騎士団長!!参る!!

cyaru

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使用人は混乱するのだった

ガラガラとトルシア伯爵一家を乗せた馬車が到着します。

ヒヒン♪ブルル♪

御者がゆっくりと馬車を停止させると、従者たちがステップ台を素早く運び設置。
家令のスイフトは扉の前で一礼をすると、小さくノック。一言何かを告げるとゆっくりと扉を開きます。

先ず降りてきたのはトルシア伯爵。そして夫人がステップに足をかけるとさりげなくトルシア伯爵が手を差し伸べます。
続いて次期伯爵の兄がおり、扉の方に声をかけます。

頭をぶつけないように下げて、足をステップにかけるとダダダダダ!!

「だ、旦那様??」

駆け寄ってくるような足音をたてるのは、この場に、いえ、この世にただ1人とは思いましたが、昨日の夜まで【白い結婚にしてあげないと可哀想だ】と言っていたその口は何処に棄ててきた!と思わず問いそうになるスイフト。

降りるのに手を差し出すかと思ったら・・・。確かに手は出してました。
オパールの両脇を抱えて、ストンと腕の中に横抱きにしましたけどもね。

「オパール!待ちかねた!愛している!!」

溜息というよりも、疑問符の【はぁ?】っと使用人一同がハモります。
使用人たちも我が主が白い結婚にしようとしてたのを知ってます。勿論その理由も。
なのに目の前に広がるその光景は!!

「うわぁ!騎士様だぁ~」と駆け寄る子供に微笑んだだけでギャン泣きで済まずに恐怖を植え付けて、ここ数年「将来なりたい職業」から騎士をランキング圏外としてしまった張本人の旦那様が!!

「俺が笑っているうちに全てを白状しろ」と取り調べをした極悪人に「スマイル フォー ユー」というベストセラーを獄中で執筆させた旦那様が!!

「世界で一番花が似合わない男」にここ10年不動の第一位を独走している旦那様が!!

目の前に広がるこの光景はなんだ??
おかしいわ!白昼夢を見ているのかしら?
先月死んだのは婆ちゃんじゃなくて俺だったのか??

と…使用人達は現実を受け入れられないようです。

「だ・ん・な・さ・まぁぁぁぁぁ!!!(怒)」
「なんだ。スイフト。ダメだ。オパールをエスコートするのは俺の役目だ」

<<エスコート??>>

先ほど、旦那様の口からエスコートって聞こえた気がする…。
昨夜のエスカルゴに当たったのかしら‥‥心無しか旦那様の頬が赤いわ‥‥
もしかして俺は死んだんじゃなくて元々生まれてなかったのか‥‥

と一つのワードだけで現状にさらなる混乱をする使用人たち。

と、フェリックスの耳元で精霊の囁きか?と思うような美しい調べに似た声が!!

「バ、バルブン侯爵様‥‥おろしてくださいまし」
「ホワッ!!」
「あ、あの…おろしてくださいまし…」

横抱きにしたオパールをだらしなく下がった目で見つめるフェリックス。

「ま、まさか‥‥バルブン侯爵とは‥‥私の事か?!」

使用人一同、こころの中でハモります。

<<旦那様以外におらんでしょうが!!>>

「それに‥‥それに…貴女の足で踏みしめるのは私だけで充分だ!」

<<はぁぁぁぁぁ?そんな性癖ありましたっけ??>>

「あの‥‥わたくし…歩けますし…まだご挨拶も…」
「挨拶ならもう済んだ。女神ソレイユの前で終わっている」
「あの、そうではなくてですね…」
「貴女は罪な人だ。私をこんなにも試すなどと…」

<<試していませーーーん!!>>

ぺちっ!!

オパールの手が思わずフェリックスの頬を叩いてしまいます。

<<おわっ!殺戮の抜刀魔と言われた旦那様の頬を!!>>

ごくりと使用人たちその様子から目が離せません。

「ダメだ。もうこの頬は一生洗えない‥‥あぁ‥でもその手が折れてはいないか?」
「折れておりません!!」

<<フォ!奥様がキレた!!>>

「とにかく!おろしてくださいませ!!」
「君のお願いでもそれは聞けない。わかってくれ」

<<旦那様、何をわかれと??下ろすだけですよね??>>

「下ろしてくださらないのなら、わたくしにも考えがあります!!」

ピキンと固まるフェリックス。頭の中でまさか離縁??という言葉がグルグル。グルグル。
そこに助け船が入港してきます。

兄「オパール。ニャオン」
母「そうよ‥‥オパール。ニャォォ」
父「ニャウ!ニャウ!…だっただろう??」

使用人一同、トルシア伯爵一家を思わず凝視!!何故に猫の鳴きまね??
まさか!これは助け船の中でも最も信頼度が低い泥船では??

そこに叔父夫婦、叔母夫婦も到着。思わず鉄扇をバキっと折ってしまう叔母2人。

「リック!!何度言えばわかるのです!婚姻初日に逃げられますよ!」

使用人たちは思います。逃げられるって言うか…もう終わってるんじゃ??
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