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第34話 理屈・屁理屈・オブジェクション
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議会が開かれる議場に到着をすると、仲で待っていたのは貴族の議員ではなく数人の兵士を後ろに立たせた議長などの役職たち。
横長のテーブルに中央に議長、その両隣に副議長など10人程度がいただけだった。
「どういうことでしょうかね。議員の皆さんにも話を聞いて頂くのが筋かと考えておりましたが」
「エリアス殿。我々は相談やお願いをする時はもう過ぎたと考えているのだよ」
「そうですか。では決定した事だけ書簡で届けてくだされば手間も省けましたのに」
「そうすれば君はグラシアナを外に出さんではないか」
「当たり前でしょう。以前とは訳が違う。一旦迷子になれば屋敷には戻る術がない。この国には正義感のある犬の憲兵はおらず、ヒカリモノとイロモノに魅入られた古狸しかいないんですから」
議長の右に座っていた副議長が立ち上がり「なんだ!その態度は!」声を荒げる。
大袈裟に手で軽くヤレヤレと示したエリアスは「で?どんな決定を?」
口角をあげ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて議長たちに問うた。
「わざわざ話さずとも判っているだろう。集めた側妃候補はゴミばかり。あれでは諸外国の要人を招く事も出来ん」
「そうですかね?面白いと思いますよ?阿婆擦れ王妃なんてそうそうにお目に掛かれる物じゃない。諸外国からすればこの国に来れば陳腐な茶番劇が特等席で見られるってこぞってやって来るかも知れません。考えているより外貨も稼げるのではないでしょうか」
「阿婆擦れ・・・コホン。判ってるじゃないか。つまりもう手がないんだ。何も覚えていなくていい。これから覚えればいいだけだ。取り敢えずは3か国語。これを習得してくれれば更新が迫る条約の継続が出来る」
「いやいや、無理でしょう。貴方がたは今から3か国語を覚えろと言われて出来るんですか?出来るのなら自分でやればいい。出来ないのなら他人に強要することでもないでしょうに。そもそもで1から学ぶのなら側妃候補に選んだ令嬢でも良いし、なんなら金を使う事しか知らない正妃なんですから可能性は未知数と見れるのでは?」
「エリアス殿。そうやって屁理屈をこねる前に公爵家なんだ。妹に再教育をさせましょうと言えんのかね」
「言えませんね。さっきもここに来る前に正妃の出迎えを受けましたが、記憶が無ければ無かった事になるそうで。確かに未だに治療費は一切支払いもなく…それどころか謝罪もありません。その理屈でいいのなら妹は記憶を失ったと同時に貴方がたの思うような素地のある人間でも無くなった。そうなりませんかね」
バンッ!!端にいた議員がテーブルを叩き立ち上がった。
「御託はいい!さっさと妹を差し出せ。そうしなければ世継ぎも作らんと言ってるんだ!国がどうなってもいいのか!他国よりも長い歴史のあるこの国の王家の血が潰える危機なんだぞ!」
「プハっ」
「何がおかしいッ!」
エリアスは真剣に怒りを露わにする議員には申し訳ないがと断りを入れて、指で涙を拭った。滑稽すぎて笑い泣きだ。
「毎夜、毎夜朝まで励んでいるのに世継ぎを作らないとはこれ如何に。確かに子は神からの授かりものですが、よく言うでしょう。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると。そんな心配は杞憂ですよ。生まれてくる子供は今まで以上に愚鈍で財を貪るモンスターになるでしょうけどね」
「もういい!肝心のグラシアナ嬢はどうなんだ!グラシアナ嬢は貴殿とは考えが違う!そうだろう」
まるで決めつけての物言い。そして議員たちの後ろにいた兵士がガチャン。甲冑の音をさせて配置を変えた。
「パンディトン。気を抜くな」
「勿論」
エリアスよりも先にパンディトンが移動椅子を動かし背となる側にあった扉は壁になった。逃げ道となる扉よりは遠くなっても前と後ろから襲われてしまえばひとたまりもない。
ニヤニヤと笑いながらグラシアナを名指しした議員は「どうかね?」つとめて優しい声で問いかけてきた。
「どうかと聞かれましても…恥ずかしながら公爵家でも幼児の絵本を見て文字を覚えているくらいですから、とてもお力にはなれないかと。むしろ先程出迎えてくださった方は行動力もおありですし…私には力不足が明らかなお申し出は受ける事が出来ません」
「力不足なのであれば役不足と言えるまでに努力をしようと思わんのかね。仮にも君は公爵令嬢だ。今は忘れているだけで長く王妃となるべく教育も受けてきた。気が付いていないだけで体が覚えている事の1つや2つ。思い出そうとは思わないのかね?もう一度言うよ?君は公爵令嬢なんだ」
「思い出す事を拒否しているのではないのです。何をしても思い出せず…公爵令嬢だ、教育を受けたと申されましてもその記憶もないのです」
「ならば仕方がない。君はエリアス殿に飼い馴らされる事に甘んじているのだ。それはとても恥ずかしいことなのだよ。世の中には荒療治と言うものがあってね。知らない事も思いだせるそんな治療方法もあるんだよ」
議員が顎で兵士に「行け!」指図をすると議員の後ろにいた兵士たちは速足で駆け寄ってきた。その音が合図だったのか。扉を背にしていればパンディトンも不意打ちを食らっただろう。
扉が開くと、部屋の中にいる人数の倍以上の騎士がなだれ込んできた。
横長のテーブルに中央に議長、その両隣に副議長など10人程度がいただけだった。
「どういうことでしょうかね。議員の皆さんにも話を聞いて頂くのが筋かと考えておりましたが」
「エリアス殿。我々は相談やお願いをする時はもう過ぎたと考えているのだよ」
「そうですか。では決定した事だけ書簡で届けてくだされば手間も省けましたのに」
「そうすれば君はグラシアナを外に出さんではないか」
「当たり前でしょう。以前とは訳が違う。一旦迷子になれば屋敷には戻る術がない。この国には正義感のある犬の憲兵はおらず、ヒカリモノとイロモノに魅入られた古狸しかいないんですから」
議長の右に座っていた副議長が立ち上がり「なんだ!その態度は!」声を荒げる。
大袈裟に手で軽くヤレヤレと示したエリアスは「で?どんな決定を?」
口角をあげ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて議長たちに問うた。
「わざわざ話さずとも判っているだろう。集めた側妃候補はゴミばかり。あれでは諸外国の要人を招く事も出来ん」
「そうですかね?面白いと思いますよ?阿婆擦れ王妃なんてそうそうにお目に掛かれる物じゃない。諸外国からすればこの国に来れば陳腐な茶番劇が特等席で見られるってこぞってやって来るかも知れません。考えているより外貨も稼げるのではないでしょうか」
「阿婆擦れ・・・コホン。判ってるじゃないか。つまりもう手がないんだ。何も覚えていなくていい。これから覚えればいいだけだ。取り敢えずは3か国語。これを習得してくれれば更新が迫る条約の継続が出来る」
「いやいや、無理でしょう。貴方がたは今から3か国語を覚えろと言われて出来るんですか?出来るのなら自分でやればいい。出来ないのなら他人に強要することでもないでしょうに。そもそもで1から学ぶのなら側妃候補に選んだ令嬢でも良いし、なんなら金を使う事しか知らない正妃なんですから可能性は未知数と見れるのでは?」
「エリアス殿。そうやって屁理屈をこねる前に公爵家なんだ。妹に再教育をさせましょうと言えんのかね」
「言えませんね。さっきもここに来る前に正妃の出迎えを受けましたが、記憶が無ければ無かった事になるそうで。確かに未だに治療費は一切支払いもなく…それどころか謝罪もありません。その理屈でいいのなら妹は記憶を失ったと同時に貴方がたの思うような素地のある人間でも無くなった。そうなりませんかね」
バンッ!!端にいた議員がテーブルを叩き立ち上がった。
「御託はいい!さっさと妹を差し出せ。そうしなければ世継ぎも作らんと言ってるんだ!国がどうなってもいいのか!他国よりも長い歴史のあるこの国の王家の血が潰える危機なんだぞ!」
「プハっ」
「何がおかしいッ!」
エリアスは真剣に怒りを露わにする議員には申し訳ないがと断りを入れて、指で涙を拭った。滑稽すぎて笑い泣きだ。
「毎夜、毎夜朝まで励んでいるのに世継ぎを作らないとはこれ如何に。確かに子は神からの授かりものですが、よく言うでしょう。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると。そんな心配は杞憂ですよ。生まれてくる子供は今まで以上に愚鈍で財を貪るモンスターになるでしょうけどね」
「もういい!肝心のグラシアナ嬢はどうなんだ!グラシアナ嬢は貴殿とは考えが違う!そうだろう」
まるで決めつけての物言い。そして議員たちの後ろにいた兵士がガチャン。甲冑の音をさせて配置を変えた。
「パンディトン。気を抜くな」
「勿論」
エリアスよりも先にパンディトンが移動椅子を動かし背となる側にあった扉は壁になった。逃げ道となる扉よりは遠くなっても前と後ろから襲われてしまえばひとたまりもない。
ニヤニヤと笑いながらグラシアナを名指しした議員は「どうかね?」つとめて優しい声で問いかけてきた。
「どうかと聞かれましても…恥ずかしながら公爵家でも幼児の絵本を見て文字を覚えているくらいですから、とてもお力にはなれないかと。むしろ先程出迎えてくださった方は行動力もおありですし…私には力不足が明らかなお申し出は受ける事が出来ません」
「力不足なのであれば役不足と言えるまでに努力をしようと思わんのかね。仮にも君は公爵令嬢だ。今は忘れているだけで長く王妃となるべく教育も受けてきた。気が付いていないだけで体が覚えている事の1つや2つ。思い出そうとは思わないのかね?もう一度言うよ?君は公爵令嬢なんだ」
「思い出す事を拒否しているのではないのです。何をしても思い出せず…公爵令嬢だ、教育を受けたと申されましてもその記憶もないのです」
「ならば仕方がない。君はエリアス殿に飼い馴らされる事に甘んじているのだ。それはとても恥ずかしいことなのだよ。世の中には荒療治と言うものがあってね。知らない事も思いだせるそんな治療方法もあるんだよ」
議員が顎で兵士に「行け!」指図をすると議員の後ろにいた兵士たちは速足で駆け寄ってきた。その音が合図だったのか。扉を背にしていればパンディトンも不意打ちを食らっただろう。
扉が開くと、部屋の中にいる人数の倍以上の騎士がなだれ込んできた。
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