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第09話 やってきました!侯爵家
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3日後、返事を聞くためにやってきたスティルはリサから「嫁ぎます」と待望の返事を聞いて飛び上がって喜んだ。
「リサ様のお部屋は新しく改装も致しました。内装に気に入らない点が御座いましたら何度でも作り替えますのでご用命を。早速ドレスなどを仕立てさせますのでお抱えの仕立て屋から採寸に向かわせます。宝飾品も気に入ったものを欲しいだけお選びくださいませ」
「そんなにして頂かなくても…。それよりも侯爵家の事は何も判らないに等しいので講師などを手配して頂いたほうが良いと思うのですが」
「いえいえ。もう嫁いで頂くだけで良いのですが手配いたしましょう。他に何か心配な事は御座いますか?」
「でしたら、申し訳ないんですけどお話をして頂いた事項を箇条書きにして確約書を作って頂きたいんです。信用していないわけではないのですけど」
「宜しゅうございます。えぇ。えぇ。口約束では心配ですよね」
スティルは直ぐに確約書を作り、リサの不安がないようにと全く同じ文面の書類をリサが持つ分と確認をすると教会に預けた。約束を違えることはないけれど、紛失などの場合も考えて万全の構えをしてくれた。
「お迎えは何時に致しましょう。全てリサ様のご予定に合わせます」
「それなんですけど、見ての通り1人抜けてしまうと仕事が滞るのでこちらに通いで来ることを許して頂きたいのです」
「通い…で御座いますか」
「無理ですか?」
「そうですねぇ。講師を呼ぶ日も御座いますしその点は主に確認をして参りますので返事をお待ち頂けますか」
「こちらが無理を言うので当然ですわ」
リサがカモク侯爵家に住まいを移したのはその会話を交わして2週間後。
毎日の通いは難しいが、カモク侯爵家から人を派遣し経理や営業なども助けてくれる事になった。
これで安心。と思ったのだがリサへの試練は初日から降りかかった。
カモク侯爵家に到着をすると使用人が温かく出迎えてくれたのだが、不貞腐れているのかレンダールはその場にいなかったのである。
「旦那様はその…申し訳ございません。言っておいたのですが」
「いいえ。構いません。お忙しいんでしょう。気にしません」
「そう言って頂けると。ではお部屋にご案内を致しましょう」
スティルに案内をされて、先ずはホールでリサの身の回りの世話をしてくれる3人を紹介してくれた。
側付きはベリー男爵家の双子姉妹ラーズとストロ。そして護衛は2人の兄でリンゴンである。
「奥様、お世話をさせて頂きますラーズ・ベリーです」
「私はストロ・ベリーです」
「私は2人の兄になります。お出かけの際など護衛を致しますリンゴン・ベリーと申します」
――おぉ。ベリー兄姉妹。美味しそうな名前だわ――
名前を呼ぶだけでお腹がグーと鳴いてしまいそうだが「こちらがお部屋になります」と部屋の扉が開くとなんとそこには先客がいた。
「だ、旦那様!!」
――え?この人がカモク侯爵?ほへぇ。襲われるのが判るわぁ――
そこには椅子に座って長い足を組んだ、それはそれは見目麗しい男性がいた。
「リサ様のお部屋は新しく改装も致しました。内装に気に入らない点が御座いましたら何度でも作り替えますのでご用命を。早速ドレスなどを仕立てさせますのでお抱えの仕立て屋から採寸に向かわせます。宝飾品も気に入ったものを欲しいだけお選びくださいませ」
「そんなにして頂かなくても…。それよりも侯爵家の事は何も判らないに等しいので講師などを手配して頂いたほうが良いと思うのですが」
「いえいえ。もう嫁いで頂くだけで良いのですが手配いたしましょう。他に何か心配な事は御座いますか?」
「でしたら、申し訳ないんですけどお話をして頂いた事項を箇条書きにして確約書を作って頂きたいんです。信用していないわけではないのですけど」
「宜しゅうございます。えぇ。えぇ。口約束では心配ですよね」
スティルは直ぐに確約書を作り、リサの不安がないようにと全く同じ文面の書類をリサが持つ分と確認をすると教会に預けた。約束を違えることはないけれど、紛失などの場合も考えて万全の構えをしてくれた。
「お迎えは何時に致しましょう。全てリサ様のご予定に合わせます」
「それなんですけど、見ての通り1人抜けてしまうと仕事が滞るのでこちらに通いで来ることを許して頂きたいのです」
「通い…で御座いますか」
「無理ですか?」
「そうですねぇ。講師を呼ぶ日も御座いますしその点は主に確認をして参りますので返事をお待ち頂けますか」
「こちらが無理を言うので当然ですわ」
リサがカモク侯爵家に住まいを移したのはその会話を交わして2週間後。
毎日の通いは難しいが、カモク侯爵家から人を派遣し経理や営業なども助けてくれる事になった。
これで安心。と思ったのだがリサへの試練は初日から降りかかった。
カモク侯爵家に到着をすると使用人が温かく出迎えてくれたのだが、不貞腐れているのかレンダールはその場にいなかったのである。
「旦那様はその…申し訳ございません。言っておいたのですが」
「いいえ。構いません。お忙しいんでしょう。気にしません」
「そう言って頂けると。ではお部屋にご案内を致しましょう」
スティルに案内をされて、先ずはホールでリサの身の回りの世話をしてくれる3人を紹介してくれた。
側付きはベリー男爵家の双子姉妹ラーズとストロ。そして護衛は2人の兄でリンゴンである。
「奥様、お世話をさせて頂きますラーズ・ベリーです」
「私はストロ・ベリーです」
「私は2人の兄になります。お出かけの際など護衛を致しますリンゴン・ベリーと申します」
――おぉ。ベリー兄姉妹。美味しそうな名前だわ――
名前を呼ぶだけでお腹がグーと鳴いてしまいそうだが「こちらがお部屋になります」と部屋の扉が開くとなんとそこには先客がいた。
「だ、旦那様!!」
――え?この人がカモク侯爵?ほへぇ。襲われるのが判るわぁ――
そこには椅子に座って長い足を組んだ、それはそれは見目麗しい男性がいた。
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