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VOL.42 国王への頼み事
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ディチ子爵の企みが白日の下にさらされると、議会は国王を突きあげた。
今度こそレスモンドへの厳しい処遇を科すこと。そうでなければ4歳の第2王子を即位させ議会の選んだ摂政を置くと通告された。
ディチ子爵の企みは計画倒れにも等しいが、西地区では企みを原因とする火災が発生し全焼する家屋も出た。
王家はその補償もする事と議会に通達をされている。
事なきを得たのは幸いにも従者がレスモンドの宮で預かって来た計画書は国王の元にあり、まだ議会には出していなかったこと。
この計画書がオリビアの居た時であれば、とっくに回されていたが「どうせ碌なものでもない」と国王は審議会に審議させることも文官たちに内容を確認することもまださせてはいなかった。
回していれば国王も片棒を担いだとされてもおかしくない。
国王は部屋に来た時のレスモンドの様子で今後を決める事にした。
計画書を受け取った時点でレスモンドが廃棄なりしていればよかったのだが、国王の元に回した。これは憲兵団から議会に調書が上がってしまったのでレスモンドはお咎めなしには出来ない。
部屋に入って来た時、反省の様子を見せていればレスモンドの私財を西地区の補償に充て、レスモンドの宮での幽閉は継続。
反省の様子がなければ私財を補償に充てるのは変わらないが、二度と誰かと会うことがないように幽閉の場所を塔に切り替え、然るべき手続きを取った後は「病死」とすることにした。
然るべき手続きとは病死をするための毒杯を用意することでもある。
そしてレスモンドとは別に国王はもう1人、会わねばならない人間がいた。
「陛下、お久しゅうございます」
「おぉ。オリビア。ゆるりとしてくれ。此度は誠に申し訳なかった」
「陛下、頭をお上げくださいませ」
「レスモンドのしたことは許されるものではない。本当にすまなかった。今後二度と関わる事はないと約束しよう。迷惑をかけたのだ。私にできる事があれば何でもしよう。言って欲しい」
「そうですか…では1つお願いがあるのです」
「なんなりと申せ。教皇絡みはちと時間を貰うが何とかする」
「教皇様は関係御座いません。陛下にお願いしたいのは…ポルトー侯爵家から除籍したいので認可をして頂きたいのです」
「なんと?!だ、だが、ポルトー侯爵はそなたとポティト王国の第6王子との婚約を結ぶのではないのか?」
「第6王子との縁談であればポティト王国から陛下にも話が来ると思いますが来ておりませんでしょう?この婚約話はポティト王国の駐在大使様が冗談交じりに言ったのを父が本気にしてしまっただけで、婚約はまだ正式に結ばれておりません。駐在大使様と話をして私も驚きましたので」
「そうであったか」
「はい、なので今の時点で除籍をすれば私はポルトー家の人間ではなくなります」
「貴族をやめてどうするのだ?」
「平民として陛下、並びに第2王子殿下を支えたいと思います」
オリビアの固い意志は表情にも表れていた。
ポルトー侯爵はオリビアに嫁ぐ意思がないと知るとオリビアを部屋から出さないように閉じ込めてしまったが、国王が呼んでいるとなれば部屋から出さねばならない。
「今日しかチャンスが御座いませんの」
「ポルトーが怒り狂うな」
「そうですね。ですが駐在大使の社交辞令を都合よく受け取り、他国の王族との縁談を模索。その相手の国は寝耳に水の話なのです。このままでは国が恥をかきます。ごり押しをしたとて嫁ぐ人間がいなくなれば嫁ぐ事は不可能。侯爵が怒り狂ったところで大した問題では御座いませんわ」
「相分かった。そうだな…除籍は儂の認可があれば良いのだから…直ぐに手続きをしよう。時間は良いのか?」
「えぇ。戻ってもまた部屋で時間をどう潰すか考えるだけなので」
次官から用意をされた除籍届にオリビアが書き込むと、国王はオリビアの目の前で認可の印を押し、次官は書類を持っていったん下がると控えを持ってきてくれた。
「もう平民だ。これで良かったのか?」
「はい。陛下の御心遣いに心からの感謝を。ポルトー侯爵が何かを言ってくる可能性は御座いますが‥」
「よいよい。ポティト王国の本国も知らぬ縁談だ。何か言ってきたら密約でもあるのかと追い返してやるわぃ」
「お手間を取らせますわ」
「そなたが受けて来た迷惑からすれば安いものだ。儂も其方ならと見て見ぬふりをしてきたのだからレスモンドと大差ない」
国王の言葉が心からの言葉なのか、それともこの場をやり過ごせればと姑息からくる言葉なのか。それはオリビアには判らないが、1つ言えるのはもう貴族ではない事実がここに有る。
オリビアは晴れ晴れとした表情で国王の部屋を後にした。
馬車に乗り込んだオリビアは馬車の中で着替えを済ませ、御者に声を掛けた。
「停められそうなところで馬車を止めてくれる?」
「どうされました?」
「ちょっと降ろしてくれる?」
御者はその先が言葉として聞こえなくてもオリビアの言いたいことをくみ取り、馬車を止めて扉を開けた。
短い髪に髪飾りはないが、耳たぶのイヤリングを外すと御者に手渡した。
「このイヤリングと貴方の靴。交換してくださらない?」
「靴?靴ですか?」
「えぇ。私の人生にヒールは要らないわ。途中でヒールだけでも売れば新しい靴が買えると思うわよ。それから馬車の中にあるドレス。あげるわ。好きにしていいから」
「お嬢様…これからどこへ?」
「ふふっ。甘~い幸せにどっぷり浸りに行くの」
「あぁ。彼の…」
「短気は起すものじゃないわね。よく考えたら彼が貴族の在り方なんて知る訳ないもの」
オリビアはぶかぶかの男性用の靴を履いて、「じゃぁ、元気で」御者に軽くハグをするとヨタヨタとペンギンが歩くようにして人ごみの中に消えて行った。
今度こそレスモンドへの厳しい処遇を科すこと。そうでなければ4歳の第2王子を即位させ議会の選んだ摂政を置くと通告された。
ディチ子爵の企みは計画倒れにも等しいが、西地区では企みを原因とする火災が発生し全焼する家屋も出た。
王家はその補償もする事と議会に通達をされている。
事なきを得たのは幸いにも従者がレスモンドの宮で預かって来た計画書は国王の元にあり、まだ議会には出していなかったこと。
この計画書がオリビアの居た時であれば、とっくに回されていたが「どうせ碌なものでもない」と国王は審議会に審議させることも文官たちに内容を確認することもまださせてはいなかった。
回していれば国王も片棒を担いだとされてもおかしくない。
国王は部屋に来た時のレスモンドの様子で今後を決める事にした。
計画書を受け取った時点でレスモンドが廃棄なりしていればよかったのだが、国王の元に回した。これは憲兵団から議会に調書が上がってしまったのでレスモンドはお咎めなしには出来ない。
部屋に入って来た時、反省の様子を見せていればレスモンドの私財を西地区の補償に充て、レスモンドの宮での幽閉は継続。
反省の様子がなければ私財を補償に充てるのは変わらないが、二度と誰かと会うことがないように幽閉の場所を塔に切り替え、然るべき手続きを取った後は「病死」とすることにした。
然るべき手続きとは病死をするための毒杯を用意することでもある。
そしてレスモンドとは別に国王はもう1人、会わねばならない人間がいた。
「陛下、お久しゅうございます」
「おぉ。オリビア。ゆるりとしてくれ。此度は誠に申し訳なかった」
「陛下、頭をお上げくださいませ」
「レスモンドのしたことは許されるものではない。本当にすまなかった。今後二度と関わる事はないと約束しよう。迷惑をかけたのだ。私にできる事があれば何でもしよう。言って欲しい」
「そうですか…では1つお願いがあるのです」
「なんなりと申せ。教皇絡みはちと時間を貰うが何とかする」
「教皇様は関係御座いません。陛下にお願いしたいのは…ポルトー侯爵家から除籍したいので認可をして頂きたいのです」
「なんと?!だ、だが、ポルトー侯爵はそなたとポティト王国の第6王子との婚約を結ぶのではないのか?」
「第6王子との縁談であればポティト王国から陛下にも話が来ると思いますが来ておりませんでしょう?この婚約話はポティト王国の駐在大使様が冗談交じりに言ったのを父が本気にしてしまっただけで、婚約はまだ正式に結ばれておりません。駐在大使様と話をして私も驚きましたので」
「そうであったか」
「はい、なので今の時点で除籍をすれば私はポルトー家の人間ではなくなります」
「貴族をやめてどうするのだ?」
「平民として陛下、並びに第2王子殿下を支えたいと思います」
オリビアの固い意志は表情にも表れていた。
ポルトー侯爵はオリビアに嫁ぐ意思がないと知るとオリビアを部屋から出さないように閉じ込めてしまったが、国王が呼んでいるとなれば部屋から出さねばならない。
「今日しかチャンスが御座いませんの」
「ポルトーが怒り狂うな」
「そうですね。ですが駐在大使の社交辞令を都合よく受け取り、他国の王族との縁談を模索。その相手の国は寝耳に水の話なのです。このままでは国が恥をかきます。ごり押しをしたとて嫁ぐ人間がいなくなれば嫁ぐ事は不可能。侯爵が怒り狂ったところで大した問題では御座いませんわ」
「相分かった。そうだな…除籍は儂の認可があれば良いのだから…直ぐに手続きをしよう。時間は良いのか?」
「えぇ。戻ってもまた部屋で時間をどう潰すか考えるだけなので」
次官から用意をされた除籍届にオリビアが書き込むと、国王はオリビアの目の前で認可の印を押し、次官は書類を持っていったん下がると控えを持ってきてくれた。
「もう平民だ。これで良かったのか?」
「はい。陛下の御心遣いに心からの感謝を。ポルトー侯爵が何かを言ってくる可能性は御座いますが‥」
「よいよい。ポティト王国の本国も知らぬ縁談だ。何か言ってきたら密約でもあるのかと追い返してやるわぃ」
「お手間を取らせますわ」
「そなたが受けて来た迷惑からすれば安いものだ。儂も其方ならと見て見ぬふりをしてきたのだからレスモンドと大差ない」
国王の言葉が心からの言葉なのか、それともこの場をやり過ごせればと姑息からくる言葉なのか。それはオリビアには判らないが、1つ言えるのはもう貴族ではない事実がここに有る。
オリビアは晴れ晴れとした表情で国王の部屋を後にした。
馬車に乗り込んだオリビアは馬車の中で着替えを済ませ、御者に声を掛けた。
「停められそうなところで馬車を止めてくれる?」
「どうされました?」
「ちょっと降ろしてくれる?」
御者はその先が言葉として聞こえなくてもオリビアの言いたいことをくみ取り、馬車を止めて扉を開けた。
短い髪に髪飾りはないが、耳たぶのイヤリングを外すと御者に手渡した。
「このイヤリングと貴方の靴。交換してくださらない?」
「靴?靴ですか?」
「えぇ。私の人生にヒールは要らないわ。途中でヒールだけでも売れば新しい靴が買えると思うわよ。それから馬車の中にあるドレス。あげるわ。好きにしていいから」
「お嬢様…これからどこへ?」
「ふふっ。甘~い幸せにどっぷり浸りに行くの」
「あぁ。彼の…」
「短気は起すものじゃないわね。よく考えたら彼が貴族の在り方なんて知る訳ないもの」
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