侯爵様、契約妻ではなくレンタル奥様です

cyaru

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第41話  すぎちょびれ、やれかきすらの

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「侯爵様、私は何をすればいいんでしょうか」

リサには夕食に招かれてリサの力でどうしようもない事を語られても困るだけ。

イクル子爵家の財政だって力及ばすでいうなれば身売りのような結婚をチョイスしたのだ。レンタル奥様の業務を軽く超えた国の経済なんて面倒見切れないし。

「急な話で悪いが3日後に登城する。その時に隣にいてくれればいい」

「両陛下も結婚は滞りなく手続きも済んでいると思っているんですよね」

「そう言う事だ。私としては出来れば…今からでも一緒に貴族院に行き届を出したいがな」

「夜に出歩くものじゃありません。悪魔が来りてピーヒャラピーヒャラ。笛を吹きますよ?」

「2つばかり混在しているようだが‥リサだから許そう」

――すん、貴方に許しを貰う必要はないんだけど――

騙している訳ではないが、貴族の結婚は貴族院が管理をしている。
結婚や離縁を正式に認めるのが貴族院。届を出すのは当該貴族。

「この2人、結婚しましたかね?」と調べようと思えば調べられるが、言ってみれば他家の住民届を確認するのと同じなので「結婚しましたよ」と口頭や手紙で知らされれば届が出ているかまで調べる者はいない。

なので、リサは初日にレンダールに言ってある。

3年ほど経った時に届が出てないとか言われても ””あるぇ?届出してなかったっけ?” すっ呆ければいいと。


「って事は、レンタル奥様の本領発揮!という訳ですね?」

「毎日フルスロットルで発揮してくれているが、そう言う事だ。登城まで時間は少ないがスティルたちに立ち振る舞いなどをおさらいしてもらえるとありがたい」

「お任せください!ハシビロコウのように何時動く?というカーテシーを披露してみせますわ!早速ですが侯爵様、貸していただきたいものが御座います」

「私がリサにレンタル?何だろうな。愛情は貸すものじゃないぞ?私のリサへの愛は無限大だから注ぎっぱなしなんだが、増量にもすぐ対応できる(てへっ)―――ってリサ?聞いてるか?」


デレるレンダールの言葉などリサは聞いてはいない。
スイカのデザート、残りを一気に口の中に押し込みあふれ出る果汁が飛び出そうなのを必死に堪えていた。ちょっと気を抜くと唇の隙間から飛び出てしまう。

手で口を隠すのと、口に運ぶときに手皿は食事中のご法度。
かの日、講師にギュー!っと抓られて教えられたのを忠実に守っていた。

「もっもっもっ…」

「あの、リサ?聞いてたか?」

「もっもっもっ…(ごくっ)ふはぁ…え?何です?あ、そうそう、何を借りるかですよね」

――聞いてなかったのか…恥ずかしかったんだけどな――

「そうだな。何を貸せばいいんだ?私の愛じょ――」

「以前にも侯爵家で講師の方に教えて頂いた時、筋力養成ギプスが必要だと思ってましたが、侯爵家って…巨星なんですよね」

「巨星…(良かった去勢じゃなくて)」

「そう!言っておきますが星です。ではないです。ハッパフミフミではないので」

――そちらとは間違ってない自信があるから教授に3000点だ――


「ハシビロコウに成りきるには試練を超えねばなりません。なのでお屋敷にある一番重たいコンダラ!通称転圧ローラーを貸して頂きたいんです!」

「一番重い…愛ではなく?」

愛ならすぐにご用意できますが?とレンダールは思うが、どうやら御所望は愛ではないようだ。
リサの言う「コンダラ」はリサの手振りからするとリヤカーのように引いている感じだ。

”思い込んだら” と ”重いコンダラ” を間違っている訳ではない。
ちゃんと区別しているしているが、言い方に問題があっただけだ。

しかしリサの言い間違い、勘違いなどレンダールには問題にもならない。

「転圧ローラーはリサの手が痛くなる。私が筋力作りに使っているバーベルを貸そう」

「バーベル?ダメですよ。筋肉をパンプさせたい訳じゃないんです。乳酸が貯まると疲労感を感じるのでハシビロコウ倒れる!になっちゃいます」

レンダールは思った。
転圧ローラーを人力で5m引く方がよっぽど乳酸は溜まるのに。と。
しかし、それすら可愛いと思えるのだからもう病気だ。とも。
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