騎士団長!!参る!!

cyaru

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心臓の役割って?

ガラガラとやって来る馬車3台。
仁王立ちになったフェリックスを5人がかりで通路から押しのける使用人たち。

「旦那様‥‥もう少し寄って頂かないと…通行の邪魔です」

グイグイとフェリックスを押しのけようとする使用人ですがびくともしないフェリックス。

叔父の馬車が止まると、ドアから後続のトルシア伯爵家の馬車がまだ遠いと知ると義叔母がそのままフェリックスに地を這うような低音の声を出しながら飛び掛かります。

「リックゥゥ‥‥(ペチっペチッ)」

手にした鉄扇を手のひらで軽く音を立てながら近寄ります。
前方の馬車の異変を素早く察知した叔母も馬車から飛び下りると家令のスイフトに命じてロープとそりを用意させます。

「急ぐのです!この朴念仁を縛り上げソリに縛り付けてポニーにひかせなさい!」
「義叔母上!何をするのだ!!」

サッと一枚のハンカチを取り出す叔母。ヒラヒラとさせています。

「リック。このハンカチなんだけどね」
「まっまさか‥‥オパールの??」
「さぁ?どうかしら。静かにソリに引かれるいい子にあげようかなぁ~どうしようかなぁ」
「おとなしくするっ!だからハンカチを!!」

途端におとなしくなりソリに縛られるフェリックス。これでももうすぐ28歳。
縄で縛られ愉しんだ経験は無し。初体験です。

パサっと顔の横に置かれたハンカチ。

「行って頂戴!トルシア伯爵様はもうすぐそこまで来ています!!急ぐのです!!」

愛馬ポニーは力持ち。フェリックスが縛られたソリを軽々引いて門道の奥へ消えていきます。

「なぁ、ハンカチ知らないか?さっきまで胸ポケットにあったんだが…」

馬車の中を探し回る叔父。
ニヤリとする叔母と義叔母。
アワワ…と震える義叔父。

ゆっくりと伯爵家の馬車が侯爵邸の門をくぐりました。

☆~☆~☆~☆

一足先にソリに縛られて玄関に到着したフェリックス。
家令のスイフトはピョンとソリから飛び降りるとサっと手をあげます。
すると数名の侍女がフェリックスの顔を拭いたり、ジャケットを着替えさせます。
髪を素早く整えて、さわやかなシャボンの香りのコロンをシュッシュ!!

「良いですか。旦那様」
「あ、あぁ‥‥緊張するなぁ」

叔母がくれたハンカチの香りを鼻の奥まで吸い込んでいるフェリックス。
ハンカチの刺繍に目がいき、細い目をしながら哀れな主に色んな意味を込めて心の中で敬礼。

「よいですが。先ずは旦那様から先に伯爵様に 遠い地から来てくれたことへの挨拶!」
「先ずは、義父上にだな!よし、任せろ」
「その後、義母上、義兄上に挨拶、それから奥様となられる‥旦那様?」
「うグッ‥‥なかなかのキラーワードだな。刺さった」
「わ、わたくし、そんな刺さるような言葉を言いましたっけ?」
「スイフト‥‥奥様ってお前‥‥フゥーフゥー…クルなぁ、キたわぁ‥」
「旦那様、それではただの変態です。変質者認定されますよ…」

「あ、あぁ、すまない。抑えが利かないんだ」
「さらりと怖い事を言わないでください。それでですね、オパール様の」

ガっと家令スイフトの胸ぐらを掴むフェリックス。

「スイフト、お前はよくできた家令だ。だが‥‥オパールの名をその口からいう事は許さん」
「ですか、それでは説明が出来ませんよ」
「説明?なんの?」
「ですから!最初にトルシ‥」
「わかっている、義父上、義母上、義兄上に挨拶をしてつ・・つ・・・つ・・はぁぁ♡」
「旦那様?」
「すまない。心臓から血液を全身に送り出しそうになった」
「エ‥‥‥心臓ってそういう臓器では??」
「と、とにかくその後でオパ、オパ…オパール!!をだな?」
「そうですよ、頑張ってくださいね。最初が肝心ですよ。ほら、深呼吸をして!!」

「スゥゥゥ~ハァァァァ~‥‥ブレス長さはこれでいいか?」
「まぁ…それは人それぞれなので…良いと思います」
「緊張するなぁ…あの気高く美しい永遠の憧れのオパールが…はぁぁ♡」

「えーっと…式場で初めてお会いになったのでは?」
「そうだが?」
「いえ、何でもございません」

トルシア伯爵一家の馬車がやってきましたよ!
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