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A.D.
聖夜
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この間から耶月さんの嫌がらせがとても多くなって、今度はクリスマスに招待客を30人近く呼んでパーティーをすると開催日の2週間前に私に伝えてきた。
しかも、会場はこのマンション以外。
ケータリングはなし。
ひとつのワゴン車で全ての仕入れはすること。
手伝いは私の“お友達”のみ。
それを扉越しに聞いていた由月さんも30人呼んでくると嫌がらせに参戦してきて合計60人のクリスマスパーティーを実質1人で準備しないといけなくなってしまった。
これって家政婦の範疇を超えてる気がするけど、桜さんから秘書としての給料は貰ってんだからそのぐらい働けと言われ飲むしかない。
この双子は多分、私のせいで桜さんが前のように働けなくなった腹いせに私に嫌がらせをしてこの家を出て行かせようとしてるっぽい。
だから唯一お手伝いをしてくれそうだった芙蓉さんを出張で海外に飛ばし、クリスマスパーティー当日の朝に帰るように設定した。
手伝ってくれる知り合いさえいない私はずっとそばにいてくれる桜さんに明日のオードブルの仕込みを一緒にしてもらっている。
私はメインになるお肉や魚を広いはずの作業台をどんどん狭めながら、桜さんが作ってくれたフィンガーフードをタッパーに入れて大目に食べても余る80人分のオードブルを用意する。
大体のものはパーティー会場のキッチンにあるウォーマーで温めることができるけど、焼き料理はさすがに出来立てがいいよね…。
そんなことを毎日のように頭で考えて当日のシュミレーションをしていると、桜さんの指先が疲れで震え始めた。
奏乃「ちょっと休憩しましょうか。」
桜「…ん。」
私は震える指先から爪楊枝を投げ捨てた桜さんの手を取り、目の前のリビングに行って一緒にソファーに座り夕方のニュースを見る。
奏乃「また耶月さん出てますね…。」
由月さんよりもクマが濃く、二重幅が広い耶月さんは外ではクマを隠し、血色がいいように色付きリップをつけてメイクをしている。
そんな外の耶月さんは医療者として社会のワンピースとしてまた社会貢献したらしく、今回は保護犬の施設に投資したということでそのインタビューを受けていた。
この前は被災された人たちに小さいながら家をプレゼントしていたり、闘病している小さな子どもたちに夢を見せるように病院全体を天の川のようにライトアップしたり、ホームレスの人たちでも働けて住める場所を作ったりと双葉グループのポジティブキャンペーンを積極的にやっている。
なんでこんなことを最近熱心にしているんだろうと思っていると、隣にいた桜さんが私の膝の上に頭を乗せ、手を取ると私の人差し指をおしゃぶり代わりに遊び始めた。
最近は料理の味が染み込んでいるっぽくてふやけるほど舐められるけど、今日はなぜか甘噛みを何度もしてくる。
奏乃「私は食べられませんよー。」
と、本気で食べられる前に指を抜こうとしていると突然私の視界が閉ざされた。
「飯。」
奏乃「ごめん、今から作る。」
私は世月くんに閉ざされた視界を開けるように手を掴むけれど、世月くんは目元から手を離してくれない。
世月「俺が作る。」
奏乃「…作れるの?」
世月「何食べたい?」
私は初めて晩ご飯に何を食べたいか聞かれ、困っているとゆっくりと視界が明るくなり目の前のTVが天気予報を伝えているのが見えた。
世月「ないの?」
奏乃「えっと…」
桜「かなの。」
と、突然桜さんが私の名前を呼ぶと私の首に抱きついて体を起こし、そのままキスをしてきた。
それに私は驚いて体が固まっていると後ろから手が飛び出してきてその手が桜さんを突き飛ばした。
世月「嘘つき。」
奏乃「危ないよ。」
私はソファーから落ちそうになった桜さんをギリギリ捕まえてソファーに座り直させる。
世月「俺は2人分しか作らないから。」
そう言って世月くんは一度も私と目を合わせずにキッチンに行き、大きな鍋でお湯を作り始めた。
きっとパスタでも作ってくれるんだろうと私はまた膝の上で寝ようとしている桜さんの体温を感じながら、パスタが茹で上がるまでの時間に仮眠をとるように目を瞑って2日ぶりの睡眠を取った。
環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
しかも、会場はこのマンション以外。
ケータリングはなし。
ひとつのワゴン車で全ての仕入れはすること。
手伝いは私の“お友達”のみ。
それを扉越しに聞いていた由月さんも30人呼んでくると嫌がらせに参戦してきて合計60人のクリスマスパーティーを実質1人で準備しないといけなくなってしまった。
これって家政婦の範疇を超えてる気がするけど、桜さんから秘書としての給料は貰ってんだからそのぐらい働けと言われ飲むしかない。
この双子は多分、私のせいで桜さんが前のように働けなくなった腹いせに私に嫌がらせをしてこの家を出て行かせようとしてるっぽい。
だから唯一お手伝いをしてくれそうだった芙蓉さんを出張で海外に飛ばし、クリスマスパーティー当日の朝に帰るように設定した。
手伝ってくれる知り合いさえいない私はずっとそばにいてくれる桜さんに明日のオードブルの仕込みを一緒にしてもらっている。
私はメインになるお肉や魚を広いはずの作業台をどんどん狭めながら、桜さんが作ってくれたフィンガーフードをタッパーに入れて大目に食べても余る80人分のオードブルを用意する。
大体のものはパーティー会場のキッチンにあるウォーマーで温めることができるけど、焼き料理はさすがに出来立てがいいよね…。
そんなことを毎日のように頭で考えて当日のシュミレーションをしていると、桜さんの指先が疲れで震え始めた。
奏乃「ちょっと休憩しましょうか。」
桜「…ん。」
私は震える指先から爪楊枝を投げ捨てた桜さんの手を取り、目の前のリビングに行って一緒にソファーに座り夕方のニュースを見る。
奏乃「また耶月さん出てますね…。」
由月さんよりもクマが濃く、二重幅が広い耶月さんは外ではクマを隠し、血色がいいように色付きリップをつけてメイクをしている。
そんな外の耶月さんは医療者として社会のワンピースとしてまた社会貢献したらしく、今回は保護犬の施設に投資したということでそのインタビューを受けていた。
この前は被災された人たちに小さいながら家をプレゼントしていたり、闘病している小さな子どもたちに夢を見せるように病院全体を天の川のようにライトアップしたり、ホームレスの人たちでも働けて住める場所を作ったりと双葉グループのポジティブキャンペーンを積極的にやっている。
なんでこんなことを最近熱心にしているんだろうと思っていると、隣にいた桜さんが私の膝の上に頭を乗せ、手を取ると私の人差し指をおしゃぶり代わりに遊び始めた。
最近は料理の味が染み込んでいるっぽくてふやけるほど舐められるけど、今日はなぜか甘噛みを何度もしてくる。
奏乃「私は食べられませんよー。」
と、本気で食べられる前に指を抜こうとしていると突然私の視界が閉ざされた。
「飯。」
奏乃「ごめん、今から作る。」
私は世月くんに閉ざされた視界を開けるように手を掴むけれど、世月くんは目元から手を離してくれない。
世月「俺が作る。」
奏乃「…作れるの?」
世月「何食べたい?」
私は初めて晩ご飯に何を食べたいか聞かれ、困っているとゆっくりと視界が明るくなり目の前のTVが天気予報を伝えているのが見えた。
世月「ないの?」
奏乃「えっと…」
桜「かなの。」
と、突然桜さんが私の名前を呼ぶと私の首に抱きついて体を起こし、そのままキスをしてきた。
それに私は驚いて体が固まっていると後ろから手が飛び出してきてその手が桜さんを突き飛ばした。
世月「嘘つき。」
奏乃「危ないよ。」
私はソファーから落ちそうになった桜さんをギリギリ捕まえてソファーに座り直させる。
世月「俺は2人分しか作らないから。」
そう言って世月くんは一度も私と目を合わせずにキッチンに行き、大きな鍋でお湯を作り始めた。
きっとパスタでも作ってくれるんだろうと私はまた膝の上で寝ようとしている桜さんの体温を感じながら、パスタが茹で上がるまでの時間に仮眠をとるように目を瞑って2日ぶりの睡眠を取った。
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