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第29話 挙動不審あるある言いたい~
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「で?どうだったんだ?」
「はい。あの…ありがとうございます」
「何の礼だ?」
「侯爵様がリストアップしてくださった地です。保管場所としても十分な広さもありますし‥」
2週間ぶりにカモク侯爵家にやってきてレンダールと面会をしているのだが、とても夫婦の会話には思えない。
レンダールはムスっとしたまま向かいのテーブルでリサが父や兄、使用人と作ってきた計画書に目を通しながらリサの言葉を聞いたが…。
「礼はいい。そんな時間があれば質問に答えてもらお…貰いたいんだが」
「質問ですか?」
途中で言い方を変えるレンダールにリサは「お腹でも痛いのかな」と思いつつ返事を返した
「あぁ。先ずどうして個別の建屋にするんだ?しかも大きさがまちまちの建屋とはな」
「それは預かる荷物も利用者同士壁一枚隔てただけよりは安心できるかと思いまして」
「無駄だな。大きな倉庫にしてパーティションで区画すればいい。良いか?土地がないと言って手に入ったら無駄なスペースを作る。もう一度見直しをし(ろ)…たほうがいいんじゃないか」
レンダールの言葉も尤も。確かにその方法なら無駄もない。
リサの概念として大きな倉庫にして壁を作ってしまうと壁は動かないのでなら大きさの違う建屋を建てて入れる荷物の量に見合う建物を貸せばいいと考えてしまった。
衝立は人が簡単に動かせてしまうので却下にしたけれど、天井にレールを設置したパーティションで必要に応じて区切る、その発想はなかった。
「うぅ…確かにそうかもだけど言い方ってあるよね」
ボソッと聞こえるか聞こえないかの声でリサはボヤいてしまったがレンダールはどうやら地獄耳所有者らしい。
「何か言ったか?」
立ち上がり、テーブルに広げた書類をリサは纏めた。
「何でもないです。見直してきますね。また出直し――」
「見直しはここでも出来るだろう。必要なら…コホン。私が直接助言もするし」
「へ?」
――おやぁ?さっきまでキッ!って睨んでたのに何で恥ずかしがってるの?――
リサは目の前のレンダールを見て思う。
――イケメンのデレってのも眼福だわねぇ――
いかんいかん。今はイケメンよりも事業。
教えてくれると言うのなら儲けもの。なんたってレンダールに教えて貰うんだからダメ出しをされる事がない。
ムフフと心でニマっとしたリサはレンダールの向かいに再度腰を下ろし、纏めた書類をもう一度広げ「さて」と話しかけようとしたらレンダールから話しかけてきた。
「ところで…聞きたい事があるんだが」
「侯爵様が?私に?」
「先日友人に言われて…その…考えてみたんだ」
「ほぅ。侯爵様が?何をです?」
「先ずは…初日の自分の言動だ。あれは最低だった。申し訳ない」
レンダールは立ち上がると深く頭を下げるので、まさか謝罪が聞きたい事?したい事の間違いでは?リサはレンダールが言葉の使い方を間違っているのか?あのレンダールが?
そう思いつつもいきなり謝罪、そして頭を下げている事が信じられなかった。
「頭をあげてくださいっ」
「許して欲しいとは言わない。これは私が私のためにしているようなものだからな。でも悪いことをしたと悔いる気持ちがある事は態度で示しておかないといけないと考えたんだ。君の気が済むなら額を床に擦りつけるし、なんなら気が収まるまで私を踏みつけてくれてもいい」
「踏み?!そんな趣味はないので…」
「趣味だとしても!!私は受け入れる覚悟がある!」
――そんな性癖受け入れるの、こっちだよね?――
冷静沈着なレンダールがこんなに取り乱している姿を見たことが無かったリサは目の前のレンダールが実は歌劇あるあるの定番中の定番。
生き別れになった一卵性双生児の片方??どこで入れ替わった??あり得ない想像までしてしまった。
「許すとか許さないではなくですね、侯爵様の気持ちも全く判らない訳でもないですし、お金が必要だった私を助けてくれたんですから感謝してるんです。私も…レンタルでなんて言ってしまいましたから」
「そのレンタル奥様なんだが…取り決めもしてなかったな。何処までがレンタルなんだ?」
「どこまでって…えぇーっと…先ずは奥様のふりをしますよね、それと…」
「決まってないのなら取り決めをしたいんだが」
――どゆこと?――
リサにはレンダールの豹変ぶりが気味悪く思えた。
初見と同じく俺様風を貫いてくれた方がやりやすい。いきなり優男のような素振りをされてしまうと戸惑ってしまうではないか。
「あの…侯爵様、何か傷んだものでも食べました?」
「いや?至って普通の食事しかしていないが?」
「でも態度が明らかに違いますよね?挙動不審と言いますか」
「仕方がないだろう。私も初めての経験なんだ」
「事業がですか?」
「いや、告白だ」
「ふぇっ?!あれが告白?!」
「違う!今からするんだ!」
リサは「誰に?」とは怖くて聞けなかった。
「はい。あの…ありがとうございます」
「何の礼だ?」
「侯爵様がリストアップしてくださった地です。保管場所としても十分な広さもありますし‥」
2週間ぶりにカモク侯爵家にやってきてレンダールと面会をしているのだが、とても夫婦の会話には思えない。
レンダールはムスっとしたまま向かいのテーブルでリサが父や兄、使用人と作ってきた計画書に目を通しながらリサの言葉を聞いたが…。
「礼はいい。そんな時間があれば質問に答えてもらお…貰いたいんだが」
「質問ですか?」
途中で言い方を変えるレンダールにリサは「お腹でも痛いのかな」と思いつつ返事を返した
「あぁ。先ずどうして個別の建屋にするんだ?しかも大きさがまちまちの建屋とはな」
「それは預かる荷物も利用者同士壁一枚隔てただけよりは安心できるかと思いまして」
「無駄だな。大きな倉庫にしてパーティションで区画すればいい。良いか?土地がないと言って手に入ったら無駄なスペースを作る。もう一度見直しをし(ろ)…たほうがいいんじゃないか」
レンダールの言葉も尤も。確かにその方法なら無駄もない。
リサの概念として大きな倉庫にして壁を作ってしまうと壁は動かないのでなら大きさの違う建屋を建てて入れる荷物の量に見合う建物を貸せばいいと考えてしまった。
衝立は人が簡単に動かせてしまうので却下にしたけれど、天井にレールを設置したパーティションで必要に応じて区切る、その発想はなかった。
「うぅ…確かにそうかもだけど言い方ってあるよね」
ボソッと聞こえるか聞こえないかの声でリサはボヤいてしまったがレンダールはどうやら地獄耳所有者らしい。
「何か言ったか?」
立ち上がり、テーブルに広げた書類をリサは纏めた。
「何でもないです。見直してきますね。また出直し――」
「見直しはここでも出来るだろう。必要なら…コホン。私が直接助言もするし」
「へ?」
――おやぁ?さっきまでキッ!って睨んでたのに何で恥ずかしがってるの?――
リサは目の前のレンダールを見て思う。
――イケメンのデレってのも眼福だわねぇ――
いかんいかん。今はイケメンよりも事業。
教えてくれると言うのなら儲けもの。なんたってレンダールに教えて貰うんだからダメ出しをされる事がない。
ムフフと心でニマっとしたリサはレンダールの向かいに再度腰を下ろし、纏めた書類をもう一度広げ「さて」と話しかけようとしたらレンダールから話しかけてきた。
「ところで…聞きたい事があるんだが」
「侯爵様が?私に?」
「先日友人に言われて…その…考えてみたんだ」
「ほぅ。侯爵様が?何をです?」
「先ずは…初日の自分の言動だ。あれは最低だった。申し訳ない」
レンダールは立ち上がると深く頭を下げるので、まさか謝罪が聞きたい事?したい事の間違いでは?リサはレンダールが言葉の使い方を間違っているのか?あのレンダールが?
そう思いつつもいきなり謝罪、そして頭を下げている事が信じられなかった。
「頭をあげてくださいっ」
「許して欲しいとは言わない。これは私が私のためにしているようなものだからな。でも悪いことをしたと悔いる気持ちがある事は態度で示しておかないといけないと考えたんだ。君の気が済むなら額を床に擦りつけるし、なんなら気が収まるまで私を踏みつけてくれてもいい」
「踏み?!そんな趣味はないので…」
「趣味だとしても!!私は受け入れる覚悟がある!」
――そんな性癖受け入れるの、こっちだよね?――
冷静沈着なレンダールがこんなに取り乱している姿を見たことが無かったリサは目の前のレンダールが実は歌劇あるあるの定番中の定番。
生き別れになった一卵性双生児の片方??どこで入れ替わった??あり得ない想像までしてしまった。
「許すとか許さないではなくですね、侯爵様の気持ちも全く判らない訳でもないですし、お金が必要だった私を助けてくれたんですから感謝してるんです。私も…レンタルでなんて言ってしまいましたから」
「そのレンタル奥様なんだが…取り決めもしてなかったな。何処までがレンタルなんだ?」
「どこまでって…えぇーっと…先ずは奥様のふりをしますよね、それと…」
「決まってないのなら取り決めをしたいんだが」
――どゆこと?――
リサにはレンダールの豹変ぶりが気味悪く思えた。
初見と同じく俺様風を貫いてくれた方がやりやすい。いきなり優男のような素振りをされてしまうと戸惑ってしまうではないか。
「あの…侯爵様、何か傷んだものでも食べました?」
「いや?至って普通の食事しかしていないが?」
「でも態度が明らかに違いますよね?挙動不審と言いますか」
「仕方がないだろう。私も初めての経験なんだ」
「事業がですか?」
「いや、告白だ」
「ふぇっ?!あれが告白?!」
「違う!今からするんだ!」
リサは「誰に?」とは怖くて聞けなかった。
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