騎士団長!!参る!!

cyaru

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ドレスの注意事項~伝達不足にご注意~

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王太子殿下主催の夜会まであと3日となった日。

朝もいちゃこらとして長ぁ~いフェリックスのチュウを全身で受け止めておりましたので少々お疲れ。

オパールは従者を伴ってドレスの最後の試着に出かけます。
騎士団の寮に行く前に一軒の不動産屋に立ち寄ります。

カイドーさんからいい物件があると言われ、侯爵領の一画に22世帯が住めて1階が工房となるような屋敷も格安で購入出来ました。その売買契約が成立し引き渡しの書類をもらうためです。

どうやらアヘン密売の中継をしていたヨキヒ元代官が欲を出して、ここでも精製が出来ないかと思案した挙句、先に箱もの(建物)を作り、人を集め雇ったまでは良かったけれどいざ!という段階でオパールのお掃除が行われヨキヒ元代官、今はガッポーネさんの元でアヘンの危険性を身をもって世に訴えているという現在です。

結局使われないままの建物でしたがカイドーさんがハウスクリーニングを徹底的にしてくれたおかげで外観は多少安っぽい感がありますが内装はなかなかのものです。

引き渡しの書類を手にするとウキウキと馬車に乗りこんで行き先は騎士団寮。
地味なドレスばかりかと思っていましたが、ご夫人方が気合を入れて数着のドレスをといて糸として単なるベージュのシンプルなドレスに刺繍を施し、ゴスロリ系でどうにもならないかと思った兄が彼女に突き返されたドレスも部分的に使われております。

「奥様、少しだけ…この部分だけなのですが短くしましょうか」
「まって、それだったら奥様の脚が見えそうで見えないスリットを入れた方がいいわ」
「そうするとダンスを踊るときに見えすぎないかしら」

そう話をしたのは1週間前。全ては任せると言ってあるのでオパールは出来上がったものを着るだけ。
追加で買ったのは買ったのは部分的に使った方が面白そうという意見からチュールレース。
背が高くガタイの良いフェリックスの隣でも見劣りしないようにするのと、基本の色はベージュだけれどフィリックスの瞳の色の赤も印象に残るようにと皆が頭を突き合わせて考えたドレス。

「こんにちは。進み具合はどうかしら」
「奥様っ!早く早く。こちらへ!」

グイグイと手を引かれて向かった先には1着のドレス。
肩にふわっと妖精の羽根をモチーフにして丸みを帯びたシフォンを使い、肩口から背中が大きく開いていますがいやらしくない感じです。
胸元は貧相な胸だと言うオパールを一括して敢えて強調するかのように、臍に向かって切り込みを入れ、一見素肌か?と思うような白に少し茶が入った布を縫い付けて小さなスパンコールと細かい刺繍を敢えて同じ色で施しています。
ウエストから腰部分の膨らみは女性らしさを出すよう曲線状にしていますが、実は三層になったドレス。
大きく開いたスリットですが、チュールレースを上手く使った事で脚が見えそうで見えない透け感はあるものの、大きくステップが踏めるという仕上がり。一番奥はゴスロリドレスを裁断して陰影を出しています。
ひだの凹凸も敢えて細かい刺繍を同色の糸を使っているので光の加減では全体に刺繍を施した感じにも見えます。
スレンダーラインとAラインドレスを融合させたような感じですね。

今の流行がプリンセスラインのドレスなので明らかに目立つでしょう。

「髪は全体的に上げたほうがいいですけど、盛りすぎは娼婦になるのでダメですよ」
「宝飾品は胸元の感じからするとなくても良いかもしれません。奥様は鎖骨のラインが出たほうが色気が出ますからね」
「ヒールは侯爵様のお身丈がかなりあるので高い方が並んだ時に映えると思いますが、ダンスとなるときついかもしれませんね」

あれやこれやと話をしていると余った布で作ったというワンピースを披露してくれる子供たち。

「ここはいつも笑いが溢れていますのね」
「奥様もお子様が出来れば大変になりますよ」
「あの侯爵様がお父ちゃん‥‥怖いような気もするけど。アハハ」

フェリックスには子供はまだ先でいいとは言ったものの、やはり元気いっぱいの子供たちを見ていると欲しいなぁという気持ちにもなると言うものです。
でもまぁ…遺伝子の片方はフェリックスなわけで・・・。作者としては・・うーむ。悩みますな。

「皆さんの引っ越す家も用意出来ましたの。こちらは契約書。1階が工房になっていますわ」
「22世帯って事はほとんどが移れるってこと?」
「えぇ。引っ越しの日を決めて頂いたら荷馬車などはこちらで手配しますわ」
「そこまで奥様にお世話になるわけには・・・」
「いいえ。職人だけでなく経理や管理全てが揃うんですから。これが人を集めるとなると大変ですよ。職人がいても誰も計算が出来ないとかその逆も困りますでしょう?」
「仕事の依頼なんかはどうするんだい?」

「マルムス商会でやって頂きますわ。とても信用が出来る商会ですの」
「最近よく名前を聞くけど…やってくれるかねぇ」
「大丈夫ですわ。侯爵領の方のお嫁さんのご実家ですので頼んだら引き受けてくださいましたわ」
「なんか、奥様って実業家って感じねぇ。侯爵夫人やめてもいいんじゃない?」
「そうですわね。フェルが引退したら考えますわ」

ドレスの残りのお金を支払い、夜会当日に侯爵家までドレスを持ってきてくれるように頼んだオパールは屋敷に帰ります。

オパールの馬車を見送ったご夫人。言い忘れた事があったと慌てています。

「どうしよう。かなり肩とか背中が開いてるから痕があると大変だけど」
「だ、大丈夫じゃない??」
「でも一番最初の採寸の時…」
「ア”ア”~」

ま、そこはフェリックスの耐えどころですから。
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