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初夜の床で覚悟します! ~グレイス~
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『何でも欲しがる義理の妹』について、聞きたい気持ちもありましたが。
(ここは深掘りはやめとこ)
本当に早く寝たかったのです。
色々思い出してお辛そうな大叔母様の介護は、背中を擦っていらっしゃるお母様にお任せしましょう。
既に4杯目のグラスが空き始めているお姉様に私は促しました。
「お姉様、続きを」
「小説ではね、そんなこと言い出す男には大概、幼馴染みポジションの女が居て、昔から男はその女が好きなの。
だけど女の家は男の家とは釣り合わないから、結婚は出来ないの」
えー、そもそも釣り合わないご実家同士で、幼馴染みってどういう?
子供であっても、そういう間柄にならないように、一緒に遊ぶのは禁止されるでしょうに。
その設定に無理はないのでしょうか?
「それで男は仕方なく、親が決めた政略婚をして迎えた名ばかりの妻に、宣言するのでした」
「白い結婚だ、ですか?」
「そうそう、その後にセットで言うのが~」
「お前を愛するつもりはない!」
③が語尾を伸ばし、それに続けた私の声に、①と②の声も重なってしまいました。
お酒を飲むと、どうしてこれだけで笑えるのでしょう。
私以外の酔っぱらい3人はゲラゲラと大笑いしていました。
◇◇◇
「私達、政略結婚なんですか?」
私は笑いが治まったお母様に尋ねました。
「いやぁね、政略なんてぇ。
ウチとくっついても、あちらには何の得もないわよぉ」
確かに。
クリストファー様は、王太子殿下の側近でキラキラした御方です。
その御方がどうして、しがない伯爵家の、まだ小娘の私と結婚しようとされているのでしょう。
「デートの時、あの人どんな感じ?」
「よくわかりません。あまりお話してくれなくて。
時々、向こうを向いて口元を押さえていたり……」
「えっ、吐くのを我慢してる感じ?」
そうなのでしょうか?
私と居るのが辛くて、吐き気を催していたのでしょうか?
時折、震えていらっしゃったような記憶もあります。
「それはちょっと、聞きづてならないわ。
どんな男よ?アデライン知ってること全部吐きな」
大叔母様、怖すぎです。
「いえいえ、何も知らないから」
「学園では、クリストファー様はどの様なご様子だったんですか?」
「大概、王太子殿下と伯爵家の息子と3人で行動してて、私達一般生徒とは接触なかったから。
ただね、お昼休みになると1人で何処かへ消えてしまうから、ちょっと噂にはなってたの。
隠してる恋人が居るんじゃないか、って。
何度かファンの子達が後を付けたけど、うまく撒かれてしまったらしくて」
そうか、クリストファー様にはファンがいらしたんだ。
「それだぁ!それそれ、それが真実の愛のお相手だぁ」
また、訳のわからない言葉がお母様から出てきました。
クリストファー様には、皆に隠してる幼馴染みの恋人がいらっしゃる様な気がしてきました。
「白い結婚って…
いわゆる…しなくてもいい、って事ですよね?」
「そうだけど…決まった訳じゃないからね。
そんな可能性もある、って、教えたかっただけ。
もしクリストファー様がそんなことを言い出しても、あんたが泣かないように初夜の床で覚悟を……グレイス?」
立ち上がり、くるくると踊り出した私にお姉様が驚いた様です。
──白い結婚も、お前を愛するつもりはないも、私は平気です!
覚悟は出来ました!
「名ばかりの侯爵夫人、サイコーですよね!」
(ここは深掘りはやめとこ)
本当に早く寝たかったのです。
色々思い出してお辛そうな大叔母様の介護は、背中を擦っていらっしゃるお母様にお任せしましょう。
既に4杯目のグラスが空き始めているお姉様に私は促しました。
「お姉様、続きを」
「小説ではね、そんなこと言い出す男には大概、幼馴染みポジションの女が居て、昔から男はその女が好きなの。
だけど女の家は男の家とは釣り合わないから、結婚は出来ないの」
えー、そもそも釣り合わないご実家同士で、幼馴染みってどういう?
子供であっても、そういう間柄にならないように、一緒に遊ぶのは禁止されるでしょうに。
その設定に無理はないのでしょうか?
「それで男は仕方なく、親が決めた政略婚をして迎えた名ばかりの妻に、宣言するのでした」
「白い結婚だ、ですか?」
「そうそう、その後にセットで言うのが~」
「お前を愛するつもりはない!」
③が語尾を伸ばし、それに続けた私の声に、①と②の声も重なってしまいました。
お酒を飲むと、どうしてこれだけで笑えるのでしょう。
私以外の酔っぱらい3人はゲラゲラと大笑いしていました。
◇◇◇
「私達、政略結婚なんですか?」
私は笑いが治まったお母様に尋ねました。
「いやぁね、政略なんてぇ。
ウチとくっついても、あちらには何の得もないわよぉ」
確かに。
クリストファー様は、王太子殿下の側近でキラキラした御方です。
その御方がどうして、しがない伯爵家の、まだ小娘の私と結婚しようとされているのでしょう。
「デートの時、あの人どんな感じ?」
「よくわかりません。あまりお話してくれなくて。
時々、向こうを向いて口元を押さえていたり……」
「えっ、吐くのを我慢してる感じ?」
そうなのでしょうか?
私と居るのが辛くて、吐き気を催していたのでしょうか?
時折、震えていらっしゃったような記憶もあります。
「それはちょっと、聞きづてならないわ。
どんな男よ?アデライン知ってること全部吐きな」
大叔母様、怖すぎです。
「いえいえ、何も知らないから」
「学園では、クリストファー様はどの様なご様子だったんですか?」
「大概、王太子殿下と伯爵家の息子と3人で行動してて、私達一般生徒とは接触なかったから。
ただね、お昼休みになると1人で何処かへ消えてしまうから、ちょっと噂にはなってたの。
隠してる恋人が居るんじゃないか、って。
何度かファンの子達が後を付けたけど、うまく撒かれてしまったらしくて」
そうか、クリストファー様にはファンがいらしたんだ。
「それだぁ!それそれ、それが真実の愛のお相手だぁ」
また、訳のわからない言葉がお母様から出てきました。
クリストファー様には、皆に隠してる幼馴染みの恋人がいらっしゃる様な気がしてきました。
「白い結婚って…
いわゆる…しなくてもいい、って事ですよね?」
「そうだけど…決まった訳じゃないからね。
そんな可能性もある、って、教えたかっただけ。
もしクリストファー様がそんなことを言い出しても、あんたが泣かないように初夜の床で覚悟を……グレイス?」
立ち上がり、くるくると踊り出した私にお姉様が驚いた様です。
──白い結婚も、お前を愛するつもりはないも、私は平気です!
覚悟は出来ました!
「名ばかりの侯爵夫人、サイコーですよね!」
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