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第01話 目覚めれば15歳
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目が覚めた時、一番最初に聞こえてきたのは男性の声。
「フンッ。このまま目を覚まさねば皆が幸せに過ごせたと言うのに。どこまでも面倒くさい女だ」
だった。
「旦那様!奥様に対してその言いようは酷いですっ!」
服装から見るに使用人だろうか。
年若い女性が酷い物言いをした男性に食って掛かった。
”奥様”に対して。つまり私の事?
”旦那様”ってことは、口の悪い男性が私の夫?このおじさんが?
視界に入る人間の顔は見覚えがないし、見える範囲の部屋の壁紙も天井にも見覚えがない。
疑問符が飛ぶ私は、手を取って脈を診て目覚めたばかりで閉じていないのに指で瞼を広げて診察をする医師らしき男性にもぞもぞと上半身を起こしつつ問うた。
「あのぅ…」
「なんでしょう?まだ目覚められばかり。無理に起き上がらなくていいんですよ」
(ホントに?良かった♡)
そう思ったのは、「こんなにフカフカな寝具なんて」と欲張る自分に気が付いたから。
「奥様、そのままでいいんですよ」
今までは寝具と本人が言い切れば寝具、ペラペラな敷布や掛布でしか寝たことがないのでこのまま”奥様”でいれば、この寝具は私の物?と思ってみるけれど、如何せん…。
【無料ほど高い物はない】ので馬鹿と言われようが謙虚であるのが一番だし、あとで人違いでしたなんて言われたら奥様扱いを享受した事を咎められるかも?小心者の自分がひょっこり顔を出す。
これは今一度確認をするしかない。
「もしや…奥様って私の事でしょうか?」
「当たり前じゃありませんか!何を仰ってるんです?」
それが当たり前じゃないのよ。
だって私はまだ15歳だし、結婚できる年齢じゃないから”奥様”であるはずがないもの。
何よりどうしてこんな待遇を受けているのかさっぱりわからない。
医者に往診に来てもらう前にお父様は?お兄様は?他人様の屋敷に厄介になってるのに何故来ない?
疑問だらけの中でもう一度私は医師に問うた。
「どうしてこんなにして頂けているんでしょう?それに…私、1週間後にどうしても外せない用事があって家に帰らねばなりません。父か兄に迎えに来るよう連絡をして欲しいのですが」
(あれ?何故皆、不思議そうな顔をするの?)
知らない御仁のお屋敷に厄介になっているのだろうなとは判る。
今までの生活でこんな立派な屋敷を構える貴族にお呼ばれしたこともないのに。
疑問を解消するにはまず父か兄を呼んで欲しいけれど‥‥。
「奥様?!覚えておられないんですか?」
(だからぁ!奥様じゃないってば!)
口の悪い男性に食って掛かった女性は涙ぐんで何故か私の顔をまじまじと見る。
「覚えてないと申しましょうか…その…リーフ子爵家に先ずは連絡をして頂きたいのです」
そう言っただけなのに、部屋の空気がピキーンと音を立てたようになったのは何故?
「奥様、失礼を致しますよ?」
「ですから、奥様では…」
「名前は解りますか?」
「ビビアン・リーフです」
「それは旧姓ですよね。今のお名前は?」
「今も昔もビビアン・リーフです」
知名度のある名前じゃない事は自分が一番よく知っているけれど、何故みんな顔を見合わせるの?傷つくわぁ。
「え、えぇっと…では年齢は?」
「15歳です」
「じゅ…15歳…」
(何を驚くことがあるの?!)
失礼ね。ノーメイクだけど年齢詐称と思われるくらい見た目と実年齢は離れてないわよ。
凍り付く部屋の空気を一変させたのは口の悪い男性だった。
「アッハッハ。15歳?サバを読むにしても読み過ぎだろう」
(●す!)
「23歳にもなって15歳?幾らリオーナが19歳だから張り合おうって無理があるだろう」
(へ?リオーナって誰?)
小馬鹿にして笑い飛ばす口の悪い男の名前がアンドリュー・ブレンだと知るのはこの1時間後。
同時に私は情報過多で頭がパニックになりかけた。
父と兄が5年前に地区が焼け野原になった大火事で領地住まいになったこと。
領地に行く前に警備隊長をしていた父が伯爵家当主のアンドリュー・ブレンとの結婚を筆頭公爵家のマルス公爵に頼み、公爵家の仲介で結婚したこと。
あと半年で結婚3年になるけれど、夫には真実の愛のお相手がいて手つかずの捨て置かれた妻だったこと。
隠す事もない実質不貞行為な真実の愛のお相手は結婚して6人目でリオーナさんは最新のお相手だと言うこと。
いつもなら接触する事のない夫の愛する人と池に面したテラスでキャットファイトになり、池に落下しドレスが水を吸って溺れかけたこと。
私は8年分の記憶がすっぽり抜けただけでなく、15歳に脳内が逆行している事を告げられた。
それらを踏まえて私は軽いショックを受けた。
(真実の愛って取り換え可能な使い捨てだったのね)
恋愛歌劇が大好きな私には真実の愛の相手が3年で6人も変えられるって事実が一番のショックだった。
「フンッ。このまま目を覚まさねば皆が幸せに過ごせたと言うのに。どこまでも面倒くさい女だ」
だった。
「旦那様!奥様に対してその言いようは酷いですっ!」
服装から見るに使用人だろうか。
年若い女性が酷い物言いをした男性に食って掛かった。
”奥様”に対して。つまり私の事?
”旦那様”ってことは、口の悪い男性が私の夫?このおじさんが?
視界に入る人間の顔は見覚えがないし、見える範囲の部屋の壁紙も天井にも見覚えがない。
疑問符が飛ぶ私は、手を取って脈を診て目覚めたばかりで閉じていないのに指で瞼を広げて診察をする医師らしき男性にもぞもぞと上半身を起こしつつ問うた。
「あのぅ…」
「なんでしょう?まだ目覚められばかり。無理に起き上がらなくていいんですよ」
(ホントに?良かった♡)
そう思ったのは、「こんなにフカフカな寝具なんて」と欲張る自分に気が付いたから。
「奥様、そのままでいいんですよ」
今までは寝具と本人が言い切れば寝具、ペラペラな敷布や掛布でしか寝たことがないのでこのまま”奥様”でいれば、この寝具は私の物?と思ってみるけれど、如何せん…。
【無料ほど高い物はない】ので馬鹿と言われようが謙虚であるのが一番だし、あとで人違いでしたなんて言われたら奥様扱いを享受した事を咎められるかも?小心者の自分がひょっこり顔を出す。
これは今一度確認をするしかない。
「もしや…奥様って私の事でしょうか?」
「当たり前じゃありませんか!何を仰ってるんです?」
それが当たり前じゃないのよ。
だって私はまだ15歳だし、結婚できる年齢じゃないから”奥様”であるはずがないもの。
何よりどうしてこんな待遇を受けているのかさっぱりわからない。
医者に往診に来てもらう前にお父様は?お兄様は?他人様の屋敷に厄介になってるのに何故来ない?
疑問だらけの中でもう一度私は医師に問うた。
「どうしてこんなにして頂けているんでしょう?それに…私、1週間後にどうしても外せない用事があって家に帰らねばなりません。父か兄に迎えに来るよう連絡をして欲しいのですが」
(あれ?何故皆、不思議そうな顔をするの?)
知らない御仁のお屋敷に厄介になっているのだろうなとは判る。
今までの生活でこんな立派な屋敷を構える貴族にお呼ばれしたこともないのに。
疑問を解消するにはまず父か兄を呼んで欲しいけれど‥‥。
「奥様?!覚えておられないんですか?」
(だからぁ!奥様じゃないってば!)
口の悪い男性に食って掛かった女性は涙ぐんで何故か私の顔をまじまじと見る。
「覚えてないと申しましょうか…その…リーフ子爵家に先ずは連絡をして頂きたいのです」
そう言っただけなのに、部屋の空気がピキーンと音を立てたようになったのは何故?
「奥様、失礼を致しますよ?」
「ですから、奥様では…」
「名前は解りますか?」
「ビビアン・リーフです」
「それは旧姓ですよね。今のお名前は?」
「今も昔もビビアン・リーフです」
知名度のある名前じゃない事は自分が一番よく知っているけれど、何故みんな顔を見合わせるの?傷つくわぁ。
「え、えぇっと…では年齢は?」
「15歳です」
「じゅ…15歳…」
(何を驚くことがあるの?!)
失礼ね。ノーメイクだけど年齢詐称と思われるくらい見た目と実年齢は離れてないわよ。
凍り付く部屋の空気を一変させたのは口の悪い男性だった。
「アッハッハ。15歳?サバを読むにしても読み過ぎだろう」
(●す!)
「23歳にもなって15歳?幾らリオーナが19歳だから張り合おうって無理があるだろう」
(へ?リオーナって誰?)
小馬鹿にして笑い飛ばす口の悪い男の名前がアンドリュー・ブレンだと知るのはこの1時間後。
同時に私は情報過多で頭がパニックになりかけた。
父と兄が5年前に地区が焼け野原になった大火事で領地住まいになったこと。
領地に行く前に警備隊長をしていた父が伯爵家当主のアンドリュー・ブレンとの結婚を筆頭公爵家のマルス公爵に頼み、公爵家の仲介で結婚したこと。
あと半年で結婚3年になるけれど、夫には真実の愛のお相手がいて手つかずの捨て置かれた妻だったこと。
隠す事もない実質不貞行為な真実の愛のお相手は結婚して6人目でリオーナさんは最新のお相手だと言うこと。
いつもなら接触する事のない夫の愛する人と池に面したテラスでキャットファイトになり、池に落下しドレスが水を吸って溺れかけたこと。
私は8年分の記憶がすっぽり抜けただけでなく、15歳に脳内が逆行している事を告げられた。
それらを踏まえて私は軽いショックを受けた。
(真実の愛って取り換え可能な使い捨てだったのね)
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