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第44話 毒杯がお好きでしょ
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「甘えた事を言ってるんじゃないわ!ただでさえバカ高い税金払ってるのに、この上事業を寄越せだぁ?寝言は寝てから言うものよ!廃棄する品だってくれてやる気なんか微塵もないわ!」
「ぶ、無礼だぞ!」
「どっちが無礼よ!私はね!多くの従業員の生活背負ってんのよ!貴方、国王でしょ?民衆がどんな生活してるか知っててモノ言ってんの?!」
「わ、私は国王だっ!」
「だからなんだってんのよ!その国王様がッ!知ってるのかと聞いてるの。知っててこんな寝言をほざくならさっさと引退しなッ!知らずにのたまってるんなら解るまで自分の足で国内を歩いて!その曇った老眼で!ガッツリ見てからモノを言いなッ!」
ダンッ!足を入れ替えたのはちょっと疲れたからである。
支える軸足を入れ替えたリサは国王にとどめを刺した。
「国王ってのはね、末端の人間の生活を背負える者がする仕事よ!娘の生活1つ面倒見切れない老害なんかお呼びじゃないのよ!」
「貴様ぁ!不敬罪!不敬罪だっ!この者を捕らえよ!牢にぶち込んでおけ!」
国王の怒鳴り声が響くが騎士は1人も動かない。
「何をしている!」国王は叫ぶが、騎士たちは国王ではない方向を見ていた。
「そこまでですよ。彼女は間違ったことを何1つ言っていない。彼女を投獄する理由。民に説明できますか?シシリーの失態を公表できずにいる貴方に」
騎士たちは入ってきた男性に礼をした。
「遅いじゃないか」
「すまない。公爵と共にワインの選定に手間取ってね」
入ってきた男は王太子。レンダールは知っているようだがリサはみた事があるような、ないような。
ハッと気がついたが直ぐに首を傾げた。
――似てる気はするんだけどなぁ――
それもそのはず。
リサの知る王太子は王家一家の肖像画にある姿だけで、その肖像画は先代国王の時代のもの。
目の前にいる王太子は24、25歳くらいだが、肖像画の王太子は2,3歳である。
それにこんな時にワインの選定ってどうなんだ?と思ってしまうがレンダールの受け取り方は違ったようだった。
「では侯爵家当主として見届け人になる」
王太子に応えたのだ。
――見届け人?ホストテイスティングじゃなくて?――
ワインはよく飲んでいるのかカモク侯爵家にも貯蔵庫がある。
しかしなんとなくワインはワインでも違うような気がしたが、レンダールを見て目が合っても微笑むだけで全く答えが導き出せない。
「この者を捕らえよ」
王太子が騎士に命じると騎士は国王の元に行き、腕を後ろにねじ上げた。
「私、私を捕らえると言うのか?何故だ?私は国王だ。国王なんだぞ?」
「だからこそです。国王でありながら保身しか考えず、こうやって今も帝国には伯爵家に降嫁させました。地味に平民相手に商売をさせていますとするつもりでしょう?しかも他人が築き上げようとしているものを奪って」
「ぐっ」
「国王なのに貴方は知らないでしょう。ここにいるカモク侯だけでなく多くの貴族が貯えた財を現状維持するために放出している事も、帝国はじめ諸外国との関係をなんとか繋ぎとめようと尽力している事も」
「私に黙ってしている事だろう。自主的に行う事まで私は制限したりしないだけだ」
「でしょうね。自分の欲望にもこれだけ忠実なんだから。シシリーを獣と仰ってましたが、貴方も十分に獣です。しかも害獣だ。どんな獣でも自然の中では連鎖の役割を担っているが貴方は存在が害獣なんですよ。何の役にも立たないなら大人しくしておけばいいのに暴れまわる。迷惑でしかないんです」
王太子は国王の目の前に行くと騎士は国王の頭に手を置いて下げさせた。
国王を見下ろした王太子は「最後の仕事がある」国王に告げた。
「帝国も一国の国王がその命で償うのなら、と話は付けてあります。害獣にも害獣の使い道があって良かったですよ。最期だけは民のために潔く。解りますよね」
「い、嫌だ。なら当事者のシシリーに!!」
「アレにはアレの責任を取らせますので貴方が口出しする事もありませんよ。連れて行け」
国王が連行されていくとショーは我に返ったようにシシリーを突き飛ばした。
「ぶ、無礼だぞ!」
「どっちが無礼よ!私はね!多くの従業員の生活背負ってんのよ!貴方、国王でしょ?民衆がどんな生活してるか知っててモノ言ってんの?!」
「わ、私は国王だっ!」
「だからなんだってんのよ!その国王様がッ!知ってるのかと聞いてるの。知っててこんな寝言をほざくならさっさと引退しなッ!知らずにのたまってるんなら解るまで自分の足で国内を歩いて!その曇った老眼で!ガッツリ見てからモノを言いなッ!」
ダンッ!足を入れ替えたのはちょっと疲れたからである。
支える軸足を入れ替えたリサは国王にとどめを刺した。
「国王ってのはね、末端の人間の生活を背負える者がする仕事よ!娘の生活1つ面倒見切れない老害なんかお呼びじゃないのよ!」
「貴様ぁ!不敬罪!不敬罪だっ!この者を捕らえよ!牢にぶち込んでおけ!」
国王の怒鳴り声が響くが騎士は1人も動かない。
「何をしている!」国王は叫ぶが、騎士たちは国王ではない方向を見ていた。
「そこまでですよ。彼女は間違ったことを何1つ言っていない。彼女を投獄する理由。民に説明できますか?シシリーの失態を公表できずにいる貴方に」
騎士たちは入ってきた男性に礼をした。
「遅いじゃないか」
「すまない。公爵と共にワインの選定に手間取ってね」
入ってきた男は王太子。レンダールは知っているようだがリサはみた事があるような、ないような。
ハッと気がついたが直ぐに首を傾げた。
――似てる気はするんだけどなぁ――
それもそのはず。
リサの知る王太子は王家一家の肖像画にある姿だけで、その肖像画は先代国王の時代のもの。
目の前にいる王太子は24、25歳くらいだが、肖像画の王太子は2,3歳である。
それにこんな時にワインの選定ってどうなんだ?と思ってしまうがレンダールの受け取り方は違ったようだった。
「では侯爵家当主として見届け人になる」
王太子に応えたのだ。
――見届け人?ホストテイスティングじゃなくて?――
ワインはよく飲んでいるのかカモク侯爵家にも貯蔵庫がある。
しかしなんとなくワインはワインでも違うような気がしたが、レンダールを見て目が合っても微笑むだけで全く答えが導き出せない。
「この者を捕らえよ」
王太子が騎士に命じると騎士は国王の元に行き、腕を後ろにねじ上げた。
「私、私を捕らえると言うのか?何故だ?私は国王だ。国王なんだぞ?」
「だからこそです。国王でありながら保身しか考えず、こうやって今も帝国には伯爵家に降嫁させました。地味に平民相手に商売をさせていますとするつもりでしょう?しかも他人が築き上げようとしているものを奪って」
「ぐっ」
「国王なのに貴方は知らないでしょう。ここにいるカモク侯だけでなく多くの貴族が貯えた財を現状維持するために放出している事も、帝国はじめ諸外国との関係をなんとか繋ぎとめようと尽力している事も」
「私に黙ってしている事だろう。自主的に行う事まで私は制限したりしないだけだ」
「でしょうね。自分の欲望にもこれだけ忠実なんだから。シシリーを獣と仰ってましたが、貴方も十分に獣です。しかも害獣だ。どんな獣でも自然の中では連鎖の役割を担っているが貴方は存在が害獣なんですよ。何の役にも立たないなら大人しくしておけばいいのに暴れまわる。迷惑でしかないんです」
王太子は国王の目の前に行くと騎士は国王の頭に手を置いて下げさせた。
国王を見下ろした王太子は「最後の仕事がある」国王に告げた。
「帝国も一国の国王がその命で償うのなら、と話は付けてあります。害獣にも害獣の使い道があって良かったですよ。最期だけは民のために潔く。解りますよね」
「い、嫌だ。なら当事者のシシリーに!!」
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