一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来

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***

全てを思い出して、私は沸騰しそうなほどに全身を真っ赤に染め上げた。

なんてことを……!?

そして、今どうすればいいのかを頭をフル回転して考えていた。

まずは、服!服を着よう!

辺りを見回して脱がされたであろう自分の洋服を発見。

再び音を立てないように静かに着替える。

こんなに早く着替えたのはいつぶりだろうか。

服を着終わって、とりあえず副社長がまだすやすやと寝ていることを確認。

……もう、逃げるしかない

財布からお札を数枚出して、サイドテーブルに置く。

そしてそのまま逃げるように部屋を飛び出した。

昨日の自分に今日の自分が憤慨していた。

いくら酔っていたからって、ほぼ初対面の男と寝るなんて何をしているんだ。

いや、でも副社長も副社長だ。

何で初対面の女を抱いた?こんな高級ホテルで?

考えれば考えるほど、わからない。

とにかく早くここから逃げ出したくて、走って走って。

一番近い駅まで走って、そこでタクシーに乗った。

息が切れる。呼吸を整えながらタクシーの運転手に住所を伝え、できるだけ早くと催促した。

要望通り最短ルートで帰った自宅。

お金を払ってアパートに逃げ込むように入るとやっと心を落ち着かせることができた。

……とりあえず、シャワー浴びたい。

心臓がバクバクいっていて、とにかく一度全部を洗い流したい。

全身をくまなく洗って、お気に入りのバスソルトを入れて早朝から湯船に浸かる。

思考を働かせると昨夜のことを思い出してしまうから、何も考えずにひたすら頭の中で素数を数えていた。

そしてその二日後。


「……おはようございます」

「おはようございます」


ビクビクしながら出勤した私を、同僚達は皆いつも通りの空気で迎えた。

副社長とのことはどうやらバレてはいない様子。

しかしいつバレてしまうかもわからない。

そうなったらもう、女性社員の半数以上の反感を買うに違いない。

火の無い所に煙は立たないと言うくらいだ。どこから噂が広まるかわからない。

……転職、やっぱり本気で探そう。

仕事もことも副社長とのこともあり、私はこの土日に転職サイトにいくつか登録していた。

しかし見てもめぼしい求人は特に無かった。

しばらくまだここで働くしかないだろうか。

小さく溜め息を吐きながら仕事を始めて数時間。昼休憩の時間になった時、同じフロアの隣にある営業部の方からざわざわとした声が聞こえて来た。

皆自然とそちらに目をやっており、私も右に倣ってそちらを向いた。

遠目からでも見える、人だかり。

……!?

その中心にいる人物がちらりと見えた瞬間、私は鞄を持ってフロアを飛び出した。

……な、なんで副社長が営業部に来てるの!?

見つかる前に逃げないと!

エレベーターで下に降りて自社ビルを出た私は、ようやく深く息を吐く。

なんにせよ、上手く逃げられたようだ。

今見つかるわけにはいかない。

営業部に現れただけであんな人だかりができるほどの人気者だ。

一晩でも寝たとバレたらファンの人達に殺されるかもしれない。

恐怖に慄いた私は予定に無かったランチに出向き、昼休憩が終わるギリギリにフロアに戻った。
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