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第03話 窮地のゼスト公爵家
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ゼスト公爵家は窮地に立たされていた。
リメーンショックはなんとか乗り切ったものの、その後見舞われた自然災害で国からの支援金など焼け石に水。領地の復興には更に金が必要でボーン子爵家に泣きついて来たのである。
貧乏が染みついたボーン子爵家当主ロムニーは自身もそれまで助け合って生きて来た事もあり、年利0.01%、6年目からの返済開始までは無利子と言う何処かの銀行も真っ青な低金利でゼスト公爵家に金を貸した。
「こんな低金利で?!しかも返済開始までは無利子なんて!」
「困っている時はお互い様ですよ」
しかし貴族とは1に見栄、2に体裁、3に世間体を気にする生き物。
爵位を盾に無茶を押し付けたと噂されては堪ったものではないとゼスト公爵は借金の返済が終わるまでは嫡男のスカッドをへリンの婚約者としてくれないかと言い出した。
「うーん。しかしへリンはまだ8歳ですし、ご子息も10歳。返済が始まる頃には15、16歳ですから、ご子息にも思う方が現れ、問題が起きるのでは?」
「スカッドには公爵家当主としての教育も始めている。貴族の結婚とはそういうものだと言い聞かせるし、もしダメなら次男のスペリアーズに婚約者の座を移す。ここは私の顔を立ててくれないだろうか」
「しかしですね?へリンは私どもの娘ではありますが養女なのです。万が一公爵家に嫁ぐという流れになった時、身分や立場からへリンが苦労をするのは目に見えておりますし…へリンも年頃になれば思う人が出来るかも知れません。そうなれば私どもはへリンを応援してあげたいんです。先の事は誰にも判りませんしね。ご子息の未来を借金の担保にすることもありません。金利も頂きますし返して頂ければそれでいいんです」
しかし、ゼスト公爵は引き下がらない。
喉から出が出るほどの好条件に間違いはないが子爵家に公爵家が「借り」を作る事もまだ恥だと考えているからである。
「むぅ‥‥。嫁ぐかどうかは婚約者である期間の2人の気持ちに任せるとして、建前で良いんだ。10年間婚約者としてはくれないか?完済の前にこちらの不祥事があれば屋敷を売ってでも繰り上げて金は返す。ご息女が婚約中に結婚まで望まないとなれば無理強いはしないし、担保としての婚約なのだ。速やかに婚約は白紙とする事を約束する」
ゼスト公爵も背に腹は代えられない。領地は荒れたままで領民も先の見えない生活に逃げ出し始めている。公爵家のメンツは丸潰れだし、隣国の怪しい動きもあり手薄になったゼスト公爵領に進軍をされてしまえばあっという間に王都まで戦火に包まれてしまう。
「結婚が出来るのは20歳からだ。完済時にご息女は18歳。もし当家との婚約があった事でご息女の縁談に問題があるなら責任をもって対処するし、完済前にご息女が他の子息が良いというなら速やかに婚約は白紙にするが、支払いは勿論続ける。何も差し出す物がなくただ金を借りるという事は出来んのだ。この通り!頼まれてはくれないだろうか」
ロムニーもゼスト公爵の言い分は理解できる。
子爵家はあまり縛りもないし、男爵家同様に平民との差も感じる事がない。
しかし王家にも子女を嫁がせたり、王族を臣籍降下で受け入れたりする公爵家は舐められたら終わりという変な矜持もある。放漫経営で経済的窮地に陥った訳でもなく、事情も事情。藁をも縋る思いでゼスト公爵が恥もかき捨てて頭を下げ金を借りに来るのは余程の事。それが判らないロムニーではない。
「では、第三者を立て、その上で書面にして頂けますか?」
「おぉ!飲んでくれるか!ありがとう!ありがとう!」
本気で困窮をしていたゼスト公爵は敢えてゼスト公爵家が推す第一王子ではなく、中立の立場を貫く王弟殿下を証人としてボーン子爵家のへリンとゼスト公爵家のスカッドの有期婚約を結んだのだった。
リメーンショックはなんとか乗り切ったものの、その後見舞われた自然災害で国からの支援金など焼け石に水。領地の復興には更に金が必要でボーン子爵家に泣きついて来たのである。
貧乏が染みついたボーン子爵家当主ロムニーは自身もそれまで助け合って生きて来た事もあり、年利0.01%、6年目からの返済開始までは無利子と言う何処かの銀行も真っ青な低金利でゼスト公爵家に金を貸した。
「こんな低金利で?!しかも返済開始までは無利子なんて!」
「困っている時はお互い様ですよ」
しかし貴族とは1に見栄、2に体裁、3に世間体を気にする生き物。
爵位を盾に無茶を押し付けたと噂されては堪ったものではないとゼスト公爵は借金の返済が終わるまでは嫡男のスカッドをへリンの婚約者としてくれないかと言い出した。
「うーん。しかしへリンはまだ8歳ですし、ご子息も10歳。返済が始まる頃には15、16歳ですから、ご子息にも思う方が現れ、問題が起きるのでは?」
「スカッドには公爵家当主としての教育も始めている。貴族の結婚とはそういうものだと言い聞かせるし、もしダメなら次男のスペリアーズに婚約者の座を移す。ここは私の顔を立ててくれないだろうか」
「しかしですね?へリンは私どもの娘ではありますが養女なのです。万が一公爵家に嫁ぐという流れになった時、身分や立場からへリンが苦労をするのは目に見えておりますし…へリンも年頃になれば思う人が出来るかも知れません。そうなれば私どもはへリンを応援してあげたいんです。先の事は誰にも判りませんしね。ご子息の未来を借金の担保にすることもありません。金利も頂きますし返して頂ければそれでいいんです」
しかし、ゼスト公爵は引き下がらない。
喉から出が出るほどの好条件に間違いはないが子爵家に公爵家が「借り」を作る事もまだ恥だと考えているからである。
「むぅ‥‥。嫁ぐかどうかは婚約者である期間の2人の気持ちに任せるとして、建前で良いんだ。10年間婚約者としてはくれないか?完済の前にこちらの不祥事があれば屋敷を売ってでも繰り上げて金は返す。ご息女が婚約中に結婚まで望まないとなれば無理強いはしないし、担保としての婚約なのだ。速やかに婚約は白紙とする事を約束する」
ゼスト公爵も背に腹は代えられない。領地は荒れたままで領民も先の見えない生活に逃げ出し始めている。公爵家のメンツは丸潰れだし、隣国の怪しい動きもあり手薄になったゼスト公爵領に進軍をされてしまえばあっという間に王都まで戦火に包まれてしまう。
「結婚が出来るのは20歳からだ。完済時にご息女は18歳。もし当家との婚約があった事でご息女の縁談に問題があるなら責任をもって対処するし、完済前にご息女が他の子息が良いというなら速やかに婚約は白紙にするが、支払いは勿論続ける。何も差し出す物がなくただ金を借りるという事は出来んのだ。この通り!頼まれてはくれないだろうか」
ロムニーもゼスト公爵の言い分は理解できる。
子爵家はあまり縛りもないし、男爵家同様に平民との差も感じる事がない。
しかし王家にも子女を嫁がせたり、王族を臣籍降下で受け入れたりする公爵家は舐められたら終わりという変な矜持もある。放漫経営で経済的窮地に陥った訳でもなく、事情も事情。藁をも縋る思いでゼスト公爵が恥もかき捨てて頭を下げ金を借りに来るのは余程の事。それが判らないロムニーではない。
「では、第三者を立て、その上で書面にして頂けますか?」
「おぉ!飲んでくれるか!ありがとう!ありがとう!」
本気で困窮をしていたゼスト公爵は敢えてゼスト公爵家が推す第一王子ではなく、中立の立場を貫く王弟殿下を証人としてボーン子爵家のへリンとゼスト公爵家のスカッドの有期婚約を結んだのだった。
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