元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru

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元侯爵令嬢はRADIOをガガる

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フンフンフフンと鼻歌を歌いながら暖炉にくべるための薪を運んでいるのはエレイン。

なんとなく久しぶりな登場なのできっと忘れられていると思いますが、ここだけの話、エレインが主人公なのです。
ただ取り巻く面々と数多く隠された「とある時代」のワードに流されませんよう(祈)

「どっこいせっ!」

段々と寒くなってきましたので、暖炉に火を入れる回数も増えております。
問題は退出時にこの煙突を掃除をしなければならない事ですねぇ。
かなり煤がありますから掃除が大変だなぁと考えております。

辺境の中の辺境の生活はこの所は本当にお1人様を満喫する時間が増えています。
先月で一応、農夫さんや子供たちへの勉強会も終わりましたのでここに来る人はいない状態。
これが夏なら本当にマッパで過ごしてもいいんじゃないかと考えるほどです。

ここでの残りの生活もあと2か月ちょっとと思うと感慨深いものがあるエレイン。
ここ2週間ほどは本当に自然の音しか聞こえない生活です。何故かと言いますと乾電池が切れたので音楽が聴けないと言う事です。
農夫さん達に頼んで買ってきてもらっていましたがもう1カ月ほど誰も来ない生活。
毎日聞いておりましたので電池切れをしてしまっております。

今日は頑張って廃材から作ったお手製のラジオを使って隣国の情報を得ようとしております。
問題は乾電池しかありませんので電源をどうするか。考えた挙句電力消費の少なそうなラジオを聞こうと思ったのですが、チューニングの途中で完全に乾電池が御用納めをしてしまいました。
考えた挙句、不要な廃材から金属板を取り出し、先ずは台となるユニバーサル基盤というものを作ります。

鼻歌も歌っております。

「フンフフーンフ‥‥レィディオ・ガガ!!レディオ・ガガ!」

サビの部分になるとつい、手を止めて叩いて前に突き出してしまいます。

「いけない、いけない。PVの見過ぎだわ」

沢山穴をあけると、回路となる部分を目印にして表に配線の経路となるものを作り裏をめっき線などを使って繋いでいきます。
火魔法を上手く駆使してようはハンダですね。銀色のドロドロを使って基盤を作りそれをプレーヤーに取り付けます。
電子回路ですのでめちゃめちゃ難しそうに思うんですが王都にいた頃はユニバーサル基盤は売っていたのでよく作っていたエレイン。
ハンダから出る煙が臭い!なんていう義母も義姉もここにはいません。
思うままにジュジュジュっと作っていきます。

配線を乾電池のプラスマイナスに取り付けるといよいよ!!スイッチオン!

「‥‥‥」

「おかしいわね…やっぱりラジオだからと言ってラジカセで使用後はあまり使えないのかしら」

仕方なく、夕方からはジーコジーコとゼンマイのようにクルクルと巻いて充電するタイプに切り替えるとかろうじてラジオの電源が入ります。

もうちょっと!っと頑張ってグルグルしますが30分ほど回しても5分しか音がしないというか電源が入らないのでチューニングの途中で終わってしまいます。
なので、使い道がないまま置いておいたのでちょっと液漏れしていた単二の乾電池を使用すると!!

「パラッパ!パッパラパッパッパラ♪」

やりました!ついにどこかの放送局の電波を拾ったようです!

「まぁ!これが噂のオールナイト●ッポンね!」

しかし、やはり電源が液漏れ電池だったのはダメなのでしょう。音がしなくなります。
昔侯爵家にいた頃のテレビは映らなくなればバーンと叩けばよかったのですが、お手製ラジオ。叩けば粉砕しそうです。

「はぁ~王太子殿下に乾電池、サビネコ便してもらおうかしら。でもなんか頼むのは負けた気がするわ」

先が潰れてしまった六角ナットを悩まし気に見ておりますが、ふんっ!と気合を入れます。

「よし!聞けなければ歌えばいいのよ!」

そういって辺境の残り生活が終わった後、生活に困らないよう求人情報誌のガ●ンを広げるエレイン。
ブルーカラーに特化した建設業の求人メインの求人誌。
ところどころにマル印をつけていきますが問題は元侯爵令嬢で、夫とは暫くあってもいないけれど公爵家に嫁いだという経歴です。

「うーん‥陛下に言えば白い結婚なんだしなかった事にしてくれるかなぁ」

バサッと求人情報誌を棚におきました。
隣には籠に入れたままのパトリックからの手紙の山。
毎週届いて既にもう30通は超えていますが1通も封を切っておりません。

「はぁ~紙も無料じゃないのにねぇ。言いたいことあれば魔石電話すればいいのに」

エレインはパトリックが番号を知らない事を知りません。とことん仮の夫婦です。
ぽいっと一番上にあった手紙を籠に放り込むと玄関のドアをノックする音が聞こえます。

「誰かな?」

そっとのぞき穴から来訪者を見て、壁に掛けてあった剣とサーベルを手にします。
軍神の加護を持つ左目が☆キラッ☆と光りました。
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