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VOL.18 オリビアの素性を知る
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「何かいい考えでも?」
「ダメ元になるんだけど…誰か知り合いでスピア伯爵家。繋がりがある人いない?」
「スピア伯爵家?…俺はないな。ハンスは?」
「あるかも…あ、でもどうだろうな」
「あるのね?あるのね?あるのねぇぇぇ?!」
オリビアはハンスの肩に手を置いてブンブンと前後に揺さぶる。
「うぁうぁ!!ちょ、ちょっと!!世界が揺れる!!」
「揺らすのよ!甜菜で世界を揺らすの!」
ハンスは繋がりがあると言っても、スピア伯爵家に消耗品を納品している商会に弟が勤めていて「お得意さんなんだ」というのを聞いたことがある程度だった。
「ないわけじゃないわ。ねぇ、ハンスさん。その商会…臨時で私を雇って貰えないかしら。あ、でも雇用は面倒ね。弟さんがスピア伯爵家に行く時に手紙を渡して貰えないか聞いてくれる?」
「何かあるんですか?っていうか…伯爵家に手紙って‥」
実はオリビア。まだクーヘンにも自身の詳しい経歴を話した事はなかった。
クーヘンも初日の修道女になるとか宿屋への泊まり方を知らないの言葉でどこかの貴族の娘かな?とは思ったがオリビアの着ている服は粗末なものだったし、貴族の令嬢が箒で掃除をしたり、荷車を押したりするとは思わなかった。
ましてクーヘンの家で勿論疚しい事は何もないが、一緒の部屋(@寝台は別)で貴族令嬢が寝たりするとは思えなかった。
ゴミの処分費など立て替えてくれているので、金は持っているとは思ったけれどどこかから調達したりもしていないし、どこかの家の従者が尋ねて来たこともない。
クーヘンとしては貴族令嬢だろうけど没落した低位貴族の娘だろう。
金は親から「これで生きていけ」と手切れ金。そんな考えしかなかった。
だから伯爵家に手紙を渡してくれと頼むオリビアが不思議な生き物に見えた。
==時々、私が女王みたいな勘違い女はいるだろうけど==
いるのだ。世の男性は全て自分の虜なのだと勘違いしている女が。
ただ、オリビアはそういう類の女性とは違っていると思ったのだが。
「隠していたわけじゃないけど…言わなかったのなら隠してたと同じかな。実は私、オリビア・ポルトーって以前は姓があったの」
<< はっ?! >>
これにはクーヘンもハンスも大いに驚いた。
ポルトー家と言えば1家しかない。侯爵家だ。
そして聞いたことがあった。第1王子レスモンドの婚約者はポルトー家のご令嬢だと。
クーヘンとハンスは目が合う。2人の目に見えるのは冷や汗ダラダラの向かい合った友人だ。
「まさかな?」
「そのまさかだったら…ドスル?」
「まさかでも何でもないわ。ポルトー家の爵位は侯爵。そして私はつい先日まで第1王子の婚約者だったの」
<< はぁーっ?! >>
「驚かないで。今は婚約者も侯爵令嬢も廃業してるし‥あ、廃棄処分かな。えへへ」
==驚かない奴がいたら国宝だよ!==
「大丈夫。レスモンド殿下から婚約破棄を言われて教皇様に婚約は解消で認めて頂いたの。元お父様には出て行けって言われているし、今はただのオリビアよ」
<< 教皇様っ?! >>
==全然 ”ただの” 女性じゃねぇんだけど?==
クーヘンは現在生きた心地がしない。
まるで他人事とばかりにさらりと言いのけているが、次期王妃とも言われたオリビア。
掃除もゴミの仕分けもさせてしまった事に首にじっとりと嫌な汗が噴き出る。
ハンスも現在生きた心地がしない。
ケロッと言い放っているが、話しかけるどころかこんな至近距離に居ていい部類の人間ではないのがオリビア。
傷んだリンゴを渡してしまった。しかも毒味もせずに。
明日には捕縛され、城の壁に吊るされている気がして妻子との思い出が走馬灯となって押し寄せる。
「やだなぁ。何もありませんよ。身分もないないなーい♪だけど、ダメ元で使えるかも知れない肩書は使ってみてもいいかなーって」
「なにを…」
「何ってスピア伯爵って一度会った事があるの。塹壕処理部隊が帰還した時の慰問会でなんだけど、慈善事業をしている家よね。貧しい人の就業支援とか。で、この甜菜よ。先の戦争で塩湖を失ったけど、ソルムティ王国は元々塩は採れていた国。甜菜糖を作って塩と交換輸入をしたらどうかなって思うのよ。加工するのに人手は必要でしょう?スピア伯爵は人は余ってるけど仕事がない。ハンスさんはこの甜菜を何とかしたい。我が国は塩を安価で手に入れたい。あら?WINWINのWINだわ」
「そ…そうデスネ…」
クーヘンとハンスの脳内には「ウィンゴーン」教会の弔いの鐘の音が響いた気がした。
「ダメ元になるんだけど…誰か知り合いでスピア伯爵家。繋がりがある人いない?」
「スピア伯爵家?…俺はないな。ハンスは?」
「あるかも…あ、でもどうだろうな」
「あるのね?あるのね?あるのねぇぇぇ?!」
オリビアはハンスの肩に手を置いてブンブンと前後に揺さぶる。
「うぁうぁ!!ちょ、ちょっと!!世界が揺れる!!」
「揺らすのよ!甜菜で世界を揺らすの!」
ハンスは繋がりがあると言っても、スピア伯爵家に消耗品を納品している商会に弟が勤めていて「お得意さんなんだ」というのを聞いたことがある程度だった。
「ないわけじゃないわ。ねぇ、ハンスさん。その商会…臨時で私を雇って貰えないかしら。あ、でも雇用は面倒ね。弟さんがスピア伯爵家に行く時に手紙を渡して貰えないか聞いてくれる?」
「何かあるんですか?っていうか…伯爵家に手紙って‥」
実はオリビア。まだクーヘンにも自身の詳しい経歴を話した事はなかった。
クーヘンも初日の修道女になるとか宿屋への泊まり方を知らないの言葉でどこかの貴族の娘かな?とは思ったがオリビアの着ている服は粗末なものだったし、貴族の令嬢が箒で掃除をしたり、荷車を押したりするとは思わなかった。
ましてクーヘンの家で勿論疚しい事は何もないが、一緒の部屋(@寝台は別)で貴族令嬢が寝たりするとは思えなかった。
ゴミの処分費など立て替えてくれているので、金は持っているとは思ったけれどどこかから調達したりもしていないし、どこかの家の従者が尋ねて来たこともない。
クーヘンとしては貴族令嬢だろうけど没落した低位貴族の娘だろう。
金は親から「これで生きていけ」と手切れ金。そんな考えしかなかった。
だから伯爵家に手紙を渡してくれと頼むオリビアが不思議な生き物に見えた。
==時々、私が女王みたいな勘違い女はいるだろうけど==
いるのだ。世の男性は全て自分の虜なのだと勘違いしている女が。
ただ、オリビアはそういう類の女性とは違っていると思ったのだが。
「隠していたわけじゃないけど…言わなかったのなら隠してたと同じかな。実は私、オリビア・ポルトーって以前は姓があったの」
<< はっ?! >>
これにはクーヘンもハンスも大いに驚いた。
ポルトー家と言えば1家しかない。侯爵家だ。
そして聞いたことがあった。第1王子レスモンドの婚約者はポルトー家のご令嬢だと。
クーヘンとハンスは目が合う。2人の目に見えるのは冷や汗ダラダラの向かい合った友人だ。
「まさかな?」
「そのまさかだったら…ドスル?」
「まさかでも何でもないわ。ポルトー家の爵位は侯爵。そして私はつい先日まで第1王子の婚約者だったの」
<< はぁーっ?! >>
「驚かないで。今は婚約者も侯爵令嬢も廃業してるし‥あ、廃棄処分かな。えへへ」
==驚かない奴がいたら国宝だよ!==
「大丈夫。レスモンド殿下から婚約破棄を言われて教皇様に婚約は解消で認めて頂いたの。元お父様には出て行けって言われているし、今はただのオリビアよ」
<< 教皇様っ?! >>
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クーヘンは現在生きた心地がしない。
まるで他人事とばかりにさらりと言いのけているが、次期王妃とも言われたオリビア。
掃除もゴミの仕分けもさせてしまった事に首にじっとりと嫌な汗が噴き出る。
ハンスも現在生きた心地がしない。
ケロッと言い放っているが、話しかけるどころかこんな至近距離に居ていい部類の人間ではないのがオリビア。
傷んだリンゴを渡してしまった。しかも毒味もせずに。
明日には捕縛され、城の壁に吊るされている気がして妻子との思い出が走馬灯となって押し寄せる。
「やだなぁ。何もありませんよ。身分もないないなーい♪だけど、ダメ元で使えるかも知れない肩書は使ってみてもいいかなーって」
「なにを…」
「何ってスピア伯爵って一度会った事があるの。塹壕処理部隊が帰還した時の慰問会でなんだけど、慈善事業をしている家よね。貧しい人の就業支援とか。で、この甜菜よ。先の戦争で塩湖を失ったけど、ソルムティ王国は元々塩は採れていた国。甜菜糖を作って塩と交換輸入をしたらどうかなって思うのよ。加工するのに人手は必要でしょう?スピア伯爵は人は余ってるけど仕事がない。ハンスさんはこの甜菜を何とかしたい。我が国は塩を安価で手に入れたい。あら?WINWINのWINだわ」
「そ…そうデスネ…」
クーヘンとハンスの脳内には「ウィンゴーン」教会の弔いの鐘の音が響いた気がした。
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