エンディングノート

環流 虹向

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BOYFRIEND

ぽこぽこ空腹

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私はまたいつも通りスーパーへ駆け込み、信之が好きな魚が置いてあるコーナーに急いで向かう。

…おわぁっ!40%OFF!?

私は迷わず金目鯛の切り身が2つが入ったパックを手に取り、カゴに入れる。

調味料はこの間の休みで揃えたから煮付けに出来るな。

私はそこから野菜コーナーに行き、いつも通りじゃがいも2つとほうれん草のパックをカゴに入れて晩酌用のお酒を見にワインコーナーに向かう。

明日、私は休みだけど信之はいつも通り仕事なんだよな。

けど、仕事があっても平気で呑んでるから普通のサイズ1本でいいや。

私は信之も好きな白ワインを手に取り、レジに向かう。

「1976円です。」

おおー…。

魚とワイン買って2000円切るのはありがたいな。

私は割引に感謝して会計を済ませ、いつも通りカートで楽をしながら出入り口に向かっていると、警備員の格好をした信之と出くわした。

信之「ご利用ありがとうございます。こちら預かりますね。」

明人「ありがとうございます。」

信之「では、また。」

明人「また。」

私は心の中で信之に手を振り、合鍵で信之の家に入って夜ご飯の支度をする。

まずはお米を研ぎ、早炊きのタイマーをセットしてから料理を始める。

煮付けも時間がかかるけどじゃがいもに火が通ってない方が嫌だから、先にじゃがいもを切りぽこぽこと沸騰する鍋に入れ、火を通しながら煮付けに作り始める。

切り身になった金目鯛をフライパンに入れ、まだ残っていたネギとチューブのおろし生姜を一緒に入れて臭みを取りつつ、そばにあったコップで煮付けのタレを作ってフライパンにイン。

後はとろ火にするだけでいいから焼くより楽。

私は火の番をしながらお風呂にお湯を張り、コタツと部屋を温めていると玄関の扉に鍵が刺さる音がした。

すると、それと同時に炊飯器がお米が炊けたことを教えてくれて、玄関の古くて軋む扉が開くと信之が家に帰ってきた。

明人「おかえり。」

信之「ただいま。仕事終わりなのにごはん作ってくれてありがとう。」

明人「うん。今日は金目鯛の煮付けだよ。」

信之「今日安売りしてたやつかな。」

明人「多分そう。ワイン買っても2000円いかなかった。」

信之「買い物上手だな。見習いたい。」

と、信之は帰ってきてすぐに私の頬にキスをして洗面所で手を洗い始めた。

…はあ、き。

同棲はしてないけど、私が休みに入る前日にはこうやって一緒に夜ごはんを食べて、朝はMGRで朝ごはんを食べるのがだんだんと当たり前になってきている。

この仕事終わりから仕事始めまでの時間があるから、私は仕事の休憩中に魚料理のレパートリーを増やそうとレシピサイトばっかり見ちゃうんだよな。

信之が好きだと言っていた魚料理の知識が豊富になってきた私は信之から借りた部屋着に着替え、料理を盛り付けてベッドのシーツを取り替えている信之に声を掛ける。

明人「ごはん持っていってもいい?」

信之「あと少し待って。ちょっと埃舞ってるから外に出す。」

と言って、シーツのファスナーを締めた信之は温めた部屋のベッド横にある窓を容赦なく開け、埃を外に追い出すために手をぐるぐる振って急いでごはんが食べられるようにする。

そんなことしたって空気の流れは変わらないのに、必死に埃を追い出そうとする信之が可愛すぎて私も信之が乗っているベッドに乗り、少し手伝うことにした。

明人「私がやっておけばよかったね。」

信之「俺が朝忘れてただけだから。ごはん食べた後すぐにだらつけるようにね。」

と、信之は私の唇にキスをして、部屋のライトを見上げて埃を確認する。

その上目線の信之の目が夏休みに大カブトを見つけて喜ぶような輝く目でまたきと思った私はそのまま信之に抱きつきベッドに寝転がった。

信之「ごはんは?」

明人「お腹いっぱいだと感覚鈍るよ。」

信之「冷めちゃうけど。」

明人「煮物って1回冷ました方が美味しんだって。」

信之「じゃあ冷ますか。」

そう言って信之は自分の上に乗る私の顔を優しく両手で掴み、うがい薬の味がするキスをしてくれた。

信之「開けたまま…?」

明人「おこたが温かければ私はいいよ。」

信之「そっか。」

と、信之はベッド上に置いてあった照明のリモコンとエアコンのリモコンで電源を切り、私の服の下に手を入れた。

明人「…ちょっと冷たいね。」

信之「明人は温かいね。俺のこと温めて。」

明人「うん。」

私は換気をしてる窓から遠くにいる人に見られないように体を屈めながら、信之と温め合っていると私の冷えた手で信之の徳用練乳チューブが跳ねた。

信之「寒い。」

明人「やっぱり閉める?」

私は乱れた上着を正しながら起き上がり、窓を閉めようとすると裸ん坊の脚の間に信之の手が入ってきた。

信之「ここで温めて。」

明人「…窓は?」

信之「まだ換気中。」

明人「分かった…。」

私は外に自分の声が漏れないようにスウェットで口元を隠し、寝転んでいる信之の上にゆっくりと乗り込む。

信之「…痛い?」

と、お腹がきつきつになり顔を少し歪ませる私に信之は優しく聞いてきた。

明人「お腹ぱんぱんで…っ、ちょっと声、出そう。」

信之「顔見せて。」

明人「…隠さないと声出る…ぅ。」

私がそう言うと、信之は1度私を跳ねさせて締めてた脚を広げさせた。

信之「もっと近く来て。口は俺が塞ぐから。」

明人「…う、っん。」

私は信之にしがみつき、口を塞いでもらいながら騒音被害を最小限にとどめた。

信之「…寒かったね。お風呂入る?」

明人「うん…。入る…。」

信之「…なんでいつもそんなに恥ずかしがるの?」

と、私が事後にいつも信之と目を合わせられないのが気になるのか少し不満そうな信之はそう聞いてきた。

明人「…私のオアシスさんがこんな人だったんだって知ったらなんか恥ずかしくて。」

信之「オアシスって何?」

私の目線を無理矢理合わせるかのように信之はそっぽを向いてる私の顔を手で掴み、自分へ向けた。

明人「出会って名前知るまでずっとオアシスさんって自分の中で呼んでたの。疲れてる時に会うといっぱい癒されるからオアシスさん。」

信之「…嬉しい。」

そう言って信之は私の味をさせながらキスをしてくれた。

信之「でも俺は信之だから。彼氏紹介でオアシスさんって言わないでね。」

明人「分かってるよ。まあ彼氏紹介することなんてないと思うけど。」

信之「たくさんの人が来るんだから1人や2人…、まあ1人は確定か。」

と言って信之は私にきつく抱きつき、軽くキスをして少しふてくされた顔をした。

明人「成紀くん…?」

信之「成紀さんは護衛役だからしょうがない。叶さんと明日楽しんできて。」

護衛役って…。

成くんから誘われて行くパーティーなんだから主役みたいなものだけどな。

明人「お酒は呑まないでごはんだけ食べてくる。明日が終われば信之は休みになるよね?」

信之「そうだね。久しぶりの1日休みだったはず。」

明人「明日帰ってきたら一緒に呑も?私、明後日の仕事は午後からだからゆっくりできるんだ。」

信之「うん、そうしよう。忘年会ぶりにたくさん飲もっか。」

明人「…どっちの?」

信之「2人の。」

そう言われた私はあの日のことを思い出し、体が熱くなっていると信之は体を半分起こして窓を閉めた。

信之「大福アイス、買っておく。この間のは溶けてダメになっちゃって一緒に食べれなかったね。」

明人「そ、そうだね…。」

信之「俺はそれでもいいけどね。」

と、信之は私の大福アイスに服の上からキスをして立ち上がった。

信之「明人がお風呂上がったらごはん食べれるようにしておくね。」

明人「…ありがとう。」

信之「うん。じゃあ、はい。いってらっしゃい。」

と、信之はいつものスウェットセットとタオルを私にくれてお風呂に促す。

明人「いってきます…。」

私は信之のちょっとしたやきもちが見れたことが嬉して、その日はそれだけでお腹いっぱい胸いっぱいになれた。


…………
朝・ワカメおにぎり
昼・チョコビスケット 4つ
夜・金目鯛の煮付け 信之の好きなお味噌汁 白米 サラダ

信之と忘年会と大福アイス。
人とが作り上げた最高の組み合わせだと思う。
全人類皆に感謝。
おやすみ、信之・明人
…………


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