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殿下の探し物
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顔に痛々しい痕跡の残るライドは翌日から学園にいつも通り登校します。
「これは派手にやられたな。ライド」
「殿下‥‥申し訳ありませんでした」
「目が覚めたならいいよ。これに懲りて女は良く見てから付き合う事だ」
「はい」
「まぁ、そう落ち込むな。お前には期待をしている」
「必ずや…ご期待に添える働きを致します」
殿下を中にして、右に宰相候補の公爵令息(嫡男)のギルガメルト(以下ギル)
左にライドが廊下を歩いて行く。
行く先にアマディラの声が聞こえる。他の令息に胸を押し当て媚びを売っている姿がライドの目に入る。
(何故あんな場末の娼婦のような女が良いと俺は思ったんだ)
後悔しかないライドの眉間に皺がよるが、ライドを視界にとらえたアマディラが走ってくる。
「ライ様ぁ~今日は殿下とご一緒なのですね。わたくしもご一緒してよろしいでしょうかぁ」
それは王太子殿下に対しての許可を求めているのか、それとも名前を呼ばれたライドなのか。
考えていると宰相候補のギルがアマディラを遮ります。
「邪魔だ。そちらで淑女の礼をするのがまず先だろう」
「えぇっ?だってアタシ、カーテシー苦手なんだもの。ねっライ様ぁ」
「ユルマータ男爵令嬢、慣れ慣れなしく名を呼ぶな。虫唾が走る」
「ライ様どうしたのぉ?ご機嫌ななめですかぁ?あっ、さっきまでアタシがモーブ君とじゃれてたから怒ってるんだぁ可愛いっ」
「殿下、参りましょう」
「いいのかい?」
「わたくしには関係ない女性ですので」
「ふーん。冷たいね。ライ様は…フフフ」
アマディラを無視して立ち去ろうとするとアマディラは背後から王太子殿下の腕を掴んでしまいました。
「待ってくださいよぉ。殿下ぁ」
「貴様っ!不敬にも程があるぞ」
「やだぁ。この人怖ぁい。殿下ぁ。怖いですぅ」
「ユルマータ男爵令嬢、殿下の腕を放すのだ」
「嫌ですぅ~。無視するライ様なんかもう知らないっ。殿下ぁご一緒しますぅ」
王太子殿下を掴んだアマディラはその胸を押し付けようとした時、
バチッ
「っ痛ッ‥‥」
突然の特大静電気のような痛みに手を離すアマディラです。
よく見ると制服の胸元が焦げていますよ。
「殿下、遅れますよ」
その声に後ろを振り返ると、雷鳴の貴公子と学園の女生徒から呼ばれている魔術師団長の子息であるスタンフォレイリナー(以下レイ)がおりますね。
肩を少し上げて、殿下は歩き始めます。
アマディラの前まできたレイは冷たい目でアマディラを見下ろします。
「いつまでそのむさ苦しい姿を晒すのだ?立ち去れ」
「なっ何よ…酷いわ!アタシが身分の低い男爵令嬢だからって酷すぎるわ!」
「その無駄口……焼いて塞いでも良いのだぞ」
「えっ??い、いやよ。やめて。やめてよ!!」
逃げるように立ち去るアマディラを誰も追う者も見る者もいませんね。
嫌われてるみたいだよ?アマディラさん。
☆~☆~☆~☆
「ギルは休暇はどうするのだ」
「わたくしは婚約者のシェリエ嬢の領地に避暑に誘われております」
「レイはどうするのだ」
「わたくしは母方の祖父母の領地に行く予定で御座います」
「そうか…ライドはどうするのだ」
「わたくしは、屋敷で鍛錬を」
「ほぅ。あの先程の女は誘わないか…ククク」
「殿下、あまりからかってはライドが泣いてしまいますよ。そう言う殿下はどうされるのです」
「そうだな。また探し物・・・かな」
「まだ見つからないのですか」
「あぁ。なんせ手がかりが何もない探し物だ。時間がかかるのは仕方がない」
「探し物は結構ですが早く婚約者をお決めください。立太子をされてもう4年。未だにお妃候補がいないとなれば卒業パーティは修羅場になってしまいます」
「わかった。わかった。考えておく」
「考えるのではなく、行動に移してくださいね」
講師が入室し、講義の始まる教室。
王太子殿下は、窓の外を眺めました。
「これは派手にやられたな。ライド」
「殿下‥‥申し訳ありませんでした」
「目が覚めたならいいよ。これに懲りて女は良く見てから付き合う事だ」
「はい」
「まぁ、そう落ち込むな。お前には期待をしている」
「必ずや…ご期待に添える働きを致します」
殿下を中にして、右に宰相候補の公爵令息(嫡男)のギルガメルト(以下ギル)
左にライドが廊下を歩いて行く。
行く先にアマディラの声が聞こえる。他の令息に胸を押し当て媚びを売っている姿がライドの目に入る。
(何故あんな場末の娼婦のような女が良いと俺は思ったんだ)
後悔しかないライドの眉間に皺がよるが、ライドを視界にとらえたアマディラが走ってくる。
「ライ様ぁ~今日は殿下とご一緒なのですね。わたくしもご一緒してよろしいでしょうかぁ」
それは王太子殿下に対しての許可を求めているのか、それとも名前を呼ばれたライドなのか。
考えていると宰相候補のギルがアマディラを遮ります。
「邪魔だ。そちらで淑女の礼をするのがまず先だろう」
「えぇっ?だってアタシ、カーテシー苦手なんだもの。ねっライ様ぁ」
「ユルマータ男爵令嬢、慣れ慣れなしく名を呼ぶな。虫唾が走る」
「ライ様どうしたのぉ?ご機嫌ななめですかぁ?あっ、さっきまでアタシがモーブ君とじゃれてたから怒ってるんだぁ可愛いっ」
「殿下、参りましょう」
「いいのかい?」
「わたくしには関係ない女性ですので」
「ふーん。冷たいね。ライ様は…フフフ」
アマディラを無視して立ち去ろうとするとアマディラは背後から王太子殿下の腕を掴んでしまいました。
「待ってくださいよぉ。殿下ぁ」
「貴様っ!不敬にも程があるぞ」
「やだぁ。この人怖ぁい。殿下ぁ。怖いですぅ」
「ユルマータ男爵令嬢、殿下の腕を放すのだ」
「嫌ですぅ~。無視するライ様なんかもう知らないっ。殿下ぁご一緒しますぅ」
王太子殿下を掴んだアマディラはその胸を押し付けようとした時、
バチッ
「っ痛ッ‥‥」
突然の特大静電気のような痛みに手を離すアマディラです。
よく見ると制服の胸元が焦げていますよ。
「殿下、遅れますよ」
その声に後ろを振り返ると、雷鳴の貴公子と学園の女生徒から呼ばれている魔術師団長の子息であるスタンフォレイリナー(以下レイ)がおりますね。
肩を少し上げて、殿下は歩き始めます。
アマディラの前まできたレイは冷たい目でアマディラを見下ろします。
「いつまでそのむさ苦しい姿を晒すのだ?立ち去れ」
「なっ何よ…酷いわ!アタシが身分の低い男爵令嬢だからって酷すぎるわ!」
「その無駄口……焼いて塞いでも良いのだぞ」
「えっ??い、いやよ。やめて。やめてよ!!」
逃げるように立ち去るアマディラを誰も追う者も見る者もいませんね。
嫌われてるみたいだよ?アマディラさん。
☆~☆~☆~☆
「ギルは休暇はどうするのだ」
「わたくしは婚約者のシェリエ嬢の領地に避暑に誘われております」
「レイはどうするのだ」
「わたくしは母方の祖父母の領地に行く予定で御座います」
「そうか…ライドはどうするのだ」
「わたくしは、屋敷で鍛錬を」
「ほぅ。あの先程の女は誘わないか…ククク」
「殿下、あまりからかってはライドが泣いてしまいますよ。そう言う殿下はどうされるのです」
「そうだな。また探し物・・・かな」
「まだ見つからないのですか」
「あぁ。なんせ手がかりが何もない探し物だ。時間がかかるのは仕方がない」
「探し物は結構ですが早く婚約者をお決めください。立太子をされてもう4年。未だにお妃候補がいないとなれば卒業パーティは修羅場になってしまいます」
「わかった。わかった。考えておく」
「考えるのではなく、行動に移してくださいね」
講師が入室し、講義の始まる教室。
王太子殿下は、窓の外を眺めました。
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