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第05話 断る理由も織り込み済み
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「突然ですまない。もう時間がないんだ」
(そんな人類滅亡まであと5分みたいな言い方されても)
男性はずずいっとアリアの横たわる寝台に腰掛けてきて距離を詰めてくる。
「大事なことだ。アリア・ハース。調べた限りで君は未婚でハース男爵家の一人娘だ」
(調べた?!なんで?!)
メイド服の女性はここがパミル侯爵家のエルフィン様のタウンハウスだと言った。
侯爵家ならそもそも貴族院に用がある人間なんて限られているのだから調べるのは簡単なこと。
ただアリアには自分が調べられる理由が判らなかった。
思い当たるとすれば恋人だったダリオンが騎士団のお金を個人的なことに流用し、関与しているのではないかと疑われることくらい。
アリアは恐る恐る問うてくる男性の顔を見た。
改めて男性の顔を見ると…。
(うわぁ。目が覚めるような美丈夫ってこういう人を言うのね)
美丈夫は各国、各地を巡業してやってくる劇団のポスターに描かれているけれど、如何せん歌劇などを見る金銭的余裕がアリアにはなくて実物は見たことがない。
それでもなけなしをはたいて歌劇を見た子たちから「この世の極上」「見るだけで寿命が3年延びる」と言う美丈夫が存在することは聞いて知っていた。
部屋に入ってきたときから「整ったかんばせだな」とは思ったけれど、間近で見ると破壊力が半端ない。
(くわぁ♡本当に目の保養。死にかけても3年は長生き出来そう)
ついつい、麗しいかんばせに見入ってしまったが、現実逃避したくなるほどに男性はアリアの至近距離に顔を寄せてきた。
「それで?問いかけの回答をまだもらってないが?」
「と、問いかけ…未婚で、男爵家の娘だという事ですか?」
「その通りだ。付け加えるなら婚約者にはなっていないが、将来を約束した男がいるかどうかも知りたい」
余りの勢いにアリアは男爵家の娘でフリーであることを口走ってしまった。
「そうか。ならばだ。私と結婚をしないか?」
「へ?」
「結婚だ。相手はいないんだろう?直ぐには無理だが3、4年後に離縁してもいい。私には今すぐ結婚をしなければならない事情がある。結婚をしてくれるのなら婚姻中は生活に困ることがないよう、そして離縁後も手厚い対応をさせてもらう。どうだ?」
(どうだって言われても、結婚でしょ?即答は無理よ)
キツネに抓まれた感は否めないが本当だとすれば良い話の部類であるのは間違いない。
ただ、この屋敷が侯爵家の物なので高位貴族の面倒ごとに巻き込まれるなら多少贅沢に贅沢を上乗せされてもお断りしたい案件である。
アリアは生活そのものも平民と変わりなく爵位があるだけのようなものなので、ガッチガチな理の中で生きる生粋の貴族とは考え方も違う。
笑顔の裏で腹の読みあいをする生き方はアリアには無理だ。
「えーっと…申し訳ないのですがお断――」
「断られると私は全てを失うんだが」
「うぇっ?!」
「愛のない結婚だ。気負うことはない。対外的な社交もしなくていいし干渉をされぬように手も回す。君は住まいは移してもらわねばならないが、生活そのものを変える必要はない。できれば家屋解体の仕事はケガをしそうなので自重してほしいが仕立て屋の仕事も今まで通り受けていいし、雑貨店の経理も―」
アリアはクワっと目を見開いて男性に問うた。
「待って、待って!どうして仕立て屋とか雑貨店の事を知ってるの!?」
「調べたと言ったはずだが?」
ニヤッと笑う男性にアリアは最後の切り札を出した。
「ごめんなさい。父に相談もなく決めることは出来ません」
「そう来たか。だが織り込み済みだ。相談の必要はない」
(な、なんですって!?)
(そんな人類滅亡まであと5分みたいな言い方されても)
男性はずずいっとアリアの横たわる寝台に腰掛けてきて距離を詰めてくる。
「大事なことだ。アリア・ハース。調べた限りで君は未婚でハース男爵家の一人娘だ」
(調べた?!なんで?!)
メイド服の女性はここがパミル侯爵家のエルフィン様のタウンハウスだと言った。
侯爵家ならそもそも貴族院に用がある人間なんて限られているのだから調べるのは簡単なこと。
ただアリアには自分が調べられる理由が判らなかった。
思い当たるとすれば恋人だったダリオンが騎士団のお金を個人的なことに流用し、関与しているのではないかと疑われることくらい。
アリアは恐る恐る問うてくる男性の顔を見た。
改めて男性の顔を見ると…。
(うわぁ。目が覚めるような美丈夫ってこういう人を言うのね)
美丈夫は各国、各地を巡業してやってくる劇団のポスターに描かれているけれど、如何せん歌劇などを見る金銭的余裕がアリアにはなくて実物は見たことがない。
それでもなけなしをはたいて歌劇を見た子たちから「この世の極上」「見るだけで寿命が3年延びる」と言う美丈夫が存在することは聞いて知っていた。
部屋に入ってきたときから「整ったかんばせだな」とは思ったけれど、間近で見ると破壊力が半端ない。
(くわぁ♡本当に目の保養。死にかけても3年は長生き出来そう)
ついつい、麗しいかんばせに見入ってしまったが、現実逃避したくなるほどに男性はアリアの至近距離に顔を寄せてきた。
「それで?問いかけの回答をまだもらってないが?」
「と、問いかけ…未婚で、男爵家の娘だという事ですか?」
「その通りだ。付け加えるなら婚約者にはなっていないが、将来を約束した男がいるかどうかも知りたい」
余りの勢いにアリアは男爵家の娘でフリーであることを口走ってしまった。
「そうか。ならばだ。私と結婚をしないか?」
「へ?」
「結婚だ。相手はいないんだろう?直ぐには無理だが3、4年後に離縁してもいい。私には今すぐ結婚をしなければならない事情がある。結婚をしてくれるのなら婚姻中は生活に困ることがないよう、そして離縁後も手厚い対応をさせてもらう。どうだ?」
(どうだって言われても、結婚でしょ?即答は無理よ)
キツネに抓まれた感は否めないが本当だとすれば良い話の部類であるのは間違いない。
ただ、この屋敷が侯爵家の物なので高位貴族の面倒ごとに巻き込まれるなら多少贅沢に贅沢を上乗せされてもお断りしたい案件である。
アリアは生活そのものも平民と変わりなく爵位があるだけのようなものなので、ガッチガチな理の中で生きる生粋の貴族とは考え方も違う。
笑顔の裏で腹の読みあいをする生き方はアリアには無理だ。
「えーっと…申し訳ないのですがお断――」
「断られると私は全てを失うんだが」
「うぇっ?!」
「愛のない結婚だ。気負うことはない。対外的な社交もしなくていいし干渉をされぬように手も回す。君は住まいは移してもらわねばならないが、生活そのものを変える必要はない。できれば家屋解体の仕事はケガをしそうなので自重してほしいが仕立て屋の仕事も今まで通り受けていいし、雑貨店の経理も―」
アリアはクワっと目を見開いて男性に問うた。
「待って、待って!どうして仕立て屋とか雑貨店の事を知ってるの!?」
「調べたと言ったはずだが?」
ニヤッと笑う男性にアリアは最後の切り札を出した。
「ごめんなさい。父に相談もなく決めることは出来ません」
「そう来たか。だが織り込み済みだ。相談の必要はない」
(な、なんですって!?)
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