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第04話 水浸しVS血塗れ。さぁどっち!?
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突然やって来た兵士たちは近衛騎士団。
メリルはマイケルに、ハンザにもリンダにも聞かされていなかった自身の出自をかいつまんで聞かされた。
「待ってください・・・と、言う事は私は・・・」
「はい。陛下の妹君に当たられる今は亡きフランソワーノ第2王女殿下のお子様に御座います」
「王女殿下の‥‥で?父は?私の父は誰なんですか?」
「それがフランソワーノ王女殿下からお生まれになったのはご出産には王太后いえ、当時の王妃殿下も立ち会われたので間違いは御座いませんが、フランソワーノ王女殿下はお相手については明かされぬまま帰らぬ人と」
いきなりの情報過多。メリルはくらくらと眩暈がした。
しかし、思い返せば不自然な事は覚えがあった。
リンダは村人の夫人方とは明らかに違っていたし、文字など読めない書けないでも村で生きるには問題がないのにリンダはメリルには教えた。その中には国の歴史も王家のしきたりもあった。
直接言及されたわけではないが、ハンザは父ではないしリンダも母ではない。それはメリルにも判っていた。「両親に会いたい」と思わない事もなかったが、居ない事が生まれた時からの当たり前だったので両親については深く考えたことも無かった。
だが、だからといって今の状態は納得できる範囲を超えている。
「ここに何しに?まさか観光なんて言わないですよね?」と問えば。
「メリル様には王都に、城に来て頂きたいのです。現在ブートレイア王国は危機に御座います。メリル様こそがこの危機を救える。陛下はそう仰られておりました」
――えぇーっ?私、世紀末救世主じゃないんだけど?――
そうは思ったものの切羽詰まった近衛騎士達の表情。
なにより嫌だと言ったところで国王陛下の命令とあれば、辺鄙な田舎の娘に過ぎなくともブートレイア王国の国民。従うほかに道はない。
そうしないとマイケル以下近衛騎士達はここで果てると言うのだから、玄関周りが水浸しはまだいいが、血塗れは勘弁してほしかった。
1人暮らしなので肉類はイノシシなどが罠にかかった時にお裾分けは頂く事がある。貰いっぱなしでは悪いので捌いた後、土間をブラシで水洗いするが本当に臭いまで落とすのは厄介なのだ。
亡き王女殿下の忘れ形見かどうかは別にして、メリルは1国民として王都に行くことを決めた。
「馬車があるかと思っていたので・・・申し訳ございません」
「いえいえ。歩いてもいいんですけどね。脚力には自信もありますし」
「まさか!メリル様を歩かせるなど!」
マイケルの話ではカルボス村にハンザとリンダが16年前向かった時は馬車だったと聞いたとのこと。所有しているはずだと言うがメリルは日常で馬車など行商人のジョンが乗って来る荷馬車か、農夫が田畑を耕す時に見る牛や馬に引かせる農具しか見たことはない。
亡き王女殿下の子なのであればカルボス村に入る直前で馬車は金にしたと考えた方が合点がいく。
16年住んできて貴族が乗るような馬車は年に数回巡業でやって来る旅芸人の一座が劇で使う板で作った片面しかない形しか知らなかった。
そんな田舎なのだから馬車を所有していれば目立って仕方なかったはず。
メリルはマイケルの馬に一緒に騎乗させてもらい、近衛騎士達と野営をしながら王都に向かった。
メリルはマイケルに、ハンザにもリンダにも聞かされていなかった自身の出自をかいつまんで聞かされた。
「待ってください・・・と、言う事は私は・・・」
「はい。陛下の妹君に当たられる今は亡きフランソワーノ第2王女殿下のお子様に御座います」
「王女殿下の‥‥で?父は?私の父は誰なんですか?」
「それがフランソワーノ王女殿下からお生まれになったのはご出産には王太后いえ、当時の王妃殿下も立ち会われたので間違いは御座いませんが、フランソワーノ王女殿下はお相手については明かされぬまま帰らぬ人と」
いきなりの情報過多。メリルはくらくらと眩暈がした。
しかし、思い返せば不自然な事は覚えがあった。
リンダは村人の夫人方とは明らかに違っていたし、文字など読めない書けないでも村で生きるには問題がないのにリンダはメリルには教えた。その中には国の歴史も王家のしきたりもあった。
直接言及されたわけではないが、ハンザは父ではないしリンダも母ではない。それはメリルにも判っていた。「両親に会いたい」と思わない事もなかったが、居ない事が生まれた時からの当たり前だったので両親については深く考えたことも無かった。
だが、だからといって今の状態は納得できる範囲を超えている。
「ここに何しに?まさか観光なんて言わないですよね?」と問えば。
「メリル様には王都に、城に来て頂きたいのです。現在ブートレイア王国は危機に御座います。メリル様こそがこの危機を救える。陛下はそう仰られておりました」
――えぇーっ?私、世紀末救世主じゃないんだけど?――
そうは思ったものの切羽詰まった近衛騎士達の表情。
なにより嫌だと言ったところで国王陛下の命令とあれば、辺鄙な田舎の娘に過ぎなくともブートレイア王国の国民。従うほかに道はない。
そうしないとマイケル以下近衛騎士達はここで果てると言うのだから、玄関周りが水浸しはまだいいが、血塗れは勘弁してほしかった。
1人暮らしなので肉類はイノシシなどが罠にかかった時にお裾分けは頂く事がある。貰いっぱなしでは悪いので捌いた後、土間をブラシで水洗いするが本当に臭いまで落とすのは厄介なのだ。
亡き王女殿下の忘れ形見かどうかは別にして、メリルは1国民として王都に行くことを決めた。
「馬車があるかと思っていたので・・・申し訳ございません」
「いえいえ。歩いてもいいんですけどね。脚力には自信もありますし」
「まさか!メリル様を歩かせるなど!」
マイケルの話ではカルボス村にハンザとリンダが16年前向かった時は馬車だったと聞いたとのこと。所有しているはずだと言うがメリルは日常で馬車など行商人のジョンが乗って来る荷馬車か、農夫が田畑を耕す時に見る牛や馬に引かせる農具しか見たことはない。
亡き王女殿下の子なのであればカルボス村に入る直前で馬車は金にしたと考えた方が合点がいく。
16年住んできて貴族が乗るような馬車は年に数回巡業でやって来る旅芸人の一座が劇で使う板で作った片面しかない形しか知らなかった。
そんな田舎なのだから馬車を所有していれば目立って仕方なかったはず。
メリルはマイケルの馬に一緒に騎乗させてもらい、近衛騎士達と野営をしながら王都に向かった。
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