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自生するキノコ
クラリス・タッド・ルテシアは心でガッツポーズをキメている。
プライベートルームの掃除が完了したのだ。勤務を初めて5日目の事であった。
あの忌々しいゴミの山で埋もれた部屋へと勇猛果敢に立ち向かいリヤカーを使って往復する事73回。
初日はプライベートルームからゴミを運ぶ事でタイムアップをしたのだが、翌日から徹底的な大清掃を敢行しエリックの本来の寝床を確保したのである。
早くにプライベートルームの清掃を完結させるのには理由がある。
勤務初日から毎晩【全裸】で踊りながら求婚をされる事が最も大きな理由だ。
毎晩取り入れられる新しいポーズは夢の中までクラリスを悩ませる。
「寝間着を着用してください」とお願いをしてみるも、「隠し事はしたくない」と頬を染める。いや、頬を染めるくらいなら着ろよ!っと叫びそうになったのも無理はない。
おとといはついにアミメハギ、そう魚類にまで進化をしたエリック。
尾びれに見立てた大事な部分をクックックっと素早く振り上げるとペチペチ微妙な音がする。
ホホホイと踊りだすまであと何秒の世界に入りそうなのだ。
早く、それぞれの部屋で快適な睡眠を取らねばならない。
それに人である以上、メンタルを鍛えなければこのままでは崩壊するだろうと悟ったのだ。
プライベートルームはおそらく1年3か月の間で最も長く使用したのであろう。
侍女見習い、初級侍女、中級侍女、女官見習い、女官という経歴をたどるうえで、【掃除】については色々な汚れを落としてきた。
夜会などの後片付けや掃除をした経験はあった。
食べ物を落としてしまった、それを踏んでしまっている、などなど色々な食材の痕跡を消してきた。
当然、シャンパンなどの炭酸を含む飲料の他に、ワインや、100%果実飲料の汚れ。そして、ベロベロになったどこかの誰かのオロロン物や、トイレに間に合わなかったのね‥というものまで翌日にはスッキリ・さわやかな広間にするための掃除を経験してきた。
しかし!宰相閣下はやはりタダ者ではなかったのである。
汚物の汚れなど子供だましである。
最初の【まさか!】はゴミ袋を片付けている時である。
恐怖の虫や、臭いにおいに悩まされるのは床面から40、50センチほどの高さまでであった。
一番底辺となると、食べ物などは既に発酵が終わっていて臭いがしない。
そしてそこは【虫すら生息できない】亜空間と化していた。
よりよい環境を求めて人類は大陸を移動していった事がよく判る。
ヒト型になった遺跡の如く【陣地】も転々としていたのだ。
その転々とした【陣地】にはキノコが自生をしているのである。
――シイタケやエノキ、ブナシメジが多いのは腐生性だからね――
落ち葉などを栄養源とするキノコ類の栄養源は1つしか思い当たらない。
肉厚もありとても美味しそうに見えるが、クラリスは【食用】としては首を振った。
いろんな意味で 【毒キノコ】 間違いない!
だが研究用としては研究者が欲しがるかも知れないとヘラを使ってキノコ狩り。
キノコは籠に山盛りになっていく。
雨が少ない時期が幸いして窓は数日夜間も全開。
虫が入ってくることが心配をされたが、それぞれの窓にバポ●を吊るす。これで完璧。
そしてカーペットである。
クラリスは【部位ごとに洗剤は使い分ける】とそれまで学習や経験をしてきた。
しかし、プライベートルームの絨毯にはそんな知識は通用しなかった。
「どうして絨毯なのに排水パイプ専用の洗剤が効果があるのよ!」
完全に目詰まりをした絨毯繊維。懸命に水や染み抜き剤をトントンしても効果が見られない。
冗談半分でパイプユ●ッシュを使ってみると生き返っていく絨毯。
ゆっくりと立っていく絨毯の毛羽立ち。
フラッシュダ●スのエンディングかと思うほどである。
ガチガチに固まっている物体。絨毯なのに!絨毯なのに!「サビ」と「コゲ」であった。
火を使った形跡は全くないのにどうしてコゲが?!
どこにサビの原因となるものがあるの!?
本人に聞くのが一番である。
「閣下、お聞きしたい事が御座います」
「なんだい?」
「絨毯にサビやコゲがあるのですが、お心当たりは?」
「あー‥‥多分だけど…部屋の左の隅の方かな?」
「そうです。よくお判りになりますね」
「うん。以前に貧血気味だった事があるんだ」
【その時にパイプを齧ったら歯が折れてね。血液成分の鉄分だと思うよ】
――鉄分取るために出血したら本末転倒でしょう?――
「焦げてるのは…多分体温かなぁ」
――体温何度あるんですかっ?――
「体温も36度ちょっとで低いでしょ?」
――その体温、普通な!――
「きっと低温発火だと思うんだよねぇ‥で汗で消火したって感じかな」
――それは、マッチポンプ宣言なの?――
取り敢えず原因の分かったクラリス。また掃除に戻り奮闘する。
使った茂木●哉シリーズ 7種類各2ダース。
水の激●ちくんシリーズ 3種類各3ダース。
清潔感溢れるプライベートルームを見てクラリスは感涙。
キノコの入った籠を抱えて、プライベートルーム掃除完了の報告をする。
「閣下!本日からはプライベートルームでお休みください」
「寝袋も結構良かったんだけどね」
――その様ですね。昨夜はサナギから蝶になるダンスでしたし――
「それで‥‥これが何かお判りになりますか?」
「ん?キノコだね。僕はキノコには結構詳しいよ」
――でしょうね。いっぱい生えてましたもの――
「その右のやつはなんだかわかる?」
「シイタケ…です」
「お見事!」
「じゃ、その隣はなんだかわかる?」
「ブナシメジ…ですね」
「その通り!!」
「ならば、左端にあるのはなんだかわかる?」
「マッシュルーム…ですね」
「結構!!さすれば!ラストコール!」
――アタッ●25ですか!――
「閣下。わたくしで遊ぶのはおやめください」
「何を言ってるんだ。君のことは遊びなんかじゃない!」
ガタンと立ち上がるエリックに思わず持っていたキノコをいれた籠を落としてしまう。
床に散らばるキノコ!このままでは絨毯に胞子が付いてしまう!でも!
【お待ちください!!宰相閣下!】
今朝はこれを着用してくださいねと靴下に至るまで準備をしたはずなのに!
「何故スラックスの上にパンツを穿かれているのですか!」
「え?‥‥あぁこれか」
【そうすればベルトがいらないと思って】
クラリスは思った。
かの日の男性用セクスィ下着だったら、間違いなくサスペンダーにしてただろうと。
プライベートルームの掃除が完了したのだ。勤務を初めて5日目の事であった。
あの忌々しいゴミの山で埋もれた部屋へと勇猛果敢に立ち向かいリヤカーを使って往復する事73回。
初日はプライベートルームからゴミを運ぶ事でタイムアップをしたのだが、翌日から徹底的な大清掃を敢行しエリックの本来の寝床を確保したのである。
早くにプライベートルームの清掃を完結させるのには理由がある。
勤務初日から毎晩【全裸】で踊りながら求婚をされる事が最も大きな理由だ。
毎晩取り入れられる新しいポーズは夢の中までクラリスを悩ませる。
「寝間着を着用してください」とお願いをしてみるも、「隠し事はしたくない」と頬を染める。いや、頬を染めるくらいなら着ろよ!っと叫びそうになったのも無理はない。
おとといはついにアミメハギ、そう魚類にまで進化をしたエリック。
尾びれに見立てた大事な部分をクックックっと素早く振り上げるとペチペチ微妙な音がする。
ホホホイと踊りだすまであと何秒の世界に入りそうなのだ。
早く、それぞれの部屋で快適な睡眠を取らねばならない。
それに人である以上、メンタルを鍛えなければこのままでは崩壊するだろうと悟ったのだ。
プライベートルームはおそらく1年3か月の間で最も長く使用したのであろう。
侍女見習い、初級侍女、中級侍女、女官見習い、女官という経歴をたどるうえで、【掃除】については色々な汚れを落としてきた。
夜会などの後片付けや掃除をした経験はあった。
食べ物を落としてしまった、それを踏んでしまっている、などなど色々な食材の痕跡を消してきた。
当然、シャンパンなどの炭酸を含む飲料の他に、ワインや、100%果実飲料の汚れ。そして、ベロベロになったどこかの誰かのオロロン物や、トイレに間に合わなかったのね‥というものまで翌日にはスッキリ・さわやかな広間にするための掃除を経験してきた。
しかし!宰相閣下はやはりタダ者ではなかったのである。
汚物の汚れなど子供だましである。
最初の【まさか!】はゴミ袋を片付けている時である。
恐怖の虫や、臭いにおいに悩まされるのは床面から40、50センチほどの高さまでであった。
一番底辺となると、食べ物などは既に発酵が終わっていて臭いがしない。
そしてそこは【虫すら生息できない】亜空間と化していた。
よりよい環境を求めて人類は大陸を移動していった事がよく判る。
ヒト型になった遺跡の如く【陣地】も転々としていたのだ。
その転々とした【陣地】にはキノコが自生をしているのである。
――シイタケやエノキ、ブナシメジが多いのは腐生性だからね――
落ち葉などを栄養源とするキノコ類の栄養源は1つしか思い当たらない。
肉厚もありとても美味しそうに見えるが、クラリスは【食用】としては首を振った。
いろんな意味で 【毒キノコ】 間違いない!
だが研究用としては研究者が欲しがるかも知れないとヘラを使ってキノコ狩り。
キノコは籠に山盛りになっていく。
雨が少ない時期が幸いして窓は数日夜間も全開。
虫が入ってくることが心配をされたが、それぞれの窓にバポ●を吊るす。これで完璧。
そしてカーペットである。
クラリスは【部位ごとに洗剤は使い分ける】とそれまで学習や経験をしてきた。
しかし、プライベートルームの絨毯にはそんな知識は通用しなかった。
「どうして絨毯なのに排水パイプ専用の洗剤が効果があるのよ!」
完全に目詰まりをした絨毯繊維。懸命に水や染み抜き剤をトントンしても効果が見られない。
冗談半分でパイプユ●ッシュを使ってみると生き返っていく絨毯。
ゆっくりと立っていく絨毯の毛羽立ち。
フラッシュダ●スのエンディングかと思うほどである。
ガチガチに固まっている物体。絨毯なのに!絨毯なのに!「サビ」と「コゲ」であった。
火を使った形跡は全くないのにどうしてコゲが?!
どこにサビの原因となるものがあるの!?
本人に聞くのが一番である。
「閣下、お聞きしたい事が御座います」
「なんだい?」
「絨毯にサビやコゲがあるのですが、お心当たりは?」
「あー‥‥多分だけど…部屋の左の隅の方かな?」
「そうです。よくお判りになりますね」
「うん。以前に貧血気味だった事があるんだ」
【その時にパイプを齧ったら歯が折れてね。血液成分の鉄分だと思うよ】
――鉄分取るために出血したら本末転倒でしょう?――
「焦げてるのは…多分体温かなぁ」
――体温何度あるんですかっ?――
「体温も36度ちょっとで低いでしょ?」
――その体温、普通な!――
「きっと低温発火だと思うんだよねぇ‥で汗で消火したって感じかな」
――それは、マッチポンプ宣言なの?――
取り敢えず原因の分かったクラリス。また掃除に戻り奮闘する。
使った茂木●哉シリーズ 7種類各2ダース。
水の激●ちくんシリーズ 3種類各3ダース。
清潔感溢れるプライベートルームを見てクラリスは感涙。
キノコの入った籠を抱えて、プライベートルーム掃除完了の報告をする。
「閣下!本日からはプライベートルームでお休みください」
「寝袋も結構良かったんだけどね」
――その様ですね。昨夜はサナギから蝶になるダンスでしたし――
「それで‥‥これが何かお判りになりますか?」
「ん?キノコだね。僕はキノコには結構詳しいよ」
――でしょうね。いっぱい生えてましたもの――
「その右のやつはなんだかわかる?」
「シイタケ…です」
「お見事!」
「じゃ、その隣はなんだかわかる?」
「ブナシメジ…ですね」
「その通り!!」
「ならば、左端にあるのはなんだかわかる?」
「マッシュルーム…ですね」
「結構!!さすれば!ラストコール!」
――アタッ●25ですか!――
「閣下。わたくしで遊ぶのはおやめください」
「何を言ってるんだ。君のことは遊びなんかじゃない!」
ガタンと立ち上がるエリックに思わず持っていたキノコをいれた籠を落としてしまう。
床に散らばるキノコ!このままでは絨毯に胞子が付いてしまう!でも!
【お待ちください!!宰相閣下!】
今朝はこれを着用してくださいねと靴下に至るまで準備をしたはずなのに!
「何故スラックスの上にパンツを穿かれているのですか!」
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