婚約破棄を強要されたら甘い日々が始まりました

cyaru

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VOL.02  独り勝ち状態

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こんな婚約者捨てたい!

何度思ったか解らない。

レスモンドをポイっと出来る大きなゴミ箱は無いものかと大きな籠を見ればつい考えてしまう。


視察でとう製品を売る店に行き、「ないなら自分で編むけど?」何度提案しようと思った事か。


レスモンドがここまでオリビアを蔑んでいるのもオリビアの境遇を知っているから、そして「自身の価値」を都合よく理解しているからに他ならない。


オリビアの父はポルトー侯爵家の当主。
オリビアとレスモンドの婚約はポルトー侯爵家にとっては喉から手が出るほど欲しかった王家との縁だった。

公爵家、侯爵家、そして辺境伯家には定期的に王族が臣籍降下や臣籍降嫁して国の団結力を保持してきた。しかし高祖父の代でおきた戦争で状況が変わった。

ポルトー家の任された戦地で指揮を執ったのが高祖父曾祖父の父

高祖父は臣籍降下した王子で今よりも身分制度の縛りがきつく「元王子」の肩書を振りかざし独断で砦から兵を引き、頓珍漢な戦地に回したことで砦が陥落。戦況は一気に悪化した。

戦争そのものはその10年後に終戦をしたが奪われた国土が戻ることはなく、ポルトー家の領地を含め20以上の家が所有していた肥沃な穀倉地帯と塩湖を失った。

その状態で今に至るが、未だにその事をチクチクと言われ王族がポルトー侯爵家に降りて来る事はなくなり、数代に渡ってポルトー家は国のお荷物に成り下がってしまった。

当然議会や、国の中枢での発言権も弱く、ないに等しかったが遂に結ばれた第1王子レスモンドとオリビアの婚約。

第2王子は婚約当時生まれておらず、現在まだ4歳。

次の国王はレスモンドが有力でポルトー家はレスモンドの次の代、レスモンドとオリビアの子供が国王になるとなれば一気に発言力を増した。

権力と言う欲に憑りつかれたポルトー侯爵がこの婚約を手放すはずがないとレスモンドはやりたい放題。

ポルトー侯爵も「孫が国王になるんだから安いもの」とレスモンドの言動を報告し「婚約を辞めたい」というオリビアを叱責する。

国王には11人の子供がいるが、王妃が産んだのはレスモンドのみ。
側妃の産んだ子が次の国王となれば国母にはなれず、国王より先に神の御許に行かない限り倹しい余生を送ることになるし、王妃の実家も力が削がれる。王妃の実家もポルトー家に圧力をかけている。

国王はと言えば側妃は6人いるけれど、どれも低位貴族の娘で側妃の産んだ子が即位となれば財政的に支えねばならず、唯一高位貴族の祖父母を持つレスモンドに座を譲る方が自身の私財を削らなくて済む。

レスモンドにしてみれば何をしても文句を言う者は居ない独り勝ち状態。
オリビアにしてみれば味方が1人もいないとも言える。

だからこそやりたい放題なのだ。

もう飽き飽き。
姿を見るのも声を聞くのも面倒だとオリビアは拾い上げた書類に書かれている文字に目を通した。


【婚約解消届】

冒頭にそう書かれた書類。慰謝料は求めないなどつらつらと書かれた最下部にはレスモンドの直筆で既に署名が終わっていた。本人であることを証明するためにレスモンドの王子印も押されている。

ビクッと肩を揺らしたオリビアを見てレスモンドはニヤリと笑った。
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