侯爵様、契約妻ではなくレンタル奥様です

cyaru

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第37話  そこから先はキャンセルぅ~

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「凄い。ほとんどなくなったわ」

「これはね、競争意識も利用させてもらったんだよ」

「競争意識?早くしないと無くなっちゃうって?まだ沢山あるのに?」

「そう。廻りが契約をしていくと自分も急がなきゃ!って思ってしまう。新品の方も後で見に行こうと思っていてもこれだけの行列になると戻った時にないかも知れない。そんな焦りも競争で生まれるんだ」

「そうなのね。侯爵様は色々と考えてくれるから本当に助かります」

「リサに褒められると嬉しいな。今夜の夕食も一緒だともっと嬉しいんだが」

「じゃぁ食べて行かれます?侯爵家のようなご馳走はないんですけど」

考えていた夕食とは違うけれどレンダールは2つ返事で夕食をご馳走する事にしたのだが、会場の片付けも終わり最後の戸締りをするためにリサとレンダールが歩いていると騎乗したリンゴンが大声をあげてやってきた。騎乗したリンゴンはレンダールに急ぎの連絡を持ってやってきた。


「旦那様ぁ!!リサ様ぁ!!」

ドドド。馬が土ぼこりをあげて近寄って来るとまだ完全に止まっていないのにリンゴンは馬の背から飛び降りるとレンダールの前に来て小さく礼をした。

「どうしたんだ。リンゴン」

「大変です。城から使いが参りました」

「城から?」

「はい。シシリー王女が帰国されたため、登城するようにと」

「なんで私が?何の用があるんだろうか」

レンダールに判らないのにリサとリンゴンに判る筈もない。
シシリー王女はレンダールの元婚約者でもあるが、何故帰国してきたのか。レンダールは知っているようだがこちらもリサとリンゴンには解らなかった。


「リサ。今日の夕食なんだが」

「キャンセルですね。大丈夫ですよ」

「キャンセルはキャンセルなんだが、義父上と義兄上との食事をリサがキャンセルして欲しいんだ」

「え?私が?(今日は好物のスープなんだけどなぁ)」

「勝手を言ってすまない。大事な話があるんだ」

「ここでは言えないのですか?リンゴンさんは誰かに喋るような人ではないですよ?」

「解っている。リンゴンは私の大事な部下だからな。しかし…」

「仕方ありません。侯爵様は今日、クマの着ぐるみ頑張ってくれましたし助かりました。今日は侯爵家に戻ります。リンゴンさん、申し訳ないのですけど父と兄に今日は侯爵家にいると伝えてくださいます?心配すると思うので」


リンゴンがイクル子爵家に向かうと小ぶりの馬車がレンダールを迎えにやってきた。リサとレンダールは馬車に乗り込み侯爵家に向かったが、御者にも秘密なのかレンダールはリサに何も教えてくれなかった。
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