28 / 47
第28話 3と3の倍数?いいえ1の倍数です
しおりを挟む
「何してんの。部屋が臭いと何度も言ってるでしょう?手を抜くんじゃないわよ」
今日もモナ伯爵夫人はイリーナの姿を見つけるとわざわざ近寄ってきて文句を言う。
「ホント、使えないわね。リサはもっと丁寧な仕事をしてたわよ?」
「すみません」
「謝ればいいってものじゃないのよ?コレだから特技が開脚の男爵娘は嫌なのよ」
イリーナは言い返す事が出来なかった。
実は1週間ほどモナ伯爵夫人に来いと言われても行かずに、両親には行った振りをしていた。
直接伯爵夫人が家にやってきて捲し立て、結婚式までの残り半年。奇数がつく日はモナ伯爵家に両親によって連れていかれる事になってしまった。
「奇数って!月終わりと月初めの31日と1日も?」
「当たり前でしょう?1と31。偶数に見えて?」
「み、見えません」
「馬鹿は馬鹿なりに数字は読めるのね。でも奇数よ。10~19も奇数はあるのよ、お判りね?」
「そんな!って事は9日から19日までって事ですか?」
「そうよ。10の位に1があるでしょう?いいのよ?偶数と言わず1の倍数にしてあげても」
――冗談じゃないわ。毎日になるじゃないの!――
イリーナは送迎は両親によってモナ伯爵家に確実に送り届けられ、伯爵家ではこき使われる事になってしまった。
「早くしなさい。竈の灰も片付けてなかったわよ?」
「で、でも、オムツ交換したばかりなんですっ」
「そう言うのは手早く済ませるのよ。後生大事に使用済みオムツ抱えてないで。今日やる事、終わってなかったら日付が変わってもやって貰うわよ。貴女の不手際なんだから帰れなくても文句は言わない事ね」
「ぐっ…はい」
イリーナは2人分のオムツの入った桶を伯爵夫人に放り投げてやりたい気持ちを抑え、廃棄庫にむかった。
★~★
モナ伯爵家としては婚約破棄とはなったけれど、ダメージは最小限に抑えたつもりだった。
イリーナは男爵家の出で、家にも大した金もなく力に至ってはないに等しい。
しかし、無償でこき使える使用人が増えたと思えば安いもの。
なのにこの状況は何だろうか。
1カ月も経たないうちに取引先は取引停止を言ってくるし、頭を下げても今までの10分の1まで取引の量を減らし、半年を目途に以後の取引は見合わせると言ってきた。
慰謝料は払ったのに。
相場よりかなり安い慰謝料ではあったけれどイクル子爵家がそれでいいと言ったので終わったはずなのに。
こんな事になるんだったら水面下でイクル子爵家にもっと上乗せをした慰謝料を払って時間はかかるが婚約は破棄ではなく解消にしておくんだったと嘆いたが後の祭り。
婚約破棄から2か月も経っていないのにモナ伯爵家は窮地に陥ってしまった。
先代の介護も介護商会に依頼をしても断られてしまうし、24時間ではなく12時間、8時間、6時間と交渉はしたが、代金は滞る事も無くきっちり払っているのに今週からは2日に1度、それも2時間のみになった。
先代伯爵夫妻は現役時代に老後の事を考えてかなり割増の積立金を払っていたので国からの年金額が破格に多いのだが、取引がなくなり収入が途絶えてしまうと年金を当てにするしかない。
「なぜこんなことに?」
調べてはみたが、婚約破棄でここまでペナルティを払った家はなくモナ伯爵夫妻は首を傾げた。
誰かが裏で糸を引いている、そんな気もするがされる覚えがない。
イクル子爵家にそんな芸当が出来る訳もなくモナ伯爵夫妻の疑問は大きくなるばかりだった。
今日もモナ伯爵夫人はイリーナの姿を見つけるとわざわざ近寄ってきて文句を言う。
「ホント、使えないわね。リサはもっと丁寧な仕事をしてたわよ?」
「すみません」
「謝ればいいってものじゃないのよ?コレだから特技が開脚の男爵娘は嫌なのよ」
イリーナは言い返す事が出来なかった。
実は1週間ほどモナ伯爵夫人に来いと言われても行かずに、両親には行った振りをしていた。
直接伯爵夫人が家にやってきて捲し立て、結婚式までの残り半年。奇数がつく日はモナ伯爵家に両親によって連れていかれる事になってしまった。
「奇数って!月終わりと月初めの31日と1日も?」
「当たり前でしょう?1と31。偶数に見えて?」
「み、見えません」
「馬鹿は馬鹿なりに数字は読めるのね。でも奇数よ。10~19も奇数はあるのよ、お判りね?」
「そんな!って事は9日から19日までって事ですか?」
「そうよ。10の位に1があるでしょう?いいのよ?偶数と言わず1の倍数にしてあげても」
――冗談じゃないわ。毎日になるじゃないの!――
イリーナは送迎は両親によってモナ伯爵家に確実に送り届けられ、伯爵家ではこき使われる事になってしまった。
「早くしなさい。竈の灰も片付けてなかったわよ?」
「で、でも、オムツ交換したばかりなんですっ」
「そう言うのは手早く済ませるのよ。後生大事に使用済みオムツ抱えてないで。今日やる事、終わってなかったら日付が変わってもやって貰うわよ。貴女の不手際なんだから帰れなくても文句は言わない事ね」
「ぐっ…はい」
イリーナは2人分のオムツの入った桶を伯爵夫人に放り投げてやりたい気持ちを抑え、廃棄庫にむかった。
★~★
モナ伯爵家としては婚約破棄とはなったけれど、ダメージは最小限に抑えたつもりだった。
イリーナは男爵家の出で、家にも大した金もなく力に至ってはないに等しい。
しかし、無償でこき使える使用人が増えたと思えば安いもの。
なのにこの状況は何だろうか。
1カ月も経たないうちに取引先は取引停止を言ってくるし、頭を下げても今までの10分の1まで取引の量を減らし、半年を目途に以後の取引は見合わせると言ってきた。
慰謝料は払ったのに。
相場よりかなり安い慰謝料ではあったけれどイクル子爵家がそれでいいと言ったので終わったはずなのに。
こんな事になるんだったら水面下でイクル子爵家にもっと上乗せをした慰謝料を払って時間はかかるが婚約は破棄ではなく解消にしておくんだったと嘆いたが後の祭り。
婚約破棄から2か月も経っていないのにモナ伯爵家は窮地に陥ってしまった。
先代の介護も介護商会に依頼をしても断られてしまうし、24時間ではなく12時間、8時間、6時間と交渉はしたが、代金は滞る事も無くきっちり払っているのに今週からは2日に1度、それも2時間のみになった。
先代伯爵夫妻は現役時代に老後の事を考えてかなり割増の積立金を払っていたので国からの年金額が破格に多いのだが、取引がなくなり収入が途絶えてしまうと年金を当てにするしかない。
「なぜこんなことに?」
調べてはみたが、婚約破棄でここまでペナルティを払った家はなくモナ伯爵夫妻は首を傾げた。
誰かが裏で糸を引いている、そんな気もするがされる覚えがない。
イクル子爵家にそんな芸当が出来る訳もなくモナ伯爵夫妻の疑問は大きくなるばかりだった。
622
あなたにおすすめの小説
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
オッドアイの伯爵令嬢、姉の代わりに嫁ぐことになる~私の結婚相手は、青血閣下と言われている恐ろしい公爵様。でも実は、とっても優しいお方でした~
夏芽空
恋愛
両親から虐げられている伯爵令嬢のアリシア。
ある日、父から契約結婚をしろと言い渡される。
嫁ぎ先は、病死してしまった姉が嫁ぐ予定の公爵家だった。
早い話が、姉の代わりに嫁いでこい、とそういうことだ。
結婚相手のルシルは、人格に難があるともっぱらの噂。
他人に対してどこまでも厳しく、これまでに心を壊された人間が大勢いるとか。
赤い血が通っているとは思えない冷酷非道なその所業から、青血閣下、という悪名がついている。
そんな恐ろしい相手と契約結婚することになってしまったアリシア。
でも実際の彼は、聞いていた噂とは全然違う優しい人物だった。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
後妻の条件を出したら……
しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。
格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。
だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。
しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる