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E.I.
失神
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「おー…、なの?」
「…でねて…の?」
「奏乃、起きて。」
私は眠りに落ちていた意識を取り戻し、勢いよく頭を上げると鈍い音と後頭部に痛みが走る。
世月「…肺、死ぬ。」
と、世月くんは私の頭がクリーンヒットしてしまった胸を押さえ込み、地べたに倒れ込んでしまった。
私は急いで席を立ち、苦しむ世月くんの背中を撫でようと軋む体にムチを打って手を伸ばすとその手を世月くんに引かれ、掛け布団のように覆いかぶさってしまう。
奏乃「…元気じゃん。」
世月「腹減ってる。」
…そうだった。
夜ご飯を作る前に力尽きたことを思い出し、仕事をやるために体を起こそうとすると世月くんの腕が私の上半身をロックした。
奏乃「どうしたの?」
世月「死んだかと思った。」
と、この前の時のように世月くんは喉を絞めて言葉を吐き出した。
奏乃「トレーニングのせいで寝ちゃってたの。ごめんね。」
私は世月くんの頭の下に腕を滑り込ませてそのまま抱きしめる。
奏乃「明後日のテスト終わったら一緒にどこか行く?」
そう質問すると世月くんは私の胸の中で静かに頷き、少し苦しくなったのか自分と私の体を横向きにして片脚も絡めてきた。
それに敏感にされた体が反応し、少しだけ声を漏らしてしまうと世月くんが胸に埋めていた顔を上げた。
世月「眠い?」
奏乃「…そんなに。」
世月「奏乃は寝てる時、なんか喋ってる。」
奏乃「そう…、なの?」
私は自分自身のことなのに知らない事実を教えてもらい、体が熱くなる。
世月「うん。なんか言ってるけど分かんない。」
奏乃「…うるさくてごめんね。」
世月「んーって唸ってるだけだからそんなに。」
クレームを伝え終えた世月くんは自分と私の体をゆっくりと起こした。
世月「奏乃は夢見る?」
と、世月くんはまっすぐ私の目を見て質問してきた。
奏乃「見るよ。学校の教室で友達と話してる夢。」
私は夢を見るたびに同じ内容、同じ顔ぶれ、同じ結末だったことを思い出し、世月くんと合っていた目線を外してしまう。
世月「学校って楽しいとこ?」
奏乃「いろんな人がいて、いろんな先生がいて、いろんな行事があるから楽しい所だと思うよ。」
世月「へー…。行ってみたい。」
世月くんは学校生活に興味津々らしく、ご機嫌な時にする頭を揺らす仕草を少し見せた。
奏乃「じゃあ学校見学行ってみる?世月くんの偏差値に近い高校行ってみようよ。」
私は友達がいなくなってしまった世月くんに新しい友達が出来るよう提案してみると世月くんはだいぶ乗り気らしくすぐに頷いた。
世月「見学したら入れるの?」
奏乃「ううん。冬にあるテスト受けて合格したら入れるよ。」
世月「ふーん、めんどくさいね。」
と、世月くんは言ったけれど、初めての経験に胸を高鳴らせているのかいつもは上がらない口角がほんの少しだけ上がっている気がする。
奏乃「一緒に頑張ろう?きっと世月くんならここにいるより楽しいことを経験できるよ。」
世月「まあ、見学してから考える。」
そう言って世月くんは私を立ち上がらせると、一緒にキッチンに行きいつもはしない手伝いをしてくれる。
それはきっと去年プレゼントをくれなかったサンタさんのためだけれど、体が不自由な私にはとても有り難い行動でこの間あげたクリスマスプレゼントがハート型のプレートを乗せたホールケーキだったことを後悔していると世月くんがふと私を見てきた。
世月「伸びた。」
奏乃「え?まだ5分も経ってない…。」
私はパスタを湯がいていた鍋とタイマーに目を移すと世月くんの手が私の眉毛に当たった。
世月「こんぐらい伸びた。」
と、世月くんは私の眉と目の距離を測るように指先を置いた。
奏乃「…本当だ。成長期、すごいね。」
私は3ヶ月程度で3㎝近く伸びた世月くんに今気づき、驚く。
世月「今年は奏乃抜かすから。」
そう言って世月くんは私の前髪をあげるように手を上にあげ、私のてっぺんに手を置いた。
世月「あと…、20㎝くらい…?」
奏乃「そんなにないよ。多分10㎝もない。」
世月「俺はみんなを見下ろしたいの。兄ちゃんも越す。」
だいぶ高めな目標を口にした世月くんはカルシウムを摂るためなのか、冷凍のエビをパスタと一緒に茹で始めた。
世月「俺は全部の1番になる。だから裏切らない方が得だよ。」
奏乃「世月くんは私の恩人さんだからそんなことしないよ。」
世月「…ずっと?」
奏乃「ずっと。世月くんは私の嫌なことしないから。」
世月「ふーん…。」
世月くんはあんまり信用ならなかったのか、ため息のように声を鳴らしてあとは全て私に任せてリビングのソファーでのんびりし始めた。
そんな世月くんを横目に見ながら私はしっかり世月くんの目標が達成できるよう、クリームパスタを作り一緒にしっかりと睡眠を取った。
環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
「…でねて…の?」
「奏乃、起きて。」
私は眠りに落ちていた意識を取り戻し、勢いよく頭を上げると鈍い音と後頭部に痛みが走る。
世月「…肺、死ぬ。」
と、世月くんは私の頭がクリーンヒットしてしまった胸を押さえ込み、地べたに倒れ込んでしまった。
私は急いで席を立ち、苦しむ世月くんの背中を撫でようと軋む体にムチを打って手を伸ばすとその手を世月くんに引かれ、掛け布団のように覆いかぶさってしまう。
奏乃「…元気じゃん。」
世月「腹減ってる。」
…そうだった。
夜ご飯を作る前に力尽きたことを思い出し、仕事をやるために体を起こそうとすると世月くんの腕が私の上半身をロックした。
奏乃「どうしたの?」
世月「死んだかと思った。」
と、この前の時のように世月くんは喉を絞めて言葉を吐き出した。
奏乃「トレーニングのせいで寝ちゃってたの。ごめんね。」
私は世月くんの頭の下に腕を滑り込ませてそのまま抱きしめる。
奏乃「明後日のテスト終わったら一緒にどこか行く?」
そう質問すると世月くんは私の胸の中で静かに頷き、少し苦しくなったのか自分と私の体を横向きにして片脚も絡めてきた。
それに敏感にされた体が反応し、少しだけ声を漏らしてしまうと世月くんが胸に埋めていた顔を上げた。
世月「眠い?」
奏乃「…そんなに。」
世月「奏乃は寝てる時、なんか喋ってる。」
奏乃「そう…、なの?」
私は自分自身のことなのに知らない事実を教えてもらい、体が熱くなる。
世月「うん。なんか言ってるけど分かんない。」
奏乃「…うるさくてごめんね。」
世月「んーって唸ってるだけだからそんなに。」
クレームを伝え終えた世月くんは自分と私の体をゆっくりと起こした。
世月「奏乃は夢見る?」
と、世月くんはまっすぐ私の目を見て質問してきた。
奏乃「見るよ。学校の教室で友達と話してる夢。」
私は夢を見るたびに同じ内容、同じ顔ぶれ、同じ結末だったことを思い出し、世月くんと合っていた目線を外してしまう。
世月「学校って楽しいとこ?」
奏乃「いろんな人がいて、いろんな先生がいて、いろんな行事があるから楽しい所だと思うよ。」
世月「へー…。行ってみたい。」
世月くんは学校生活に興味津々らしく、ご機嫌な時にする頭を揺らす仕草を少し見せた。
奏乃「じゃあ学校見学行ってみる?世月くんの偏差値に近い高校行ってみようよ。」
私は友達がいなくなってしまった世月くんに新しい友達が出来るよう提案してみると世月くんはだいぶ乗り気らしくすぐに頷いた。
世月「見学したら入れるの?」
奏乃「ううん。冬にあるテスト受けて合格したら入れるよ。」
世月「ふーん、めんどくさいね。」
と、世月くんは言ったけれど、初めての経験に胸を高鳴らせているのかいつもは上がらない口角がほんの少しだけ上がっている気がする。
奏乃「一緒に頑張ろう?きっと世月くんならここにいるより楽しいことを経験できるよ。」
世月「まあ、見学してから考える。」
そう言って世月くんは私を立ち上がらせると、一緒にキッチンに行きいつもはしない手伝いをしてくれる。
それはきっと去年プレゼントをくれなかったサンタさんのためだけれど、体が不自由な私にはとても有り難い行動でこの間あげたクリスマスプレゼントがハート型のプレートを乗せたホールケーキだったことを後悔していると世月くんがふと私を見てきた。
世月「伸びた。」
奏乃「え?まだ5分も経ってない…。」
私はパスタを湯がいていた鍋とタイマーに目を移すと世月くんの手が私の眉毛に当たった。
世月「こんぐらい伸びた。」
と、世月くんは私の眉と目の距離を測るように指先を置いた。
奏乃「…本当だ。成長期、すごいね。」
私は3ヶ月程度で3㎝近く伸びた世月くんに今気づき、驚く。
世月「今年は奏乃抜かすから。」
そう言って世月くんは私の前髪をあげるように手を上にあげ、私のてっぺんに手を置いた。
世月「あと…、20㎝くらい…?」
奏乃「そんなにないよ。多分10㎝もない。」
世月「俺はみんなを見下ろしたいの。兄ちゃんも越す。」
だいぶ高めな目標を口にした世月くんはカルシウムを摂るためなのか、冷凍のエビをパスタと一緒に茹で始めた。
世月「俺は全部の1番になる。だから裏切らない方が得だよ。」
奏乃「世月くんは私の恩人さんだからそんなことしないよ。」
世月「…ずっと?」
奏乃「ずっと。世月くんは私の嫌なことしないから。」
世月「ふーん…。」
世月くんはあんまり信用ならなかったのか、ため息のように声を鳴らしてあとは全て私に任せてリビングのソファーでのんびりし始めた。
そんな世月くんを横目に見ながら私はしっかり世月くんの目標が達成できるよう、クリームパスタを作り一緒にしっかりと睡眠を取った。
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