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エリック渾身の舞
クラリス・タッド・ルシテアは困惑をしている。
人は驚くと叫び声をあげたり、気を失ったりするそうであるが、本当に驚くと夢と現実の境界が判らなくなるのだなと。
先にエリックに湯あみをしてもらい、寝台を整えた。
まだ一度も目の前の寝台で横になった事はない。
多分、ダイブすればボーンボーンっと気持ちよく跳ねる事が出来るだろうと容易に想像させるスプリング。枕はギュッと押すとゆっくりと形が戻ってくる低反発。
掛け布団は夢の羽毛。カバーの色はピンクである。
そこに湯あみをして【掛け布団を巻き付けた】エリックがやってきた。
「あの、閣下?それはいったい…」
「君は知らないだろうと思うが、実はこの掛け布団とその掛け布団は色違いなんだ」
――見ればわかります。柄は同じだけどそちらはブルーですよね――
「街角でね。今なら分割手数料も24回払いまでの金利も無料だと言うんで買った」
「手数料…まぁ手数料とか金利はバカになりませんしね」
「そうなんだ。だから一括で買ったよ」
――それ、お得感ゼロってやつですよね。いえ良いんですけど――
「実はあの夜、君を抱っこしていた感触に似てたから買ったんだ」
「え‥‥抱っこ?抱っこってなんですか?」
「君は記憶を失ってしまうほど泥酔してたからねぇ…」
「あぁ、申し訳ありません。とんだご迷惑を!!」
「いいんだ。凄く得した気分になったし、君はぷにぷにしてたよ」
――それ、遠回しに私のお腹がタプタプしてると言いたいとか?――
「君の名誉のために言っておくが、僕はあの夜は抱っこしただけだ」
エリックはこういう風に抱っこしていたと手で示しているがクラリスは顔色が悪い。
つまりはホントに子供が前抱っこしてもらうように大股開きでかっつりと抱き着いてた状態である。
「ホントに、ホントに申し訳ございませんっ」
「いいんだよ。面白い物も見られたしね」
――何を?何を見たの?まさか、おパンツの中とか?それ面白い?――
「な、何を見られたのです?」
「これ(くいっ)」
――何?手首を招き猫みたいにしてるけど、それは何なの?――
「ネコみたいで可愛かったよ」
「閣下は‥‥猫がお好きなのですか?」
「まぁ、似たようなものだからね」
「似たようなものと言いますと…猫ではなくて…」
「そうだね。お気に入りは ウンピョウ かな」
――猛獣ですね‥‥ネコ科ではありますけど・・――
「僕は隠し事は好きじゃないし、あの時言っていたらと後悔はしたくないタイプなんだ。僕の告白を聞いて欲しい」
――WHY?寝付かれないんですか?電話なってませんけど――
「怒らないで欲しいんだが、僕は片付けられない男なんだ」
――そっちですか(ほっ)知ってます。それ今さらなカミングアウトです――
「あと、僕は気にしないけど、服とかも拘りがないんだ」
――知ってます。拘りがないんじゃなく、需要がないレベルですよね――
「でも、仕事は出来る限りの事はしようと思ってるんだ」
――良い心がけです。陛下がお聞きになったら喜ばれるでしょう――
「ルテシア君、いやクラリスと呼んでも?」
「は?‥‥どういう意味でしょう?」
「見て欲しいんだ。僕の全てを!」
バっと巻き付けていた掛け布団(@ブルー)を取ると全裸のエリック登場!
掛け布団の端を両手で持って万歳のポーズ!
――いったい何?何が始まったの?――
困惑するクラリス。しかしエリックは真剣な表情でクラリスの周りを華麗にジャンプしながら回る。時折、グッと丸まってバッと広がる!
まさにバレエの男性ダンサーの見せ所のヴァリエーション!!ダブル・トゥール・アン・レール!
空中で2回転をしながら最後は片足を後ろに伸ばしアラベスク・アロンジェで決める。
最後の決めポーズの前に手から離れた掛け布団がゆっくりと床に落ちる。
かなり高度な技なのだが、いかんせん【全裸】である。
屋外で行ったら間違いなく逮捕される案件である。
「あの‥‥これはいったい…」
「ハァハァ‥‥ハァハァ‥‥」
「だ、大丈夫ですか?閣下…あの…これは何ですの?」
【クジャクの求愛行動をしてみた】
勤務初日の夜。突然見せられる全裸の求愛ダンス。
困惑をするな、現実を見ろ!と言われるのが酷な状況である。
そして、目の前のエリックはまだ息を切らせながらも全裸。
くるりと背を向けると立位体前屈の姿勢でクラリスに尻を向けて掛け布団を取る。
当然、危険な部分は丸見えである。
掛け布団を手にしたエリックはクラリスの前に跪いて手を取った。
「君には隠し事はしたくない」
――いえ、是が非でも隠して欲しいくらいです――
「あのバーで手首の角度をかわきりに一目惚れをした。妻になってくれ」
「えっ…あの…えーっと…手首?角度?」
エリックはニャオンとポーズを取る。
ちょっと可愛い?と思うが全裸である事を考慮すると気の迷いだとクラリスは瞬時に打ち消す。
【求愛の舞が足らなかったか?!】
――いえ、もう十分です。と言いますがせめて前を隠してください――
「返事は急がない。その為に君をここに配属してもらった。時間は十分にある」
「えぇぇっ?」
「気にするな。ただの職権乱用だ。皇帝はそのために存在する」
――皇帝陛下の使い道って職権乱用なの?――
そう言い立ち上がると、クラリスの肩をくるりと回して寝台へグイグイ押していく。
「では、明日もよろしく頼むよ」
「は、はぁ…」
「おやすみ Sono pazzo di te!」
【君のことが頭から離れない】と、いう愛の言葉をイタリア語で囁かれる。
――この男、一体何者なの?――
全裸のままで寝袋におさまってしまうエリックを遠い目で見る事は失礼ではないはずだ。
激動の夜を終え、翌朝。
クラリスは目の前の現実に思わず現実逃避をしてしまいそうになった。
寝袋から出てきたエリックは、生まれたままの格好でストレッチをしていた。
ブリッジをしながら挨拶をするエリック。
「おはよう。クラリス。気持ちのいい朝だね」
――それさえなければ――
しかし現実に戻る時が来る。
ストレッチを終え、そのまま自室ではなく廊下に出ようとするエリックを目視で確認!!
【お待ちください!!宰相閣下!】
ドアノブに手をかけた所でエリックが振り向く。
まだドアは開けられていない。セーフである。
「お、お召し物を!ドアはあちらです!」
「え?服?‥…いいよ面倒だから」
「ダメです!ちゃんと服に着替えるんです!」
「でも、どうせ夜になれば湯あみで脱ぐだろう?」
間違いではない。夜になり湯あみをする時には確かに服は脱ぐ。
だが!それではダメなのだ。
「ちゃんと服を着ないと、求婚のお返事は致しませんよ」
「着ます」
秒殺の返事が返ってきたのだった。
人は驚くと叫び声をあげたり、気を失ったりするそうであるが、本当に驚くと夢と現実の境界が判らなくなるのだなと。
先にエリックに湯あみをしてもらい、寝台を整えた。
まだ一度も目の前の寝台で横になった事はない。
多分、ダイブすればボーンボーンっと気持ちよく跳ねる事が出来るだろうと容易に想像させるスプリング。枕はギュッと押すとゆっくりと形が戻ってくる低反発。
掛け布団は夢の羽毛。カバーの色はピンクである。
そこに湯あみをして【掛け布団を巻き付けた】エリックがやってきた。
「あの、閣下?それはいったい…」
「君は知らないだろうと思うが、実はこの掛け布団とその掛け布団は色違いなんだ」
――見ればわかります。柄は同じだけどそちらはブルーですよね――
「街角でね。今なら分割手数料も24回払いまでの金利も無料だと言うんで買った」
「手数料…まぁ手数料とか金利はバカになりませんしね」
「そうなんだ。だから一括で買ったよ」
――それ、お得感ゼロってやつですよね。いえ良いんですけど――
「実はあの夜、君を抱っこしていた感触に似てたから買ったんだ」
「え‥‥抱っこ?抱っこってなんですか?」
「君は記憶を失ってしまうほど泥酔してたからねぇ…」
「あぁ、申し訳ありません。とんだご迷惑を!!」
「いいんだ。凄く得した気分になったし、君はぷにぷにしてたよ」
――それ、遠回しに私のお腹がタプタプしてると言いたいとか?――
「君の名誉のために言っておくが、僕はあの夜は抱っこしただけだ」
エリックはこういう風に抱っこしていたと手で示しているがクラリスは顔色が悪い。
つまりはホントに子供が前抱っこしてもらうように大股開きでかっつりと抱き着いてた状態である。
「ホントに、ホントに申し訳ございませんっ」
「いいんだよ。面白い物も見られたしね」
――何を?何を見たの?まさか、おパンツの中とか?それ面白い?――
「な、何を見られたのです?」
「これ(くいっ)」
――何?手首を招き猫みたいにしてるけど、それは何なの?――
「ネコみたいで可愛かったよ」
「閣下は‥‥猫がお好きなのですか?」
「まぁ、似たようなものだからね」
「似たようなものと言いますと…猫ではなくて…」
「そうだね。お気に入りは ウンピョウ かな」
――猛獣ですね‥‥ネコ科ではありますけど・・――
「僕は隠し事は好きじゃないし、あの時言っていたらと後悔はしたくないタイプなんだ。僕の告白を聞いて欲しい」
――WHY?寝付かれないんですか?電話なってませんけど――
「怒らないで欲しいんだが、僕は片付けられない男なんだ」
――そっちですか(ほっ)知ってます。それ今さらなカミングアウトです――
「あと、僕は気にしないけど、服とかも拘りがないんだ」
――知ってます。拘りがないんじゃなく、需要がないレベルですよね――
「でも、仕事は出来る限りの事はしようと思ってるんだ」
――良い心がけです。陛下がお聞きになったら喜ばれるでしょう――
「ルテシア君、いやクラリスと呼んでも?」
「は?‥‥どういう意味でしょう?」
「見て欲しいんだ。僕の全てを!」
バっと巻き付けていた掛け布団(@ブルー)を取ると全裸のエリック登場!
掛け布団の端を両手で持って万歳のポーズ!
――いったい何?何が始まったの?――
困惑するクラリス。しかしエリックは真剣な表情でクラリスの周りを華麗にジャンプしながら回る。時折、グッと丸まってバッと広がる!
まさにバレエの男性ダンサーの見せ所のヴァリエーション!!ダブル・トゥール・アン・レール!
空中で2回転をしながら最後は片足を後ろに伸ばしアラベスク・アロンジェで決める。
最後の決めポーズの前に手から離れた掛け布団がゆっくりと床に落ちる。
かなり高度な技なのだが、いかんせん【全裸】である。
屋外で行ったら間違いなく逮捕される案件である。
「あの‥‥これはいったい…」
「ハァハァ‥‥ハァハァ‥‥」
「だ、大丈夫ですか?閣下…あの…これは何ですの?」
【クジャクの求愛行動をしてみた】
勤務初日の夜。突然見せられる全裸の求愛ダンス。
困惑をするな、現実を見ろ!と言われるのが酷な状況である。
そして、目の前のエリックはまだ息を切らせながらも全裸。
くるりと背を向けると立位体前屈の姿勢でクラリスに尻を向けて掛け布団を取る。
当然、危険な部分は丸見えである。
掛け布団を手にしたエリックはクラリスの前に跪いて手を取った。
「君には隠し事はしたくない」
――いえ、是が非でも隠して欲しいくらいです――
「あのバーで手首の角度をかわきりに一目惚れをした。妻になってくれ」
「えっ…あの…えーっと…手首?角度?」
エリックはニャオンとポーズを取る。
ちょっと可愛い?と思うが全裸である事を考慮すると気の迷いだとクラリスは瞬時に打ち消す。
【求愛の舞が足らなかったか?!】
――いえ、もう十分です。と言いますがせめて前を隠してください――
「返事は急がない。その為に君をここに配属してもらった。時間は十分にある」
「えぇぇっ?」
「気にするな。ただの職権乱用だ。皇帝はそのために存在する」
――皇帝陛下の使い道って職権乱用なの?――
そう言い立ち上がると、クラリスの肩をくるりと回して寝台へグイグイ押していく。
「では、明日もよろしく頼むよ」
「は、はぁ…」
「おやすみ Sono pazzo di te!」
【君のことが頭から離れない】と、いう愛の言葉をイタリア語で囁かれる。
――この男、一体何者なの?――
全裸のままで寝袋におさまってしまうエリックを遠い目で見る事は失礼ではないはずだ。
激動の夜を終え、翌朝。
クラリスは目の前の現実に思わず現実逃避をしてしまいそうになった。
寝袋から出てきたエリックは、生まれたままの格好でストレッチをしていた。
ブリッジをしながら挨拶をするエリック。
「おはよう。クラリス。気持ちのいい朝だね」
――それさえなければ――
しかし現実に戻る時が来る。
ストレッチを終え、そのまま自室ではなく廊下に出ようとするエリックを目視で確認!!
【お待ちください!!宰相閣下!】
ドアノブに手をかけた所でエリックが振り向く。
まだドアは開けられていない。セーフである。
「お、お召し物を!ドアはあちらです!」
「え?服?‥…いいよ面倒だから」
「ダメです!ちゃんと服に着替えるんです!」
「でも、どうせ夜になれば湯あみで脱ぐだろう?」
間違いではない。夜になり湯あみをする時には確かに服は脱ぐ。
だが!それではダメなのだ。
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