わたしの王子様

cyaru

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扉は開いているのか

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「チェルシー伯爵家」

陛下の隣にいる侍従が家名を読みあげるといよいよ順番ですよ。

陛下の前に立ち、王子たちの方向にはエヴェリーナが立ちます。
王妃様のほうにはヨハンが立ち、必要以上にクリスティナは深く頭を下げ、ヨハンとエヴェリーナは気持ち浅く頭を下げます。

「チェルシー伯爵家、クリスティナと申します」
「今日はもう踊ったのか?」
「はい。幼き頃からの夢、兄とのファーストダンスを堪能致しました」
「それは良かった。我が息子達とも踊ってやってはくれぬか」
「ありがたいお言葉なのですが、お相手が出来るようダンスを精進し、その上でお声がけ頂けましたら。まだまだ余裕のない動きしかできませぬゆえ」
「そうかそうか。また会えるのを楽しみにしているよ」
「はい。我が家も陛下の世が続く限り忠誠を誓います」

陛下が終わると最大の難関がやってきます。
前の組はどうやら年下の第二王子がお目当てらしく第一王子の挨拶もそこそこに第二王子で止まっていますね。
しかし、もう立ち止まるわけにはいかないのです。

少しだけ震える手でドレスの裾を持ってカーテシーをします。

「レイザード第一王子殿下。チェルシー伯爵家、クリスティナと申します」
「うむ‥‥そなた‥‥」
「(ビクっ)は、はい」
「何故女学院に行った。我と学園という選択はなかったか」
「いえ、我が家は祖母も母も女学院の卒業生ですので」
「ほぅ…そうであったか。まぁいいだろう。楽しんでゆかれよ」
「はい、有難きお言葉」

第二王子への挨拶も無事終わり、安堵するクリスティナ達。
しかしヨハンはまだ気を緩めていませんね。

「よし、少しだけ歓談して帰るぞ。ゆっくりさりげなく出口のほうの料理のあたりに行こう」
「そうですわね。クリスティナ。大丈夫?」
「はい、大丈夫ですわ」

挨拶が終わって即座に帰ってしまうと不敬にあたるのとやはり目立ちます。
ヨハンは挨拶が済むと割合人が集まってくる料理のブースで紛れようと考えていますよ。

☆~☆~☆~☆

貴族たちからの挨拶を終えた王家一家は控室へ一旦戻ります。
この先は陛下と王妃様だけすこし顔を出して退出します。
王子は会場に戻っても、そのまま引けても問題はありません。

「レイ。どうだった?可愛い子はいたかしら」
「そうですね。気になる令嬢は1人おりました」
「まぁ!どの家の娘かしら。公爵家のレジーナ嬢?」
「いや。レジーナ嬢は少々苦手です」
「僕もレジーナ嬢はどうかなぁ。あの頭、なんだよ曲芸か?って思った」
「まぁ、ガッシュと違ってレイは他国の姫という選択肢もあるけれど出来れば正妃はこの国の娘から選んでほしいわ」
「えぇ。わかっております」

1人先に部屋に戻ろうとするレイザード第一王子。
前世は11歳で狂気の扉を開けましたが、今世はまだのようですけども…。

「震えていたな……逃がさない……俺から離れる事は許さない」

えっ?誰?誰の事を言ってるの?怖いよ。第一王子…って誰かいるんですけど?

「殿下、お疲れ様でございます」
「面倒だ。支度は出来ているのであろうな」
「はい、十分ほぐして参りました」
「なら後ろを向け」

ひと気のないバルコニーで令嬢は手摺に身を預けています。
ドレスの裾を大きく捲り上げて、ベルトを弛めたレイザード第一王子。
そのまま腰を打ちつけます。

「あぁっ…くださいませっ中に…中にくださいませっ」

懇願する令嬢を冷たい目で見降ろしながら、一頻り腰を打ちつけると令嬢から引き抜いて暗闇となった木々にむけて放出をしております。

「殿下‥‥はぁっはぁっ…」
「片付けろ。目障りだ」
「えっ?」
「緩すぎる。つまらぬ」
「そんなっ…殿下っ、殿下っ」

まるで処理のような情事が終わると何事もなかったかのように第一王子が立ち去ると残された令嬢の目の前に衛兵が立ちます。

「王城内でそのような格好をするとは」
「えっ?違いますっ」
「違わないだろう。半身を丸出しで恥ずかしくないのか」
「ちっ、違うの。これは殿下に、殿下に」
「なんだ?王子殿下のお種狙いか…なお更処分だな」

前世では第一王子の子を身ごもったという令嬢。
予定より早く地下牢で粛清されてしまいます。

そしてどうやら、第一王子は変わっていないようですね。
12歳でこれじゃ思いやられるよ。
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