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暁里の事情
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「そもそもの話は、娘が……暁里が小さいころまで遡るのだがね……」
そう前置きした白崎が語った話を要約するとこんな内容だった。
童顔女――暁里は小さいころから耳がよかった。それを知った両親と兄……特に父親の白崎は、自分の立場柄情報を聞き出そうとする輩がいたため、子供たちには常々「知らない人や馴れ馴れしい人にはついて行かない、話もしない」というようなことを言い聞かせていた。
ある日、白崎が暁里を連れて公園で遊ばせていた。もちろん暁里一人ではなく、他にも数人の子供たちとその親もいた。「喉が渇いた」と言った暁里のために、ほんの少し視線を逸らせた僅かな時間に暁里は誘拐されそうになった。
『ちょっと! あんた何をやってるの?!』
連れ去ろうとしたことに気付いた数人の親が声を上げ、気づいた白崎がそれを追いかけて相手を捕まえると娘を奪い返し、そのまま数度殴ったところで別方向から来た男に『誘拐未遂で現行犯逮捕するから』と止められたのだ。その男は別の親が通報し、たまたま近くにいてすぐにかけつけてくれた私服警官だった。
そして誘拐犯は逮捕され、白崎自身も暁里自身も、そして二人の側にいた人たちもその場で軽く事情聴取されたと言う。
逮捕された男は国際指名手配の組織の人間だったらしく、すぐに国際警察のほうに身柄を移しさらに詳しく調べると、その男は偶然暁里の耳のことを聞き、彼女を誘拐し、組織に役立ってもらおうと考えていたらしい。その後も何度か狙われたが、両親や兄、誘拐劇を見ていたご近所の人たちの警戒心丸出しな行動によって悉く失敗し、今まで無事に過ごせていたという。
もちろん、璃人が白崎のあとを追うように海上保安庁に入ってからは暁里自身を保護し、目先にいたほうが安心だからと海上保安庁へと誘ってはいたが、何を思ったのか暁里自身は防衛省の事務方に就職したそうだ。もちろん何度も誘ってはいたが、『防衛省も安全よ』と言って断られ、今に至るという。
白崎の地位の高さから言えば、実際は娘の暁里だけでなく、息子の璃人や妻も海上保安庁の情報を聞き出すために少なくとも一度は狙われたんじゃないかと推測している。でなければ、二人に「知らない人について行くな」と言い聞かせることなどしないだろう。
「今回君の組織に話を持って行ったのは、私と璃人が陸にいない間に暁里を誘拐しようとしているという情報がもたらされたからだ」
「それはいつの話ですか?」
「二日前、私が陸に上がってすぐのことだよ。璃人は予定通りのようだが、私の寄港予定は一ヶ月先だった。何の偶然か、寄港が予定よりも早まったからこうして対処ができたんだよ」
「……もしかして、その組織は二人が陸にいないことを知って娘さんを誘拐しようとした、とかじゃないんですかね?」
白崎の話を聞きながら少し考えてそう言えば、白崎もしばらく考えたあとで「あり得る」と頷いた。
「推測になりますが、その組織の連中は、二人が陸にいることをまだキャッチしてないかも知れません。奴らが油断している間に組織を壊滅させられればいいんですがね」
「壊滅? そこまでしなくてもいいのでは?」
「組織の規模やトップの知名度によっては壊滅させたほうがのちのち安心できますし、小さい組織の連中の動きの抑制にもなりますから、大きな組織は壊滅させたほうがいいんですよ」
「ふむ……やけに詳しいね、篠原くんは」
驚いた顔をした白崎に、俺は苦笑しながらフランス本部にいたことを話す。
「そりゃあ十年近くICPOの本部があるフランスで仕事をして、似たような案件で欧州各国を回って同僚たちと一緒にいくつか大きな組織を壊滅させてますからね。……日本と違って、向こうは銃があるぶん、いろいろと物騒ですから」
「そうか……そうだな。経験があるなら、私もそれなりに安心できるよ」
「そう仰っていただけて何よりですが、そろそろその組織の名前なり、娘さんを狙っている輩の名前なりを教えていただけませんかね? 詳細は聞いていますが、念のため確認を」
「ああ、これはすまない」
苦笑したあとで真面目な顔になり、俺に告げた組織の名前とそれを画策しているらしい人物の名前を聞いて目を細める。
その名は国際指名手配犯の名前であり、最近あちこちの国で台頭してきている組織の名前だったからだ。
「あー……それは壊滅させないとマズイ組織ですね」
「そうなのか?! 相談した時は国際指名手配犯としか聞いていなかったんだが……」
「ええ。その組織も名前の上がった人物も、何年も前から国際的に指名手配されている人物ですよ……世界各国からね」
「……っ!」
守秘義務ギリギリのラインで白崎に事実を告げると、白崎はギュッと手を握りしめた。そこまで大物だとは思っていなかったのだろう。
「とりあえず、この件は自分に任せてください。上司からは『彼女に悟られずに護衛をしろ』と言われていますが、どうしますか?」
「国際的に有名ならば、危険察知のためにも娘に隠しておくのは無理だ」
「そうですね。それと、出勤時や帰宅時ですが、白崎さんと息子さん……特に貴方は、娘さんと一緒にいないほうがいいですね」
「なぜだ?」
「組織に二人が陸にいないと思わせるほうがいいからですよ。息子さんは予定通りに陸に上がったんですよね? ならばそれはいずれ知られるでしょうから、一緒にいても構わないでしょう。ですが、予定より早く陸に上がって来た貴方の存在を知られるのはまずい気がします。生活は自宅に帰ったりしても構いませんが、外に出るならできるだけ娘さんとは別々の行動をしたほうがいい」
「だが、娘が……っ! 暁里が一人で通勤したり帰宅したりする時間はどうするんだ? その間に誘拐されたら……」
一瞬荒げた声をあげた白崎だったが、我に返ったのかすぐに冷静な声に戻る。護衛艦だか巡洋艦だかの艦長を勤めている二等海上保安監だけあってか、その辺はさすがだと思った。
「それは自分が護衛をするので大丈夫ですよ。実は、自分が今住んでる場所というか、実家が希望が丘駅前商店街の中にあるんですよ」
暗に白崎の家を知っていると匂わせると、白崎は驚いた顔をしたあとで安堵したように肩の力を抜いた。
「ほう? 私や娘もあそこの商店街にはよく行くんだよ。実家はどこか聞いてもいいかね?」
「豆腐屋です。店は兄夫婦が継いでいますが」
「おお、篠原豆腐店さんか! あそこの豆腐は大豆の味が濃くて、昔ながらの豆腐の味がするから好きなんだよ! 夏の時期に売り出される枝豆豆腐も旨くてなあ。娘からは豆腐ハンバーグも美味しいと聞いたから、是非食べてみたいとは思っているんだがね」
「ありがとうございます。時間があったらぜひ買いに来てください。父や義姉にも伝えておきますよ」
そんな世間話を最後に立ち上がり、「娘を頼む」と言った白崎と二人で握手を交わし、本格的な護衛は明日からと告げて俺は本来のSP任務へと戻った。
護衛任務を終え、護衛対象者を泊まっているホテルへと送り届けて夜の組に交代すると、一度支部へと戻る。そこで上司に白崎から聞いた話と明日から依頼の護衛をすると言えば、上司は頷いたあとで高林が捕まえた国際指名手配犯が暁里を狙っている組織の下位グループだと聞かされて目を細める。
「宝石店強盗は資金集めの一環だということですか」
「恐らくな。強盗の件は高林に任せることにしたから、お前はその案件を頼む」
「わかりました。ただ、この案件を進めるとなると、SP任務はキツイですね」
「そうだな。しばらくは彼女の勤務時間に合わせたシフトで支部での仕事になるが、いいか?」
そう言った上司に頷き、念のためにGPS機能をつけたアクセサリーなりグッズなりを作ってくれるように頼めば、「急いで作らせる」とこの話は終わった。
その日の夜九時過ぎに実家に戻って晩飯を食べていたら、親父が珍しく話があるからと目の前に座った。何の話かと思えば、希望が丘駅前商店街の最北にあるマンションの一室が空いており、そこに住むのはどうだろうという話だった。
「俺は構わないが、前の住人はどうしたんだ?」
「今年の春先に結婚して、重光先生の事務所の側に新しくできたマンションに移ったんだよ。内装も一新したらしい」
「へえ……親父の口振りからして誰が住んでたか知ってる感じだが、誰が住んでたんだ?」
「籐子のところで働いている嗣治くんの旦那……いや、嫁さんの桃香さんだ」
「あー……科捜研勤務の」
「桃香さんを知ってるのか?」
「とうてつでよく会うよ」
俺がそう言えば「そうなのか」と言った父に頷く。最初に会ったのはもう三ヶ月も前だが、閉店間際に籐子の店に行けばよく顔を合わせるのだ。週に一度は店に行っているからか、よく会う。
「明後日は非番だし、見に行ってみる。俺でいいなら、そこを借りるよ」
「そうか。なら連絡しておく」
「ああ。あと、今日仕事関係で会った人の話なんだが……その人は駅の向こうに住んでる人で、親父が作る豆腐が旨くて好きだと言ってだぞ」
白崎の名前を出さずに白崎から聞いた話を父にすれば、強面の顔を崩して嬉しそうに笑った。
「まだまだ籐矢には負けてらんねえな。ちょっくら仕込みをしてくるか」
「無理しねえでゆっくり休めよ。膝、痛いんだろ?」
「確かに痛いが、嬉しい話を聞かされちまったら膝の痛みも和らぐってもんだ。それに、手術する前に籐矢にしっかり教えとかねえとな。籐矢が作ったら豆腐の味が落ちた、なんて、アイツも言われたくねえだろうし」
冗談とも本気ともとれるようなことをサラッと言った父は、ニッと笑って店のほうへと行ったのだった。
そう前置きした白崎が語った話を要約するとこんな内容だった。
童顔女――暁里は小さいころから耳がよかった。それを知った両親と兄……特に父親の白崎は、自分の立場柄情報を聞き出そうとする輩がいたため、子供たちには常々「知らない人や馴れ馴れしい人にはついて行かない、話もしない」というようなことを言い聞かせていた。
ある日、白崎が暁里を連れて公園で遊ばせていた。もちろん暁里一人ではなく、他にも数人の子供たちとその親もいた。「喉が渇いた」と言った暁里のために、ほんの少し視線を逸らせた僅かな時間に暁里は誘拐されそうになった。
『ちょっと! あんた何をやってるの?!』
連れ去ろうとしたことに気付いた数人の親が声を上げ、気づいた白崎がそれを追いかけて相手を捕まえると娘を奪い返し、そのまま数度殴ったところで別方向から来た男に『誘拐未遂で現行犯逮捕するから』と止められたのだ。その男は別の親が通報し、たまたま近くにいてすぐにかけつけてくれた私服警官だった。
そして誘拐犯は逮捕され、白崎自身も暁里自身も、そして二人の側にいた人たちもその場で軽く事情聴取されたと言う。
逮捕された男は国際指名手配の組織の人間だったらしく、すぐに国際警察のほうに身柄を移しさらに詳しく調べると、その男は偶然暁里の耳のことを聞き、彼女を誘拐し、組織に役立ってもらおうと考えていたらしい。その後も何度か狙われたが、両親や兄、誘拐劇を見ていたご近所の人たちの警戒心丸出しな行動によって悉く失敗し、今まで無事に過ごせていたという。
もちろん、璃人が白崎のあとを追うように海上保安庁に入ってからは暁里自身を保護し、目先にいたほうが安心だからと海上保安庁へと誘ってはいたが、何を思ったのか暁里自身は防衛省の事務方に就職したそうだ。もちろん何度も誘ってはいたが、『防衛省も安全よ』と言って断られ、今に至るという。
白崎の地位の高さから言えば、実際は娘の暁里だけでなく、息子の璃人や妻も海上保安庁の情報を聞き出すために少なくとも一度は狙われたんじゃないかと推測している。でなければ、二人に「知らない人について行くな」と言い聞かせることなどしないだろう。
「今回君の組織に話を持って行ったのは、私と璃人が陸にいない間に暁里を誘拐しようとしているという情報がもたらされたからだ」
「それはいつの話ですか?」
「二日前、私が陸に上がってすぐのことだよ。璃人は予定通りのようだが、私の寄港予定は一ヶ月先だった。何の偶然か、寄港が予定よりも早まったからこうして対処ができたんだよ」
「……もしかして、その組織は二人が陸にいないことを知って娘さんを誘拐しようとした、とかじゃないんですかね?」
白崎の話を聞きながら少し考えてそう言えば、白崎もしばらく考えたあとで「あり得る」と頷いた。
「推測になりますが、その組織の連中は、二人が陸にいることをまだキャッチしてないかも知れません。奴らが油断している間に組織を壊滅させられればいいんですがね」
「壊滅? そこまでしなくてもいいのでは?」
「組織の規模やトップの知名度によっては壊滅させたほうがのちのち安心できますし、小さい組織の連中の動きの抑制にもなりますから、大きな組織は壊滅させたほうがいいんですよ」
「ふむ……やけに詳しいね、篠原くんは」
驚いた顔をした白崎に、俺は苦笑しながらフランス本部にいたことを話す。
「そりゃあ十年近くICPOの本部があるフランスで仕事をして、似たような案件で欧州各国を回って同僚たちと一緒にいくつか大きな組織を壊滅させてますからね。……日本と違って、向こうは銃があるぶん、いろいろと物騒ですから」
「そうか……そうだな。経験があるなら、私もそれなりに安心できるよ」
「そう仰っていただけて何よりですが、そろそろその組織の名前なり、娘さんを狙っている輩の名前なりを教えていただけませんかね? 詳細は聞いていますが、念のため確認を」
「ああ、これはすまない」
苦笑したあとで真面目な顔になり、俺に告げた組織の名前とそれを画策しているらしい人物の名前を聞いて目を細める。
その名は国際指名手配犯の名前であり、最近あちこちの国で台頭してきている組織の名前だったからだ。
「あー……それは壊滅させないとマズイ組織ですね」
「そうなのか?! 相談した時は国際指名手配犯としか聞いていなかったんだが……」
「ええ。その組織も名前の上がった人物も、何年も前から国際的に指名手配されている人物ですよ……世界各国からね」
「……っ!」
守秘義務ギリギリのラインで白崎に事実を告げると、白崎はギュッと手を握りしめた。そこまで大物だとは思っていなかったのだろう。
「とりあえず、この件は自分に任せてください。上司からは『彼女に悟られずに護衛をしろ』と言われていますが、どうしますか?」
「国際的に有名ならば、危険察知のためにも娘に隠しておくのは無理だ」
「そうですね。それと、出勤時や帰宅時ですが、白崎さんと息子さん……特に貴方は、娘さんと一緒にいないほうがいいですね」
「なぜだ?」
「組織に二人が陸にいないと思わせるほうがいいからですよ。息子さんは予定通りに陸に上がったんですよね? ならばそれはいずれ知られるでしょうから、一緒にいても構わないでしょう。ですが、予定より早く陸に上がって来た貴方の存在を知られるのはまずい気がします。生活は自宅に帰ったりしても構いませんが、外に出るならできるだけ娘さんとは別々の行動をしたほうがいい」
「だが、娘が……っ! 暁里が一人で通勤したり帰宅したりする時間はどうするんだ? その間に誘拐されたら……」
一瞬荒げた声をあげた白崎だったが、我に返ったのかすぐに冷静な声に戻る。護衛艦だか巡洋艦だかの艦長を勤めている二等海上保安監だけあってか、その辺はさすがだと思った。
「それは自分が護衛をするので大丈夫ですよ。実は、自分が今住んでる場所というか、実家が希望が丘駅前商店街の中にあるんですよ」
暗に白崎の家を知っていると匂わせると、白崎は驚いた顔をしたあとで安堵したように肩の力を抜いた。
「ほう? 私や娘もあそこの商店街にはよく行くんだよ。実家はどこか聞いてもいいかね?」
「豆腐屋です。店は兄夫婦が継いでいますが」
「おお、篠原豆腐店さんか! あそこの豆腐は大豆の味が濃くて、昔ながらの豆腐の味がするから好きなんだよ! 夏の時期に売り出される枝豆豆腐も旨くてなあ。娘からは豆腐ハンバーグも美味しいと聞いたから、是非食べてみたいとは思っているんだがね」
「ありがとうございます。時間があったらぜひ買いに来てください。父や義姉にも伝えておきますよ」
そんな世間話を最後に立ち上がり、「娘を頼む」と言った白崎と二人で握手を交わし、本格的な護衛は明日からと告げて俺は本来のSP任務へと戻った。
護衛任務を終え、護衛対象者を泊まっているホテルへと送り届けて夜の組に交代すると、一度支部へと戻る。そこで上司に白崎から聞いた話と明日から依頼の護衛をすると言えば、上司は頷いたあとで高林が捕まえた国際指名手配犯が暁里を狙っている組織の下位グループだと聞かされて目を細める。
「宝石店強盗は資金集めの一環だということですか」
「恐らくな。強盗の件は高林に任せることにしたから、お前はその案件を頼む」
「わかりました。ただ、この案件を進めるとなると、SP任務はキツイですね」
「そうだな。しばらくは彼女の勤務時間に合わせたシフトで支部での仕事になるが、いいか?」
そう言った上司に頷き、念のためにGPS機能をつけたアクセサリーなりグッズなりを作ってくれるように頼めば、「急いで作らせる」とこの話は終わった。
その日の夜九時過ぎに実家に戻って晩飯を食べていたら、親父が珍しく話があるからと目の前に座った。何の話かと思えば、希望が丘駅前商店街の最北にあるマンションの一室が空いており、そこに住むのはどうだろうという話だった。
「俺は構わないが、前の住人はどうしたんだ?」
「今年の春先に結婚して、重光先生の事務所の側に新しくできたマンションに移ったんだよ。内装も一新したらしい」
「へえ……親父の口振りからして誰が住んでたか知ってる感じだが、誰が住んでたんだ?」
「籐子のところで働いている嗣治くんの旦那……いや、嫁さんの桃香さんだ」
「あー……科捜研勤務の」
「桃香さんを知ってるのか?」
「とうてつでよく会うよ」
俺がそう言えば「そうなのか」と言った父に頷く。最初に会ったのはもう三ヶ月も前だが、閉店間際に籐子の店に行けばよく顔を合わせるのだ。週に一度は店に行っているからか、よく会う。
「明後日は非番だし、見に行ってみる。俺でいいなら、そこを借りるよ」
「そうか。なら連絡しておく」
「ああ。あと、今日仕事関係で会った人の話なんだが……その人は駅の向こうに住んでる人で、親父が作る豆腐が旨くて好きだと言ってだぞ」
白崎の名前を出さずに白崎から聞いた話を父にすれば、強面の顔を崩して嬉しそうに笑った。
「まだまだ籐矢には負けてらんねえな。ちょっくら仕込みをしてくるか」
「無理しねえでゆっくり休めよ。膝、痛いんだろ?」
「確かに痛いが、嬉しい話を聞かされちまったら膝の痛みも和らぐってもんだ。それに、手術する前に籐矢にしっかり教えとかねえとな。籐矢が作ったら豆腐の味が落ちた、なんて、アイツも言われたくねえだろうし」
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