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第37話 遠くなる目も愛おしい
アリアは悩んでいた。
「あのぅ。エルフィン様」
「なんだい?」
「美丈夫スマイル。絶品ですが美人は3日で見飽きると言いますし、見慣れたので効果ありませんよ」
「顔か?気にするな。生まれた時からこの顔だ」
「そういう事じゃ無くですね。少しは離れてくださいって」
「嫌だね」
以前からエルフィンはどちらかと言えばお屋敷にいるほうが多かったし、べったりではないものの一緒に行動をしていたので気にもしていなかったが、気持ちを打ち明けられるとアリアには戸惑いが出た。
心なしか食事の時の椅子も食事の回数ごとに拳1つ分近くなっている気がする。
エルフィンとは男女の性差を感じさせない仲間のような、同僚のような。そんな思いだったので優しいのは判っているのだが、あまりにも急すぎてアリアの気持ちが付いてこない。
エルフィンの思いが嘘ではないと感じているけれど、アリアの中にはすっきりしない部分がしこりのようになって居座っていた。
(この気持ち、なんなんだろう)
アリアは自分自身にもモヤモヤしつつ、エルフィンと話をしてみることにした。
そうすれば何か蟠りを解消するきっかけが見つかるんじゃないか。そう思ったのだ。
「あのぅ。エルフィン様」
「どうした?」
「エルフィン様は何時から私の事をこんなに思ってくださってるんです?」
「最初から。と言いたいが…きっかけは嫉妬かな。嫉妬を覚えたのは私にだけカボチャの干した菓子がなかった時だ」
「お屋敷に来て2日目か3日目じゃないですか」
「そうなるな。気持ちにちゃんと気が付いて向き合い、受け入れたのは泥に足を突っ込んだ時だ」
「でもどうして?私、女性らしいって言いますかそういうのなかったと思うんですけど」
「それがいいんだ。私は取り繕った姿を見たいのではない。ありのままの姿を自然に見せてくれるアリアに惹かれたんだ」
「じゃぁ、一気に引きずり込んだって感じ?」
「そうなるかな。今では溺れてるけどね」
「言ってて恥ずかしくなりません?」
「ならないな」
「甘えながら耳をハムハムするのダメです」
エルフィンの顔をグイっと手で押しフンフンと怒るアリアだが、エルフィンはアリアの肩に軽く顎を乗せた。
「体の関係は無理強いしない。アリアが受け入れてくれるまでずっと待つ。性急すぎた自覚はあるんだ。でもアリアが他の男に…」
「彼の事ですか?」
「うん。激しく嫉妬した。あの場で切り殺してしまいたくなるほどに」
「あんなので手を汚すことはないんです」
「判ってる。そう言うと思ったから自重した」
手を下すならアリアの見えないところで。続く言葉をエルフィンは笑顔で飲み込んだ。
優しいところはあるし、好きだと言ってくれるのは素直に嬉しい。
美丈夫だし、生活の心配もない。
アリアの口にする思いつきも馬鹿にせず、なんでもやらせてくれる。
夫としても人としても満点。
悪いところを探せと言われたら。
倉庫に積まれたガラス瓶と布巾の入った木箱を思い浮かべるが、ポマースが完成しグラッパ製造も始まれば足らなくなることは目に見えているので
時間がかかる。それは判っているけれど両親に会って欲しいと言われた後の正式な求婚なのでアリアは気持ちがすっきりと踏み切るまでに至らなかった。
ダリオンの裏切りを経験していて、傷もまだ十分に癒えていないからかも知れないと考えてみるが、ではダリオンが復縁を願ったらと思うと気持ち悪くて受け入れる気持ちが全くない事にも気が付く。
だからこそ、アリアはエルフィンを素直に受け入れられない気持ちにダリオンは無関係だと除外してしまった。
「悩んでいるなら言ってくれ。何か出来ることがあるかも知れない」
「うん。そう思うんだけど…なんて言ったらいいのか。これが悩みなのかも判らないの。こんな気持ちのままでエルフィン様のご両親に会っていいのかしら」
「構わないよ」
「エルフィン様のご両親の前で言っちゃいけない事とかあります?禁句とか」
「えーっと…それはだな」
「あるんですね?」
「まぁ、そのぅ…契約婚だったってのは言わずにいてくれると助かる…かな?」
エルフィンの言葉にアリアは「もしや」と思い当たる気持ちがあることに気が付いた。
「あのぅ。エルフィン様」
「なんだい?」
「美丈夫スマイル。絶品ですが美人は3日で見飽きると言いますし、見慣れたので効果ありませんよ」
「顔か?気にするな。生まれた時からこの顔だ」
「そういう事じゃ無くですね。少しは離れてくださいって」
「嫌だね」
以前からエルフィンはどちらかと言えばお屋敷にいるほうが多かったし、べったりではないものの一緒に行動をしていたので気にもしていなかったが、気持ちを打ち明けられるとアリアには戸惑いが出た。
心なしか食事の時の椅子も食事の回数ごとに拳1つ分近くなっている気がする。
エルフィンとは男女の性差を感じさせない仲間のような、同僚のような。そんな思いだったので優しいのは判っているのだが、あまりにも急すぎてアリアの気持ちが付いてこない。
エルフィンの思いが嘘ではないと感じているけれど、アリアの中にはすっきりしない部分がしこりのようになって居座っていた。
(この気持ち、なんなんだろう)
アリアは自分自身にもモヤモヤしつつ、エルフィンと話をしてみることにした。
そうすれば何か蟠りを解消するきっかけが見つかるんじゃないか。そう思ったのだ。
「あのぅ。エルフィン様」
「どうした?」
「エルフィン様は何時から私の事をこんなに思ってくださってるんです?」
「最初から。と言いたいが…きっかけは嫉妬かな。嫉妬を覚えたのは私にだけカボチャの干した菓子がなかった時だ」
「お屋敷に来て2日目か3日目じゃないですか」
「そうなるな。気持ちにちゃんと気が付いて向き合い、受け入れたのは泥に足を突っ込んだ時だ」
「でもどうして?私、女性らしいって言いますかそういうのなかったと思うんですけど」
「それがいいんだ。私は取り繕った姿を見たいのではない。ありのままの姿を自然に見せてくれるアリアに惹かれたんだ」
「じゃぁ、一気に引きずり込んだって感じ?」
「そうなるかな。今では溺れてるけどね」
「言ってて恥ずかしくなりません?」
「ならないな」
「甘えながら耳をハムハムするのダメです」
エルフィンの顔をグイっと手で押しフンフンと怒るアリアだが、エルフィンはアリアの肩に軽く顎を乗せた。
「体の関係は無理強いしない。アリアが受け入れてくれるまでずっと待つ。性急すぎた自覚はあるんだ。でもアリアが他の男に…」
「彼の事ですか?」
「うん。激しく嫉妬した。あの場で切り殺してしまいたくなるほどに」
「あんなので手を汚すことはないんです」
「判ってる。そう言うと思ったから自重した」
手を下すならアリアの見えないところで。続く言葉をエルフィンは笑顔で飲み込んだ。
優しいところはあるし、好きだと言ってくれるのは素直に嬉しい。
美丈夫だし、生活の心配もない。
アリアの口にする思いつきも馬鹿にせず、なんでもやらせてくれる。
夫としても人としても満点。
悪いところを探せと言われたら。
倉庫に積まれたガラス瓶と布巾の入った木箱を思い浮かべるが、ポマースが完成しグラッパ製造も始まれば足らなくなることは目に見えているので
時間がかかる。それは判っているけれど両親に会って欲しいと言われた後の正式な求婚なのでアリアは気持ちがすっきりと踏み切るまでに至らなかった。
ダリオンの裏切りを経験していて、傷もまだ十分に癒えていないからかも知れないと考えてみるが、ではダリオンが復縁を願ったらと思うと気持ち悪くて受け入れる気持ちが全くない事にも気が付く。
だからこそ、アリアはエルフィンを素直に受け入れられない気持ちにダリオンは無関係だと除外してしまった。
「悩んでいるなら言ってくれ。何か出来ることがあるかも知れない」
「うん。そう思うんだけど…なんて言ったらいいのか。これが悩みなのかも判らないの。こんな気持ちのままでエルフィン様のご両親に会っていいのかしら」
「構わないよ」
「エルフィン様のご両親の前で言っちゃいけない事とかあります?禁句とか」
「えーっと…それはだな」
「あるんですね?」
「まぁ、そのぅ…契約婚だったってのは言わずにいてくれると助かる…かな?」
エルフィンの言葉にアリアは「もしや」と思い当たる気持ちがあることに気が付いた。
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