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ティッシュは天使の微笑
ニルスは困惑している。
残念であるが既に爵位のない彼には【名】しかない。それは彼が選んだことである。
ニルスは給料について疑問に思い、遅番出勤ではあったが王宮内ではなく市井が勤務地となるため早番の時と同じ時間に家を出て現在は城の左側になるレフトウィングに来ている。
そこは【武】を持って国家、皇帝を守る騎士団が陣取る場所である。
「すみません。ちょっと聞きたいんですけど」
ニルスの声に【この頃、腰が痛くてね】が口癖でもうすぐ定年の内勤となった元騎士が席を立つ。
「どうしましたか?」
「あの、給料について聞きたいんですけど」
「給料?前借は第三騎士団までしか出来ないよ」
「いえ、前借ではなくて内容を聞きたいんです」
それまでの第三騎士団にいた時の給与明細をカウンターの上に置くと、ふむふむと見ている元騎士。
「何か問題でも?」
「いえ、第三騎士団から第五騎士団になったんですが給料が減ると聞きまして」
「それはそうだろう。上がる事はまずないよ」
元騎士は丁寧に説明をしてくれる。
「君の場合は…いいかい?君の!場合はだよ?」
念を入れるのは同じような境遇であっても手当がつくものがいるからである。
残業手当しかり、講習手当、交通手当などである。
「まず第五騎士団の基本給は3万5千ペルと規定をされているんだ」
「少なくないですか?第三騎士団にいた時は基本給は11万でした」
「そりゃそうだよ。第三騎士団の基本給は11万ペルで規定をされているからね」
「ほらここに書いているよ」と一覧表になった用紙をニルスは見せられる。
丁寧に指で、ツツィーっと示してくれている。親切な元騎士である。
「君の場合、以前は危険手当2万、資格手当2万、寮からの交通費で1万、爵位保持手当3万に装備手当3万が基本給11万に加算されて合計22万が支給額。そこから所得税や寮費、寮の食費などが天引きされて17万9千ペルが手取り。これが第三騎士団にいた時だ。明細書にも項目と金額、書いてあるだろう?」
「はい。そうです」
「今は第五騎士団。間違いないね?」
「えぇ間違いないです」
「第五騎士団は基本給が3万5千ペル。それに危険手当が5千ペル。資格手当は2万ペル。それから君は妻帯者なので家族手当が付いてこれが1万ペル。合計で7万ペルが支給額だ。所得税などが天引きされて5万3千ペルほどが手取りになるね」
「えっ?他の手当は付かないんですか?」
「何を言ってるんだ?爵位がない君に爵位保持手当は付かないし、第五騎士団には装備手当もつかない。装備手当はそれぞれの騎士団長が団に支給された報奨金を運用して得た利益から分配される。第五騎士団は元々褒賞とは無関係だから運用しようにも褒賞がない。危険手当も討伐などではなく市井警備だからね。5千ペルも2年前にやっと引き上げたんだ。それまでなかったんだよ」
「待ってください!月に5万ちょっとじゃ生活できません」
「5万ペルなんて平民の中では高給取りの部類だよ。何を言ってるんだ?」
「嘘でしょ‥‥無理ですって」
「嘘でもないし、無理でもない。言ってるだろう?平民では高給取りなんだ」
手取りが半分どころか3分の1以下になってしまう事実に驚くニルス。
おバカなニルスでも家を出れば爵位がなくなる事は判っていたが給料がここまで減るとは思っていなかった。このままでは生活どころか、家賃すら払えない。家賃は6万ペルなのだ。
※貴族籍はまだ残っているとこの段階では思っているのがやはり、ダメな子ニルス。
「じゃ、じゃぁあの…配属されたばかりなんですが移動願いを出したいです」
「は?」
「だから!移動願いです」
「なんの冗談を言ってるんだ?」
「冗談とかじゃなくて、第三、いや無理なら第四でもいいです。移動願いを出します」
元騎士は、目の前で必死になるニルスに憐みの目を向ける。
時々いるのである。子爵家や男爵家、騎士爵の次男、三男などで規約を読んでいない者が。
「移動願いは出せないよ」
「えっと…少なくとも半年とか1年勤めないと無理ですか?」
「いや、勤務年数などは関係ない」
「じゃ、何をすれば‥‥」
【爵位がないと第四騎士団以上には配属できない。君は平民だから無理だよ】
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けるニルスだが、どうにもならない。
そして、さらに知っておかねばならないのに知らなかった事実が元騎士から語られる。
「なら、実家に戻れば大丈夫だと言う事ですか?」
「えーっと…君の場合は‥‥無理だね」
「なぜです?最悪平民の妻と離縁して子爵家に戻ればいいだけですよね」
「手続きをしてるじゃないか。君自身のサインもある。もう貴族籍は抹消になってるよ。子爵家に行くとすれば使用人として雇ってもらうとか、平民である事は離縁しようがしまいが関係ないよ」
「嘘でしょ。子爵家は結婚で出なきゃいけなくても貴族籍は残るでしょう?」
「だから!君はその貴族籍も抹消する手続きをしてるじゃないか」
既視感のある書類の控えを目の前に突きつけられるが、違う!嫌だ!と首を振るニルス。
ならばとすがる思いで聞いてみる。
「なら、騎士の家族寮に入れないですか?まだ子供はいませんし」
妻帯者である以上独身寮には戻れない。家賃2千ペルの独身寮は魅力であるが戻れないのは仕方ない。でも家族寮なら家賃は4千ペルほどだと聞いた事があった。
「あのねぇ‥‥ホントに規約を読んでないんだね」
「えっ?」
「家族寮はね、第四騎士団以上じゃないと入れないよ。判っただろう?もう帰りなさい」
最悪である。ニルスは追い出されるようにレフトウィングを出て行く。
給料がこれ以上上がる見込みは‥‥資格試験に合格するしかないが団の移動は出来ない。
平民の同僚たちが住んでいるようなトイレも洗濯場も共同のような長屋になど住めない。
今の6万の家賃のアパートでも子供が生まれればかなりキツイ2kなのである。
距離は少し遠くなるが郊外に引っ越しをしようにも敷金などは払えない上に、今のアパートを借りた時は自分がまだ子爵家に籍があったから借りられただけで、同等の部屋を借りるのに平民では無理である。
保証人になってくれるようなものはないない。
生活をするのに一応の望みはある。
シルビアはクラリスと同期なのだからクラリスくらいの手取りはある筈だ。
だが、ほとんどをシルビアに出してもらう事になってしまうので言い出しにくい。
目前に迫る給料日に渡される額では今の生活は出来ない。
250万もあった預金はもう10万も残っていない。
そんなニルスに声を掛ける者がいた。
「どうぞ~」
ポケットティッシュを手渡される。今までは配っていても素通りしていた。
手にしたティッシュを見て、思わず読んでしまう。
少し目つきの悪い天使がデザインされた広告付きティッシュである。
【消費者金融 ブラック・スマイル】
【20~50万ペルまで最短ご融資10分♡】
【保証人・基本不要☆配偶者王宮務めの方、ご融資額の増額検討可】
ニルスは天使に微笑まれたような気がしたのだった。
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「どうしましたか?」
「あの、給料について聞きたいんですけど」
「給料?前借は第三騎士団までしか出来ないよ」
「いえ、前借ではなくて内容を聞きたいんです」
それまでの第三騎士団にいた時の給与明細をカウンターの上に置くと、ふむふむと見ている元騎士。
「何か問題でも?」
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「それはそうだろう。上がる事はまずないよ」
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「君の場合は…いいかい?君の!場合はだよ?」
念を入れるのは同じような境遇であっても手当がつくものがいるからである。
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「まず第五騎士団の基本給は3万5千ペルと規定をされているんだ」
「少なくないですか?第三騎士団にいた時は基本給は11万でした」
「そりゃそうだよ。第三騎士団の基本給は11万ペルで規定をされているからね」
「ほらここに書いているよ」と一覧表になった用紙をニルスは見せられる。
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「君の場合、以前は危険手当2万、資格手当2万、寮からの交通費で1万、爵位保持手当3万に装備手当3万が基本給11万に加算されて合計22万が支給額。そこから所得税や寮費、寮の食費などが天引きされて17万9千ペルが手取り。これが第三騎士団にいた時だ。明細書にも項目と金額、書いてあるだろう?」
「はい。そうです」
「今は第五騎士団。間違いないね?」
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「移動願いは出せないよ」
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