてみますわ。オホホホホホホゥ」
良い返事をお待ちしておりますと言葉を残し、スティルは今日一番に頭を下げて戻って行った。
馬車を見送ったリサは傍にいた従業員に頼んだ。
「悪いんだけど、頬を思いっきりギュギューっと抓ってくれない?」
「こうですか?(むぎゅっ!)」
「いぃッ痛ぁぁい!そんなに強く抓らなくても!!」
涙目になってしまったが従業員はシレっと答えた。
「思い切りって言いましたやん」
抓られた痕が翌日痣になっていたのは言うまでもない。
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