愛用の剣を修復したら氷点下の溺愛が始まった

cyaru

文字の大きさ
41 / 58

第41話  裸にされる女、着せられる女

しおりを挟む
晩餐会の前日の夜。エレーナがブーレ伯爵家に連れ戻された。

酷い目にあっているかと思えば、エレーナはサバサバした様子で心配する母親を横にソファにふんぞり返っていた。

「お前っ!探してやったのにその態度は何だ!」
「探してくれなんて頼んでないしー」

エレーナは先端がガタガタになってしまった爪で他の爪をカリカリと削りながらまるで聞いちゃいない。

「それより腹の子は?腹の子は大丈夫なのか?」
「ねぇ?実の娘には探してやったとか恩着せがましい事を怒鳴るのに腹の子の心配?なんか違うんじゃないの?」
「親に向かってその口のきき方はなんだッ!」
「別にぃ?親って言っても勝手な事ばっかりするだけじゃない」
「勝手な事だと?」
「そうよ。誰が王弟殿下とか!王太子殿下とかにバラせって言ったのよ!内内で済ませてくれればいいのに余計な事ばっかりして!話を進めないのなら言わなきゃいけない事を全部言いなさいよ!隣国の王子って知ってたら大人しい令嬢でいたわよ!何もかも中途半端にしてるお父様が全部悪いのよ!」

逆キレしたエレーナは「うわぁぁーっ!!」叫んでソファーテーブルに置かれていた菓子籠や花瓶をテーブルクロスを引き抜いて薙ぎ払った。

隣に座ってエレーナの背を撫でていた母親は落ち着かせようと手を伸ばすが、エレーナに最初に触れたのはブーレ伯爵の張り手だった。

「明日の晩餐会まで反省室に閉じ込めておけ。食事も水も与えるな。首を吊るかも知れんから裸に剥いて部屋には何も置くな!」

中止にしてくれと頼みたくても面会すらしてもらえないブーレ伯爵はこうなったらエストス侯爵に直接エレーナを受け入れさせるしかないと考えていた。

戻ってきたエレーナは見つけた時、複数の男とお楽しみ中だった。
男たちは捕らえたが、誰もがエレーナから誘ってきたと言うし捕まえた男たちも2、3日前から金はないけれど遊びたい、そんな男を捕まえて断る事をしない女がいると聞いて集まっただけ。

男たちの供述を聞いて汚れされたのではなく、自ら汚れるために行った行為であることにブーレ伯爵は気分が悪くなった。

エレーナの残された使い道はエストス侯爵家の後継ぎを産むことだけ。そう考えていた。


★~★

「ア~リぃ~たんっ♡」
「なんです?ダリウス様」
「頼みがあるんだが」
「忙しいのでまた今度」
「そう言わずにぃ~ねぇアリたぁん」

バンっ!!アリアは手にしていた虫メガネをテーブルに置くとゴロゴロと甘えて肩だったり、頬だったりに指先をツンツンしてくるダリウスの指をガッ!掴んだ。

「ダリウス。最近性格が変わったとか言われませんか?」
「言われないな」
「挙動不審だと言われた事は?」
「ないな」
「周囲が気を使って言わないだけと考えた事は?」
「私の思考はアリー。全て君に集約している」
「ふざけていたら半年の間、口をききませんよ?」
「本当にない。私はいつもと同じだ。もし変わった事があるのならお婆様がアリーに相談すると思わないか?」
「それもそうね…」

考えすぎなんだろうか。そう思ってみるがその間もダリウスはアリアの手をモミモミ&ニギニギ。

「奥さん、凝ってますねぇ」
「凝ってない!奥さんでもない!」
「今はね」

――何?その不敵な目線は――

本当にここ最近は接近戦法なのかかなり近い距離でアプローチをしてくる。

「何か用なのですか?」
「実は…試着をしてみて欲しいんだ」
「試着?試食ではなくて?」
「私も含めて色々と試食はしてもいいが、今回は試着だ」

――不要なものが混じった試食はしないわよ――

仕方がないので、作業を中断してダリウスに招かれるまま出向いてみると満面の笑みで先代夫人が出迎えてくれた。

そして夫人の後ろにはトルソーに着せられた豪奢なドレスが所せましと置かれていて、それぞれにお針子たちがついており、その目線は「カモォン」と上客をゲットしたかのように輝いている。

「さぁ順番に着てみて。ダリウスは仕事をしていなさいっ!シッシ!!」
「お婆様。それはないでしょう」
「何を言ってるんです。着替えをするのを見たい?どこの変態野郎なの」
「変態野郎って!お婆様、私はですね、アリーが」
「もう宜しい!今からこの部屋は男子禁制。いいわね?」
「お婆様!」

尚も食い下がるダリウスだったが先代夫人はそっと耳打ちした。

「明日はダリウス色になったアリアちゃんを独り占めよ?」

ダリウスはそそくさと部屋から出て行った。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!

永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手 ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。 だがしかし フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。 貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】私を嫌ってたハズの義弟が、突然シスコンになったんですが!?

miniko
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢のキャサリンは、ある日突然、原因不明の意識障害で倒れてしまう。 一週間後に目覚めた彼女は、自分を嫌っていた筈の義弟の態度がすっかり変わってしまい、極度のシスコンになった事に戸惑いを隠せない。 彼にどんな心境の変化があったのか? そして、キャサリンの意識障害の原因とは? ※設定の甘さや、ご都合主義の展開が有るかと思いますが、ご容赦ください。 ※サスペンス要素は有りますが、難しいお話は書けない作者です。 ※作中に登場する薬や植物は架空の物です。

家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます

さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。 望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。 「契約でいい。君を妻として迎える」 そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。 けれど、彼は噂とはまるで違っていた。 政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。 「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」 契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。 陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。 これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。 指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う

下菊みこと
恋愛
愛娘にしか興味ない冷血の皇帝のお話。 小説家になろう様でも掲載しております。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

処理中です...