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第08話 美丈夫は香りも絶品
「悪いようにはしない。だから結婚してくれないか」
「いやぁ、私では力不足と申しましょうか、何と言っても侯爵家ですよね。対外的にお付き合いをしなくていいなんてこの場で言われてもケースバイケースってありますし」
「しなくていい!私が保証する」
(貴方の保証?その後ろ盾がないのに?)
アリアはやっぱり断るべきだとエルフィンには申し訳ないが首を縦には振らなかった。
「ダメか…。そうか、仕方ないよな」
がっくりと肩を落とし、窓の外を見るエルフィンにアリアは「悪いことしちゃったかな」と少し譲歩の姿勢を見せても良かったんじゃないかと自身の言動を振り返った。
引き受けるつもりはまだなかったけれど、時間がないと言うのがどれほどなのか。話のついでに聞いてみた。
「時間がないと仰いますけど、そんなに切羽詰まっていますの?」
「ん?そうだな。実は…今日が期限なんだ」
「き、今日?!」
「あぁ。知っての通り貴族院で手続きをするまでに話を持って行ったんだが、このざまだ」
「お、お待ちくださいね?もしかして私がここで寝ている間…」
「君に賭けてみようと思って君の事を調べるのに時間を使ってしまったよ。アハハ」
「アハハじゃありません!今日結婚しなかったら事業はどうなるんです?私が貴族の出自でなかったらどうするつもりですか」
「貴族院に来るんだから貴族だろう」
「そんなの!従者に頼む家だってあるでしょうに」
「ん?それもそうだな。切羽詰まっててそこまで考えなかったって言うより…なんとなく君は貴族の娘だと直感があってさ、その直感に確信があった」
(直感?!確信って。呆れてしまうわ)
焦っていたにしても最後の最後でアリアに頼むにも直感頼りだなんて無謀もいいところだ。
「事業は頓挫するが…それも仕方ないだろう」
「仕方ないって・・・・下準備にどれほどを?」
「11年だ。長い勉強期間だった」
(うわぁ。どうしよう。これって私、無関係でいられる案件?)
ここで自分が「判りました」と結婚を受け入れたらエルフィンの11年は無駄にはならない。
事業なのだから携わる人間の数も半端ではないだろう。それが頓挫をした時に生活に困る者が数人で済むはずがない。
アリアは「むぅ」考えた。
(本当に対外的な付き合いはしなくていいのなら、いい話よね)
ちらりとみれば、目が合う。
(生活には困らないし、離縁しても手厚く保護ならいい話よね)
またちらりと見れば微笑まれる。
(お父様とは今後も関係は変わらないし、関係のない話よね)
再再度チラ見をすればエルフィンも意識するのか手櫛で前髪を梳いた。
(何より…数年の間でもこんな美丈夫が夫。いい話よね)
今度はエルフィンを見ずにアリアは顎を指で支えるようにして考えた。
ふと、デリスとダリオンの幸せいっぱいな結婚式の様子を思い出した。
騙されっぱなしのままでいいのかとアリアは自分に問いかけた。
(絶対に嫌だわ)
エルフィンを利用して仕返しをしてやろうとは思わないし、離縁してもいいなんて結婚で2人以上に幸せになれるかとなればなれないだろう。
それでも、今までとは違う生き方を選べる分岐点に今、立っているのだとしたら。
(よし!女は度胸よ!)
アリアは考えを纏めるとエルフィンの手をぎゅっと握った。
「結婚!しますっ!」
「ほ、本当か!」
「はい。でも約束したことは守ってくださいね。あと、良ければですが事業の手伝いをさせてください」
「手伝いを?」
「はい。猫の手ほどの力にしかならないでしょうけど、離縁後の生き方を模索するのに何もない状態よりも足しにはなるでしょうから」
「判った。ありがとう」
エルフィンはアリアを抱きしめた。
アリアは思った。
(美丈夫って香りも絶品だわ)
「いやぁ、私では力不足と申しましょうか、何と言っても侯爵家ですよね。対外的にお付き合いをしなくていいなんてこの場で言われてもケースバイケースってありますし」
「しなくていい!私が保証する」
(貴方の保証?その後ろ盾がないのに?)
アリアはやっぱり断るべきだとエルフィンには申し訳ないが首を縦には振らなかった。
「ダメか…。そうか、仕方ないよな」
がっくりと肩を落とし、窓の外を見るエルフィンにアリアは「悪いことしちゃったかな」と少し譲歩の姿勢を見せても良かったんじゃないかと自身の言動を振り返った。
引き受けるつもりはまだなかったけれど、時間がないと言うのがどれほどなのか。話のついでに聞いてみた。
「時間がないと仰いますけど、そんなに切羽詰まっていますの?」
「ん?そうだな。実は…今日が期限なんだ」
「き、今日?!」
「あぁ。知っての通り貴族院で手続きをするまでに話を持って行ったんだが、このざまだ」
「お、お待ちくださいね?もしかして私がここで寝ている間…」
「君に賭けてみようと思って君の事を調べるのに時間を使ってしまったよ。アハハ」
「アハハじゃありません!今日結婚しなかったら事業はどうなるんです?私が貴族の出自でなかったらどうするつもりですか」
「貴族院に来るんだから貴族だろう」
「そんなの!従者に頼む家だってあるでしょうに」
「ん?それもそうだな。切羽詰まっててそこまで考えなかったって言うより…なんとなく君は貴族の娘だと直感があってさ、その直感に確信があった」
(直感?!確信って。呆れてしまうわ)
焦っていたにしても最後の最後でアリアに頼むにも直感頼りだなんて無謀もいいところだ。
「事業は頓挫するが…それも仕方ないだろう」
「仕方ないって・・・・下準備にどれほどを?」
「11年だ。長い勉強期間だった」
(うわぁ。どうしよう。これって私、無関係でいられる案件?)
ここで自分が「判りました」と結婚を受け入れたらエルフィンの11年は無駄にはならない。
事業なのだから携わる人間の数も半端ではないだろう。それが頓挫をした時に生活に困る者が数人で済むはずがない。
アリアは「むぅ」考えた。
(本当に対外的な付き合いはしなくていいのなら、いい話よね)
ちらりとみれば、目が合う。
(生活には困らないし、離縁しても手厚く保護ならいい話よね)
またちらりと見れば微笑まれる。
(お父様とは今後も関係は変わらないし、関係のない話よね)
再再度チラ見をすればエルフィンも意識するのか手櫛で前髪を梳いた。
(何より…数年の間でもこんな美丈夫が夫。いい話よね)
今度はエルフィンを見ずにアリアは顎を指で支えるようにして考えた。
ふと、デリスとダリオンの幸せいっぱいな結婚式の様子を思い出した。
騙されっぱなしのままでいいのかとアリアは自分に問いかけた。
(絶対に嫌だわ)
エルフィンを利用して仕返しをしてやろうとは思わないし、離縁してもいいなんて結婚で2人以上に幸せになれるかとなればなれないだろう。
それでも、今までとは違う生き方を選べる分岐点に今、立っているのだとしたら。
(よし!女は度胸よ!)
アリアは考えを纏めるとエルフィンの手をぎゅっと握った。
「結婚!しますっ!」
「ほ、本当か!」
「はい。でも約束したことは守ってくださいね。あと、良ければですが事業の手伝いをさせてください」
「手伝いを?」
「はい。猫の手ほどの力にしかならないでしょうけど、離縁後の生き方を模索するのに何もない状態よりも足しにはなるでしょうから」
「判った。ありがとう」
エルフィンはアリアを抱きしめた。
アリアは思った。
(美丈夫って香りも絶品だわ)
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