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第11話 エクセの事情
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どうしても両親から許可が下りず、愛するコリンナは本宅には出入りを禁じられていて庭にある離れで生活をしている。
「どうして認めてくれないんだ!コリンナが年上だからか?」
「そういう事ではない。貴族であることをやめる覚悟もないのに付き合うなと言ってるんだ」
エクセが17歳の時に酒場で給仕をしていたコリンナと出会ってもう10年。
出会った時、コリンナは19歳。早く結婚してあげねばと思うが決まりだけはどうにもならない。
ストレスからか急激に太ったり、かと思えば痩せて腹が凹んだり。
この10年で全く会えない期間が途中に2回、いや3回あった。
友人たちからは「コリンナが子供を産んだ」と聞かされたがそんな事はないと突っぱねた。
公爵夫妻からも「子供が3人いる」と言われたがコリンナは否定をした。
エクセはコリンナを本気で愛しているのだ。
愛するコリンナが嘘を吐くはずがないと信じてやまない。
確かに会えない期間が1年ほどあったりもしたが理由もちゃんとコリンナは言ってくれた。
コリンナは平民なので「働かないと食べていけないから」と出稼ぎに隣国に行っていたとエクセに言った。
あまりにも体型が激しく変化をするので、心配になったエクセはコリンナを離れに住まわせた。離れに住まわせるようになるとコリンナの母が定期的に訪ねてきてコリンナに金の無心をする。
どうやらコリンナの母親はコリンナが公爵家で働き始めたと思っているようで、「ちょっとは帰ってきて面倒を見ろ」と叫ぶ。
コリンナは「仕事もしなきゃだけど祖父母の介護が辛くて」と泣いた。
最初はエクセが指示し従者が追い払っていたが、コリンナが「あれでもアタシの母親なの。血って断ち切れないの」とエクセに泣きつき、以後は敷地の中に入れることはないけれど、金だけを渡すようになった。
10年経ち、もうすぐ公爵家を継がねばならない。リミットは目の前だ。
コリンナからは「別れたくないけど仕方ない」と言われているがエクセはどうしてもコリンナを手放せなかった。
そんな時に国王も巻き込んで見合い話が持ち上がった。
この見合い話だけは断る事の出来ない王命のようなもの。
しかし、長い間、ずっと「コリンナだけ!」と言い続けてきて遂に両親も折れたのか正妻として迎える令嬢は書面上の妻であり、コリンナとの間に子供を作れば生まれた子供の母親は建前上、妻の子となるがコリンナは乳母として傍におくし、男児が生まれた後は正妻とは離縁していいと言われて承諾した。
正式な顔合わせの前に挨拶程度だからとコハマ侯爵家に連れて行かれたエクセは気分が悪かった。
妻にするのは認めているんだから接点は最小限にしたかった。なのに両親はコリンナと離れている時間を作りたがる。
「ルビーさんというそうだが、とても頑張り屋らしいぞ」
「子爵令嬢でしょう?公爵家に嫁ぐんだから頑張るのは当たり前でしょう」
「そうじゃない。とても勉強が好きらしくてな。マーサ女史ももう教えることはないとたった3か月でお墨付きを与えたそうだ」
マーサ女史は王族にも王国史や式典などの時に限ってのマナーなどを教える講師である。エクセは公爵家で王家ともつながりが深く式典には公爵家なら出席をせねばならず、その厳しさは知っていた。
――欲が先に立ってるんだから必死で覚えるさ――
先入観もあっての初見。
ルビーの姿はエクセの目には「必死な女」としてしか映らなかった。
その後もルビーの事は逐一両親から聞かされるが、聞かされる度に苛立ちだけが募っていった。
★~★
「何をしているんだ?」
その日、エクセは王弟に呼び出されて王宮に出向いていた。
用件は結婚の事で、単に祝辞を伝えたいだけ。エクセはこうやって表面上祝いましたとする風潮が嫌で堪らなかった。
帰ろうと思い、馬車を待たせている場所に向かっていると魔法部の魔法長と手を握り、向かい合っているルビーを見かけた。
「こんなところにまで男漁りか。幾ら捨て置かれる公爵夫人になるからと言って。恥を知れ」
こっそりと、しかしただ広いだけの演習場のど真ん中で逢瀬をしている。隠したいのか大っぴらにしたいのか。エクセにはさっぱり理解が出来なかった。
「どうして認めてくれないんだ!コリンナが年上だからか?」
「そういう事ではない。貴族であることをやめる覚悟もないのに付き合うなと言ってるんだ」
エクセが17歳の時に酒場で給仕をしていたコリンナと出会ってもう10年。
出会った時、コリンナは19歳。早く結婚してあげねばと思うが決まりだけはどうにもならない。
ストレスからか急激に太ったり、かと思えば痩せて腹が凹んだり。
この10年で全く会えない期間が途中に2回、いや3回あった。
友人たちからは「コリンナが子供を産んだ」と聞かされたがそんな事はないと突っぱねた。
公爵夫妻からも「子供が3人いる」と言われたがコリンナは否定をした。
エクセはコリンナを本気で愛しているのだ。
愛するコリンナが嘘を吐くはずがないと信じてやまない。
確かに会えない期間が1年ほどあったりもしたが理由もちゃんとコリンナは言ってくれた。
コリンナは平民なので「働かないと食べていけないから」と出稼ぎに隣国に行っていたとエクセに言った。
あまりにも体型が激しく変化をするので、心配になったエクセはコリンナを離れに住まわせた。離れに住まわせるようになるとコリンナの母が定期的に訪ねてきてコリンナに金の無心をする。
どうやらコリンナの母親はコリンナが公爵家で働き始めたと思っているようで、「ちょっとは帰ってきて面倒を見ろ」と叫ぶ。
コリンナは「仕事もしなきゃだけど祖父母の介護が辛くて」と泣いた。
最初はエクセが指示し従者が追い払っていたが、コリンナが「あれでもアタシの母親なの。血って断ち切れないの」とエクセに泣きつき、以後は敷地の中に入れることはないけれど、金だけを渡すようになった。
10年経ち、もうすぐ公爵家を継がねばならない。リミットは目の前だ。
コリンナからは「別れたくないけど仕方ない」と言われているがエクセはどうしてもコリンナを手放せなかった。
そんな時に国王も巻き込んで見合い話が持ち上がった。
この見合い話だけは断る事の出来ない王命のようなもの。
しかし、長い間、ずっと「コリンナだけ!」と言い続けてきて遂に両親も折れたのか正妻として迎える令嬢は書面上の妻であり、コリンナとの間に子供を作れば生まれた子供の母親は建前上、妻の子となるがコリンナは乳母として傍におくし、男児が生まれた後は正妻とは離縁していいと言われて承諾した。
正式な顔合わせの前に挨拶程度だからとコハマ侯爵家に連れて行かれたエクセは気分が悪かった。
妻にするのは認めているんだから接点は最小限にしたかった。なのに両親はコリンナと離れている時間を作りたがる。
「ルビーさんというそうだが、とても頑張り屋らしいぞ」
「子爵令嬢でしょう?公爵家に嫁ぐんだから頑張るのは当たり前でしょう」
「そうじゃない。とても勉強が好きらしくてな。マーサ女史ももう教えることはないとたった3か月でお墨付きを与えたそうだ」
マーサ女史は王族にも王国史や式典などの時に限ってのマナーなどを教える講師である。エクセは公爵家で王家ともつながりが深く式典には公爵家なら出席をせねばならず、その厳しさは知っていた。
――欲が先に立ってるんだから必死で覚えるさ――
先入観もあっての初見。
ルビーの姿はエクセの目には「必死な女」としてしか映らなかった。
その後もルビーの事は逐一両親から聞かされるが、聞かされる度に苛立ちだけが募っていった。
★~★
「何をしているんだ?」
その日、エクセは王弟に呼び出されて王宮に出向いていた。
用件は結婚の事で、単に祝辞を伝えたいだけ。エクセはこうやって表面上祝いましたとする風潮が嫌で堪らなかった。
帰ろうと思い、馬車を待たせている場所に向かっていると魔法部の魔法長と手を握り、向かい合っているルビーを見かけた。
「こんなところにまで男漁りか。幾ら捨て置かれる公爵夫人になるからと言って。恥を知れ」
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