侯爵様、契約妻ではなくレンタル奥様です

cyaru

文字の大きさ
30 / 47

第30話  安心してください!オプションですよ

しおりを挟む
耳まで真っ赤にしたレンダールは「レンタル奥様の許容範囲」が聞きたいらしい。
リサはそう判断した。

「先ずですね、大事な事なので先にお伝えしますが、おさわり禁止です」

「奥様なのに?触れてはいけないのか?」

「キャバクラやおさわりバーではないので。でも全くというわけではないんです。侯爵様は夜会にも夫人同伴とかあると思うので、その時に距離を取ったままですと周囲に不和を感じさせます。周囲の目を欺く程よい距離までは許容範囲内です」

「それは…手を繋いだり、場合によっては腰を…抱いても?」

「そうですね。手はエスコートする場合に限り必要ですからね。でもダンスはステップも碌に踏めませんので除外しますから腰を抱くことはないかと。当然閨活動、安心してください!御座いませんよ」

――あれ?どうしてガックリ項垂れてるの?――

その点は最初に破瓜の証は破ってしまうと再生不能なのでレンタル妻の契約範囲外と伝えたし、理解してくれたものだと思っていたのに何故ガッカリ?

――あぁ、そうか!高級娼館の娼婦はお高いもんね――

『お座敷の中の事は外には漏らしまへん』いつぞやリサが見た青空芝居の歌劇で遠い異国の芸妓役の役者が言ってたな~と思い出す。高級娼婦は芸妓と同様に口が堅い事で有名なのだ。

噂では『イッツ・ア・ヘヴン』に導いてくれる技が多種多様なのに、それを武器に愛人にしてくれと言う事も無いし、避妊もしっかりしてくれる。その上で秘密厳守なのだからお値段が高いと聞く。

リサは勿論未利用で今後も利用する予定はないが、きっとレンダールは余りのお値段に月に1回が利用の限界を感じ、リーズナブルなレンタル奥様を代わりにしようと思ったのだろうと想像した。

「では名前を。侯爵と呼ぶのも面倒だろう?」

「いえいえ。とんでもないです。今からの愛称呼びは錯誤を引き起こしますのでオプションです」

「オ、オプション?!」

「はい!当初から愛称呼びならまだしも、今からとなると言い間違いもありますしね。慣れって怖いんですよ?注意しててもうっかりを引き起こします。これでお互いより強く一線を画すことが出来ますねッ(ぶぃっ!)」

「ならば食事はどうだろう」

「安心してください!そちらもオプションになりました」

「そ、それもオプション」

「はい。不要だったようなので…ほら。今色々と街中で契約すると期間限定で色んなサブスクサービス受けられるじゃないですか。でも無料期間終了前に解約しとかないとそれぞれのサブスクから料金請求されて ”聞いてない!” と問題になってたりしますよね。1つ1つは980ルカ、2000ルカですけども積もれば結構な額ですし。それと同じと思って頂ければ。不要なサービスは除外したので今は食事、オプションです」

――あるぇ?なんでさらにガックリ度が増してるの?――

「あ、心配ですよね。でも安心してください!」

「全く安心できないんだが、どんな安心だろう」

「融資額なんですけど無料オプションを外した分は減額をスティルさんに申し出ていますので、契約時の満額じゃないですよ?ちゃーんと無駄は省いてます!(えへん)」

「む、無駄…」


安心させるためにリサが吐く言葉全てがレンダールを落ち込ませていく。
リサもまた、「もしかして事業のレクチャー分を差し引かないといけなかった?!」と、慌てた。


レンダールはバルト伯爵に散々に言われた。

初日の言動は人としてあり得ないと言われ、直ぐに謝罪をするようにと。
そして、仲良しさんになりたいのなら夫婦として関係を築き直すこと。
その為には先ずレンタル奥様という立場を改めて、夫人として妻として扱う事。
まどろっこしい事をせずに、真っすぐに向き合う事。

しかし、いまさら感が半端ないとレンダールは考えた。
再構築をするにあたり、レンタル奥様としてのリサとの距離をゆっくりと縮め、契約更新の時には「もう普通に夫婦だよね」と思えるくらいには誠心誠意尽くそうと思ったのだ。

なのに食事も愛称もダメだなんて。


「どうしました?侯爵様。気分が悪いんですか?」

「大丈夫だ。知らない間に無料期間を無駄にしてしまった自分を呪っていた」

「侯爵様、呪術にも手を出しているんですか?錬金術や魔法と同じで空想の産物ですよ?」

リサは本気でレンダールが呪術なんてものを信じてしまっている。だからこんな突然別人のようになってしまったのか?と考えた。

勿論違う。
レンダールは顔を覗き込んできたリサの手を取った。
バルト伯爵の言ったように回りくどい事を言っても仕方がない。

――ストレート勝負だ!――

意を決しレンダールは握った手に祈るようにして告白した。

「どうやら私は君の事を愛してしまったようなんだ。こんな私と‥もう一度最初から結婚をやり直してくれないか」

リサはクワッと目を見開いた。

「え?契約の全面見直し?ま、待って下さい。既に2回融資も受けているのですけどその扱いどうなります?」

リサには決死の告白が全く届いていなかった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました

おりあ
恋愛
 アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。 だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。  失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。  赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。 そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。  一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。  静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。 これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。

離婚が決まった日に惚れ薬を飲んでしまった旦那様

しあ
恋愛
片想いしていた彼と結婚をして幸せになれると思っていたけど、旦那様は女性嫌いで私とも話そうとしない。 会うのはパーティーに参加する時くらい。 そんな日々が3年続き、この生活に耐えられなくなって離婚を切り出す。そうすれば、考える素振りすらせず離婚届にサインをされる。 悲しくて泣きそうになったその日の夜、旦那に珍しく部屋に呼ばれる。 お茶をしようと言われ、無言の時間を過ごしていると、旦那様が急に倒れられる。 目を覚ませば私の事を愛していると言ってきてーーー。 旦那様は一体どうなってしまったの?

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

陶器の人形は夢を見る

透明
恋愛
愛人に夢中な王子に愛想をつかして婚約者の侯爵令嬢ソフィアは逃げ出すことを決めた。 王子と愛人はまだ知らない。 自分達に地獄が待っていることを・・・ あなたは私を『陶器の人形』と言うけど陶器の人形にだって感情はあるのよ。

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。

千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。 だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。 いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……? と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

処理中です...