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第41話 裸にされる女、着せられる女
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晩餐会の前日の夜。エレーナがブーレ伯爵家に連れ戻された。
酷い目にあっているかと思えば、エレーナはサバサバした様子で心配する母親を横にソファにふんぞり返っていた。
「お前っ!探してやったのにその態度は何だ!」
「探してくれなんて頼んでないしー」
エレーナは先端がガタガタになってしまった爪で他の爪をカリカリと削りながらまるで聞いちゃいない。
「それより腹の子は?腹の子は大丈夫なのか?」
「ねぇ?実の娘には探してやったとか恩着せがましい事を怒鳴るのに腹の子の心配?なんか違うんじゃないの?」
「親に向かってその口のきき方はなんだッ!」
「別にぃ?親って言っても勝手な事ばっかりするだけじゃない」
「勝手な事だと?」
「そうよ。誰が王弟殿下とか!王太子殿下とかにバラせって言ったのよ!内内で済ませてくれればいいのに余計な事ばっかりして!話を進めないのなら言わなきゃいけない事を全部言いなさいよ!隣国の王子って知ってたら大人しい令嬢でいたわよ!何もかも中途半端にしてるお父様が全部悪いのよ!」
逆キレしたエレーナは「うわぁぁーっ!!」叫んでソファーテーブルに置かれていた菓子籠や花瓶をテーブルクロスを引き抜いて薙ぎ払った。
隣に座ってエレーナの背を撫でていた母親は落ち着かせようと手を伸ばすが、エレーナに最初に触れたのはブーレ伯爵の張り手だった。
「明日の晩餐会まで反省室に閉じ込めておけ。食事も水も与えるな。首を吊るかも知れんから裸に剥いて部屋には何も置くな!」
中止にしてくれと頼みたくても面会すらしてもらえないブーレ伯爵はこうなったらエストス侯爵に直接エレーナを受け入れさせるしかないと考えていた。
戻ってきたエレーナは見つけた時、複数の男とお楽しみ中だった。
男たちは捕らえたが、誰もがエレーナから誘ってきたと言うし捕まえた男たちも2、3日前から金はないけれど遊びたい、そんな男を捕まえて断る事をしない女がいると聞いて集まっただけ。
男たちの供述を聞いて汚れされたのではなく、自ら汚れるために行った行為であることにブーレ伯爵は気分が悪くなった。
エレーナの残された使い道はエストス侯爵家の後継ぎを産むことだけ。そう考えていた。
★~★
「ア~リぃ~たんっ♡」
「なんです?ダリウス様」
「頼みがあるんだが」
「忙しいのでまた今度」
「そう言わずにぃ~ねぇアリたぁん」
バンっ!!アリアは手にしていた虫メガネをテーブルに置くとゴロゴロと甘えて肩だったり、頬だったりに指先をツンツンしてくるダリウスの指をガッ!掴んだ。
「ダリウス。最近性格が変わったとか言われませんか?」
「言われないな」
「挙動不審だと言われた事は?」
「ないな」
「周囲が気を使って言わないだけと考えた事は?」
「私の思考はアリー。全て君に集約している」
「ふざけていたら半年の間、口をききませんよ?」
「本当にない。私はいつもと同じだ。もし変わった事があるのならお婆様がアリーに相談すると思わないか?」
「それもそうね…」
考えすぎなんだろうか。そう思ってみるがその間もダリウスはアリアの手をモミモミ&ニギニギ。
「奥さん、凝ってますねぇ」
「凝ってない!奥さんでもない!」
「今はね」
――何?その不敵な目線は――
本当にここ最近は接近戦法なのかかなり近い距離でアプローチをしてくる。
「何か用なのですか?」
「実は…試着をしてみて欲しいんだ」
「試着?試食ではなくて?」
「私も含めて色々と試食はしてもいいが、今回は試着だ」
――不要なものが混じった試食はしないわよ――
仕方がないので、作業を中断してダリウスに招かれるまま出向いてみると満面の笑みで先代夫人が出迎えてくれた。
そして夫人の後ろにはトルソーに着せられた豪奢なドレスが所せましと置かれていて、それぞれにお針子たちがついており、その目線は「カモォン」と上客をゲットしたかのように輝いている。
「さぁ順番に着てみて。ダリウスは仕事をしていなさいっ!シッシ!!」
「お婆様。それはないでしょう」
「何を言ってるんです。着替えをするのを見たい?どこの変態野郎なの」
「変態野郎って!お婆様、私はですね、アリーが」
「もう宜しい!今からこの部屋は男子禁制。いいわね?」
「お婆様!」
尚も食い下がるダリウスだったが先代夫人はそっと耳打ちした。
「明日はダリウス色になったアリアちゃんを独り占めよ?」
ダリウスはそそくさと部屋から出て行った。
酷い目にあっているかと思えば、エレーナはサバサバした様子で心配する母親を横にソファにふんぞり返っていた。
「お前っ!探してやったのにその態度は何だ!」
「探してくれなんて頼んでないしー」
エレーナは先端がガタガタになってしまった爪で他の爪をカリカリと削りながらまるで聞いちゃいない。
「それより腹の子は?腹の子は大丈夫なのか?」
「ねぇ?実の娘には探してやったとか恩着せがましい事を怒鳴るのに腹の子の心配?なんか違うんじゃないの?」
「親に向かってその口のきき方はなんだッ!」
「別にぃ?親って言っても勝手な事ばっかりするだけじゃない」
「勝手な事だと?」
「そうよ。誰が王弟殿下とか!王太子殿下とかにバラせって言ったのよ!内内で済ませてくれればいいのに余計な事ばっかりして!話を進めないのなら言わなきゃいけない事を全部言いなさいよ!隣国の王子って知ってたら大人しい令嬢でいたわよ!何もかも中途半端にしてるお父様が全部悪いのよ!」
逆キレしたエレーナは「うわぁぁーっ!!」叫んでソファーテーブルに置かれていた菓子籠や花瓶をテーブルクロスを引き抜いて薙ぎ払った。
隣に座ってエレーナの背を撫でていた母親は落ち着かせようと手を伸ばすが、エレーナに最初に触れたのはブーレ伯爵の張り手だった。
「明日の晩餐会まで反省室に閉じ込めておけ。食事も水も与えるな。首を吊るかも知れんから裸に剥いて部屋には何も置くな!」
中止にしてくれと頼みたくても面会すらしてもらえないブーレ伯爵はこうなったらエストス侯爵に直接エレーナを受け入れさせるしかないと考えていた。
戻ってきたエレーナは見つけた時、複数の男とお楽しみ中だった。
男たちは捕らえたが、誰もがエレーナから誘ってきたと言うし捕まえた男たちも2、3日前から金はないけれど遊びたい、そんな男を捕まえて断る事をしない女がいると聞いて集まっただけ。
男たちの供述を聞いて汚れされたのではなく、自ら汚れるために行った行為であることにブーレ伯爵は気分が悪くなった。
エレーナの残された使い道はエストス侯爵家の後継ぎを産むことだけ。そう考えていた。
★~★
「ア~リぃ~たんっ♡」
「なんです?ダリウス様」
「頼みがあるんだが」
「忙しいのでまた今度」
「そう言わずにぃ~ねぇアリたぁん」
バンっ!!アリアは手にしていた虫メガネをテーブルに置くとゴロゴロと甘えて肩だったり、頬だったりに指先をツンツンしてくるダリウスの指をガッ!掴んだ。
「ダリウス。最近性格が変わったとか言われませんか?」
「言われないな」
「挙動不審だと言われた事は?」
「ないな」
「周囲が気を使って言わないだけと考えた事は?」
「私の思考はアリー。全て君に集約している」
「ふざけていたら半年の間、口をききませんよ?」
「本当にない。私はいつもと同じだ。もし変わった事があるのならお婆様がアリーに相談すると思わないか?」
「それもそうね…」
考えすぎなんだろうか。そう思ってみるがその間もダリウスはアリアの手をモミモミ&ニギニギ。
「奥さん、凝ってますねぇ」
「凝ってない!奥さんでもない!」
「今はね」
――何?その不敵な目線は――
本当にここ最近は接近戦法なのかかなり近い距離でアプローチをしてくる。
「何か用なのですか?」
「実は…試着をしてみて欲しいんだ」
「試着?試食ではなくて?」
「私も含めて色々と試食はしてもいいが、今回は試着だ」
――不要なものが混じった試食はしないわよ――
仕方がないので、作業を中断してダリウスに招かれるまま出向いてみると満面の笑みで先代夫人が出迎えてくれた。
そして夫人の後ろにはトルソーに着せられた豪奢なドレスが所せましと置かれていて、それぞれにお針子たちがついており、その目線は「カモォン」と上客をゲットしたかのように輝いている。
「さぁ順番に着てみて。ダリウスは仕事をしていなさいっ!シッシ!!」
「お婆様。それはないでしょう」
「何を言ってるんです。着替えをするのを見たい?どこの変態野郎なの」
「変態野郎って!お婆様、私はですね、アリーが」
「もう宜しい!今からこの部屋は男子禁制。いいわね?」
「お婆様!」
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ダリウスはそそくさと部屋から出て行った。
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