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その日から、何度も副社長と会っては様々なことを話し合った。
まず第一にファンに殺されそうだから職場では話しかけないでほしいと伝えたら神妙な顔をして首を傾げていた。どうやら自分の人気をあまり理解していないようだ。
そのままだったら仕事終わりに毎日総務課まで迎えにきそうな勢いだったから、先に釘を刺しておいて正解だった。
それでも話しているうちに、副社長は本気で私のことを想ってくれているのがよくわかった。
毎日マメに連絡をくれて、体調を気にしてくれて。会えば必ず優しく抱きしめてくれて想いを告げてくれる。
おかげで寂しさを感じている暇があまり無くなった。
些細なことでも気遣ってくれて、どんな小さな話でも聞いてくれて私を尊重してくれる。
私が妊娠中でお酒が飲めないから、それに合わせて一緒に禁酒している徹底ぶりだ。
だからってなんでも私のことを肯定するわけではなくて、違う考えがあればしっかりと自分の意見を言ってくれるから、私も助かっている。
どうしても仕事終わりに会うとなると、そのまま食事になってしまうことが多く、お店は私の体調を見ながら個室メインで選んでくれる。
私以上に妊娠や出産、子育てについて調べてくれていて、どうやらお腹の子どものことも真剣に考えてくれている様子。
病院にも一緒に付き添ってくれて、エコー写真をニヤニヤしながら見ている姿には笑ってしまった。
"エコー写真は時間が経てば色が抜けてしまうらしいので、今のうちにカラーコピーしてアルバムにしましょう"
と、すでに溢れんばかりの父性が滲み出ている。
担当医にもたくさんのことを質問していて、"こんなに聞いてくるパパも珍しいくらいだ"と言われたほど。
問題無く心拍の確認もでき、母子手帳ももらった。
「予定日は……十月二十五日くらいかな」
秋生まれになるようだ。
予定日を聞くと、妊娠期間は思っていたよりも短く感じるのかもしれないと思った。
ただ実際にお腹で十ヶ月育てるのも、命懸けで出産するのも私だ。
私が元気にならないと、お腹の赤ちゃんも育っていかない。
過保護なくらい心配してくれて、たくさん考えてくれているのがわかる。
ありがたいと同時に、私もその気持ちに応えたい。そう思うようになってきた。
副社長自身のこともわかってきた。
身分が違うから金銭感覚や価値観が違うかと思いきや、思いの外庶民的な考えで好感が持てた。
車は免許を取った時に社長からプレゼントされた外車を大切に乗っているらしい。物持ちもいいんだとか。
副社長から逃げるばかりで彼のことを何も知ろうとしていなかった私は、知れば知るほど彼に対する興味が湧いてきた。
休日はどんな過ごし方で、仕事中はどんな顔をしているのだろう。
淡い想いが、芽生え始めていた。
「……蒼井さん」
「はい」
「総務部長に、妊娠したことを報告してきました」
告げると、目を大きく見開いた後に柔らかく笑った副社長。
「それと……相手が副社長で、結婚するつもりだと。そのこともお話ししてきました」
「……えっ!?」
驚いた顔に、今度は私が笑う。
部長も同じ顔をして絶句していた。今頃社の上層部はパニックになっているかもしれない。
明日から大変だろう。
くすりと笑う私とは反対に、副社長の目は段々と潤む。
「……プロポーズしてくれたのは、まだ有効でしょうか」
その目に滲んだ涙が愛しいと思った。
私は微笑みながらそっとハンカチを当てる。
「……あ、これ」
それは、出会った時に借りたまま、返し忘れていたハンカチ。
「洗って返してくださいね」
半分冗談でそう言うと、
「……もちろんです」
副社長は幸せを噛み締めるように笑う。
「まだお互い知らない面もありますが、蒼井さんがどれだけ私とこの子を愛してくれているかはよくわかります。貴方ほど私とこの子を大切にしてくれる人は、他にいないとわかります」
性別もわかっていないのに、ベビーグッズを揃え始めていて子どもの名前まで考え始めている始末だ。本当に嬉しそうで、本当に幸せそうで。
見ているこちらが自然と笑顔になってしまう。
「知らない部分はこれから知っていけば良い。お互いの足りないところがあれば、お互いが補い合えば良い。
……貴方のような温かく素敵な人と、この子を一緒に大切に育てていきたい。そう思いました」
「……美玲さん」
「だから、今度は私から言わせてください。
……私と、結婚してくださいませんか?」
「っ、喜んで!」
その時の笑顔を、甘いキスを、私は一生忘れない。
まず第一にファンに殺されそうだから職場では話しかけないでほしいと伝えたら神妙な顔をして首を傾げていた。どうやら自分の人気をあまり理解していないようだ。
そのままだったら仕事終わりに毎日総務課まで迎えにきそうな勢いだったから、先に釘を刺しておいて正解だった。
それでも話しているうちに、副社長は本気で私のことを想ってくれているのがよくわかった。
毎日マメに連絡をくれて、体調を気にしてくれて。会えば必ず優しく抱きしめてくれて想いを告げてくれる。
おかげで寂しさを感じている暇があまり無くなった。
些細なことでも気遣ってくれて、どんな小さな話でも聞いてくれて私を尊重してくれる。
私が妊娠中でお酒が飲めないから、それに合わせて一緒に禁酒している徹底ぶりだ。
だからってなんでも私のことを肯定するわけではなくて、違う考えがあればしっかりと自分の意見を言ってくれるから、私も助かっている。
どうしても仕事終わりに会うとなると、そのまま食事になってしまうことが多く、お店は私の体調を見ながら個室メインで選んでくれる。
私以上に妊娠や出産、子育てについて調べてくれていて、どうやらお腹の子どものことも真剣に考えてくれている様子。
病院にも一緒に付き添ってくれて、エコー写真をニヤニヤしながら見ている姿には笑ってしまった。
"エコー写真は時間が経てば色が抜けてしまうらしいので、今のうちにカラーコピーしてアルバムにしましょう"
と、すでに溢れんばかりの父性が滲み出ている。
担当医にもたくさんのことを質問していて、"こんなに聞いてくるパパも珍しいくらいだ"と言われたほど。
問題無く心拍の確認もでき、母子手帳ももらった。
「予定日は……十月二十五日くらいかな」
秋生まれになるようだ。
予定日を聞くと、妊娠期間は思っていたよりも短く感じるのかもしれないと思った。
ただ実際にお腹で十ヶ月育てるのも、命懸けで出産するのも私だ。
私が元気にならないと、お腹の赤ちゃんも育っていかない。
過保護なくらい心配してくれて、たくさん考えてくれているのがわかる。
ありがたいと同時に、私もその気持ちに応えたい。そう思うようになってきた。
副社長自身のこともわかってきた。
身分が違うから金銭感覚や価値観が違うかと思いきや、思いの外庶民的な考えで好感が持てた。
車は免許を取った時に社長からプレゼントされた外車を大切に乗っているらしい。物持ちもいいんだとか。
副社長から逃げるばかりで彼のことを何も知ろうとしていなかった私は、知れば知るほど彼に対する興味が湧いてきた。
休日はどんな過ごし方で、仕事中はどんな顔をしているのだろう。
淡い想いが、芽生え始めていた。
「……蒼井さん」
「はい」
「総務部長に、妊娠したことを報告してきました」
告げると、目を大きく見開いた後に柔らかく笑った副社長。
「それと……相手が副社長で、結婚するつもりだと。そのこともお話ししてきました」
「……えっ!?」
驚いた顔に、今度は私が笑う。
部長も同じ顔をして絶句していた。今頃社の上層部はパニックになっているかもしれない。
明日から大変だろう。
くすりと笑う私とは反対に、副社長の目は段々と潤む。
「……プロポーズしてくれたのは、まだ有効でしょうか」
その目に滲んだ涙が愛しいと思った。
私は微笑みながらそっとハンカチを当てる。
「……あ、これ」
それは、出会った時に借りたまま、返し忘れていたハンカチ。
「洗って返してくださいね」
半分冗談でそう言うと、
「……もちろんです」
副社長は幸せを噛み締めるように笑う。
「まだお互い知らない面もありますが、蒼井さんがどれだけ私とこの子を愛してくれているかはよくわかります。貴方ほど私とこの子を大切にしてくれる人は、他にいないとわかります」
性別もわかっていないのに、ベビーグッズを揃え始めていて子どもの名前まで考え始めている始末だ。本当に嬉しそうで、本当に幸せそうで。
見ているこちらが自然と笑顔になってしまう。
「知らない部分はこれから知っていけば良い。お互いの足りないところがあれば、お互いが補い合えば良い。
……貴方のような温かく素敵な人と、この子を一緒に大切に育てていきたい。そう思いました」
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