11 / 47
第11話 嫌よ嫌、嫌、子供じゃないのよっ!
しおりを挟む
「アララ~本当に出て行っちゃいました」
文句だけを言うのなら邪魔だし、説明ならスティルから聞けばいいので問題はないが本当に出て行くとはリサも思わなかった。
部屋を出て行ったレンダールを追いかけもしないスティルたちに問うと「放っておきましょう」と言われてしまったリサは「いいのかな?」と思いつつも予定が大幅に変わってしまったため軌道修正を余儀なくされた。
「うーん。侯爵夫人は適当って言うと変ですけど、ガッツリ役目を果たす必要は無くなったんですよね」
「はい。そうなります。申し訳ございません」
「スティル様が謝る事ではないと思うんですケド」
「そう言って頂けると。本当に困ったものです」
項垂れるスティル。
きっとレンダールの世話をずっとして来たんだろうな~
血は繋がってないし主従関係にはあるけど、子供のように思ってたんだろうな~
そう思うとレンダールよりもスティルに同情したくなってくるが同時に思う。
――いい歳した大人が嫌だ、嫌だ?周囲を困らせる子供かよ!!――
使用人に罪はない。
リサはグッと拳を握ってガッツポーズ。
「元気出しましょう!私も出来ることがあればお手伝いします!」
「奥様…」
「その奥様って言うのは堅苦しいので、リサ!と呼んでください。あとは…対外的にはレンタル奥様であることは気付かれてはいけないと思うので、講師の方から講義は受けますね」
「宜しいのですか?」
「宜しいも何も。突然キャンセルになったら講師の方も困るでしょう?ウチもね~困ったんですよ。見積もりに行って ”これは!” って品を引き取りの当日に他に頼んだからとか、やっぱり手元に置いときたいとか言われちゃうと。だって引き取りに行くのに他の予定を調整して時間作ったりしてましたし。なので講義は予定通りで!」
そしてリサはスティルやベリー兄姉妹に「他の方にもありのままを伝えて。但し他言無用で」と指示を出した。
「本当の侯爵夫人ではないんですけど、レンタル中は精一杯頑張ります!外から見て ”おやぁ?” って見破られないようにするには皆さんの協力も必要ですからね。手始めになんでもかんでも申し訳ございませんって謝るのは止めましょう」
「そうですね。解りました。リサ様の指示に従いましょう」
「では早速レンタル奥様として仕事をしたいんですが、侯爵家では食事はどうされていますか?」
「食事?旦那様の?」
「違いますよ。皆さんの食事です」
スティルたちは顔を見合わせて何故そんな事を聞くのだ?とリサに向かって首を傾げた。
「使用人の食事は旦那様にお出しする食事の毒味も兼ねて賄いで出しておりますが?」
――ふぉぉぉ。毒味。デンジャーな響きだわ――
リサとしてはあんなつっけんどんな態度のレンダールと2人で食事なんてしたくない。
美味しいものを美味しく食べたいのに目の前にフキハラ男がいたら味も半減してしまうのは目に見えている。
なら楽しく皆で食べられればいいなと導きだした答えが使用人と一緒に食べればいい!!毒味を兼ねるとなれば長年粗食で培ってきた特技が発揮できるのでは?!と喜んだ。
皆と一緒に食事も出来て一石二鳥じゃないか!
目が輝いた。
「じゃぁ、私も毒味に参加します!」
「そんな!奥様の食す食事でもあるんですよ?その毒味だなんて!」
「いいんです。こう見えて ”枯れすすき雑食系” ですから大抵のものは食べられます!」
<< 枯れすすき雑食系?! >>
「えぇ‥オヤツ代わりにニラ炒めを食べようと間違って水仙を食べた時は死ぬかと思いましたが見事復活!傷んでるな~と思ったけど行っちゃえ!と鮮度の落ちた魚の煮つけを完食し本当に逝くかと悶えた事もあります」
「壮絶な食生活だったんですね」
「えぇ!しかぁし!!乗り越えてきました。今では野に自生する草もキノコも口に入れた瞬間に危険度を察知できるようにもなったんです。火を通したから大丈夫なんて戯言ッ!レンタル奥様の初陣は毒味!!見事期待に応えてみせますわ」
ストロは思った。
野に自生する草なんて侯爵家で出されることは先ずないんだけどな。と。
文句だけを言うのなら邪魔だし、説明ならスティルから聞けばいいので問題はないが本当に出て行くとはリサも思わなかった。
部屋を出て行ったレンダールを追いかけもしないスティルたちに問うと「放っておきましょう」と言われてしまったリサは「いいのかな?」と思いつつも予定が大幅に変わってしまったため軌道修正を余儀なくされた。
「うーん。侯爵夫人は適当って言うと変ですけど、ガッツリ役目を果たす必要は無くなったんですよね」
「はい。そうなります。申し訳ございません」
「スティル様が謝る事ではないと思うんですケド」
「そう言って頂けると。本当に困ったものです」
項垂れるスティル。
きっとレンダールの世話をずっとして来たんだろうな~
血は繋がってないし主従関係にはあるけど、子供のように思ってたんだろうな~
そう思うとレンダールよりもスティルに同情したくなってくるが同時に思う。
――いい歳した大人が嫌だ、嫌だ?周囲を困らせる子供かよ!!――
使用人に罪はない。
リサはグッと拳を握ってガッツポーズ。
「元気出しましょう!私も出来ることがあればお手伝いします!」
「奥様…」
「その奥様って言うのは堅苦しいので、リサ!と呼んでください。あとは…対外的にはレンタル奥様であることは気付かれてはいけないと思うので、講師の方から講義は受けますね」
「宜しいのですか?」
「宜しいも何も。突然キャンセルになったら講師の方も困るでしょう?ウチもね~困ったんですよ。見積もりに行って ”これは!” って品を引き取りの当日に他に頼んだからとか、やっぱり手元に置いときたいとか言われちゃうと。だって引き取りに行くのに他の予定を調整して時間作ったりしてましたし。なので講義は予定通りで!」
そしてリサはスティルやベリー兄姉妹に「他の方にもありのままを伝えて。但し他言無用で」と指示を出した。
「本当の侯爵夫人ではないんですけど、レンタル中は精一杯頑張ります!外から見て ”おやぁ?” って見破られないようにするには皆さんの協力も必要ですからね。手始めになんでもかんでも申し訳ございませんって謝るのは止めましょう」
「そうですね。解りました。リサ様の指示に従いましょう」
「では早速レンタル奥様として仕事をしたいんですが、侯爵家では食事はどうされていますか?」
「食事?旦那様の?」
「違いますよ。皆さんの食事です」
スティルたちは顔を見合わせて何故そんな事を聞くのだ?とリサに向かって首を傾げた。
「使用人の食事は旦那様にお出しする食事の毒味も兼ねて賄いで出しておりますが?」
――ふぉぉぉ。毒味。デンジャーな響きだわ――
リサとしてはあんなつっけんどんな態度のレンダールと2人で食事なんてしたくない。
美味しいものを美味しく食べたいのに目の前にフキハラ男がいたら味も半減してしまうのは目に見えている。
なら楽しく皆で食べられればいいなと導きだした答えが使用人と一緒に食べればいい!!毒味を兼ねるとなれば長年粗食で培ってきた特技が発揮できるのでは?!と喜んだ。
皆と一緒に食事も出来て一石二鳥じゃないか!
目が輝いた。
「じゃぁ、私も毒味に参加します!」
「そんな!奥様の食す食事でもあるんですよ?その毒味だなんて!」
「いいんです。こう見えて ”枯れすすき雑食系” ですから大抵のものは食べられます!」
<< 枯れすすき雑食系?! >>
「えぇ‥オヤツ代わりにニラ炒めを食べようと間違って水仙を食べた時は死ぬかと思いましたが見事復活!傷んでるな~と思ったけど行っちゃえ!と鮮度の落ちた魚の煮つけを完食し本当に逝くかと悶えた事もあります」
「壮絶な食生活だったんですね」
「えぇ!しかぁし!!乗り越えてきました。今では野に自生する草もキノコも口に入れた瞬間に危険度を察知できるようにもなったんです。火を通したから大丈夫なんて戯言ッ!レンタル奥様の初陣は毒味!!見事期待に応えてみせますわ」
ストロは思った。
野に自生する草なんて侯爵家で出されることは先ずないんだけどな。と。
671
あなたにおすすめの小説
おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です
ワイちゃん
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる